SCP-2895
評価: +9+x

アイテム番号: SCP-2895

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2895の収容チャンバーは、エリア-12クモ形類棟にある孤立型クモ形類用の野生環境収容ユニットです。SCP-2895が入っている収容チャンバーないし容器の内部は、少なくとも厚さ4cmのワックスで覆います ― これはSCP-2895がチャンバーの壁と結合するのを防止するのに有効だと判明しています。月に1回、職員は清掃のためにチャンバーに入ってこのワックスを掻き取り、再塗布しなければいけません。これらの職員は動物取扱用の安全装置をオプションとして利用可能です。

6ヶ月ごとに、SCP-2895の甲殻からサンプルを採取します。SCP-2895は既に正常なクモ形類の寿命を超過しているため、生物学的試料は今後の研究・分析のために継続的に採取されなければいけません。サンプル採取手順への協力姿勢を示すようであれば、SCP-2895に報酬を与えることが可能です。詳細については実験ログを参照してください。

説明: SCP-2895は、甲殻に“V”字型の色素が浮き上がった、アリゾナバークスコーピオンの一個体です。尾の先端に針が存在せず、色素沈着のない柔らかく肉厚な組織が露出しているという点を除けば、SCP-2895は異常性を持たないサソリと同一です。

SCP-2895は一般的なアリゾナバークスコーピオンと同じような振舞いを見せます。時折、SCP-2895は発作と思しき仕草、または不定期な筋痙攣に苦しんでいる様子が記録されていますが、これらは生命を脅かすものでは無いようです。脅威にさらされると、SCP-2895は隠れる/逃げることを試み、攻撃的な行動を起こすのは追い詰められた場合だけです。

SCP-2895が尾の先端で接触したあらゆる固体物質は、即座にSCP-2895の身体との生物学的融合を経験します。SCP-2895の尾は対象物の外層に移植され、SCP-2895はこの時点から実際の重量に関係なく対象物を持ち上げることが可能になります。対象物はSCP-2895の体温を持つようになり、液体用の導管を備えている物体が統合された場合はCrotalus atrox1の毒液を生成し始めることもあります。SCP-2895はこの効果を自発的に発動/制御しておらず、接触時に自動的に起こるものです。対象物の脱離はSCP-2895の意思で行われるようですが、幾らかの不快感を伴っているように思われます。

SCP-2895はアメリカ合衆国アリゾナ州スコッツデールの外部にあるゲーテッドコミュニティで、その異常特性に絡む集団ヒステリー事件の通報があった後に回収されました。エージェントらは集団で接近することにより、SCP-2895の鎮静に成功しました。小規模な竜巻に関するカバーストーリーが被害を説明するために流布され、死亡者は全て火葬されました。

補遺: SCP-2895実験記録

SCP-2895実験記録

注記: 以下の実験は収容直後に、SCP-2895の効果の性質と限界についてのデータを集める目的で行われたものです。

記録形式

実験対象:
手順:
結果:
注記:

実験対象: 羽毛の詰まったコットン枕、1個
手順: 枕が実験チャンバーに導入された。SCP-2895がチャンバー内に解放された。
結果: 2分後、SCP-2895は自身と枕を統合させた。枕はほぼ瞬時に毒液で濡れた状態となり、弛んだ状態で毒液を滴らせ始め、やがて暗い紫色に変色した。10分後、実験は中止された。
注記: 基準となる実験。

実験対象: ピメンテル次席研究員
手順: ピメンテル次席研究員は、SCP-2895の収容チャンバーに入り、対象と相互作用するように指示された。ピメンテル次席研究員はSCP-2895の効果について知らされ、入室前に安全ゴーグルと動物取扱用グローブを提供された。
結果: SCP-2895はピメンテル次席研究員から逃亡し、身を隠す行為を継続した。これが数分間続いた後、SCP-2895はピメンテル次席研究員のグローブの片方を統合し、研究員をチャンバーから撤退させた。実験は中止された。
注記: 日常的な収容チャンバーの維持は、ピメンテル次席研究員およびパークス次席研究員に割り当てるものとする。 — グローバー博士

実験対象: イートン・バイキング洗濯機(1988年製)、1台
手順: 洗濯機がアレイン次席研究員とピメンテル次席研究員によって、強化型重量物用の実験チャンバーへ運び込まれた。SCP-2895がチャンバー内に解放された。
結果: 4分後、SCP-2895は洗濯機を身体に接続した。一瞬バランスを崩したものの、SCP-2895は速やかに壁を打ち始めた。この行動が成果を上げず、洗濯機が激しく凹んだ時点でSCP-2895は統合を止めた。
注記: 洗濯機の中に毒液が満たされ、内部の金属部品が著しく腐食していたことが判明した。

実験対象: 医療用の針、1本
手順: 針が実験チャンバーに落とされた。SCP-2895がチャンバー内に解放された。
結果: ほぼ即座にSCP-2895は針を統合した。SCP-2895は部屋の周囲を歩き回り、尾で繰り返し床を打った。この行動は実験が中止されるまで2時間にわたり継続された。
注記: SCP-2895はこの実験を楽しんでいたようです。模範的な行動を取った際の報酬として考えてもいいでしょうね。 — アレイン次席研究員

実験対象: 普通のバークスコーピオン、6匹
手順: SCP-2895は普段の収容ユニットと同一の野生環境収容ユニットに導入された。他のサソリは既に内部にいる状態。
結果: SCP-2895は直ちに他のサソリのうち1匹に対して異常効果を発動させたにも拘らず、これは問題のサソリが即座に自らの針を失い、SCP-2895の尾の先端で萎びてゆくという結果に終わった。チャンバー内にいた他のサソリたちは、平均してSCP-2895よりも小柄かつ貧弱にも拘らず、SCP-2895を隅に追い詰めることに成功して刺し殺そうとしたため、実験は緊急停止された。
注記: 更なる実験は、SCP-2895が他のクモ形類と一緒の環境で極端なほど従属的に振る舞っていることを示しています ― ガラスで仕切られていたり、相手が幼体である場合でも、です。 — コーエン次席研究員

実験対象: 絵筆と黒い塗料の缶
手順: SCP-2895が対象物を本来の用途に沿って使用する場合に備えて、正確な筆さばきを可能とするため、紙で実験チャンバーの壁が緩やかに覆われた。
結果: 絵筆を接続したSCP-2895は簡単に筆試しをした後、小さなサソリを象る雑な図を描き始めた。特筆すべきことに、これらの絵は全て通常の毒針を持つサソリを描写しており、SCP-2895は絵画のこの部位をとりわけ強調している節が見受けられた。SCP-2895は実験が中止される前に、10分間で11匹のサソリを描き上げることが可能だった。
注記: SCP-2895が持つ知覚能力の可能性を測るための実験はこれで終了です。この結果を踏まえて、SCP-2895の今後の実験には、当該SCPに割り当てられているレベル3職員のうち、少なくとも2名からの承認が必要になります。 — カバザー次席研究員

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