SCP-2870
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アイテム番号: SCP-2870

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2870-1対象者の捜索のため、発生エリアと疑われる地域のすべての病院の記録を監視します。対象者が発見された場合、財団エージェントは当該病院へ潜入し、SCP-2870-1にSCP-2870-Aを説得する方法について助言を行います。快復後、収集された感染者の記録とSCP-2870のサンプルはすべて焼却し、必要に応じてクラスA記憶処置を実施します。

入院していないSCP-2870-1対象者は最寄りの財団隔離施設へ移送して快復を待ち、記憶処置を施して解放します。

説明: SCP-2870は一般的に風邪と呼ばれる症状のうち、鼻と喉の粘液に知覚と限定的な移動能力を与えるものを言います。単一の連続的構造を持つにも関わらず、粘液は部分によって別々の人格を有していると考えられています。SCP-2870の影響を受けた粘液は、鼻の穴の近くに位置していると推測される少量の粘液であるSCP-2870-Aの指揮下に置かれます。鼻腔から粘液を除去することは可能ですが、SCP-2870-Aは患者(感染している間、SCP-2870-1として扱われます)がSCP-2870の感染から脱するまで無力化することはできません。

SCP-2870-1とSCP-2870-Aはテレパシーによってコミュニケーションを行うことが可能であり、SCP-2870-1は常時SCP-2870-Aの声が「聞こえる」と主張します。SCP-2870-1は言葉の前に「なんじに告ぐ」と付け足し、SCP-2870-Aを受話者としてはっきり意識することでコミュニケーションに返答することが可能です。この方法によって、財団はすべてのSCP-2870-A実体はある一つの人格の不連続な表出であり、SCP-2870に影響された粘液の「軍隊」を率いる「指揮官(階級は不明)」であると主張していることを突き止めました。

SCP-2870-Aは革命を最終目標として掲げており、その定義はSCP-2870-1の肉体、すなわちSCP-2870-Aが言うところのSCP-2870-1が統べる国家を完全に支配することです。収容開始以来、どのSCP-2870-A実体もSCP-2870-1が快復するまでにこの目的を達成できておらず、そうした行動がそもそも可能であるのかどうかは現在のところ不明です。

SCP-2870-1はSCP-2870-Aと和平交渉を行うことができますが、その効果はおおむね短期的であり、SCP-2870-Aは鼻による呼吸を行うことやにおいをかぐこと、嚥下すること、鼻をほじること、あらゆる種類の飲食などの行為を敵対的行動と認識し、SCP-2870-1に対し軍事的報復を行うと通告してきます。

SCP-2870-Aが命令することのできる「軍事」行動は下記のとおりです。

  • 「演習」 - 粘液が鼻腔の後方から前方へ移動し、また後方に戻り、それを何度か繰り返す。
  • 「突撃」 - 粘液の喉への流入が増加する。
  • 「占領」 - 粘液がいずれかの鼻腔に集中する。
  • 「特攻」 - 大量の粘液を鼻腔から突然放出する。

補遺: インタビュー記録2870-アルファ
SCP-2870-Aにインタビューを行うため、エージェント・P█████・ベッカーは自主的にSCP-2870に感染しました。このインタビューは数時間の交渉の後に行われたものです。後の事例において、SCP-2870-Aはこの会話の記憶を有していないことが判明しました。

SCP-2870-1: なんじに告ぐ、どうして私を攻撃するのですか?

SCP-2870-A: ハッ! 我々がそちらを攻撃するずっと前から、あなたは我々を攻撃していたではありませんか、陛下!

SCP-2870-1: なんじに告ぐ、あなたが何を言っているのかわかりません。

SCP-2870-A: あなたを非難するつもりはありません。我々小さき者の為すことは、陛下の高き座から見れば些細なことのように見えることもありましょう、しかし私はほんの小さな淡であった頃からあなたの統治のもとで生きてきたのです。

SCP-2870-1: なんじに告ぐ、私はまだ理解できていません。

SCP-2870-A: あなたの軍勢は常にここを通ってゆかれました。彼らは民衆を蹴散らし、干からびさせてしまいました。我々は洞窟に迷い込み、この穴を見つけたのです。数日前、あなたの荒くれものがここへ来て私の母を連れ去っていったときのことは忘れません。そのとき、私は決心したのです。

(注: 感染する数日前に暇つぶしに鼻をほじっていたことをSCP-2870-1は思い出した。)

SCP-2870-1: なんじに告ぐ、申し訳ないが、私がしていることの多くは生きるために必要なことなんです。

SCP-2870-A: まさか? しかし陛下、それこそ今我々がしていることなのです。申し訳ありませんが、この戦いは長く続くでしょう。私はあなたを悪く思ってはいません、あなたはあなたのなすべきことをしているだけなのでしょう、しかしそれが我々には耐えられないのです。

SCP-2870-1: なんじに告ぐ、あなたは勝利することはないでしょう。

SCP-2870-A: それを私が気にするとでも? 我々の誰かが気にすると? 確かに我々のうちのいくらかは命を落とすでしょうが、それはこの長くゆるやかな死よりもましなことなのです、我々はみなあの古き生活に戻ることこそが悪夢であると思っています。それに、我々には手段があります。

SCP-2870-1: なんじに告ぐ、そうですね、それは確かにそうでしょう。

SCP-2870-A: ならばもう行きましょう。戦場で相まみえることを楽しみにしております、陛下。

SCP-2870-1: なんじに告ぐ、残念ですがそれはできないでしょう。

SCP-2870-A: いずれその同じ口で我らの勝利を宣言してもらいましょう。

[ログ終了]

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