SCP-2956-JP
rating: +3+x
blank.png

アイテム番号: SCP-2956-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロコトル: オブジェクトの異常性そのものが周囲に与える影響が軽微であり、SCP-2956-JPが周囲に広く認知されてしまっている点やSCP-2956-JP-2と敵対する危険性を考慮し、SCP-2956-JPの直接的な封じ込めは現状見送られており、オブジェクトの監視に重点が置かれます。

SCP-2956-JPの内部および周辺地域にそれぞれ最低1名づつ記憶補強薬を服用したエージェントを配置し監視を行い、異常な動きが見られた場合には速やかに内海博士に報告してください。また、SCP-2956-JPの異常性を認知していると思われる人物を発見した場合には、当該人物がSCP-2956-JPから退園後、速やかに拘束しインタビューを実施、必要に応じて尋問を行ってから記憶処理を行い解放してください。

SCP-2956-JP外に存在すると思われるSCP-2956-JP-2個体の情報収集と捜索は継続し、新たな情報は都度内海博士に報告してください。

説明: SCP-2956-JPは千葉県八千代市に存在する認識災害特性を有するバラ園です。通常、SCP-2956-JP内で栽培されている人型実体(以降SCP-2956-JP-1)および提供されている飲食物、SCP-2956-JPの従業員(以降SCP-2956-JP-2)は認識災害特性によって異常性のない一般的なバラや飲食物、人物に見えますが記憶補強薬を服用している人物または人肉嗜食者である人物は、この認識災害特性の影響を受けません。

SCP-2956-JP-1はSCP-2956-JP内で栽培されている人型実態群です。人種、年齢は様々ですが、20代と推定される個体が比較的多く、全ての個体は容姿が非常に優れており衣服は身につけていません。また展示されている個体の足元にはSCP-2956-JPの作品名が書かれていると思われるプレートが設置されています。

SCP-2956-JP-1は足首から下を地面に埋没させた状態で個体によって様々なポーズをとっています。認識災害特性の非影響者がSCP-2956-JP-1を直接的、間接的問わず視認した場合、感情に軽度の変化が有ることが報告されていますが、これがオブジェクトの異常性によるものなのか、単に芸術作品等を観賞した際の心境の変化であるのかはわかっていません。SCP-2956-JP-1は自我を持っている様子は確認できず、周囲の刺激に対しても無反応です。肉体の組成に異常が見られないにも関わらず、肺によって呼吸はするものの食事や睡眠を必要とせず、一般的な植物と同様に埋没している脚部の指先から土中の水分を吸収する事で生存が可能です。また一般的な植物と違い、光合成を行っている様子は見られません。

SCP-2956-JP-2はSCP-2956-JPを運営している人型実態群です。頭部は個体毎に異なる種類の巨大なバラ科の花に酷似しており、肉体はバラの蔓が絡み合って形成されているように見えますが、SCP-2956-JP-2との不要な敵対を防ぐためにサンプルを採取する試みは見送られ、詳細な生態は判明していません。SCP-2956-JP-2は基本的にはこちらに対して友好的ですが、SCP-2956-JP-1を傷付けた場合、敵対的になります。

SCP-2956-JPは、別件で事前に記憶補強薬を服用していた内海博士がプライベートでSCP-2956-JPを訪れた事で発見されました。以下はDクラス職員を用いた探査およびインタビューの映像記録の抜粋です。

探査ログ 2956-JP

探査者: D-11029
付記: D-11029には眼鏡に偽装したカメラと通信機を用いた撮影および通信を行いました。またD-11029は記憶補強薬を服用していましたが、偶然にも人肉嗜食者でした。

D-11029: 博士、中に入ったぜ…ってうぉ!?

内海博士: どうしました?D-11029?

D-11029: いや聞いてはいたけどよ、入口からしてすげぇ!鉢植えに刺さった赤ん坊とか小さいガキが売られてんぞ!

内海博士: D-11029、少し声量を落としてください。周囲に一般人がいるのですよ?

D-11029: お、おう。そうだよな。わりぃわりぃ。お、博士。アーチだ。人間が絡み合って入口のアーチが出来てるぞ。

[映像内のアーチは異常性のない一般的なバラで出来たアーチに見える]

内海博士: やはり記憶補強薬無しでは異常無く見えますね。D-11029、SCP-2956-JP-1の様子を説明してください。

D-11029: 様子って言ってもなあ…無反応だな。笑顔は笑顔なんだが、目線も動かねえし声もあげてねえ。まるでオブジェみたいだが、呼吸はしてるのか腹は少し動いてるぞ。

[D-11029がアーチをくぐり、SCP-2956-JP内の中庭に入場する]

D-11029: おお…なんじゃこりゃ。

内海博士: どうしました?

D-11029: ヒト…ヒト…ヒト、人間だらけだ。人間が地面に植わった状態で突っ立ってる。

内海博士: ええ、私も発見時は驚きました。発見時は本部への報告を優先するためすぐ撤退したので、今回はより詳細な調査をしていただきます。まずはSCP-2956-JP-1のサンプルを――――

男: な、なんだよ!離せ!ちょっと触っただけだって!

D-11029: 博士!おっさんがバラ頭の奴らに捕まってるぞ!

[SCP-2956-JP-2と思われる三人の従業員に囲まれた男性が写し出される]

SCP-2956-JP-2: お客様、他のお客様のご迷惑になりますのでこちらへ。

男: 悪かったって!嫌だ!助けてくれ!

[SCP-2956-JP-2群に拘束された男性が連行される]

内海博士: 嫌な予感がします。D-11029、サンプルの採取は中断して付近のSCP-2956-JP-2にインタビューを実施して下さい。

D-11029: はいよ。えーと、なああんた!

SCP-2956-JP-2: はい!いらっしゃいませ!何かお困りですか?

[D-11029が先程の個体とは別個体のSCP-2956-JP-2に声をかける。]

D-11029: いや、困り事っていうか…えー…変な事聞くかも知れないんだけど、ここのバラってなんか変じゃないか?バラじゃないっていうかなんというか。

SCP-2956-JP-2: [約3秒沈黙]お客様、見えてらっしゃるんですね?ご案内いたします。こちらへどうぞ。

D-11029: 博士?

内海博士: SCP-2956-JP-2の案内に従って下さい。くれぐれも慎重に。

[SCP-2956-JP-2はD-11029をSCP-2956-JP内西側に存在する建物へ誘導する。建物内部には空の鉢植えや麻袋、テーブルや椅子が雑多に置かれた倉庫のような内装になっており、テーブルの1つに案内される]

SCP-2956-JP-2: どうぞこちらにお掛け下さい。いやあ散らかっていて申し訳ありません。この建物は現在改装中でして清掃が行き届いてないんですよ、ハハハ。

[D-11029が促されるまま席につく]

SCP-2956-JP-2: それで…単刀直入に申し上げますと、あれはバラではなく当園で栽培しているヒトでございます。当園では観賞用、そして食用にヒトを栽培しております。

D-11029: ヒト…栽培!?

SCP-2956-JP-2: はい、私どもの世界ではヒトは食糧であり、芸術を表現する大切な存在です。いかがですか当園のヒトは?

D-11029: え、あ、ああ、なんというか凄かったな。

SCP-2956-JP-2: [興奮した様子で]そうでしょう!そうでしょうとも!なにせ私どもが手塩にかけて育て表現した芸術作品でございます!特にVenusは前回のコンテストでアイスバーグが育てた黒太陽を僅差で敗り最優秀賞に輝きましてね! 私が手掛けた中でも特に良くできた――――

D-11029: ああいやそれよりあんた今私どもの世界って…。

SCP-2956-JP-2: え?ええ、信じられない…とは言っても私どもの姿を見ればお分かりになるかと思いますが、私どもはこちらの世界の住人ではございません。当園の創設者は、こちらの世界の方々が人肉を食べたくても食べられないという話を知ってこちらの世界に渡り、こちらの世界の人肉食を愛好している方々からのご支援を頂きまして当園を創設いたしました。そもそも私どもの世界では、こちらの世界の皆様が花を愛で時に食すように、ヒトを栽培し、観賞し、食べるのです。人肉は非常にポピュラーな食材なのです。とはいえこちらでの人肉食はタブーですので、普段は私どもの世界の技術を用いて人肉を好んで召し上がる方以外には、ヒトはバラに、人肉を用いた飲食物はこの世界の一般的なものに見えてるはずです。もちろん私どもの姿も。

D-11029: まさかここで人肉が食えるのか!?

SCP-2956-JP: さようでございます。当園でご提供させていただいております飲食物は全てヒトを材料として使用しております。とは言え、私個人といたしましては、四季折々の美しいヒトの姿をこちらの世界の皆々様にも存分に楽しんでいただきたいと考えておりまして、毎年ヒト芸術のコンテストも開催しております![やや興奮した様子になる]ぜひ後程庭園を散策してみてくださいませ!特に近年はこちらの世界の方々からの寄贈作品も――――

D-11029: あーえーっとそうだ! さっきのおっさんはなんだったんだ?

SCP-2956-JP-2: え?あー、あの方は粗相をされまして…

D-11029: 粗相?

SCP-2956-JP-2: さようでございます。たまにいらっしゃるのです。当園のヒトはお土産として鉢植えで販売している物はともかく、食用や庭園にある芸術作品のようなヒトは他での栽培が難しいため、自分達でも栽培したいという方が種や苗を盗もうとするのです。そもそも当園がこちらの世界でヒトを栽培出来るようになるまでにも相当の苦労があったと聞いております。

D-11029: あんたらの世界じゃヒトの栽培なんて当たり前なんじゃないのか?

SCP-2956-JP-2: 私どもの世界のヒトはこちらの土壌ではうまく育たなかったそうです。また同様にこちらの世界のヒトは私どもの栽培方法では成育がうまくいかなかったとか。ご支援頂いたこちらの世界の方々からアドバイスを受けながら何年もかけて漸く安定した栽培技術を確立したそうでございます。

D-11029: 俺らの世界に協力者がいたのか。

SCP-2956-JP-2: さようでございます。あの方々からは資金や研究に必要な素材、こちらの世界の生物に関する知識や技術の提供があったと伺っております。今でもその方々とはお付き合いが続いておりまして、先程も言いかけましたが、庭園内には彼らから寄贈していただいた作品も展示させて頂いております。私共にも負けず劣らぬ素晴らしい作品ばかりですので後程ぜひご覧になって下さいませ!

D-11029: あ、ああ、後で見にいくわ。そういえばさっきのオッサンはどうなったんだ?

SCP-2956-JP-2: 先程のお客様ですか? 彼は1度目は厳重注意で済ませたのですが、先程のは再犯でしたので…当園従業員の賄いとしてご協力いただきました。初めはあのような輩はこちらの世界の警察に引き渡していたのですが、当園のヒトは味も美しさも一級品。その希少性故かたびたび被害がありまして……。 犯人も大抵は本人ではなく雇わればかりでいたちごっこになってしまうため、いつしか我々も再犯など悪質な場合は捕えた犯人には当園スタッフの賄いとしてご協力頂くようになりました。

D-11029: 賄いって…食ったのか!? まさか俺のことも食うのか!?

SCP-2956-JP-2: ハハハ、まさか! 貴方様はお客様です。当園の営業妨害をされた訳でもございません。それより当園のヒトが見えているということは、お客様も人肉を召し上がるのでは? 園内で購入して頂けるアイスやフランクフルトもオススメですが、よろしければ後程当園の東側にございます施設にお越し下さい。そこにございますレストランの店員にウェスターランドからの紹介だと言えば周りの一般のお客様の目を気にせず人肉をお楽しみ頂けるよう別室にご案内させていだだきます。

D-11029: ウェスターランド?

SCP-2956-JP-2: 私の名前ですよ。

以上のインタビューと園内で栽培されていたSCP-2956-JP-1を調査した結果から、SCP-2956-JPの起源は並行世界に由来し基底世界の複数の要注意団体が関与している事、SCP-2956-JP-2は未知のパラテクノロジーを所有している可能性があることがわかりました。また上記のインタビューおよび後に数度に渡り行われた探査によってSCP-2956-JPの認識災害特性の無力化には人肉嗜食者である事が条件である事がわかりました。

上記のインタビューの後にSCP-2956-JP内のレストランで提供される飲食物の摂食実験が行われました。摂食を行ったD-11029の経過観察、およびD-11029が持ち帰った飲食物を調査した結果から、人肉中のプリオンの働きが無力化されている事以外にSCP-2956-JP内で提供されている飲食物には異常性が無いことがわかりました。またSCP-2956-JP内で提供されている全ての飲食物からは人由来の成分が検出されています。

以下は内海博士によるSCP-2956-JPに関する提言を一部抜粋したものです。

探査および実験からSCP-2956-JPは現状、認識災害特性以外に特筆すべき異常性は見られません。しかし、その起源が並行世界に由来する以上、未確認のパラテクノロジーによる異常性が存在する可能性を否定できません。そのため下手な封じ込め処置はSCP-2956-JP-2達との敵対を招き、その場合未確認の異常性によりどれ程の被害が発生するか予想出来ません。

さらに、関与が疑われる複数の要注意団体に関する情報を入手する事が出来る可能性が有ること、SCP-2956-JP自体が一般に広く認知、利用されている一方で周囲に与える危険性が低いことを鑑みて、SCP-2956-JPの収容は監視に留めるべきかと思われます。財団の予算や人的資源も無限ではなく差し迫った危機が無いのなら大規模な収容処置でリソースを割くことは躊躇すべきです。またSCP-2956-JPと複数の要注意団体が繋がっている以上大規模な封じ込めやカバーストーリーの流布が我々が本アノマリーを捕捉した事実をSCP-2956-JP-2群および要注意団体に認知され、本アノマリーおよび要注意団体の逃亡、喪失に繋がる可能性が懸念されるます。この収容方法はそのための処置でもあります。

上記の提言を受けて、SCP-2956-JP内外の監視に重点を置き、SCP-2956-JPの異常性を認知していると思われる人物はSCP-2956-JPとのトラブルを避けるために退園後に拘束し、他の要注意団体の関係者であった場合には必要に応じて尋問を行い、情報を抜き出した後に解放するといった方向で収容スペシャリストによって収容方法の調整が行われています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。