アイテム番号: SCP-2903-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2903-JPを受信可能なデバイスが民間にて発見される事を防ぐため、当オブジェクトの発する信号と一致している周波数は、製造が実施されている通信機器では設定が不可能となっています。また、SCP-2903-JP担当部署によってその周波数、並びに関連するデジタルデータ、記述媒体は常に監視されています。
説明: SCP-2903-JPは周波数3564MHzより不定期に発せられる電気信号です。その発生源となる地点は規則性のない、複数の財団が保有するサイトに位置している事が確認されています。ただし、それらのサイト内から後述するSCP-2903-JPの内容と同様の信号を発した公的記録は存在していません。
記録された当オブジェクトの主要な内容は「特殊機動部隊による、戦闘地帯からの救難信号」です。現時点でそれらの信号を発している知的生命体(以下:SCP-2903-JP-1)は特定されておらず、信号の内容より推測可能な戦闘状況は、時間経過と共に変化しています。ただし、SCP-2903-JPからは断片的な、戦闘状況に関しての共通した特徴を確認できます。以下はその特徴をリストアップしたものです。
- 進歩した化学技術 — 通信によるSCP-2903-JP-1の発言より、現行レベルを超えた化学技術が普及したコロニーを形成している可能性が高いと推測されています。例としてクローン個体の作成技術及び、それに対する体験的、技術的な記憶の継承技術が挙げられます。これは当知的生命体内ではごく一般的な化学技術として浸透している事が記録されており、それらに用いられるメカニズムは現行化学のみを用いての説明は不可能です。
- 英語を基準とした多様な言語体系 — 現在までに英語を基準とし、スペイン語、ロシア語、日本語、韓国語、フランス語などを用いる個体の存在が確認されています。それらの言語は発信源となったサイトが建設された地域の公用言語に準拠しており、上記のクローン技術の事実と合わせ、SCP-2903-JP-1は現行人類と同等、或いはそれ以上の知性を持ち合わせた生命体である可能性が高いとされています。
- 他の敵対存在 — SCP-2903-JP-1の通信の殆どは、この「シェイム」と呼称される敵対存在との戦闘記録です。それらはSCP-2903-JP-1より巨大な身体を保有すると共に、SCP-2903-JP-1に対して物理的、及び化学的な殺傷兵器を用いた攻撃を実施するとの証言が得られています。SCP-2903-JP-1はこの敵対存在に対して、何らかの化学的兵器による応戦行動を繰り返していますが、効果的な排斥には至っていません。この敵対存在の襲来は不定期であり、SCP-2903-JPの大半はそれと同様のタイミングで発せられています。
- 共通するコードネーム — SCP-2903-JPは共通して「ナグファル」と呼称される特殊機動部隊に所属している旨の通達から開始されます。それらは所属部隊+色名によって編成された師団を中心として結成されており1、現時点で「ブラック」「レッド」「ブルー」の三つの師団の存在が確認されています。また、それぞれの師団には、事例ごとに現代軍隊の兵科に基づいた割り振りパターンが存在する事が確認されており、「ブラック」は歩兵、砲兵。「レッド」は工兵、偵察。「ブルー」は軍医、補給を担当していることが通信より推定可能です。
これらの事実より、SCP-2903-JP-1は基底現実2を基準とした異常空間に起源が存在するとの推測が立てられています。これらに関する情報は対話記録を参照してください。
補遺 2903-JP: 発見経緯
1997年2月27日、SCP-2903-JPはサイト-22YKにて初めて観測されました。当時財団は自らの保有しない機動部隊からの救難信号として、それらの部隊そのものを異常指定し、調査、捜索を行っていました。しかし、「ナグファル」のネームコードを保有する部隊が記録上存在していない事、並びに遡及改変の痕跡も確認されていない事から、財団は機動部隊ではなく信号へと異常指定を変更しました。
事後調査においてはSCP-2903-JPは1997年以前にもしばしば通常のラジオ機器において観測される場合があり、特定の文書上にその存在が記述されていることが判明しています。それらの文章に関しては記録性、現存確立の低さより、一部の回収のみを行いました。
その後、サイト-45YKを始めとした複数のサイトよりSCP-2903-JPが観測され、1998年5月19日、マルゼン上級研究員を始めとした、SCP-2903-JP-1との交信、並びに電気信号の発信源の探知を目的とした担当チームが発足されました。以後、SCP-2903-JPの発信が確認された場合、速やかに担当チームが配備されているサイト-22YKへの回線情報の送信が行われています。
補遺2 2903-JP: 対話記録
以下は複数の対話記録より、一部を抜粋し、使用されていた言語を日本語に変換した音声記録の書き起こしです。抜粋基準の目安として、特に意思疎通が可能であった「ナグファル・ブラック」部隊との交信が行われたもの、音声が不明瞭でないもの、並びに担当チームにより重要事案に指定されているものをリストアップしています。
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対話記録 2903-JP-1: 1997/02/27
<記録開始>
SCP-2903-JP-1: メーデー、メーデー、応答せよ。応答せよ。こちらナグファル・ブラック第三師団、コードナンバー、17825。繰り返す、ナグファル・ブラック第三師団、17825。
マルゼン上級研究員: こちらサイト-22YK。データベース内での照合を実施しています。観察報告ですか、異常事態報告ですか。
SCP-2903-JP-1: サイト? [5秒間の沈黙] 異常事態報告、異常事態報告。シェイムがこちらのコロニーを何らかの方法を用いて認識した模様。何らかの化学兵器による攻撃を受けている。負傷、死者は多数。コロニー内の非戦闘員の移動や対応を行おうにも、人手が足りない。至急、増援求む。繰り返す、増援求む。
[データベース内の照合が終了する。一致する機動部隊、並びにコードナンバー等が確認されない事がマルゼン上級研究員へと伝達される。]
マルゼン: 申し訳ありません。一致する機動部隊、並びにコードナンバーは確認されませんでした。データベースの照合が実施されない限り、こちらによる増援の有無、並びに位置情報の獲得を行う事ができません。もう一度、機動部隊名、コードナンバー、並びに担当されているオブジェクトが存在する場合、続けてお願いします。
SCP-2903-JP-1: ナグファル・ブラック、第三部隊、17825。担当するオブジェクトとやらは存在しない。繰り返す、至急コロニーまで増援を頼む。このままではこのコロニーは全滅してしまう。
[再びマルゼン上級研究員に一致データ無しの報告が実施される。]
マルゼン: 現在、増援について審議しています。そちらの報告では不明瞭な点がいくつかあるため、この信号による以後の対話を以て、今後の対応の決定がなされます。どうか冷静に、現在の状況についてこちらからの質問に答えていただけないでしょうか。
SCP-2903-JP-1: [罵倒] 上に踏ん反り返ってるだけの非戦闘員共が。 [深呼吸] 仕方ない、わかった。
マルゼン: 了承しました。ではそちらのコロニーが現在、どのような状況下にあるのか、より詳細にお願いします。
SCP-2903-JP-1: 酷い有様だ。コロニー内の基地は3基を除いて全てシェイムによる攻撃を受け、一切連絡を取ることができなくなった。また、この基地が無事だという情報を偵察部隊から聞きつけてか、非戦闘員が詰めかけている。だが既にキャパシティーオーバーだ。1000と少しを基地内に収容し、残りは付近で待機をしてもらっている状況にある。他にも無事な基地は存在しているようなのだが [思案] とにかく今は人員が足りていない。増援を頼む。
[発信源の調査を行っていた研究員より、マルゼン上級研究員に対して発信源がサイト-22YKである事が伝えられる。]
マルゼン: なるほど。もしかするとですが、こちらのサイトはコロニーの非常に近辺に位置しているかもしれません。より詳細な基地の位置情報をお願いできないでしょうか。
SCP-2903-JP-1: それは幸運だ。こちらはホワイトライン、387-98だ。シェルターになっているため、そちらの増援が到着次第、より詳細なシェルターへの進入方法を伝達する。
[マルゼン上級研究員に対してそのような地名、並びに指定された番号の番地は付近には存在していない事が伝えられる。また、サイト-22YKはシェルターを保有しておらず、付近にそのような建造計画などが持ち上がった形跡もない事が同時に伝達される。]
マルゼン: [8秒間の沈黙] わかりました。ありがとうございます。承認次第、追って連絡いたします。
SCP-2903-JP-1: そうか、助かる。待っている、待っているからな。ナグファルの名の下に。
<記録終了>
付記: 録音された音声データから認識災害、並びにミーム的影響は確認されませんでした。マルゼン上級研究員の指示で、音声記録の内容と一致、もしくは類似する機動部隊、並びに関連した情報の調査が実施されましたが、いずれも確認されませんでした。これらの事象より、当該電気信号、並びに機動部隊は超常現象記録に一時的に指定されることとなりました。
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<記録開始>
SCP-2903-JP-1: 聞こえますか。聞こえますか。こちら、基地116。基地116。応答を待っています。
マルゼン: こちらサイト-22YK。観察報告ですか、異常事態報告ですか。
SCP-2903-JP-1: [10秒間の沈黙] その声、もしかして以前に私の父と話した方ですか?
マルゼン: 父?
SCP-2903-JP-1: 正確には父ではなく、私の前個体、ナグファル・ブラック、第三師団、17825です。基地112からの信号を受け取った担当者の声が、貴方のものと一致しているように私には思えます。
マルゼン: それは。
[マルゼン上級研究員から前回の音声記録と今回の音声の声紋調査を実施するように指示が出される。5秒後、不一致という結果がマルゼン上級研究員に伝えられる。]
マルゼン: 基地112からの交信を受け取ったのは確かに私で間違いありません。前個体、とおっしゃられましたが、それはどういった事でしょうか?
SCP-2903-JP-1: [溜息] 私たちは危険時に限りますが、体験的、技術的な記憶を継承した子を生み落とす事ができます。だからこそ、このように戦士として名誉あるナグファル師団への配属を許されるのです。
マルゼン: では、貴方が今このように連絡を行っているという事は、17852は。
SCP-2903-JP-1: 私の前個体、いえ、父は基地112で最後まで救援を待っていました。ですが、ああ、あなた方は、来なかった。父は最後まで勇敢に戦い、無辜の民を守ろうとしました。しかし、基地内に生存していた個体のみでは、シェイムにかなうはずもなく。そして父は、敗走からがら、私たちを生み出し、その生涯を閉じました。そして運良く生きてセーフティーゾーンまでたどり着けたのは私のみでした。あなた方が、あなた方さえ、来ていただけていれば、もしかすると父は!
マルゼン: [7秒間の沈黙] 申し訳ありません。私は連絡係に過ぎず、情報を精査し、上に要請の内容を伝達する仕事を請け負っております。あなたの父が、現場で職務を全うしたように、私たちは私たちの仕事を全うしました。その結果、増援の申請が通ることなかったこと、それについては大変申し訳なく思います。
SCP-2903-JP-1: 心の中では分かっていますとも。ですが、しかし、この激情をぶつける場所は [すすり泣く声] やりきれません。父から受け継いだ記憶、体験はもちろんこの身に宿っており、あの神の紛い物と戦う心構えも、その中で死ぬ覚悟も既にできています。ですが、私の体はまだあまりにも小さい。芽吹くまでに、時間がかかるのです。この闘志が燃え尽きることはないでしょうが、それでも、私が戦場に立つ時、この激情は [嗚咽]
マルゼン: 私たちはあくまで連絡係に過ぎません。ですが、貴方のその情動を理解する事はできます。ですが、それらの感情をぶつけるべき場所は既に目の前にあるのではないでしょうか。今の貴方の仕事は何でしょう? 何か、あったのではないでしょうか。貴方の父君も、そうであったように。だから貴方は何らかの事情で、連絡係を受け持った、違いますか?
SCP-2903-JP-1: [沈黙]
マルゼン: 私たちに、できることは無いでしょうか。
SCP-2903-JP-1: 基地115が襲撃により壊滅した事を受けまして、こちらの基地116においても緊急配備令が布かれることとなりました。ですので、増員命令が出され、連絡係であった父の記憶を持っている新人の私が、連絡係を承ることとなりました。
マルゼン: なるほど。 [思案] やはり必要なのは人員、ですね。
SCP-2903-JP-1: 今回に関しては兵器に対しての耐性を施したパワードスーツの試作機のテストも兼ねているため、医療、情報技術に長けたナグファル・ブルー、諜報を主とするナグファル・レッド、その他非戦闘員に対してもそれらの研究結果を餌として、同盟締結の旨が伝達されています。
マルゼン: ブラック、レッド、ブルー。総力戦ですね。
SCP-2903-JP-1: こんなことでもない限り手を組みません。ただ、それでも、勝算はないと言っていいでしょう。私たちは耐えるためのパワードスーツこそあれ、シェイムを倒すだけの、それこそ、あの化学兵器のようなものは持ち合わせていません。なのでこれは [思案] 籠城戦です。そしてその過程で、多くの負傷者が出るでしょう。その負傷者を、セーフティーゾーンに運ぶ人員は、応急処置を施す人員は、肩を貸す人員は、どれだけいても、足りることは無いでしょう。
マルゼン: わかりました。再び、上に掛け合って参ります。望むべく結果を得られるように、私たちも全力を尽くしましょう。
SCP-2903-JP-1: 正直、期待はしていません。父の例もあり、恐らくそちらの上の存在は、大変頭の固い方々なのでしょう。ただ、私は、あなた個人に対しては感謝をします。あなたの先ほどの叱咤が無ければ、恐らく私は職務を忘れ、自暴自棄になっていた可能性もあるでしょう。
マルゼン: 昔、上司に教わった受け売りに過ぎません。その言葉があったから、私はここにいますから。
SCP-2903-JP-1: 大変に素晴らしい上司であったのだと推察します。では、私は私の責務を果たすべく、失礼します。また、連絡できることを願います。
マルゼン: ええ、では [5秒の沈黙] グッドラック。
SCP-2903-JP-1: [思案] 変わった挨拶ですね。グッドラック。
<記録終了>
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前記: これまでの対話記録を参照し、マルゼン上級研究員は当オブジェクトの担当職員に指名され、尚且つ尋問官としての役職を与えられています。
<記録開始>
マルゼン: こちらサイト-22YK。観察報告ですか、異常事態報告ですか。
SCP-2903-JP-1: ああ、その声。やっと繋がりました。
マルゼン: もしかして
[マルゼン上級研究員が音声データの照合を指示する。照合結果は対話記録2903-JP-2の際の対象と一致する。]
マルゼン: 以前、お話した?
SCP-2903-JP-1: はい。正式にナンバーが割り振られまして、ナグファル・ブラック、第三師団、59812と名乗ることを許されました。以前の貴方の言葉を受け、私なりに努力をした結果です。
マルゼン: なるほど。恐らく、私の想像を越えるような努力の末に、そこまで行きつくことができたのですね。おめでとうございます。
SCP-2903-JP-1: ありがとうございます。改めて、貴方に感謝ができればと思い、時間を見つけてはこの基地116から、無線での通信を試みておりました。ようやく、この口から感謝を告げることができました。
マルゼン: 大したことはしていません。それより、ナグファル・ブラックの第三師団という事は、貴方の父君と同じ部署に所属なされたということですね?
SCP-2903-JP-1: はい。そして前に話したパワードスーツを用いての耐久実験も兼ねた緊急配備令に参加することとなりました。私が、そのスーツを着て化学兵器、ああ、ルビカンテを前線で受け止める第一ラインとして。
マルゼン: それは [咳払い] 大丈夫、なのですか?
SCP-2903-JP-1: 恐らく、パワードスーツが期待した通りの性能を発揮できなかった場合、間違いなく私は死ぬでしょう。かのものが持つ赤い顔の悪魔からは、一度足を取られれば、そこから逃れることはできませんから。
マルゼン: 貴方は、貴方はそれでよいのですか?
SCP-2903-JP-1: 恐怖を感じないかと言えば、もちろん感じます。私たちの技術を集結させ、ようやく完成したこの叡智の結晶でさえも、あのもの達の持つ狡知は上回ってくるのかもしれません。その先に待つのは、私という個体を残せた父以上に凄惨な最期なのでしょう。それでも、私は一人の戦士としてこの道を選びました。良いか悪いかと言えば、良いとしか思っていません。
マルゼン: わかりました。これ以上、私はそこに踏み込むようなことはいたしません。代わりにですが、そのシェイムとやらが持つというルビカンテについて、更に詳細な情報をいただけないでしょうか。こちらでも、できる限りのことはしておきたいのです。貴方の覚悟に、私は寄り添います。
SCP-2903-JP-1: ありがとうございます。かのものが持つそれは名前の通り [思案] 赤い、戦闘機のような形状をしています。
マルゼン: 飛行機、ですか。それはどのような?
SCP-2903-JP-1: 名状し難いのですが、あの紛い物どもはそれを操作して、私たちの上空から兵器を噴出させてきます。それに触れた者は、まるで灰のように体が白く溶けだし、継承技術を用いる事も出来ず、死に至ります。
マルゼン: 噴出した、ということはそれは気体、もしくは液体なのですか?
SCP-2903-JP-1: 恐らくは。あれはなにがしかを混入した水ではないかと考えています。水は私たちにとって、神から与えられた生命の象徴でありました。それを利用した卑劣な悪魔を許すわけにはいきません。
マルゼン: なるほど。情報ありがとうございます。そちらでは神や悪魔が物理的に存在しているのですか?
SCP-2903-JP-1: 存在しているのかと尋ねられれば、はい、と答えます。神は定期的にこの場所を訪れ、我々に水を与えてくださります。時には聖歌を吟じ、私たちを鼓舞してくださいます。それと同じ姿をとった、鏡のような紛い物の悪魔こそが、シェイムです。彼らは神とは似て非なるものであり、直近では、私たちを捕食することもあると聞きます。
マルゼン: 捕食、ですか。
SCP-2903-JP-1: 彼らは私たちの好物に罠を仕掛け、そして好んで食すそうです。想像を絶する苦痛が待っていることでしょう。
マルゼン: わかりました。質問にお答えいただきありがとうございます。では、お互いに全力を尽くしましょう。
SCP-2903-JP-1: ええ。お互いに、ナグファルの加護がありますように。
<記録終了>
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マルゼン上級研究員によって開発されたPRdS3によって、より詳細なSCP-2903-JPの発生源を特定する事に成功しました。以下は主要な発生源となっていたサイト-22YKの間取り図、並びにSCP-2903-JPが発せられた座標の絞り込みに成功した地点を視覚的に表したものです。また、それらの発生源を調査中、以下のようなSCP-2903-JPがサイト-22YKにて観測されました。SCP-2903-JPの発生源に関する調査は現在も継続されています。
対話記録 2903-JP-11: 1997/06/16
<記録開始>
SCP-2903-JP-1: メーデー、メーデー、シェイムが接近中。至急、再配備を実施する。総員、持ち場で待機せよ。我らの信念を賭けた戦いが始まる!!
マルゼン: こちらサイト-22YKです。シェイムですか?
[カメラにはサイト-22YKの浴場へ新規雇用した清掃員が入室する様子が描き出されている。]
マルゼン: こちらからは何も確認できませんが。
SCP-2903-JP-1: 装備を確認。異常ナシ! 対象がこちらを認知! 攻撃態勢を確認、作戦決行します! パワードスーツ起動、全員、気張れー!!
[清掃員が浴槽部と洗面台の隙間に対して薬剤を機材から噴出する。同時にSCP-2903-JPが悲鳴と共に途切れる。]
マルゼン: [絶句]
<記録終了>
追記: 後の調査の結果、浴場の天井に赤カビ、浴槽下の空間に黒カビと青カビの顕著な発生が確認されました。それらは全て未確認の種と判明しており、現在、それらとSCP-2903-JPとの関連が調査されています。なお、サイト内のこれらと同様のカビが確認された食料品4の摂食実験は、対話記録におけるSCP-2903-JP-1の発言より、保留されています。