アイテム番号: SCP-293
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-293によって影響を受けたアイテムはすべて遮光性容器に収容され、試験が実施されていない間、密閉されることになっています。SCP-293によって影響を受けたアイテムの変則的な行動はすべて、可及的速やかにサイト監督者に報告されることになっています。
SCP-293によって影響を受けたアイテムと接触する者は30分以内のシフトに抑え、また接触するごとに1週間の隔たりを設けてください。この条件は以下の場合にも適応されます。物的運搬、物理的またはカメラによる観察、試験、その他SCP-293によって影響を受けたアイテムと人間が接触する時。
SCP-293によって影響を受けたアイテムを用いる職員はすべて、試験開始2週間前から、試験終了3週間の期間にわたって週3回の心理鑑定を行われなければなりません。職員は、サイト監督者に追試験を命じられた時、従わなければなりません。SCP-293によって影響を受けたと判断された職員はすべて隔離され、影響を生じさせたアイテムはすべて破棄されます。
SCP-293によって影響を受けたアイテムとの接触時に用いられた器具はすべて一週間の後に処分されます。
説明: 現在、SCP-293は実体のない力あるいは存在と考えられています。SCP-293の反応に照らし合わせて、SCP-293の知能の有無について問題が提起されていますが、まだ確証はありません。SCP-293は、人間の行動に対して影響を生じさせた時、最もよくその存在を確認でき、また非常に特殊な状況において、軽微な難聴の形でも検知できます。アイテムは長期の観察なしで、SCP-293に「感染」しているか検出することがほぼ不可能で、このことはSCP-293における大きな問題です。
SCP-293の物理的アイテムへの”感染”の殆どは、小さく軽い物体に対してですが、自動車、木、時には2階立て住宅のような例もあり、より大きなアイテムでも起こりうるかも知れません。SCP-293は、非常に近く(2m圏内以下)にあるものに数週間かけて広がります。SCP-293の”感染”は生体に対しては発生しないように思われます。SCP-293による現象は人間にのみ見られます。どのようにしてSCP-293が新しいアイテムに広がるのか、どのようにしてアイテムを”感染”状態にするのかは未解明です。しかし”感染する”アイテムは、人間の手で容易に運べるものである傾向があります。
SCP-293による影響は、”感染”したアイテムによって漸次的に生じます。このプロセスは、SCP-293によって影響を受けたアイテムの、観察およびスキンシップによって加速されると思われます。被験者は急速に内向的・反社会的になり、アイテムに触れるか破棄しようと試みる人に対して猛烈に反応します。78%のケースにおいて被験者は結びついたアイテムに対して「親のように」接します。被験者はアイテムに執着し、アイテムを清潔に保ち、アイテムを腕の中でやさしく揺り動かしたり、まるで無生物では無いかのように扱います。これらの行動を中断させる、又は不適切であると注意すると、被験者は極度な恐慌、抑鬱状態、激昂に陥ります。被験者はそのことに対して、長期間、固執し譲歩しようとしません。
多くの場合で、SCP-293による妄想、及び行動サイクルはSCP-293に結びついたアイテムを中心に進行します。結びついたアイテムに対して常に接触することを望み、最終的には日常生活が不可能な段階に達します。被験者に著しく見られることに、食事の用意をしない、衛生に対する無頓着、睡眠などの単純な生活習慣の段階的な欠如があります。22%のケースにおいて被験者は、子のように思うアイテムから命じられたとして、他のSCP-293の影響を受けたアイテムを持つ被験者に対して口汚く罵る、 加害するなどの行動をします。これら肉体的、精神的機能の低下は被験者の直接的死因となり得ます。
被験者からアイテムを取り除くことを試みることは、被験者を激昂、恐慌、ヒステリー、抑うつ、その他の精神状態にさせます。これらの症状が"発症"した場合、アイテムを返却、又は数カ月間の隔離をしない限りは、治癒はほぼ不可能です。被験者とアイテムの隔離が長期になるほど、被験者はアイテムを求め攻撃的になります。被験者の精神状態はより不安定になり、より重度のヒステリーになります。被験者はアイテムとの隔離の数日後、自殺を犯すこともあります。
現在財団はSCP-293による影響を受けたアイテムを182点収容しています。現段階では世界中のどれ程のアイテムがSCP-293による影響を受けるのかは不明です。SCP-293と他のSCPとの関連性、またSCP-293は数名のシリアルキラーを発生させたのではないかという疑問があります。