クレジット
タイトル: SCP-2835-JP - 彼女の攻略法
著者: ©︎
ywst9610
作成年: 2020
アイテム番号: SCP-2835-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2835-JPに繋がる全ての登山道を封鎖し、警察による協力の下カバーストーリー"地質調査"もしくは"危険生物の出現"を適用した上で民間人の立ち入りを禁止して下さい。
追記: D-2835-31の帰還時に予期せぬイベントが発生する可能性があります。D-2835-31が帰還するまでの間、担当職員を増員し監視体制を強化します。
説明: SCP-2835-JPは██県██市にある██山の中腹に存在する異常な中学校校舎です。SCP-2835-JPの外観は██県立██中学校と同様であり、周辺住民への聞き込み等から2014年頃に出現したと推測されています。
SCP-2835-JPの下駄箱等がある正面入口から人物(以後、"被験者"と呼称します。)が侵入すると、その瞬間に被験者が消滅します。
また、正面入口以外の全ての扉や窓等は完全に締め切られており、それらからの侵入の試みは不可能とされています。
消滅後の被験者は、██県立██中学校で19██/██/██に実際発生したいじめを苦に自殺した生徒の周辺の出来事を追体験する事が、被験者への様々なインタビューによって判明しています。
被験者は96時間 96時間~11日間程で帰還します。 ██ヶ月間未帰還である為帰還時期は不明です。
帰還した被験者は正面入口前で気絶した状態で姿を現し、数分後に意識を取り戻します。ただし、消滅時の服を除いた所持品は全て所在不明となります。追体験の世界で"落し物コーナー"に出現しています。
消滅及び帰還の合図として「ウェストミンスターの鐘(以後、"チャイム"と呼称します。)」が鳴り響きます。
また、チャイムは極めて狭い範囲で鳴り響くことが周辺住民への聞き込み調査及び現地調査で判明しています。
また、以降の内容は実験によって明らかになりました。
- 既に1人が消滅している状態で他者を侵入させた場合、その他者は消滅しない事。
- 複数人を同時に侵入させた場合、内1人を除いた他者は消滅しない事。
- 過去に1度でもSCP-2835-JPに侵入した事がある人物が侵入した場合、その人物は消滅しない事。
補遺1: SCP-2835-JPの異常発生時間に大きな変化が起きた為、当実験記録を以下に記します。
日時: 2015/04/14〜24
出来事: D-2835-24〜29を内部に侵入させ、「消滅しなかったDクラス職員は内部清掃を行なうように。」と指示。
侵入後チャイムと同時にD-2835-25が消滅。残りの5名で内部の清掃を行った。6時間後、清掃に当たっていた5名のDクラス職員が退出。
D-2835-25は実験開始から11日後に以前の実験と同様の状態で帰還。
実験後行なわれたD-2835-25へのインタビューで明らかになった事は以下の通りです。
- 自殺した生徒が生き延びた状態で4日間の追体験が終わると、別の生徒として追体験が発生。生徒の自殺の7日前に戻る事。
- 今実験では生徒の2人目の友人の追体験中、生徒を7日目に自殺させてしまった事。
- 追体験の切替り前及び後の登場人物は変化しない事。
補遺2: 実験2835-JP-12開始から約16ヶ月後、SCP-2835-JPの正面入口前から████社製のペンケースが発見され、更にその中から数回折り畳まれた手書きのA4判の"文書2835-JP-1"が発見されました。(個人情報が含まれる為、一部編集済です。)
また、筆跡調査により今実験の被験者であるD-2835-31の物であると確認されています。
文書2835-JP-1の内容は以下の通りです。
唐突だがここで起きている事を書いていく。
まず他のDクラスがやってたように、この世界で俺は[編集済]という生徒へのイジメがある、3年█組のクラスの一員として人生を始めることになった。(面倒だから今後は[編集済]は彼女と書く。)
肝心のこの世界の中身についてだが、朝の会から始まって帰りの会が終わるとすぐに2日目が始まる。それをひたすら繰り返す。まるでゲームみたいだ。頭の中で選択肢が沢山出てくる。
すごく疲れるくせに攻略法なんて全く無いだろうな。どうせ。人生の攻略本なんて見た事ないだろ?
ちょっと脱線したな。話を戻そう。
ここからは手短に書くが、俺は上手いことやって彼女を生かした。
1人目のストーリーはチュートリアルの様な物を1日目に含めた4日間で、彼女が既にイジメられている日常からスタートだ。
彼女の友人として始まる。
それが終われば次は、彼女のもう一人の友達、[編集済]イジメの主犯の友人、ただのクラスメイト、彼女の担任とかで、それぞれストーリーが展開される。長さも難易度も、イジメが既に起こっているか無いかも様々だ。しかも、彼女を生かした数日後まで続くパターンもある。ストーリーによっては7日間だ。7日間をまた彼女を殺さずに過ごすと次が始まる。
今は彼女の担任として過ごしている。あと、自慢では無いが担任のストーリーだけで彼女を何回か自殺の危機から救ってる。
ただ全編を通して唯一苦しめられているのが、とある女子生徒の行動が読めないことだ。
ここから真面目な話だ。
まず大前提だ。彼女の人生は1度しか無い。それは分かってるよな?これを読んでるあんたらは頭が良いはずだ。
つまり、彼女が死ねばストーリーは終わり。この"ゲーム"も終わり。リセットはできない。きっと一回体験した奴が戻れないのはここに答えがあるはずだ。
ただ、俺は彼女を生かし続ける事ができる。まぁ勘ってやつだ。
その先に何があるかまだ分からないが、俺なら、できる。
p.s.落し物コーナーに財団の備品がいくつかあるがホウキとかもそうか?見覚えのあるマークが付いてる。だが回収は出来なさそうだ。申し訳ない。
この文書により以下の事が新たに判明しています。
- 所在不明である装備品等は追体験の中に出現している事。
- 追体験の内容次第で生徒は数回、自殺の危機に追い込まれる事。
- 実験の収束時期が不明である事。
補遺3: 文書2835-JP-1が発見されてから約10ヶ月後、以前と同様にSCP-2835-JPの校庭にて"文書2835-JP-2"が新たに発見されました。
こちらも文書2835-JP-1と同様にD-2835-31の筆跡と判明しています。
文書2835-JP-2の内容は以下の通りです。
久しぶりだな。2年█組の担任として生きている俺だ。
かなり進展があった。
前のメモで書いた行動パターンが違う[編集済]という生徒だが、立場を利用して生活相談のときに聞き出した。
[編集済]はイジメを受けている彼女の幼稚園からの幼馴染だ。
[編集済]は言っていた。「私は彼女を救えず彼女のストーリーを最悪な終わらせ方をしてしまった。だから私の願いを叶えてほしい。そして私の唯一の願いはバッドやノーマルでは無く、彼女にとってのトゥルーエンドでストーリーを紡いで欲しい」と。
俺は悟った。俺はまだまだここの住民である必要があるという事だ。
ただ、俺は書いていたはずだ。
「彼女が死ねばこのゲームは終わる」と。
もし、死なずにクリアしたらどうなるのか。ただのクリアで終わる気はしないな。
ただ安心してほしい。1回クリアすると最初からとか最終章から始まるゲームもあるからな。
補遺4: 文書2835-JP-1及び2の内容を受け、現在継続中の実験2835-12が今後SCP-2835-JPの実態解明に向けて重要な物となり得る事が予想されています。
ページリビジョン: 10, 最終更新: 04 Feb 2021 13:54