特別収容プロトコル: 許可のない人物のレモン採石場への立ち入りは禁じられており、財団職員は地元警察を装って周囲に境界線を維持してください。境界線を越えた個人は適切な記憶処理を施して地域当局に引き渡してください。
現在、SCP-2951の探査は禁止されています。
説明: SCP-2951はインディアナ州ガスリー近郊に位置する放棄された石灰石鉱山です。1944年に事件が発生するまで、当初の鉱山はB.G. ホードリー採掘グループの所有下にありました。僻地に存在することと内部構造が劣化していることから、一般人の不法侵入事例は限られています。このため、区画はほぼ当初の状態のままです。
SCP-2951の内部は不規則な時空間異常の対象となっています。また、探査チームはSCP-2951内で未知の異常実体の存在を報告しています。これらの実体は1944年の事件と関連しているようであり、詳細情報は以下に記述されています。
SCP-2951の当初の入口は1944年の事件で崩落し利用できません。老朽化した倉庫に位置する予備の縦坑が未だ利用可能です。
補遺2951.1: 1944年の事件と崩落
注: 次の情報は、ケルヴィエール鉱業の理事であり、世界オカルト連合の情報提供者だったJ. ハワード・バーンズの個人事務所から回収されたものです。彼の死後に財団はその資産の多くを押収し、その中には1944年のレモン採石場の崩落に関する破壊されたと考えられていた資料も含まれていました。
1944年8月23日、レモン採石場直下で地震活動が発生し、採石場の監督部門は鉱山の内部構造への被害を評価するために探査チームを送り込みました。3時間後にこのチームは帰還し、主要な取付坑道の1本が崩落したことを報告しました。
審議の後、採石場の監督部門は瓦礫除去のために、より人数の多い労働者チームを編成しました。チームは崩落点まで降下し、大型の作業機械を搬入するために落石の除去を始めました。しかしこの途中でさらなる地震活動が発生し1、作業員の後方での坑道の崩落を招きました。
次の数時間で、瓦礫を除去して作業員を解放するためにチームは両側から作業を行いました。東部標準時の午後4:00に、瓦礫は除去され作業員は鉱山から脱出しました。作業員は、主要な取付坑道は塞がれたままであるものの、第二の地震活動によって、以前に鉱山グループに掘削されたことも坑道図に記録されたこともなかった新たな坑道が開いたことを報告しました。この坑道に関する情報を収集するため、新たに少人数のチームが派遣されました。
第二の坑道は、整えられていたが特に不自然なものではなく、北西に向けて緩く傾斜していたと記述されています。グループの監督部門は、この坑道はおそらく(BGホードリーに購入される前に)鉱山開発計画において切り開かれた当初の取付坑道であり、単に適切に記録されていなかっただけだと考えました。この坑道が塞がれた坑道に接続していることを期待して、採石場の監督部門は23名の別のチームを集めました。彼らの任務は、この坑道を用いて閉塞部の反対側へ向かい、その場所の構造上の健全性を評価し、瓦礫の除去に爆発物を用いることができるかどうか判断することでした。
このチームが鉱山に送られた後の記録はほとんど存在しません。どこかの時点で3回目の地震活動が発生し、これは鉱山への入口を完全に崩落させるほどのものでした。3日間をかけて地上のチームは入口を覆う瓦礫を除去し、監督部門と増援の労働者は保管棟の予備の取付縦坑から電話線を下ろしてチームと連絡を試みました。3日目の夕方、BGホードリーの理事が近隣の鉱業グループへの支援要請を準備していた丁度その時に、未知の人物が予備の縦坑から出現しました。この事象に関する唯一の記録は、ルイビルに位置するBGホードリーの事務所に打電された次の電報のみです。
1944 8 26
鉱山は放棄。坑道は崩落した状態。23名死亡。
1名が縦坑から現れた。我々はそれを再び投げ落とした。あれは正しくなかった。
GPE
補遺2951.2: 1998年の事件
1998年6月4日、サイト-81の南で低レベルの地震活動が検出されました。事象の関連情報を収集するため財団の地質学者チームが派遣されましたが、震源を正確に特定することはできませんでした。余震に備え、近隣の街に数個の地震計が設置されました。
6月16日、放棄されたレモン採石場に友人と不法侵入していた15歳の生徒、テヴィン・ネイピアの行方不明報告が地元警察に提出されました。救助チームは採石場でネイピアの痕跡を探し、最終的に採石場内の老朽化した保管棟内に口を開けた予備の縦坑を発見しました。
捜索救助チームはネイピアの死体を回収することになると予期して縦坑を下りました。しかし縦坑のあまりの深さから最初の試みは失敗し、より長い命綱が得られるまで待機する必要がありました。この時点で縦坑の深さに関する記録は利用できず、チームは本来の深さが120メートル以下と記録されていたことを知りませんでした。これは救助チームによって推定された240メートルという深さと完全に食い違っています。
最終的に救助チームは取付縦坑の底に下りましたが、ネイピアの死体の痕跡はありませんでした。しかしチームはすぐに動揺し始め、周囲の状況に異様な感覚を覚えていることを報告しました。この探査中に、チームの5名のメンバーは稀にその人数を7名または8名と応答しており、メンバーの1名は鉱山に入った目的を「金を探すため」と応答しています。鉱山に入って43分後、チームは無線の呼びかけに反応しなくなりました。地上チームはすぐにロープを引き戻し始めましたが、ロープの長さが坑道内に送り込まれたより長くなっていることが判明しました。400メートル引き戻した後に、ウィンチは停止して動かなくなりました。
この時点で、財団チームはレモン採石場での異常活動の可能性に関して警告を受け、連邦政府の捜索救助チームを装って救助活動の指揮権を得ました。より強力なウィンチが持ち込まれ、財団職員は5名のうち未だロープに繋がっていた2名を回収することができました。一人目のエイブル・パーカーは地上に出た後にも未だ自分が鉱山の中にいると確信しており、徐々に動揺し攻撃的になりました。二人目のグレッグ・ハミルトンは、当初は昏睡状態だと思われましたが、地上に出て20分後に不明瞭な言葉を呟き始めました。しかし当初の救助チームはハミルトンの声が彼自身のものではなく、鉱山に入った別の一人であるジェレミー・リビングストンのものであることを確認しました。両名は鎮静され、分析のためにサイト-81に移送されました。
他の3本のロープの内、2本の先端は綺麗に切断されていました。3本目は鋭い岩で切断されたようで、その先端13メートルは人間の血液で覆われていました。
パーカーとハミルトンの回収後、財団職員は関与した非財団職員全員に直ちに記憶処理を施し、鉱山内の事件に関するカバーストーリーを作成しました。サイト-81は鉱山を直ちにSCP-2951に分類し、これは6月18日に分類委員会によって承認されました。
補遺2951.3: 探査記録
注: 1998年6月16日の事象に続き、機動部隊トロッター-5(“地獄の英雄達”)がSCP-2951のさらなる分析に割り当てられました。彼等の目標はSCP-2951の異常性質を評価することに加え、失踪した3名の捜索救助チームメンバーと未だ行方不明のテヴィン・ネイピアを捜索することでした。4名が予備の取付縦坑からSCP-2951に入り、40分未満で脱出するよう指示されました。
[記録開始]
T5-1: マイクチェック。
T5-4: オン。
T5-2: チェック。
T5-3: こちらも。
T5-1: よし。向かおう。(無言)気をつけろ、ここを踏むなよ。崩れるぞ。
T5-3: 下りる時でさえ、そういう態度を崩して俺達の自由にさせる気はないみたいだな?ん?(マイクの向こうでの笑い声。T5-3も笑う)まあ、あんたにも提出する書類があるからな。
T5-2: 早くしろケビン。頼むから。
T5-3: 分かった分かった。
(T5チームは縦坑を下りる。T5-4は降下距離を記録する。120メートルの時点でT5-1は停止する。)
T5-2: どうかしたか?
T5-1: 着いた。深さは?
T5-4: 120メートル。
T5-1: そんなはずはない。あの州政府の奴らは200メートル以上だと言ってた。
T5-2: 曲がり角のせいじゃないか?上のあの辺りは曲がってたから、降下距離を間違えたのかもしれない。
T5-1: じゃあ、あちこちに引っ掛かった跡が残ってるはずだよな?最後に出た奴のものが。
T5-3: そんなものはないな。だが足跡がある。彼らがここに来たのは間違いない。
T5-1: 明かりを点けろ。角に何があるか見てみよう。
(チームはロープを外し、縦坑から離れた角に移動する。)
T5-1: デイビス、時計は動かしたか?
T5-2: ああ。着地した時に。
T5-1: 朗報だな。10分ごとに知らせてくれ。
T5-2: 了解。
T5-4: 隊長、これを。壁に何かある。
T5-3: ロープの跡か。ここで岩に擦れたんだ。何本だ?
T5-4: 2本だけだ。
T5-2: おかしいな。
T5-1: 写真を撮っておけ。行こう。あまり時間はない。
(チームは鉱山の奥へと下りて行く。余分な対話は記録より除去。)
T5-2: 10分。
T5-1: えっ?
T5-2: 何だ?
T5-1: ずいぶん長いような気がするが。
T5-2: (無言)ちゃんと動いてるが。電池も何もかも正常だ。
T5-1: そんな感じがしただけだ。
T5-3: おい、ここからは本当に狭くなってるぞ。ここから入れるんだよな?
T5-1: ああ。鉱山の他の区画に繋がってるはずだ。だがただの非常用通路だからな。鉱山の本体に接続したらもう少し空間ができるだろう。
T5-4: 一列縦隊で進む必要があるな。
T5-1: 俺が先頭を行こう。並べ。
(チームは坑道の1区画を一列縦隊で進み始める。かなりの時間が経過するが、メンバー間ではあまり議論は行われない。)
T5-1: 時間はどのくらいだ?
T5-2: (無言)17分。
T5-3: 絶対に間違ってる。
T5-4: 時間異常か?
T5-1: どうもそうらしいな。(無言)そっちからはあれが見えるか?
T5-5: 何だ?
T5-2: 明かり?
T5-1: 鉱山の他の区画に違いない。もうすぐ着くぞ。
T5-4: 何か聞こえる。
T5-3: 風だろう。
T5-4: いや、下だ。深くからだ。
T5-2: また地震かもしれない。
T5-5: 絶対に間違ってる。
T5-1: じゃあこの穴から出よう。落盤が起きたらぺちゃんこだ。
(チームは前方の明かりに向けて素早く進む。通路は僅かに開け始める。)
T5-2: 何であんなところに明かりがあるって言うんだ?
T5-4: 他の救助チームじゃないか?そいつらも明かりは持ってただろう。
T5-2: ああ、だがもう数日になる。そんなに長時間持つはずはない。
T5-6: 時間はどのくらいだ?
T5-2: ええと……17分。
T5-3: 畜生。
T5-2: 間違ってる。
T5-4: あとどのくらいだ?
T5-5: いや、下だ。深くからだ。
T5-1: ああ、あと20メートルくらいだろう。
T5-2: 急げお前ら。変な感じがする。
T5-3: 吐きそうなら、少し我慢して――
T5-4: こら、黙れ。
T5-7: どのくらいだ?
T5-1: 10メートル。
T5-2: ここに釘付けにされてるような――
T5-5: あとどのくらいだ?
T5-3: 畜生!
T5-4: あの明かりはどこだ?
T5-1: 待て。俺の明かりが切れそうだ。
T5-6: 畜生!
T5-2: 何かが動いてる。
T5-5: いや、下だ。深くからだ。
T5-1: 本当に、頼むから5秒だけおとなしくしててくれないか。
T5-3: 隊長、暗くて何も見えない。
T5-1: ライターを出したところだ。
(沈黙。ライターが点く。)
T5-1: うん。こっちの坑道は塞がってる。
T5-2: 多分地震活動のせいだろう。
T5-4: いや、それは収まってる。これはしばらくここにあったんだ。
T5-1: だがこの坑道は――
T5-5: いや、それは――
T5-1: こっちはかなりきれいに切り開かれてるように見える。この道の先に何が見える?
T5-3: よく見えない。ただ先に続いてるだけだ。
T5-2: 何かの臭いがする。オゾンか?
T5-1: ああ、俺もだ。時間は?
T5-3: 壁に何か書いてある。読めないが。
T5-2: 13分。
T5-1: 俺達はもう長すぎるほどここにいる。
T5-5: 長すぎる。
T5-3: もう戻るか?
T5-1: もっと装備が必要だと思う。多分もっと――
T5-6: 長すぎる。
T5-2: 賛成だね。これ以上は進みたくない。
T5-4: 今度は俺が先頭で。頑張れよみんな。
T5-6: 長すぎるほど火の中で。
T5-1: 行こう。
(時間が経過。余分な対話は除去。)
T5-2: 助かった。明かりが見える。
T5-3: 縦坑だ。
T5-4: 待て。何か言ったか?
T5-3: いや?
T5-4: 誰――畜生!お前は何だ?
T5-2: 俺達は4人だけだった、そうだろう?
T5-6: 俺達は4人だけだった、そうだろう?
T5-1: 糞ったれ――
T5-7: 俺達は――
(銃声)
T5-5: 長すぎるほど火の中で。長すぎるほど火の中で。長すぎるほど火の中で。長すぎる――
T5-1: あのクソはクソ銃でダニエルを撃ったぞ。あれが誰だろうと知るものか。
(銃声)
T5-6: 俺達はもう長すぎるほどここにいる。
(銃声)
T5-1: 畜生――
T5-3: 奴らは俺達の制服を着てるぞ!どうして――
T5-4: あいつから煙が出てる、火が――
T5-1: 離れろ!
(激しい炎が発生)
T5-2: あれは何を言ってる?
T5-1: あのクソは何を――
(激しい炎が発生。全ての記録装置が故障。)
[記録終了]
注: これらの事象の後、機動部隊T-5は取付縦坑から回収され身体、心理評価を受けました。T5-1、-3、-4は爆発による小さな切り傷と火傷を負っており、T5-2は負傷のためサイト-81に移送されました。
機動部隊T-5を攻撃した3名の未知の個人は全てメンバーと同一の制服と装備を着用しており、他のメンバーの声を正確に模倣していたことが確認されました。これに加え、光源が少なかったことと狭所であったことから、チームメンバーは実際に何人が存在するのか識別することが困難だったと考えられています。
心理評価の音声記録の転写
注: 以下は機動部隊T-5-3の心理評価の音声記録の転写です。
ロステトラー博士: 録音の分析から、あなたの仲間が異常な時間経過に言及していたことが分かりました。確認していただけますか?
T5-3: ああ。似た状況は経験したことがあるが、時間の遅れか何かだ。1秒1秒の経過は分かっていても、全体的な時間感覚を失い始める。あの下でどのくらい過ごしたのかは分からないが、多分……4時間くらいか?
ロステトラー博士: レコーダーが動いていたのは5時間33分です。
T5-3: そうか、あの時にはもう戻りたくない。上で経過したのは何分だ?
ロステトラー博士: 19分です。
T5-3: なんてこった。さっきの言葉は取り消しだ。こんなのは経験したことがない。
ロステトラー博士: 時間の遅れに、何か精神的なものなどの副作用はありませんでしたか?
T5-3: 多少は。濃い霧の中を歩いてるようなものだったと思う。感覚がだんだん鈍ってくるんだ、だろう?物事はあまり明確な形では発生せず、発生したとしてもそれがいつ起こったかを正確に覚えていることはできない。そういう感じだ。頭が混乱するんだ。
ロステトラー博士: 分かりました。あなたが縦坑に到達する前に、我々が3個体を回復したことにどこかの時点で気付きましたか?
T5-3: 回復とはまた丈夫なことだな。
ロステトラー博士: いや、その死体を、という意味です。
T5-3: 奴らがどうやってあんなものを手に入れたのかまだ分からない。奴らは名札とかを全部持ってたが、ただそのIDのみが焼け焦げていた。本当におかしなことだ。(無言)奴らに注意を……いや。闇の中で、その、俺達は一列縦隊で進んでいた。俺はダニエルを見て……つまり、俺は見たと思った、ということだが。だが残響が本当に酷くて、どこから音が来るのか分からなかった。俺は後ろにいる彼の言葉を聞き続けた。俺はそうしたと思う。俺には分からないが、言ったように、周りで起こることも、それに対する自分の反応も、その全てが……間違っていると感じた。
ロステトラー博士: 分かりました。
T5-3: 彼らは子供を見つけられなかった、そうだな?その後出てきたりはしてないか?
ロステトラー博士: いいえ。
T5-3: ああ、クソ。(無言)デイビスはどうだ?
ロステトラー博士: (沈黙)
T5-3: おい、アーミン、答えろ――
ロステトラー博士: 彼はまだ何も言葉を発していません、ケビン。口は何回か開きましたが、何も言いませんでした。あなたを見てもいません。
T5-3: 畜生。
ロステトラー博士: (無言)記憶処理が必要ですか?頼んでおくことはできますが、それとも――
T5-3: いや。1ヶ月経ってもまだ夜中にこの夢を見て自分の叫び声で飛び起きているようなら、それを頼むことにしよう。
補遺2951.4: ゴーマン・P・エリスへのインタビュー
補遺2951.3に記録された事象に続き、財団研究員はレモン採石場と鉱山に関するデータの収集を始めました。当初のB.G. ホードリー社は40年前に解散しており、社の全ての記録は破棄されたと推定されたことから、調査は困難であると判明しました。さらに、ケルヴィエール・インターナショナルの潜在的異常性2からその記録にアクセスすることも困難でした。しかしベッドフォード近郊の放棄されたB.G. ホードリーの事務所から回収された住所録によって、財団は初老の引退したB.G. ホードリーの調査官、ゴーマン・P・エリス氏と接触することができました。
接触を受けたエリス氏は協力的で、財団の調査員との面談を受け入れました。ケルヴィエール社の理事であるJ. ハワード・バーンズが保有する情報に関して財団職員が通知を受けたのもこの時であり、これは後に調査の一環として収集され評価されました。以下はエージェント・ヤングが行ったエリス氏へのインタビューの音声記録の転写です。
[記録開始]
ヤング: お会いしていただきありがとうございます、エリスさん。あまりお時間は取らせないとお約束いたします。
エリス: 結構結構。
ヤング: あなたがB. G. ホードリーにいた時のことに関して何か教えていただけますか?
エリス: ええと、私は父がそうだったように、日雇い労働者として雇われた。私が子供だったとき、父は叔父のジェームズ・エリスと共に会社で親方として働いていた。叔父は、30年代と40年代にはどちらも有力な石灰屋だったホードリー氏とヘッジウォーター氏の仲間だった。私はしばらくヘッジウォーターのユナイテッド・ライムストーンで働いていて、父が退職する少し前にホードリーに移って親方になった。
ヤング: 社にいたときはどの現場で働いていたのですか?
エリス: ええと、そうだな……北のスプリングビルと、オーリンズの州道37号から外れたところの2箇所だ。どちらにもかなり長い間いた。その後でミッチェルの大きな現場を開拓して、そこで退職まで勤めた。
ヤング: ガスリーのレモン採石場について何か知っていますか?
エリス: おそらくは。
ヤング: そこで働いていたのですか?
エリス: いや、そうは言えない。あれは……ロン・ピッツだったかな。ただの知人で、あそこで私が知ってるのは彼だけだ。
ヤング: あなたは――
エリス: 実のところ、今あなたが述べたように、私は少しレモンにいたことがある。だが……思い出すのは難しい。私はあそこが操業停止した後の後始末に仲間連中と行っていた。地震があって、何本かの坑道が崩れた後だ。地質的に正常ではないと言われていた。
ヤング: 何かおかしなことが?
エリス: あれはちょっとおかしかったといつも思っている。あの辺りで地震が起きたことはない。南方や他の場所から揺れは来るんだが、あの辺全体は、ええと、揺れを減衰させる石灰岩でできているからだ。
ヤング: その鉱山に関して他に何かありますか?
エリス: そうだ、今となってはかなり昔のことだが。私達は何台かの機械をトラックに積んで南に運んでいた。あそこの親方連中と話したことはなかったと思う。とにかく、その時にいたのはほとんど外部の奴らで、ただホードリーの装備を使っていた。
ヤング: 分かりました。崩落に関しては?死者は出たのですか?
エリス: 彼らは……何人かを失ったと思うが、確かなことは言えない。もちろんそういうことは起こっただろう。思うに、現在よりもそういったことに慎重ではなかったんだ。そうだとしても、そのことをあまり話すことはなかった。
ヤング: 私達の記録では、BGホードリーは崩落の直後にケルヴィエール社に鉱山を売り渡していることが示されています。なぜそうしたのかに関して、何か理由は思い当たりますか?
エリス: ふーむ、うーん……いや、理由は分からない。ユナイテッドもそうすることはあったが、通常は別の新たな鉱山を開拓する取引としてのことだった。ケルヴィエールはここらの出じゃなく、州外から来たんだ。鉱山を買い上げるような団体としては普通じゃなかった。それも特にレモンのような小さいところを。
ヤング: 分かりました。他に何か付け加えることはありますか?エリスさん。
エリス: あの彼にも聞いてみるといい。名前は……ジムだったかな。ジェフ?とにかく、姓はバーンズだった。彼は私より少し年上だったから、もう亡くなってしまったかもしれない。だが彼は後始末に関わっていたと思う。彼は私がそこにいた時のヘッジウォーターとケルヴィエールの接点で、何回か話したことがある。きちんとした奴だったから、彼はもう少し何か情報を持ってるかもしれない。
ヤング: ありがとうございます。それでは――
エリス: そうだ……一つ思いついたことがある。あの後始末ではもう一つ独特なことがあった。私達は十数人の連中と機械を積み込んで行ったが、あそこにはケルヴィエールから来た奴らが十人以上と、多分5、6人以上のホードリーの連中もいて、やはり後片付けをやっていた。経験した中では最も静かな作業だった。私達があそこにいる間、誰か一人でも私達に何か話しかけたかどうか定かじゃない。
[記録終了]
補遺2951.5: 収集されたJ. ハワード・バーンズ宛の信書
ジェレミアへ
君はもう知ってるかもしれないが、ガスリーの鉱山で事故があった。何回か地震があって落盤が起きたんだ。20人くらいが閉じ込められている。彼らは瓦礫を取り除こうとしてるが、うまく行ってはいない。
君が弁護士を呼ぶことになるかもしれないから、知らせておいた方が良いと思った。明日、事務所に声を掛けてみるつもりだ。
宜しく。
トレント
ジェレミア、今日スーツ野郎の群れが現れて、落盤について聞いてきた。あれが弁護士か何かなのかは分からなかったが、奴らは本当に変な質問をし続けた。奴らは落盤で落ちてきた岩やそこらの物に耳を当てたがっていた。何かを聞き取ろうとしているかのように。あんたは何か知ってるか?
ネイト・ウォバッシュ
バーンズ様
最近、私共の組織はガスリーのレモン採石場の権利を購入し、それに関してあなたが有する全ての情報に関心があります。私共の代表は来週中にそちらに到着する予定で、それに関して是非お話をさせていただきたいと申しております。また、あなたもご興味がお有りかもしれませんが、私共の組織にあなたをお迎えすることに関してもお話させてください。
敬具
デビッド・P・ウィッティンガー
ケルヴィエール・インターナショナル
私はそれをこの目で見たんだ、ジェレミア。あの穴から人間のような何かが這い出してくるのを見た。燻されて、焼け爛れて、何人もの他の人々の声で叫んでいた。間違いなく、あれは地獄から真っ直ぐに引きずり出されてきたんだ。
地獄から来た男はただ独り言を言っていた。世界を支える柱が割れて崩れ、その基礎がぐらつき始めるということ。その下に眠るものが表に現れ、その勢力は柔和な者達に差し向けられるだろうということ。この目で見たんだ。真実だ。
ジェレミア、まだあの声が聞こえる。「一万年。」野犬のように吠え、追い詰められたように叫びながら。「一万年も、火の中で。」
補遺2951.6: ゴーマン・P・エリスからの回収された書簡
2003年4月19日、前述のゴーマン・P・エリス氏は死去しました。要注意人物と扱われていたことから、財団職員は分析のために彼の資産を押収しました。次の手紙はエリス氏からSCP-2951に関わる未知の受取人に向けて書かれたと考えられています。
合計で23人。23人の仲間が壁の向こうに閉じ込められてしまった。岩の向こうから何日も彼らの叫びが聞こえていたが、私達は何もせずにただ座して待っていた。
キム、君は坑道内での停電を経験したことがあるか?ちょっと説明してみよう。まずはパニックが起きる。誰も彼もが慌てて、何が起こっているのか調べようとするんだ。それが落ち着くと、今度は目を暗闇に慣らそうとする。だが光は存在しないのだから、目が慣れることはない。夜の暗闇とは違うんだ。そこには星、月、街灯があるからな。
そして、何かが聞こえ始める。何人かが話し声、動物の鳴き声、そういった存在しない音を聞き始める。何人かは探しに行って行方不明になり、ロープを辿って戻ってくることはない。何人かは縦坑や亀裂に落ちて、二度と姿を見せることはない。そして真の静寂が訪れる。
落盤の前、彼らが発見した坑道を見てみた。とても奇妙だったよ、キム。道具で掘ったようには見えなかった。あれはおかしい。中に明かりを吊るしてどこへ向かっているか調べるような時間はなかったが。私にはその先に何があるのか分からない。とにかく私が言いたいことは、私は地獄についてあまり考えたことはないが、私達はそれに値すると確信しているということだ。あの仲間たちに何が起こったにせよ、彼らがそこにいる限り、それは私達のせいなんだ。何もしなかった私達のせいだ。
そして、暗闇は人間を変えるんだ。