SCP-2904-JP
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アイテム番号: SCP-2904-JP

Level 4/2904-JP

オブジェクトクラス: Keter

Classified

特別隠蔽プロトコル

SCP-2904-JPの特性及びそれに付随する事実は最優先秘匿事項として分類されています。SCP-2904-JP渉外担当には主要な研究機関の予算割当て・人事異動等の権限が付与され、SCP-2904-JPに関連する研究能力を掌握しています。

また、著名な学術誌等の各種メディアには小規模程度の潜入員が派遣され、検閲をクリアした新規情報のみが公表を許可されるなどの情報統制のシステムを構築し、一般市場の健全な維持に努めます。


説明

SCP-2904-JPは、食肉用として一般市場に流通されている全品種のブタ(Sus scrofa domesticus)に共通するゲノム配列の総称です。分析の結果、自然選択説に基づく変異ではなく、現代の遺伝子工学を超越したパラテクノロジー由来であることが判明しています。

SCP-2904-JPは、咽頭部や肢体等を中心とした器官系の著しい成長阻害を誘起します。これにより、SCP-2904-JP被個体の最終的な成長具合は8〜10%程度まで抑制され、本来備わるはずの能力を獲得・発揮しないまま生涯を終えます1。なお、一般市場に流通されている頭数の99.99%はSCP-2904-JP被個体であるため、通常の受診において発達の遅れを指摘される可能性は極めて低いです。


補遺.2904-JP.1
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非SCP-2904-JP状態にあるブタ(サイト-FF09 11号畜舎)

2015年3月15日、SCP-2904-JPの影響程度を正確に観測するため、比較対象として非SCP-2904-JP状態にあるブタを10頭ほど作成・生育しました。概ね共通して見られた成長過程は次のとおりです。

状態 特筆事項
胎児 受精から2週間まではSCP-2904-JP被個体と同様の発達具合を呈したが、それ以降、指骨が伸長するなどの肢体等の顕著な発達が見られた。
生後2ヶ月 機能的な形状に成長した肢体は把握能力に優れ、ゴム製ボールなどの単純な形状であれば掴むことも可能となった。また、他の個体に興味を示し、ジェスチャーによるコミュニケーションを行なう様相が頻繁に見られた 。
生後4ヶ月 肢体操作の習熟度は向上しており、完全な球形の泥団子を作成するなどの精密な遊戯を興じることが可能となった。また、通常の鳴き声との判別が困難であるものの喃語に類する発声を反復している様相も頻繁に見られた。
生後10ヶ月 喃語の他、職員同士の会話の中で頻出した単語の発声も確認された。学習能力の測定の一環として複数の単語を指南したところ、数日間にわたる反復の後にそれら全ての習得に至った。また、語義の理解も若干程度見られた。
生後18ヶ月 ほぼ完全に有意語を取得し、職員に対してのみならず、個体同士で会話する様相も頻繁に見られた。その他、感情表現の多様化、特定事象の固執などのパーソナリティの芽生えを自認しているように見える。
生後30ヶ月以降 基本的な挙動に人間との差異はほとんど生じていない。また、実験の一環としてSCP-2904-JP被個体の写真を見せたところ、全ての個体は強いストレスを覚え、「四肢が欠損、あるいは未発達という困難な障害を抱えた仲間」などと概ね同情的に形容した。その後、写真に関して複数の職員を非難する様相を呈したため、部分的な記憶処理を施した。

以上の観察結果により、非SCP-2904-JP状態にあるブタには単純な体格差に拠らない社会構造の形成、嗜好の複雑化、人格に類する固有の思考、その他通常の動物には見られない発達傾向が顕著に見られ、それらを種の確立以降の不明な時期から保持していることが認められました。また、本来の機能的な器官系については、畜産業の最盛期を迎えていた20世紀中期、幾重の品種改良により偶発的に急激な発達を遂げたとその後の調査資料により推測されています。

2018年1月9日、当該個体群は、定期知能テストの受検拒否を交渉材料に現環境の早急な改善を要求しました。これを受けて、SCP-2904-JP担当班は当該個体群を"実験材料"から"高度な知的生物"に再分類し、彼等の要求は正当なものであるとして受理しました。脱走を企てた結果死亡した1頭を除き、残りの9頭は標準人型収容室を改良した部屋に個別に移送され、現在は専用マニュアルに従って収容されています。


補遺.2904-JP.2

1960年代の不明な時期において、当時、好業績を収めていた複数の畜産企業及びその傘下企業が品種改良の名目で第一世代となるSCP-2904-JP被個体を世界的に流通させ、その後、急速に分布を拡大させたとされています。

本リビジョン時点においても当該企業由来の企業は多数存在しますが、いずれも畜産業を完全に放棄しており、当時の研究資料も既に破棄されています。また、一連の関与が疑われる人物及びその家族も活動後に行方不明となっているため、SCP-2904-JPの起源に関する調査は難航しています。


補遺.2904-JP.3

本報告書の作成当時、対応指針を巡って会議が紛糾したために特別収容(隠蔽)プロトコルの策定はしばらく保留とされていましたが、調査の進行及び補遺.2904-JP.1を受けて 1.分布規模からして物理的な収容は不可能である 2.一連の事実の曝露は一般市場の大規模な混乱、養豚に関する経済の瓦解を招く の2つの理由により現在の体制が構築されました。

その後、SCP-2904-JP担当班は、SCP-2904-JP発見以前からブタの自己認識能力及び記憶能力は極めて優れていると一般的に評されており、数十年以内に人間と同等若しくはそれ以上の知性を保持している事実が露呈しかねない点を懸念事項として挙げ、特別隠蔽プロトコルの強化を提案しました。協議の結果、懸念事項は否定できない一方、明確にそのように振る舞える機能的な器官を持たないため、一定の知性程度の露呈であれば比較的容易に事態を鎮静化させられると結論付け、当該提案を保留としました。

本リビジョン時点までに、動物性製品の利用を拒否するヴィーガニズムの台頭など懸念事項に該当する事例が確認されましたが、一般市場への影響は非常に軽微であり、ブタに関する研究能力も緩やかに向上する程度に留められています。これにより、前述の結論及び特別隠蔽プロトコルの有用性が証明されたため、今後も現行の体制を維持する予定です。

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