前書: このSCP-2841-4の探索はその発見後ほどなくして行われた。エージェント・罗兴ルオ・シン、エージェント████ ████及びフィールドスペシャリスト、ケリー・チャンは標準装備及び標準ダイビング装備にて出発した。作戦はプロジェクト・河図洛書ヘツルオシュの一部として、サイト管理者薛晴により監督された。以下は中国語より翻訳されている。
インタビュー者:薛晴博士
インタビュー対象: エージェント・罗兴、オペレーションリーダー
<ログ開始>
薛博士: こんにちはエージェント・罗。
エージェント・罗: ええ博士。
薛博士: 座ってください。何故ここに呼ばれたか了解しているということでよろしいですか?
エージェント・罗: ええ、録画が途中で壊れていたため、作戦の概要を説明することを要請されています。
薛博士: レポートにまとめるため、最初から話してください。
エージェント・罗: その前に、████の容態をお聞きしても?
薛博士: 彼は完全に回復しています。エージェント・████は心理評価が終わり次第、早急にこのプロジェクトから配置転換されます。はじめてよろしい。
エージェント・罗: ありがとうございます薛博士。20██/██/██、私はエージェント・████ ████ とフィールドスペシャリスト・ケリー・チャンを率いてSCP-2841-4に入りました。████はビデオ装備を担当し、ケリーはサンプリングと環境の測定を担当していました。
我々は特に問題なく、プールを通して異次元の場所に着きました。我々は地面に降り立ち通常装備に着替えました。そこはとても暗く、我々はヘッドライトをつけっぱなしにしていました。そして████は暗視装置をつけました。
我々は開けた平地にいました。上方には明らかに空があり、星が見えました。その明かりだけではほとんど何も見えませんでした。地面はあらゆる方向へ続いていて、闇に消えていました。音はなく、今思えば風もありませんでした。
プールは通ってきたものと全く同じものに見え、同じ液体がポータルを通してプールを満たしていました。しかしプールの周囲には青銅の木のあるべき場所に金属の棒がありました。どんな金属で出来ているかはわかりません。ケリーも削ることはできませんでした。
しかし彼女は地面のサンプルを採ることはできました。金属に見える奇妙な砂で全てが覆われていました。我々は少しの間その場所に留まり、████はその様子を録画し、ケリーが何枚か写真を撮るのを手伝いました。
[間]
我々の仕事はその場所の基本的な地図を描くことでした。しかし我々は基地と連絡を取ることができず、何をするべきか決めるのは私の役割になりました。我々は戻ろうとしましたが、████がカメラで何かを見つけました。それは遠くて辛うじて見えるだけでした。何か塔のようなものが、頂点が闇に紛れながら伸びていると思いました。
薛博士: それで、その建造物を探索しようと決めたのですか?
エージェント・罗: 我々は長くとも10分程度しかそこにいませんでしたが、プールの周りでできることは終えてしましました。我々は標準装備と武器を持っていて、私は問題ないと考えました。加えて、その時はその場所はとても静かでした。
薛博士: 続けてください。
エージェント・罗: 我々は強いライトをプールのところに残し、移動するに従い印を残しました。風もなかったので、砂にははっきりと足跡が残りました。迷うことはないと思いました。████がカメラで見ながら我々を塔に誘導し、我々は15分から20分ほど歩きそこへ着きました。
それは実際に塔で、巨大でした。4つの側面を持ち、それぞれ100メートルはありました。近づくまでそのことに気づきませんでした。その時もまだ頂上は見えず、高さはわかりませんでした。そこもまた周囲に何もなく、なんの音も動きもありませんでした。
ヘッドライトで照らして、塔は何らかのパターンに沿って金色と白色に分けられていることがわかりましたが、その全貌は見えませんでした。陽の光のもとではとても豪華に見えるでしょう。薄暗い光のもとですら輝いて見えたでしょう。そしてそこにも金属の棒があり、やはりケリーはサンプルを削り取れませんでした。
入口は見当たりませんでしたが、我々の北方向に面して階段がありました。それは島の周りを回って少しづつ上へ向かっていました。それは明らかに人間サイズのもので、正確に均等に作られていました。手すりがあり、危険な感じはしませんでした。
自然に、我々は上へ向かい歩きました。塔に着くのに要した時間よりずっと長い時間登りました。ケリーは1時間半ちょっとと言っていましたが、もっと長く感じました。階段は延々と続き、高く登っても景色はよく見えるようにはなりませんでした。ただ暗すぎたのです。
████はより良い空の写真と、塔に近接した写真を沢山撮ることができましたが、それだけでした。塔のパターンは変わり続けましたが、それはただの線と形だけでした。ケリーは遠くから見るためにデザインされたのだろうと言っていました。我々は喋ろうとしましたが、声が大きすぎるように感じました。登ってさえも風はありませんでした。最終的にどれくらい登ったのか全くわかりません。
しかしその時、ケリーが不平を漏らし始めた頃、我々はそこに着きました。
薛博士: そこ?
エージェント・罗: 階段は終わり、突然その開けたプラットホームに出ました。そこは基部よりもだいぶ小さく、10メートル四方の空間でした。我々はほとんど互いにぶつかりよろめくようにそこへ入りました。そしてそこには光源が、何百もの蝋燭がありました。
そこは中国風の大型テントか、あるいは小型の宮殿か何かから、壁や柱を取り除いたような場所でした。そこは伝統的な建造物が通常そうであるように、明らかに木製で、鮮やかに色づけられ、装飾があちらこちらにありました。蝋燭が全ての光景を実によく浮かび上がらせていました。
しかし我々は前に進むことができませんでした。テントの前には、金の玉座があり、そこには2つの存在がありました。
薛博士: 人間ではなかったという意味ですか?
エージェント・罗: 私にはよくわかりません。玉座にいる1人は十分に人間に見えました。男性で、巨大な鳥の模様が描かれた伝統的な衣服を着ていました。頭部には太陽をかたどった帽子をかぶっていました。もう片方の存在は、何か奇妙な犬?のような…
薛博士: それを詳しく描写してください。
エージェント・罗: それは狼か、もしかしたら狐?でしょうか。でも毛皮はなく、その体には鱗を纏っていました。とても心を乱されるような姿でした。魚の鱗ではありませんでした。むしろ爬虫類に近い。さらに、それは人と同じくらいの高さで、後ろ足で立っていました。片方の前足を男の方にのせていました。
我々は全員、階段の終わりで立ち尽くしていました。正直に行って、全く予想外の光景で、加えて新しい光源に目を慣らすのに数瞬かかりました。そしてその生物は、前足を男の方にのせたまま我々の方を向きました。
数秒の間我々を見つめ、突然その存在は耳を突き刺す叫びを上げ、我々は後ずさりました。同時に、玉座の男が立ち上がりました。その時我々は、梁の1つから白い絹が一片垂れ下がっているのに気づきました。男は玉座に登り、絹を首に巻きました。彼は何かを言いましたが、我々のうち誰も理解できませんでした。それは何らかの奇妙な方言に聞こえました。
薛博士: ちょっと待ってください。
[薛博士は音声ファイルを再生する。男が興奮して喋っているのが聞こえる。]
それは実は、商王朝から漢王朝にかけて使われた古代中国語でした。翻訳すると概ね [文書を読み上げる] “星々、かつて私の手の届く範囲にあった星々、それらは今は近い。しかし蛇たち、蛇たちが私のもとに来た。彼らの復讐は炎のように燃える。私を許してくれ、我々を許してくれ。私は何もしていない、それは私の祖先だ。”となります。
エージェント・罗: なるほど、それなら辻褄があいますね。
[間]
しかし彼がそれを言うと、その生物は唸り玉座を倒しました。男は吊られましたが、まだ少しぴくぴくと動いていました。その生物が飛び回り、蝋燭をすべて倒し、テントが炎に包まれる間、彼はさらに何か言ったと思うのですが、我々はそれを聞き取れませんでした。
何百もの蝋燭があったとさっき言いましたが、全ての蝋燭が倒され、全てが燃え上がるまで数秒でした。明らかに異常でした。そしてその生物は、吠えて吠え続けて、その音はなぜか次第に笑い声のように変化しました。それは我々を攻撃しようとはしませんでしたが、私は退却を指示しました。
薛博士: そしてその時録画に失敗した。
エージェント・罗: そうです。エージェント・████は私の命令に反応しませんでした。録画はまだ続いていましたが、彼はカメラを下げていました。床に落としたのではなく、カメラは装備に取り付けられていましたが、彼はただ燃えるテントを見つめていました。私は彼の肩を叩きましたが、彼は振り返って私の手を掴み、テントを指差しました。—この時には煙と炎がその全てを包んでいました —そして意味の通らないことを何回も呟きました。
薛博士: これが彼の言ったことですね?
[薛博士は音声ファイルを再生する]
Agent ████: あいつだ!あいつだ、暴君め!あそこに行かなくては、あいつを捕まえて、報いを受けさせてやる。あいつは燃やされなくてはならない。
エージェント・罗: 何をしている?脱出するぞ!
Agent ████: 見えないのか?あいつだ!あいつ、人民が苦しみ奴の豪華な宮殿を建ててる間に、酒に浸かり肉を貪った。そもそも、奴の祖先は玉座を盗んだものだ、そして奴はまさに邪悪な血を引いていることを見せた。なんとおぞましい、もっとも恐ろしい王だ!
エージェント・罗: 何だって?
フィールドスペシャリスト・チャン: 行かなくては!
Agent ████: 蛇たちよ!彼らは彼の敵と友の骨を食んだ、そして今彼らは彼のために来る。これは復讐だ!
[録音終了]
エージェント・罗: ええ、私は████が玉座の男のことを言っているのだと思いましたが、その意味する所はわかりませんでした。彼はほとんど非難するような調子で喋っており、私とケリーは彼は何かのアノマリーに影響されていて、できるだけ早く離れることが最善と考えました。
それで私は████を掴み、彼を引いて階段を下りました。彼は抵抗しませんでしたが、その男について、男がどのように苦しむべきなのか呟き続けました。結果としてカメラに注意を払う人間はおらず、我々もそのことを考えるには忙し過ぎました。
████が正しかったことが一点だけあります。蛇がいたのです。階段や、手すりの上さえも登ってきました。以前には全く気配はありませんでしたが、そのときには階段を完全に埋めていて、お互いの上を滑っていました。とてもたくさんいました。
ケリーは銃を取り出しました。私はそれらがどこから来たのか見ようとして塔の外を見渡しました。塔の周辺には幾つもの大きな穴が空いていました。たしかに以前には無かったはずのもので、その中は蛇の群れで満たされていました。 –
薛博士: ちょっと待ってください。何故そんなことができたのです?そこは暗かったはずです。そして火災がとても明るかったとしても、塔の基部全周を見渡すことができたのですか?最低でも1時間半は登ったと言ったはずです。
エージェント・罗: ええ、我々はその時まで気づきませんでしたが、どういうわけか穴を見たとき、我々は地面から数階分の高さ、ほんの10メートルかそこらのところにしかいませんでした。塔が動いたり、あるいは縮んだり、空間異常があったり、我々がループしていたとは感じませんでした。しかしそのときには、それは我々にとってあまり気になりませんでした。
私が見下ろすと、そのときには十分な明かりがあることに気が付きました。空はもはや暗くありませんでした。その時、ケリーがほとんど金切り声のようなものをあげました。彼女の指差す方、地平線にそれはありました。太陽が登り、明るくなっており、我々は全周囲に広がる開けた平原にいることがわかりました。今思うと、太陽から少し離れて何かがありました。しかしそのときには、地平線のそばにあるものに目を奪われました。
それが何だったのかわかりませんが、それは巨大でした。先程、塔は巨大だったと言いましたが、それと比較になるようなものではありません。それは地平線全体に伸びていて、太陽を一部隠していました。それは不均等な形をしていて、全てが照らされていたわけではないので、影となっていて全体像はわかりませんでした。
我々は全体像を見たいとも思っていませんでしたが、それは山のように見えました。山が動いたり形を変えたりしないのを除けば。それは確かに生きており、縁は柔らかい?ように見えました。自信はありませんが。しかしそれが形を変えながら塔の方へ、我々の方へ移動してきたのは確かです。
ケリーは脱出するべきだと言い、私も同意しました。天蓋は激しく燃えていましたが、それや蛇のことを気にする余裕はありませんでした。なので我々は████を引いて階段を降りました。
驚くべきことに、蛇は我々にかまいませんでした。それらはただ上へと滑っていきました。数匹、いえもっと沢山の蛇が我々の服の上を這いましたが、気にせず進み続けました。障害はありませんでしたが、遠くに見える巨大な影をとても不安に感じました。その動き方が—どのように動いていたのかはよくわかりませんが、まだ頭にこびりついています。
登るのは時間がかかったのに、底部に着くまで数分しかかかりませんでした。分かれ道も無かったはずです。幸運なことに、蛇の穴の間にまだ道はありました。なのでそこを問題なく横切れました。我々はその写真を撮るべきだったのでしょうが、狼狽していて調べることもできませんでした。しかしいずれにせよ、我々が来た足跡を見つけて辿るには問題はありませんでした。
薛博士: それでまっしぐらに帰還して、巨大な生物と遭遇するのは避けたと?
エージェント・罗: ええ、帰る道は20分でした。そこは変わりなかったです。その途上で、地平線のものは我々のもとにたどり着くことはないだろうと思いました。
そのような巨大な生物は長い距離を速く移動できると思うかもしれませんが、我々が見たとき、それは元の場所にいました。それが我々の方向に移動しようとして、長い距離に伸びているのが見えました。しかしもう一度見ると、それはまだ地平線にいたのです。それが我々を安心させたのか、もっと不安にさせたのかもよくわかりません。
しかし常に視界の端に動きが見えるというのは落ち着かないものです。それはとても…シュール?でしょう。加えて████はまだ意味の通らないことをこぼし続け、とても不安になりました。我々はただ引き返して、作戦を終わろうと決めました。ケリーは入口から数分のところに来てカメラのことを思い出し、そこで再度適切な録画ができるようになりました。
その後、我々はダイビング装備に着替え、引き返しました。████はまだ不安定でしたが、我々と共に帰還することができました。
薛博士: わかりました。他に付け加えたいことはありますかエージェント・罗?
エージェント・罗: [止まり考える]実は、ええ、ケリーは後に、帰還する途中、塔からそれほど遠くないところで振り返ったと言いました。そこには巨大な、翼を持つ太陽の図案があったと言いました。
薛博士: 記録しました。ありがとうございますエージェント。これで終わりにしましょう。
エージェント・罗: さようなら、ドク。
[エージェント・罗が部屋から出る。]
薛博士: [録音装置に語りかける]ビデオログの分析と記録された画像の星の位置と太陽のサイズからして、SCP-2841-4は木星に位置する可能性があります。その環境が何故地球に近く、人間が活動できるのかは不明です。
[長い間]
これは、夏の異常文化集団の一員により言及される"太歳"の位置と関連があると考えられます。我々は潜在的なSCPオブジェクトに繋がるヒントを意図的に与えられたのではないかと考えずにはいられません。
<ログ終了>