1980年代に発生した反政府暴動。
拘束された人物の中にSCP-2952-JP-1が複数存在していたことが確認済み。
アイテム番号: SCP-2952-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 現在、多数のSCP-2952-JP及びSCP-2952-JP-1が未発見のまま存在していると考えられています。回収に携わる職員は定期的に財団標準C型ストレステスト(タウンゼント・岸本テスト)及び財団標準T型不快感テスト(キャシディ・ラウドルップテスト)の受講が義務付けられ、それぞれ25点以下を維持する必要があります。回収された全てのSCP-2952-JPは実験用に使用される在庫分を除いて焼却処分して下さい。SCP-2952-JPの実験を行うにはクリアランス・レベル3以上の職員による承認が必要です。
SCP-2952-JP-1と見られる人物が発見された場合は速やかに拘束しなければいけません。拘束後はSCP-2952-JPを使用した経緯及び入手経路を調査した後にクラスC記憶処理を実施して解放して下さい。SCP-2952-JPの製作方法が記載された情報媒体が存在しないか重点的に調査する必要があります。SCP-2952-JPに関するあらゆる情報を除去する試みが進行中です。
なお、SCP-2952-JPに関連する情報は定期的に公安部特事課と共有されることに留意して下さい。完全なSCP-2952-JP-1リストのアクセス権限はクリアランス・レベル5機密相当です。
説明: SCP-2952-JPは装着した人物にミーム災害を及ぼすヘルメットです。これまでに確認されているSCP-2952-JPの多くは工事等で用いられる作業用ヘルメットをベースに製作されていますが、中にはオートバイ用やスポーツ用と見られる実体も報告されています。SCP-2952-JPに破壊耐性は存在せず、着用できなくなるほど損傷した段階で異常性が消失することが判明しています。SCP-2952-JPはこれまでに█████個が発見・回収されていますが、未発見のままとなっている実体も多数存在すると考えられており、現在も回収作業が継続されています。
財団標準C型ストレステスト(タウンゼント・岸本テスト)及び財団標準T型不快感テスト(キャシディ・ラウドルップテスト)でそれぞれ40点以上と推測されるストレスを有する人物がSCP-2952-JPを装着した場合(この人物をSCP-2952-JP-1と指定)、主に以下の異常性を伴う変化を経験します。
- 所属している国家の政府・社会・企業に対する感情の著しい悪化
- 自身が思い描く理想社会に対する野心の表出
- 万能感を伴う精神状態の変化
- 倫理的思考の欠如
- 権力欲の肥大化
SCP-2952-JPを装着している間のSCP-2952-JP-1は上記の異常性から、所属する国家の政府・社会・企業に対する反政府活動や抗議運動について肯定的な態度や言動を取るようになり、高頻度で暴力行為を中心とした犯罪や社会的な不適切行為に及ぶようになります。この変化は元々の政治的態度や思想信条に左右されません。
SCP-2952-JPを脱着した後、SCP-2952-JPの異常性による変化は平均1日~3日程度で基本的には消失します。しかし、SCP-2952-JP-1の変化した政治的態度や思想信条はその限りではありません。SCP-2952-JP-1にSCP-2952-JPを装着していた際の記憶について質問すると、主に「社会の為に立派なことをした」という旨の感想を述べ、着用時に犯罪や社会的な不適切行為に及んでいたとしても罪悪感を抱く様子は見られません。この時、SCP-2952-JP-1の態度や言動について咎めたり疑問を呈した場合、SCP-2952-JP-1は可能な限り反論・攻撃し自身の正当化を試みます。
これまでに確認されたSCP-2952-JP-1の事例から、上記の傾向は着用から年月の経過と共により強固になることが示唆されています。また、Dクラス職員を使用した実験により、SCP-2952-JPを繰り返し使用することはSCP-2952-JP-1の政府・社会・企業に対する漫然とした不満を有意に高めることに繋がると判明しており、より反社会的と見なされる言動や思想への共感性を顕著に高める結果をもたらします。このSCP-2952-JPを使用した一連の影響はクラスC記憶処理で除去することが可能です。
補遺1: SCP-2952-JPは新左翼系過激派組織"███████████████"の非公然アジト1に対する公安部特事課の強制捜査で初めて発見されました。当初、公安部特事課はSCP-2952-JPの情報を秘匿していましたが、公安部特事課に潜入していた財団エージェントによってSCP-2952-JPの存在及びその異常性が財団の知るところとなりました。公安部特事課は政府及び社会に対する重大な脅威を理由として、SCP-2952-JP及びSCP-2952-JP-1の管轄権を主張し財団と対立しました。その後、日本超常組織平和友好条約機構(JAGPATO)における調停の結果、財団及び公安部特事課双方がSCP-2952-JPに関する情報を共有しつつ、収容活動や取締りを相互容認することで合意し、現在の特別収容プロトコルが策定されました。
SCP-2952-JPの起源の詳細は明らかとなっていませんが、これまでに拘束されたSCP-2952-JP-1の証言から、SCP-2952-JPの使用が拡大したのは日本国内における学生運動が活発化した1960年代以降であることが確認されています。SCP-2952-JPは知識を有している人物であれば比較的簡単に製作できるため、1960年代~80年代にかけて多くの社会運動で使用されたと考えられています。なお、財団及び公安部特事課が長年に渡って収容活動や取締りを実施した結果、現在はSCP-2952-JPについての完全な知識を有する人物は大幅に減少したと推測されています。
補遺2: 以下は198█年に千葉県で発生した反政府暴動で拘束されたSCP-2952-JP-1に対して実施されたインタビュー記録です。
対象: SCP-2952-JP-1
インタビュアー: 京山博士
付記: このインタビューは京山博士が警察関係者を装い、警察の取り調べの一環として実施された。
<録音開始>
京山博士: それでは取り調べを始めます。まず最初に確認しますが、██2さんには警備に当たっていた機動部隊の隊員をゲバ棒で繰り返し殴り、重傷を負わせた容疑がかかっています。██さんはこの事を事実として認めますか?
SCP-2952-JP-1: そうだ。
京山博士: …やけにあっさり認めますね。今までに取り調べた方は皆黙秘か否認するかのどちらかでしたが。
SCP-2952-JP-1: 何もおかしいことは言っていない。俺は正しいことをしたのにわざわざ否認するのはおかしいだろ、違うか?
京山博士: ██さんが行った事は傷害罪あるいは殺人未遂に分類されるれっきとした犯罪行為です。正しいことをしたというのは単なる開き直りです。
SCP-2952-JP-1: はあ?俺は何も悪いことはしていない![SCP-2952-JP-1が強く机を叩く] 俺はあの政府に従う犬どもを成敗しただけだ!無理矢理空港を作ろうとする連中に鉄槌を下すことのどこが悪いと言うんだボケ!
[SCP-2952-JP-1が暴れ始めたため、インタビューが一時的に中断される。およそ1時間後にSCP-2952-JP-1が落ち着きを取り戻したため、インタビューが再開される。]
京山博士: 取り調べを再開します。もう暴れないで下さいよ。次の質問に移りますが、あなたは███3での活動はほとんど行っていなかったようですが、なぜ今回の事件に参加しようと考えたんですか?
SCP-2952-JP-1: [極めて憮然とした態度で]俺は一応、非公然活動家ということになっていたからな。職場の上司が名前だけでいいから登録してくれってしつこく頼むから一応籍だけあったようなもんだ。でも、今回は組織の方から政府に総攻撃を仕掛けるからお前も来いって言われてな。
京山博士: あなたは長年にわたり小学校の教職員として勤務し、同僚や生徒達からの評価も非常に高かったと聞いています。そのような暴力的な思想を抱いて凶行に及ぶとはとても思えないと、皆さん口を揃えていましたよ。本当に何があったんですか?
SCP-2952-JP-1: まあ正直言って、俺も今回の戦いに参加するかは随分迷ったな。最初は戦うふりして逃げようと思っていたのも確かだが、あのヘルメットが俺に勇気をくれたんだ。
京山博士: そのヘルメットとはこちらのことですか?
[京山博士がSCP-2952-JPの写真を提示する。]
SCP-2952-JP-1: そうそう、これ。このヘルメットは組織の仲間が俺にくれたものでな。何でも政府との闘争に挫けそうになった時にこのヘルメットを被ると、たちまち勇気が湧いてきてくれるって代物だと説明された。組織では機密扱いだったらしいが、割と色々なところで利用されているんだと。そんな非科学的でバカバカしい話なんてある訳ないだろうと思っていたんだが、実際に俺を戦いに行かせてくれたんだから感謝しているよ。
京山博士: 私にはただのヘルメットにしか見えませんが、普通のヘルメットとどのような違いがあるのですか?
SCP-2952-JP-1: 流石にそれは教えられないよ。
[以後、SCP-2952-JP-1が黙秘に転じる。]
<録音終了>



