SCP-2945-JP
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SCP-2945-JPの化石標本

アイテム番号: SCP-2945-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2945-JPの直接収容は非現実的です。これは対象の社会的影響力の大きさに起因します。またSCP-2945-JPとの短絡的な衝突は、SK-クラス支配シフトシナリオを誘発する危険性があるため避けてください。代替案として財団は、SCP-2945-JPと財団の間にピンカートン・スミス協定を締結しました。ピンカートン・スミス協定のもと双方から選出された合計3000名の人員を"外交官"と位置づけ、彼らを用いた”ホットライン”を開設することで、間接的な収容を行っています。協定の内容は下記を参照。

財団管轄下のSCP-2945-JP側の外交官は、世界各地の管理サイトへ分散して収容します。収容下のSCP-2945-JPは、厚さ5cmの鉄筋コンクリートで覆われた収容室C-2;エス・ドヴァへ収容してください。また収容室の扉は8ケタのダイヤル式ロックで施錠してください。ロック本体は鉛合金で鋳造し、三日に一度は解放コードを変更してください。SCP-2945-JPは活動的な恒温動物であり、一日につき約3000kcalの食事が毎日必要です。ピンカートン・スミス協定に基づき、収容下のSCP-2945-JPは3ヵ月ごとに別個体と交換してください。延長が必要な場合、O5司令部を介して交渉が行われます。収容下のSCP-2945-JPは、Cクラス以上の職員が同伴する場合に限り、いくつかのオブジェクトとの接触が許可されています。

SCP-2945-JP管轄下の財団側の外交官とは、週に一度必ず声紋認証による安否確認を行ってください。安否確認が滞った場合、続く12時間以内に3度の連絡を試みる必要があります。並行して機動部隊ゐ-1("スサノヲノミコト")へ出動を要請してください。これらの対処は、最大48時間以内に完了されなければなりません。


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デイル・ラッセルが考案した「明らかな誤解を招く」ディノサウロイドの復元

説明: SCP-2945-JPは恐竜上目・獣脚亜目に属する身長2mの知的生命体です。外見は一般的なホモ・サピエンス(Homo sapiens)と酷似しており、基本的には直立二足歩行で活動します。しかし前肢の指が3本であること、臀部に柔軟性に優れた尾椎が発達すること、そして体表に羽毛と鱗が存在することなど、明らかに異なる点も確認されています。前述の特徴や、性染色体がZWでメスを、ZZでオスと識別される点は、SCP-2945-JPがホモ・サピエンスよりも鳥類との類縁関係が強いことを証明しています。獣脚亜目を起源とする知的生命体は、財団所属の古生物学者のデイル・ラッセルが "ディノサウロイド(Dinosauroid) 仮説" として、1982年に論文Russell,D.A.& Seguin,R.(1982)を発表しています。論文は財団への研究報告であると同時に、カバーストーリー「思弁進化・陰謀論としてのディノサウロイド」を普及させるべく検閲・改竄を経てから一般公開されました。純自然淘汰に基づく非ホモ属型の知的恐竜類の例としてSCP-317-1SCP-1867-JP-2が報告されています。よってSCP-2945-JPの存在自体は異常と考えられていません。

SCP-2945-JPはベイツ型の擬態3が可能です。自身の表皮を意図的に変質化させ、質感や外形を模倣することで標準的なホモ・サピエンスへ溶け込んでいます。このような能力はSCP-2945-JPが進化の中で獲得した可能性が高く、とりわけ色覚の未発達な哺乳類に効果的に作用すると考えられています。なおSCP-2945-JPの体温はホモ・サピエンスよりも3~4℃高いため、サーマルカメラを用いることで判別が可能です。もしくは体臭の差異を利用し、訓練されたイエイヌ(Canis lupus familiaris)を使役して探知してください。

現在SCP-2945-JPは、世界人口の█.█%を占めると考えられています。うち██万体とは何かしらのコンタクトが取られており、さらに1500体は各国の財団支部に"外交官"として収容中です。その他、大半のSCP-2945-JPは人間社会へ溶け込み、主に自営業などで生計を立てているとみられています。SCP-2945-JPは個別の社会的地位とは別に、SCP-2945-JP独自のコミュニティー(通称"三本爪協会")を形成しています。エージェント・豊田による"三本爪協会"への取材結果は、文書████-1に記録されました。

飢餓もしくは興奮状態のSCP-2945-JPは体表が変化し、普段よりも鱗の占める割合が大きくなります。四肢の鉤爪は大きく伸長し、足先も蹠行性4から趾行性5へ変容します。そして頭部は、白亜紀に絶滅した捕食性獣脚類のそれへと変貌します(以後この状態の個体をSCP-2945-JP-Pと呼称)。SCP-2945-JP-Pは理性的な判断力を失っており、あくまでも動物的本能として周囲の脊椎動物へ攻撃を開始します。SCP-2945-JP-Pは優れた運動能力を発揮するため、鎮圧には専門の機動部隊ゐ-1("スサノヲノミコト")を派遣してください。

SCP-2945-JPの最大の特異性、それはSCP-2945-JPの思想に関係しています。SCP-2945-JPは中生代に繁栄した支配種だったものの、ある時点で絶滅一歩手前に陥った過去があります(詳細は下記を参照)。これ以来、SCP-2945-JPは支配種のニッチを意図的に放棄しました。支配種になりうる技術力は保持していたものの、SCP-2945-JPは支配種の座自体に危険性を見出しました。そもそも生態系において最も脆弱とされるのは支配種とされており、これは資源となる下位の生物種の影響を強く受けるからです。よってSCP-2945-JPは脆弱な支配種のニッチを放棄し、代わりに安定した二番手の地位を確保するようになりました。それから6000万年間、SCP-2945-JPは数多の知的生命体の間を渡り歩き、各時代の支配種と共生関係を築いていきました。先に提示されたSCP-317-JP-EXは共生相手の一種であり、50万年前の技術革新はこれが背景にあったと考えられています。我々ホモ・サピエンスはSCP-317-JP-EXに代わる共生相手とされており、事実としてSCP-2945-JPは非常に協力的です。しかしSCP-2945-JPは善意からこれを行っているのではなく、あくまで自身の安定のためホモ・サピエンスを利用しているに過ぎません。現状ではホモ・サピエンスが最も有益だからこそ協力しており、仮に第三のより優秀な知的生命体が出現した場合、かつてのSCP-317-JP-EXと同じく、即座に切り捨てられると考えられています。よって財団はSCP-2945-JPを牽制するためにも、ピンカートン・スミス協定を締結しました。



以下は概略的な年表。詳細は別途資料2945-Aを参照。

SCP-2945-JPの概略的な進化史
  • SCP-2945-JP-αが小型のコエルロサウリアから分岐 (約1億年前)
  • SCP-2945-JP-βの科学技術が発展。これに伴い一部の大型恐竜が絶滅している (約7500万年前)
  • SCP-317との戦争が勃発。同時期に大量絶滅が発生した (6600万年前)


以下の一覧は、起源を有史以前まで遡るとされるオブジェクト群です。これらについて複数のSCP-2945-JPへインタビューが実施され、その結果は図表右側に記述してあります。各オブジェクトの詳細は当該記事を参照。



SCP-2945-JPはその長い生息期間から、起源を太古まで遡るとされる知的生命体SCP-317、SCP-1439-JP-A13、SCP-████-EXなどとの関係も予測されています。詳細はプロジェクト・インテリジェンスの議事録を参照してください。

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