特別収容プロトコル: SCP-2899-JPの発生を目撃した人物には聞き取り調査を行った後、記憶処理を行い解放して下さい。SCP-2899-JPの対象となった人物はリストアップされ、SCL4/2899-JPの事由に基づいて恒常的な監視対象となります。
説明: SCP-2899-JPは世界各地において会話中である不特定多数の個人に発生する異常現象です。SCP-2899-JPの対象となった人物は、不随意的にある一定の文章(文言2899-JPと指定)を対象者の母語で発声します。文言2899-JPはいくつかのバリエーションが確認されていますが、概ねいずれも"発言を撤回する"旨の内容で一貫しています。以下はいくつかの実例です。
- コメントは削除されました
- [対象となった人物の氏名]がメッセージの送信を取り消しました
- このツイートは、ツイートの作成者により削除されました。
- この書き込みは存在しません
- ポストはユーザーによって撤回されました
SCP-2899-JPは会話の文脈・状況・当事者の関係性を全く考慮せず発生し、文言2899-JPから読み取ることが出来る意図はいずれもその場に著しくそぐわないものです。このため対象となった人物及びその人物の会話相手は、状況に対してほぼ確実に困惑を示します。
SCP-2899-JPは現在までに全世界で30,000件以上の発生が報告されていますが、未だSCP-2899-JPの対象となった人物の明確な共通点は判明していません。
補遺: 以下は、SCP-2899-JP対象者の実例に対して行われたインタビューです。
インタビュー記録2899-JP
Record 2007/11/10
回答者: ロバート・ジャクスン氏
質問者: エージェント・ホワイト
序: インタビューは地元の小規模な心理学研究団体によるものに偽装して実施された。
[記録開始]
質問者: それで、あなたがその"妙な言葉"を口走った時のことを教えて下さい。
ジャクスン氏: OK。別に大したことは無いんだが、その時俺は女房と喧嘩しててね。……内容も話さないといけないかい?
質問者: お願いします。あなたの場合のように人間が不可思議な言動をする時、それはストレスなどの影響によるところが大きいのですよ。
ジャクスン氏: うーむ、専門家の言うことはやっぱり違うな。
質問者: ええ、しかしまだまだ仮説段階でね。あなたも貴重な実例として是非我々の研究にご協力頂きたい。さ、続きを。
ジャクスン氏: まあ恥ずかしい話だが、痴話喧嘩だよ。両方とも結婚から暫く経って日常の鬱憤がたまってたとこにアイツ、俺が浮気してるだなんて疑いを掛けてきやがった。そこからは売り言葉に買い言葉さ。罵り合ってヒートアップしていって、俺はついにブチ切れ。トドメのきっつい一言を浴びせてやろうとした時に……。
質問者: 時に?
ジャクスン氏: "コメントは削除されました"だ!全く唐突に口から出てきたもんで拍子抜けさ。向こうも予想外だったのか、つい二人で笑い出しちまった。結局その喧嘩はなあなあになって終わり。今思ってみても不思議な話だよ。だって激怒してる最中、勝手に口が機械みたいにしゃべったんだぜ?気味が悪い!
質問者: なるほど。貴重なお話ありがとうございます。
ジャクスン氏: しかし……何故かあの時、あの言葉が出たことにほっとしたような気がするよ。何でだろうな?
[記録終了]
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要SCL4/2899-JP担当職員コード