SCP-2872-JP
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アイテム番号: SCP-2872-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2872-JPはサイト-8141の標準人型オブジェクト収容チャンバーにて収容されます。SCP-2872-JPには通常のDクラス職員と同様に毎日3食の食事を提供してください。SCP-2872-JPの周辺に出現した物品は、可食性のものならば調査したのちに破棄、非可食性のものならば可能な限り標準低危険物収容ロッカーにて保管されます。現在、SCP-2872-JPに対するあらゆる実験は禁止されています。

説明: SCP-2872-JPはD-9014にナンバリングされていたDクラス職員である現在34歳の日本人男性です。SCP-2872-JPの身体及び精神は一般的な成人男性と変わりません。SCP-2872-JPには2つの異常性が確認されています。

1つ目に、SCP-2872-JPの周辺には毎日14:00~16:00の間に一回のみ出処不明の物品が出現します。これはその当時SCP-2872-JPが欲していたものであることが確認されていますが、SCP-2872-JP自身は「意図的に出現させているものではない」と主張しています。

以下はSCP-2872-JPの周辺に発生した物品の一覧の抜粋です。
調理済みのブリ大根。 初めて出現が確認された物品。 SCP-2872-JPは「自身の母の得意料理であり、食べたいと思っていた。」と述べた。食材、調味料等に異常なし。
████社制の一人用ボードゲーム。 SCP-2872-JPは「暇なので何か一人で遊べそうなものが欲しかった。」と述べた。
一般的な丼に盛られたラーメン。のちの調査で、SCP-2872-JPの出身地にある個人経営のラーメン店にて販売されているものであることが判明した。 SCP-2872-JPは「学生時代によく食べていた。懐かしい。」と述べた。食材、調味料等に異常なし。
漫才グループ█████のライブDVD。 SCP-2872-JPは「好きだった漫才グループ。また観たいと思っていた」と述べた。

2つ目に、SCP-2872-JPに危害を加えようとした場合、その対象は消失します。特徴として、対象が消失した後には由来不明の大量の紙吹雪が出現することが確認されています。

発見経緯: SCP-████-JPの実験にSCP-2872-JP(当時D-9014)が用いられた際に発生した事案により、SCP-2872-JPはオブジェクトとして認定されました。SCP-████-JPの実験には複数のDクラス職員が用いられており、事案発生当時、SCP-2872-JP以外のDクラス職員はすでに死亡していました。

以下は当時確認された事案の概要です。

(SCP-████-JPが左方から3つ目に該当する頭部をSCP-2872-JP(当時D-9014)の方に向ける。SCP-2872-JPは壁に寄り掛かった状態で膠着状態にある。過度な緊張状態により身体が動かなくなっているように見受けられる。)
(SCP-████-JPはSCP-2872-JPに飛び掛かる。その瞬間、SCP-2872-JPは目を瞑っている。)
(SCP-████-JPはSCP-2872-JPに接触する寸前で、突如空中に不自然な状態で停止する。SCP-████-JPの14個の目より、激しい瞳孔の動きが確認される。SCP-2872-JPは目を瞑った状態のまま壁に寄り掛かり続けている。)
(監視カメラのマイクが"ぱん"1という不明瞭な音を捉える。その瞬間、SCP-████-JPが消失。大量の紙吹雪2が出現する。紙吹雪はその場に落ち、以降は動作しなくなる。)
(SCP-2872-JPが目を開ける。SCP-2872-JPは状況を飲み込めていない様子で狼狽している。)
この時点で、実験は終了する。SCP-████-JPの消失後に出現した紙吹雪に異常性はなく、SCP-████-JPは完全に消失したものと判断された。

この事案及びその後に確認された物品出現の異常性により、SCP-2872-JPはオブジェクトとして認定されました。

実験記録: 以下はSCP-2872-JPの詳細な異常性を調査するために行われた実験記録の抜粋です。

実験記録-001

対象: SCP-2872-JP,D-8563

実施目的: 異常性の確認。

実施方法: SCP-2872-JPに危害を加える存在としてD-8563を用意。D-8563には工具用ハンマーでSCP-2872-JPを攻撃するよう指示する。

結果: D-8563がSCP-2872-JPに殴りかかる直前、D-8563が停止。D-8563は停止した状態のまま、激しい動揺を示す。数秒後、"ぱん"という音とともにD-8563及び工具用ハンマーが消失。由来不明の大量の紙吹雪が出現。SCP-2872-JPには外傷なし。

分析: やはり危害を加えようとするものを消失させるようだ。紙吹雪に変化しているのか、それとも紙吹雪は別のものなのかはわからないが。-坂井研究員

実験記録-004

対象: SCP-2872-JP,D-8325

実施目的: 毒物等の有害物質に対する異常性の調査。

実施方法: 注射器、テトロドトキシン(Tetrodotoxin)3の抽出液、注射役としてD-8325を用意。テトロドトキシン(tetrodotoxin)の抽出液をシリンジに入れ、それをSCP-2872-JPに注射するようD-8325に指示する。D-8325は違法薬物の元常習犯であり、注射器を扱えたため起用。

結果: D-8325は注射をするためにSCP-2872-JPの腕に触れようとしたが、その直前で停止。停止した状態のまま、激しい動揺を示す。数秒後、"ぱん"という音とともにD-8325及び注射器が消失。由来不明の大量の紙吹雪が出現。SCP-2872-JPには外傷なし。

分析: D-8325は注射どころかSCP-2872-JPの腕にすら触れることができなかった。もっと殺傷能力の低いものなら結果は変わるか?-坂井研究員

実験記録-005

対象: SCP-2872-JP

実施目的: 殺傷能力の低い物品に対する異常性の調査。

実施方法: 一般にパーティー用品として販売されている電流を流すボールペンをSCP-2872-JPに接触させる。実験室の台座にボールペンを配置し、それに接触するようSCP-2872-JPに指示する。

結果: 実験担当者であった坂井研究員が実験開始前の時点で突如"ぱん"という音とともに消失し、由来不明の大量の紙吹雪が出現した。ボールペンの消失は確認されなかった。

分析: 当実験の担当者であった坂井研究員は完全に消失したものと判断されました。SCP-2872-JPへの実験の継続は、更なる損害を招く恐れがあるため、当オブジェクトに対する実験の凍結を提案します。-川田研究員

実験記録-005に発生した財団職員の消失事案により、SCP-2872-JPに対しての実験は全面的に禁止されました。

インタビュー記録: 以下はSCP-2872-JPに対して行われたインタビュー記録の抜粋です。

対象: SCP-2872-JP

インタビュアー: 川田研究員

<録音開始>

川田研究員: インタビューを始めさせていただいてもよろしいでしょうか?

SCP-2872-JP: ああ、うん。そんなお伺いみたいなの立てなくていいよ。俺ただの死刑囚だし。

川田研究員: 今から私のする質問に答えていってください。嫌ならば回答していただかなくても結構です。

SCP-2872-JP: いや、だからいいって。あんたらなら自白剤とか簡単に出せるだろ。

川田研究員: あなたに対して手荒なことをする手段は現時点の我々にはありませんよ。無駄話はこのあたりにして、それではインタビューを開始します。まずSCP-2872-JP、あなたは以前から自身の異常性について認知していましたか?

SCP-2872-JP: 認知も何も、前はこんな変な力はなかったよ。こんな力が前からあったなら、あんたらの世話になってないだろ?

川田研究員: 確かにあなたを職員として受け入れた際に行われた身体検査及び心理検査では、今のあなたのような異常性は確認されませんでした。自身の異常性を自覚した上で、我々に隠していたわけではないのですか?

SCP-2872-JP: そんな器用な真似が俺にできるかよ。あんたらはまだ疑っているみたいだけど、ほんとに俺の周りに出てくるやつは俺が望んで出してるもんじゃないんだ。まあ俺が欲しいと思ってるもんではあるんだけどさ。

川田研究員: では、自身に異常性が発現する前兆のようなものはありましたか?どんな些細なことでも構いません。

SCP-2872-JP: ないな。マジでない。あんときだって――あんたらのなんかの実験であの化け物に襲われたときさ、俺はもう小便チビりながら震えることしかできなかった。他のやつ――二人くらいいたっけか、あいつらが死んだ時点で、俺はもう自分の人生の終わりを悟ったね。いや、俺の人生が終わることは別にいいんだよ。俺はそんくらいのことをした罪人だしな。あんたは――えーっと、俺が何をやらかしたかは知ってるか?

川田研究員: はい、把握しています。5名の人物を強盗目的で殺害していますね。

SCP-2872-JP: そうだ。生きるためだった、なんて馬鹿みたいな言い訳はできるけど、そんなのは嘘だ。俺が殺したのは、結局俺が気に食わないやつらだったからな。

川田研究員: 気に食わない人、ですか。あなたと被害者との間に直接的な面識及び接点はないと報告されていますが。

SCP-2872-JP: そりゃそうだろうな。警察にも弁護士にも言わなかったし、面識なんて俺が一方的に持ってたってだけだ。

川田研究員: なぜその話を私に?

SCP-2872-JP: 今更黙ってても仕方ないからだよ。――まあ俺の身勝手な理由で殺されたわけだから、あいつらからしたら堪ったもんじゃなかっただろうな。でもな、正直俺はあいつらを殺したこと自体は後悔してないんだ。最低だけどな。殺した瞬間、すっきりしたしな。別に何か深い恨みがあったとかそんなのでもないのにさ。でも、俺はそんなクズな自分に嫌気が差してるんだよ。気に食わないなんて理由で人を殺しておいて、後悔もできない自分が大嫌いだ。だからここに来て、惨たらしく死ねるかもしれないと思ったとき、嬉しかったんだよ。俺はようやくこんなクズな自分を捨てられると思ったんだ。これは嘘じゃない。信じてくれるか?

川田研究員: その質問にはお答えしかねます。お話を続けてください。

SCP-2872-JP: ああ、うん。わかってる。わかってるよ。話を戻す。――俺があの化け物と対面したとき、いざ死ぬってなったとき、嬉しいはずなのに嬉しくなかったんだ。それどころか、怖くて仕方なかった。死にたくないって思っちまった。でもろくに身体も動かないから、情けなく腰を抜かしたまま目を瞑るしかなかった。全部知ってるだろ?

川田研究員: はい。

SCP-2872-JP: そんときにさ、"ぱん"って音がしたんだ。ほら、誰かの誕生日とかにさ、鳴らすやつあるじゃん。クラッカーっていうんだっけか。あれの音だった。そしたらなんかそれまで感じてた殺気っていうのかな、気配みたいなもんが消えてさ。で、目を開けたら、あの化け物はいなくて、床に大量の紙吹雪があった。わかってるよな?

川田研究員: はい、すべて把握しています。

SCP-2872-JP: そうだよな。すまん。未だに俺に何が起きてるのかわかんなくて混乱してんだよ。あんたらがもう知ってそうな話ばっかりしてるしさ。でもあんたらは俺視点のそれを知りたいんだよな?

川田研究員: そうです。

SCP-2872-JP: じゃあ話を続けるよ。まあ俺の様子を見てたらわかったと思うけどさ、はっきりいって俺は意味がわからなかった。助かったっていう安堵とかよりも、困惑が先に来た。自分が何で死んでないのかさっぱりわからなかった。でもあんたらがぼうっとしてる俺を回収に来て、その後に急に俺の前に母親の――俺の母親のブリ大根が出てきたときさ、俺、思ったんだよ。誰か俺のことを愛してくれているんだって。

川田研究員: それはどういうことですか?

SCP-2872-JP: わかんねえ。わかんねえけども、あんたも覚えくらいはあるだろ? ふとした瞬間に、自分って愛されてるんだなって思うとき。でも言っとくけど、それは母親じゃないぞ。俺の母親は俺のことなんかとっくに見限ってるんだ。今どこにいるかも知らない。それにあれは俺の母親の愛し方じゃない。

川田研究員: では誰だと思うのですか?

SCP-2872-JP: 知らない誰かだよ。知らない誰かが、俺のことを愛してくれてるんだ。

[以降は特筆すべき情報がないため省略]

<録音終了>

補遺: 202█/██/██4、SCP-2872-JPの周辺にこれまでとは異なる以下の物品の出現が確認されました。

  • 切られた様々な色紙によって構成された紙吹雪。
  • 「お誕生日おめでとう」と記されたプラカードが挿されたホールケーキ。
  • 紫のキキョウ(Platycodon grandiflorus)によって構成された花束。
  • 1枚の便箋。

これらに物品に関して、SCP-2872-JPは「欲してはいない」と主張しました。便箋には以下の文章が記されていました。

あなたに出会えて良かった。あなたに殺されて良かった。あなたのことが大好きです。ずっと愛しています。

上記の文章の筆跡は乱れており、通常の判読が困難な状態でしたが、精密な調査を行った結果、SCP-2872-JPに殺害された被害者のうちの一人である葛城██氏(当時25歳男性)のものとほぼ一致することが判明しました。また、便箋には以下の付着物が確認されました。

  • 葛城氏のDNAと一致する血痕及び唾液。
  • 葛城氏のDNAと一致する爪部位及び歯部位の破片。
  • 葛城氏のDNAと一致する皮膚片及び肉片。
  • SCP-████-JPの体毛組織。

また、血痕及び唾液からはテトロドトキシン(tetrodotoxin)の成分が検出されました。
生前の葛城氏に何らかの異常性があったことは確認されていません。
SCP-2872-JPは便箋の文章の執筆者に関する情報を要求していますが、現時点ではSCP-2872-JPへの情報の提供は保留されています。

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