SCP-2892-JP
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アイテム番号: SCP-2892-JP

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: 必要量のF-50を生成するため、死亡したDクラス職員に対してSCP-2892-JPの実行が許可されています。

F-50の生成量は有限であるため、現在SCP-2892-JPの実行は管理部門により制限されています。機動部隊による低現実性領域探査の決定に伴いレベル4以上の職員から申請があり、その正当性が認められた場合にのみ機動部隊員によるSCP-2892-JPの実行、並びに生成されたF-50の使用が許可されます。

説明: SCP-2892-JPは、霊的実体に対し特異な性質変化をもたらす儀式です。完全な手順の閲覧にはレベル4クリアランスが要求されます。儀式の性質を顕著に表す例として、SCP-2892-JPには以下の手順が含まれます。(以下対象となる霊的実体及びその素体となった人物をSCP-2892-JP-A、SCP-2892-JP実行者をSCP-2892-JP-Bと呼称)


◾︎ 埋葬されたSCP-2892-JP-Aの死体を掘り起こし、不特定多数の他者から容易に視認可能な地点に3日間放置する。

◾︎ 生前のSCP-2892-JP-Aの人格を貶める旨の虚偽情報を██人以上に伝達する。

◾︎ SCP-2892-JP-Aの死体に対し放尿を行う。

◾︎ SCP-2892-JP-Aの二親等内に属する人物に対し、SCP-2892-JP-Aについての侮辱を行う。

◾︎ SCP-2892-JP-Aの遺品を著しく損壊させる。


SCP-2892-JPの実行後、SCP-2892-JP-AはSCP-2892-JP-Bに対し限定的に攻撃性を有するクラスC憑依性怨霊実体に分類される状態に変化します。

憑依性怨霊実体は攻撃対象となった人物に対し、一般に「憑依」1と呼称される行動を取る基本的性質を持ちます。しかしながら肉体の主導権を奪うことが可能なのはクラスAに分類される最上級のもののみであり、クラスCにおいては対象が軽微な疲労感を感じるに留まります。

補遺: F-50としての利用

SCP-2892-JPは現在、有用異常生成物「F-50」の生成に利用されています。詳細は以下に添付される関連資料を参照して下さい。

[進行中]

F-50運用計画


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F-50

機密分類: 低次機密(セキュリティクリアランスレベル2以上の職員に対し公開)

運用期間: 20██/█/█ 〜 現在

提言者: オスカー=アンヴィル博士

計画概要: 当計画は現在低現実性領域探査において運用されている携帯型SRAの持つ問題点の解決を目的とし、その代替手段として新たにF-50の開発・運用を行うものです。F-50の開発においては、現実改変者の生成する緩衝膜についての理論を参考としています。

[以下、キャシー=エイプルトン著
"現実改変者のヒューム値操作における基本的性質"より抜粋]

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参考図

相対的に高い現実性を有する現実改変者が特殊な機具を用いずとも自身の現実性を空間へ流失させないようにすることが可能なのは、彼らが無意識下に自身と空間の間に"緩衝膜"と呼称される領域を形成するためです。上図に見られるように、緩衝膜は肉体に対しスーツのように薄い膜となって形成されます。

緩衝膜の現実性は肉体と空間とのヒューム値の落差を調整するようにグラデーション様の状態を形成します。これにより肉体・空間双方の現実性の移動は緩衝膜内で緩やかになり、かつ肉体の現実性流失は緩衝膜そのものの現実性が完全に流失するまでは発生しないため、流失した分の緩衝膜が補填される限り安全が保たれるのです。

当該理論を応用し、使用者に対して疑似的な緩衝膜生成を行うのがF-50の性質となります。F-50には以下の異常技術が利用されます。


◾︎ SCP-2892-JP

◾︎ プラマー霊的実体圧縮機構


F-50の性質自体は単純なものであり、SCP-2892-JPにより生成されたSCP-2892-JP-Aをプラマー霊体圧縮機構を用いてカプセルに封入したものです。F-50を封入されたSCP-2892-JP-Aに対応するSCP-2892-JP-Bが摂取した場合、カプセルの溶解と同時にSCP-2892-JP-AがSCP-2892-JP-Bに対し憑依行動を行います。

ここで注目すべきは、霊的実体が普遍的に有する現実性の欠如、すなわち相対的な低ヒューム性です。彼らの現実性の平均値は約0.728Hmであり、これはクラスB低現実性異常領域に相当します。一般的な霊体実体には他の現実性を吸収するだけの現実性に対するキャパシティがないため生物と接触したとしても基本的には問題ないですが、この低ヒューム性自体はかなり強力なものです。

F-50の本質的な機能は、この霊的実体の低ヒューム性を活かし彼らを疑似的な緩衝膜として利用することです。憑依行動を行ったSCP-2892-JP-AはSCP-2892-JP-Bの全身を覆うような形状を取り、自身の現実性が規定値を超えて流失するまでの間これは継続されます。実験の結果として、1錠のF-50により標準的なクラスA低現実性領域(0.500Hm程度)において約40分間の活動に成功しました。

有用性:

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運用下の携帯型SRA

◾︎ 大幅な軽量化・小型化

現状の携帯型SRAは運搬が不自由であることから、使用者に対して活動の大幅な制限が発生しています。F-50は霊的実体の非物質性を利用し極めて小型かつ軽量に生成することが可能であるため、運搬における負担は実質的に存在しません。懸念されるのはSCP-2892-JP-Aの憑依による疲労感ですが、元々その影響は軽微なものであることに加え、SCP-2892-JP-Aは緩衝膜としての働きによる現実性流失により憑依後数分で意識を喪失し、SCP-2892-JP-Bへの攻撃を停止します。そのため、ほとんどの使用時間でこの問題は発生しません。

◾︎ 安全性の向上

携帯型SRAは精密機械である性質上、異常実体による攻撃などの要因により運用中に故障する可能性があります。これは使用者の生死に直結する問題ですが、F-50は憑依性怨霊実体の普遍的性質を利用したものであるため、この類の問題が発生することは極めて稀です。

◾︎ 探査可能時間の増大

前述した運搬の容易さにより同時に大量のF-50を持ち運ぶことが可能であるため、半無期限に探査時間を拡大することが可能です。現在の携帯型SRAの持続時間は約30時間であり長期の低現実性領域探査は困難でしたが、F-50の運用によりそれが容易となります。

成果: F-50は現在まで多くの低現実性領域探査において利用されており、多大な成果を挙げています。F-50による成果を定量化したデータは、探査効率の約68.4%の増加・生還率の約23.2%の増加・探査可能低現実性領域数の約47.9%の増加を示しています。

副次的デメリットとして、一部の機動部隊隊員にSCP-2892-JPの実行に起因するストレス値の増大が確認されています。しかしその有用性からF-50の利用は当該懸念事項に優先されるべきものであるため、運用は無期限に継続される予定です。

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