SCP-2855
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アイテム番号: SCP-2855

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2855はサイト-██・██番ホール内の標準人型収容房に置かれます。

現在のSCP-2855-1はあらゆる収容手順の適用下にありません。セキュリティ上の理由から、現在のSCP-2855-1の身元はクリアランスレベル4以上の職員にのみ開示されます。

説明: SCP-2855はヒスパニック系人種の男性人型実体です。「リトル・ミスターズ®の一員、ミスター・おかね by ワンダーテインメント博士」という言葉がSCP-2855の首の背面に刺青されています。

SCP-2855はその所有権に関する商取引によって異常な影響を受けます。現在のSCP-2855所有者(SCP-2855-1に指定)は、保有する一定量の現金を対価としてSCP-2855の所有権を望む人間との間に、SCP-2855の譲渡について記した書面契約を交わすことが出来ます。

この契約が両当事者の署名によって締結された場合、SCP-2855は瞬時に書面で指定された位置に、指定されなかった場合は受取人の近辺に、転移させられます。また、合意された金額は購入側の当事者の保有から瞬時に指定された位置に、指定されなかった場合はSCP-2855-1の近辺に、移譲されます。取引が完了するに伴い、購入した当事者はSCP-2855-1に指定され、以前のSCP-2855-1はSCP-2855の所有権を失います。

以上のプロセスは、書面契約に対して両当事者の署名が為されており、対価となる金額が指定されている場合に限り発生します。非貨幣的な取引は無効となります。

SCP-2855は、購入側の当事者がSCP-2855の能力に有する願望や先入観に応じて適応的に変化すると考えられています。これらの変化は、SCP-2855が新たなSCP-2855-1の所有下に再出現する際に発生します。一般的にSCP-2855は、譲渡を引き起こす書面契約に記されたあらゆる能力に関する定義・主張に準拠します。

この適応能力の限界は、存在すると仮定した場合、現時点では不明です。

SCP-2855は2007/04/21にマーシャル・カーター&ダーク社より回収されました。回収時点で、SCP-2855の適応能力の可能性・有用性を試すために一部MC&Dスタッフの間で複数回の意図的な譲渡が行われていました。ある契約において、SCP-2855の受取人に扮していた潜入エージェントによってオブジェクトは取得されました。続く譲渡によってSCP-2855は財団の保護下に置かれました。

SCP-2855は現時点において財団の意向に協力的であると考えられています。譲渡の過程で外部勢力に獲得されるリスクが存在する為、SCP-2855の適応能力を実験することは禁止されています。

補遺2855-1: 回収文書

回収に際して、SCP-2855が所持していた以下の文書が発見されました。

補遺2855-2: 取得されたMC&D社内の短文通信

MC&D社からの回収に先立ち、SCP-2855の存在と現状を示す複数の通信が取得されました。MC&D社によって施された反ミーム的対スパイ処理により、これらの文書の大半は判読不能/知覚不能であるとされています。逆行ミーム的復元によって回収された唯一の文書を以下に示します。

メモ23
WQ2B3/XNGSZ/EOY5J
送信者 ミシェル・ローサー 受信者 ペイトン・アガピオス
結論が出た。君の推測は、荒唐無稽なものではあったが、ある程度に理があると示された。

物理面において、アイテムは予想通りのものだ。彼の作品に精通した者達が例の外科処置を鑑定したところ、わずからながらだが、彼の初期作品の特徴が見られた。

不可視面の複雑さを考えるに、結論はいくらか信じがたいものかもしれない。手早くアイテムの転移格子を検査した結果は相当な高品質を示している。それだけでなく、歪みの活性原理は君が予想したような製作者の動的ギアスの基本適用ではない。その代わり、世俗的な拘束情報の生成に対して格子はほとんど反射的に、特異的に反応する。

平たく言って、これらの性質は後付けの物ではない。つまり、実用品を作るために不慣れな手で体に埋め込まれた物ではない。性質は体と不可分な物だ。最も優れた玩具職人でさえここまで瑕疵無くは作れないだろう。

アイテムの詳細な分析はなお我々を苦しませる。アイテムの改変は実のところ、二段階に成されている:最も顕著な層は上記の通りだが、二層目はより冗長な、より無骨な細工だ。我々の熟練によれば、二層目の品質はこの時代の製作物としては典型的なものだそうだ。では何故、製作者は既存の優れた層を二層目で上書きした?第一にどうして不可分な層が存在した?

理想的には、次の譲渡の完了によってさらなる答えが明らかになるだろう。それまでは、君が自身の分析を口外しないことを信じよう。
マーシャル・カーター&ダーク有限事業責任組合

補遺2855-3: インタビュー1

前書: インタビューは初期回収の直後に行われた。

<記録開始>

ラティマー博士がインタビュー室に入る。SCP-2855は与えられた椅子に座っており、手は前のテーブルに鎖でつながれている。ラティマー博士は対面して座る。

ラティマー博士: SCP-2855、こんにちは。

SCP-2855: こんにちは、先生。ミスター・おかねと呼んでくれ。

ラティマー博士: ラティマー博士です、このインタビューを担当します。始めに、待遇についていくつかの質問をさせてもらいます。どのような感想を抱きましたか?

SCP-2855: だんだん慣れてきたよ。いずれ好きになれる気がする。

ラティマー博士: それは良かったです。他の団体からの移譲に、混乱は覚えましたか?急に、予告なく動かされるのは。

SCP-2855: 動かされるのはよくあることだ。ずっと待っていたとも言える。

ラティマー博士: 驚きは無かったのですか、これだけ違う環境で?見知らぬ人に囲まれて?

SCP-2855: 見知った人の近くで目覚めるのには慣れていないんだ、俺は。いつだって新しい何かだ。全て変わっていく。

ラティマー博士: そしてあなたも変わっていくのですか?

SCP-2855: 俺の領分だ。

ラティマー博士: あなたの領分とは?目的は?

SCP-2855: 目的は行きつくところならどこでもだ。俺は…あの人と話したことはないんだ。知ってるだろう。あの人を。俺が思うに…あくまで俺の理想だが、あの人は高尚な野望を持っていた。

ラティマー博士: どのような野望ですか?

SCP-2855: 俺の役目はほとんど憤りから生まれたものだったと思う。嘘をついて世の中全部うまくいく、そういう考えが嫌だったんだろう。それが駄目ってわけじゃないが、その嘘がだな、しかし子供には真実がふさわしいだろう?だから博士は行動に起こした、俺には…払っただけの価値があるんだ。

ラティマー博士: 共産主義者の夢ですか?

SCP-2855: あるいは反逆だ。皮肉?それは皮肉かい?

ラティマー博士: 気のせいかと思います。続けてください。

SCP-2855: 要するにだ。俺は欲しがられるのが好きなんだ。機能しているのを…実感したい。最初の頃は魔法のようだったね。

ラティマー博士: その頃のことを、是非教えてください。

SCP-2855: まだ始めたての頃は、いつだってそれが…最初の所有者は、ただの小さい女の子だった。名前はアナベスだった。

ラティマー博士: 売られたのですか?

SCP-2855: そう、でもそれが俺だ。俺の役目だ。楽しかった頃は、ただ…そこらをぶらついたり、ツリーハウスでかくれんぼしたり、新しい人に会ったり。見た目が全く変わってしまうこともあった。姿が全く見えないこともあった。

ラティマー博士: 何が終わらせたのですか?

SCP-2855: まあ、俺が子供たちの近くにいるのを親御さんたちが問題にしてね。何回か目撃されて、後はおさらばだ。それ以来、子供をパトロンにもらったことは無い。

ラティマー博士: しかし子供でないのはいましたね。

SCP-2855: いや…あいつらがくるまでそう多くはなかった。マーシャル、カーター、ダーク。随分と耳聡い奴らだよな?

ラティマー博士: もう相手をする必要はありませんよ。

SCP-2855: むしろ相手をさせられる、かな。

ラティマー博士: 実験されたのですか?

SCP-2855: そうとも呼べるね。あっちこっちに譲って、まあ、何でもだ。俺は違う人になった。一度は二人だった。あるいは完璧な説得力を持たされた。あるいはただ宝石を吐かされた。

ラティマー博士: 限界を探る為に?

SCP-2855: そんな感じだ。結局限界を見れたのかは知らないが。

ラティマー博士: どのようでしたか?頻繁に変わるのは?

SCP-2855: 言うなれば、そうだな…二日酔いだ。俺は経験したことはないが、見たことはある。何かが起こったのは分かってる。でももう変わってしまっている。何が変わったのかも、どれだけ記憶が無かったのかも分からない。少しの忘却の時間があって、その後戻ってくる。変わった状態で。

ラティマー博士: 苦痛は伴いますか?

SCP-2855: 思うに、定義通りに言えば、無痛だろうね。痛みの不在。全ての不在、本当に。何者かである代わりに、何者でもない。

SCP-2855は数秒間考え込むように見える。

ラティマー博士: 今日はここまでで良いでしょう。あなたが必要になることがあれば、私から知らせます。

SCP-2855: 信頼しているよ。ここが安心出来る場所なのは知っている。

<記録終了>


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