SCP-2959-JP
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アイテム番号: SCP-2959-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2959-JPの周囲に小規模収容サイトが建設されています。常に2名以上の警備員が駐在し、監視・防衛任務を務めます。

SCP-2959-JPに通じる跳ね上げ戸は溶接して封鎖されています。現在、SCP-2959-JPに対する内部探査は許可されていません。

説明: SCP-2959-JPは██████████1に位置する小屋の地下に存在するコンクリート造の構造群です。小屋は荒廃しており、長期にわたって放棄されていたことが読み取れます。小屋内部の跳ね上げ戸の下にはSCP-2959-JPの最上階に通じる全長50メートル程度のシャフトが存在します。

SCP-2959-JPの最上階は、幅3.5メートル・長さ100メートル程度の廊下と、階段へ通じる扉のみから構成されています。電灯は破損して散乱しており、電力の供給は遮断されているように見受けられます。測定器具なしで廊下を歩行した場合、被験者およびその観察者は廊下の距離が実際の距離から変化しているような感覚を覚えることを報告します。空間異常や精神影響異常、その他の異常の兆候は検出されておらず、この感覚が異常現象であるという確証はありません。

階段の扉には金属製のプラカードが取り付けられています。プラカードには標準財団記章と何らかの文字列が記されています2が、重度に損傷しており判読不可能です。扉の横に別のプラカードが置かれていますが、同様に損傷しており、「処」という文字のみが判読可能です。

階段は一度折り返し、階下へ通じています。階下の扉は厳重に封鎖されており、内部の状態はほとんど不明です。唯一、小さなガラスの覗き窓から内部を見ることができますが、視認可能な範囲には依然として廊下が存在するのみです。階段は第二階層の下に向かってさらに折り返して伸びているようですが、コンクリートで埋められており、さらに下の階層に進入することは不可能です。

補遺2959-JP.1: 探査記録

実施日時: ████/██/██

対象: SCP-2959-JP

被験者: アティ・オーウェン博士


«ログ開始»

小屋の内装が映される。室内はかなり荒廃しているものの、かつて人間が生活していた痕跡が見られる。

オーウェン博士: アティ・オーウェンだ。これより探査を開始する。

オーウェン博士は跳ね上げ戸の埃を払い、開扉する。彼はシャフトに進入し、しばらく降下し続ける。

オーウェン博士: 寒いな。 [温度計を確認する。温度計は7°Cを示している] ああ、装備がしっかりしていて本当によかった。

オーウェン博士はさらに降下し続ける。

オーウェン博士: もうすぐだ……着いたな。ここが最上階、第一階層か。長い廊下がある。

廊下の電灯は消灯しており、周囲に電源は見当たらないようである。オーウェン博士は廊下をライトで照らし、歩き始める。目測で200メートル以上歩いた時点で、彼は違和感を報告する。

オーウェン博士: ずいぶん歩いたが、まだ先があるのか? [振り向いて後方を照らす] いくらなんでも長すぎると思うな。

オーウェン博士は時折後方を確認しながらさらに100メートルほど歩き、廊下の終点に到着する。

オーウェン博士: 扉が見えてきた。長すぎる廊下は終わりだ。

オーウェン博士は扉を照らし、扉に取り付けられたプラカードに財団の標準記章と"SCP財団 怪奇部門"という文字列が記されているのを発見する。オーウェン博士が扉に駆け寄ると、扉の横の隅にもうひとつのプラカードが置かれているのが映像に映るが、彼はそれに気付かず、扉のプラカードに注目している。

オーウェン博士: 見ろ。財団と書かれているぞ。ここは私たちの場所なのか? それとも何か異常な効果によるものなのか? [沈黙] 今ここで考えても分かることじゃないだろうな。あるいはこれから分かるか。奥に進もう。

彼は更に数秒間プラカードを写し続けた後、扉を開いて階段を下る。階段は一度折り返し、さらに続いている。階下の扉を開くと、廊下が現れる。

オーウェン博士: 第二階層だ。……暗い廊下はもうこりごりなんだがな。

廊下をしばらく進むと、途中の右側の壁に扉を発見する。扉は施錠されておらず、オーウェン博士は室内に進入する。室内を無作為に照らすと、床一面に紙が散らばっており、全体がかなり荒れていることが分かる。

オーウェン博士: 資料室のようだ。本棚と机……それから見ての通り大量の紙束がある。この荒れ具合といい紙の資料といい、やはりここはかなり古い施設のようだな。どれ……。

オーウェン博士は机の上に乱雑に置かれた白いファイルから適当に1枚の資料を抜き取り、映像に映るように手に持つ。資料の一部には認識災害を含む文字列が印字されいるが、オーウェン博士は影響を受けていないようである。

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 研究員

罪状: 規律違反

処分: 厳重注意

備考: N/A

オーウェン博士: [削除済: 認識災害を含む音声]、研究員。……罪状、処分。これは……処分記録か? 財団の? なぜこんなところに。

オーウェン博士は続けざまにいくつかの資料を抜き取って画面に映す。

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 研究員

罪状: 身分の詐称

処分: 解雇処分

備考: N/A

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 研究員

罪状: 破壊行動

処分: 解雇処分

備考: N/A

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 研究員

罪状: 無断行動、規律違反

処分: 禁錮処分

備考: 累犯

オーウェン博士はさらに赤色のファイルを取り出して画面に映す。

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 上級研究員、収容アドバイザー

罪状: 職員への過干渉、注意無視

処分: 警告処分

備考: N/A

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 上級研究員

罪状: 職員への暴言・恐喝

処分: 警告処分

備考: 元サイト管理官

オーウェン博士: ファイルの色の区別に意味はあるのか? [いくつかの資料を見比べる] それに、"解雇"というのは [沈黙] いや、まあいい。もう少し他のファイルの内容も記録しておこう。

彼は次に橙色のファイルを取り上げ、適当なページを開く。

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 研究員

罪状: 重大な機密漏洩、破壊行動

処分: 解雇処分

備考: N/A

オーウェン博士が資料を閲覧している最中、彼は突然振り向き、廊下で物音がしたと主張する。機器にはそのような音声は記録されていない。彼は一度室外に出て左右を確認したのち、棚から灰色のファイルを取り出し資料の閲覧を再開する。

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 研究員

罪状: 迷惑行為

処分: 厳重注意

備考: N/A

氏名: [削除済: 認識災害を含む文字列]

役職: 研究員

罪状: 職員・オブジェクトへの暴行、サイト-██における破壊行為

処分: 解雇処分

備考: N/A

オーウェン博士: [ページを適当にめくりながら] このファイルには解雇処分の記録がやけに多 [遮られる]

オーウェン博士がファイルを取り落とし発言が突然停止する。彼自身の挙動から、彼は文書に含まれていた認識災害に曝露したと推測される。彼は無言のまま資料室から退室し、向かって右側が壁で塞がれているのを確認すると、ふらふらとした足取りで階段の方向へ廊下を歩き始める。注意すべき点として、直前の記録から、本来この位置に壁は存在しないはずである。

オーウェン博士は階段を下り始める。第三階層の扉は厳重に封鎖されており、進入不可能なようである。第四階層・第五階層・第六階層も同様に封鎖されている。それぞれの扉の覗き窓は、目前にコンクリートの壁があるため内部を観察することはできない。第六階層にいる間、温度計は-40°C以下の不自然な低温を示すが、オーウェン博士は終始そのことを感知していないように振る舞い続けた。

第七階層に到着した時点で、オーウェン博士は覚醒し、自身の現在位置に対する混乱を表明する。彼は階上へ再進入を試みるが、第六階層の異常な低温状態に気付き中止する。第七階層は進入可能で、階段の扉を開くと廊下の右側の壁におよそ5メートル間隔で設置された扉が存在するのが見える。

オーウェン博士: [罵倒]、最悪だ。閉じ込められたみたいだ。あの低温を強行突破するのも悪くないだろうが、俺はそん — [息を飲む] (小声になって) 誰かがいる。部屋の中から音が聞こえる。扉にカードが付いているな。[削除済: 認識災害を含む音声]と書かれている。

映像にオーウェン博士が報告するような音声は記録されていない。カードには認識災害を含む文字列が記述されているが、彼はその影響を受けていない。彼は扉に接近して慎重にノブに触れる。扉は施錠されており開かない。

オーウェン博士: [沈黙] いいだろう。ここはこれっきりということだな。

オーウェン博士は廊下を進みさらに3つの扉を調べるが、いずれも施錠されている。すべての部屋において、彼は「室内に誰かがいる」という感覚を報告する。5番目の扉を発見したとき、彼は突然慌ただしく扉に接近する。

オーウェン博士: 見ろ、私の名前だ。私の、部屋だ。

扉のカードを指差しながらオーウェン博士は興奮気味に扉に接近する。カードにはAtmath Owenアトマス・オーウェンと記されている。彼は自身の装備のポケットを漁ると、鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。鍵は問題なく解錠され、扉が開かれる。室内には何もない。部屋の左右の壁は崩壊していて、隣接する部屋の内装が見える。右側の部屋には何もなく、さらに壁が崩壊しているのが見えるのみである。左側の部屋にはいくつかの資料が置かれているように見える。

オーウェン博士: ひどい有り様だな。痛々しい。

オーウェン博士は左側の壁の穴から隣の部屋へ進入する。資料を手に取った瞬間、オーウェン博士は昏倒する。オーウェン博士のバイタルサインが停止する。オーウェン博士は死亡した。

オーウェン博士: [沈黙]

[不明なエラー]

オーウェン博士は部屋から退出し、装備を解除し始める。

オーウェン博士: 最悪だ。最悪だ。最悪だ。

装備とともにカメラが投げ出され、廊下の床に落下する。オーウェン博士の足元が映像に映っている。彼の姿が滲み始める。

オーウェン博士: 最悪だった。ずっとだ。

彼は熔けている。彼は彼の部屋に入室する。

オーウェン博士: さようなら。貴方たちにはもう会わないだろう。

扉が閉じる。施錠音。

オーウェン博士: 本当に面白くない。

[激しい水音]

[通信途絶]

«ログ終了»


後記: オーウェン博士は身勝手である。




補遺2959-JP.2: 事案2959-JP
2020/12/24、SCP-2959-JPのファイルが不正なアカウントによって編集される事案が発生しました。事案2959-JPにおいて、補遺1のセクションが追記され、探査記録と称される由来不明な情報が掲載されました。これらの情報は虚偽および捏造であると見做されています。現在、補遺1のセクションは不明な要因により編集不可能な状態であり、ファイル上から記録を除去するあらゆる試みは失敗しました。SCP-2959-JPの報告書を別のスロットに移動して記録を除去する試みは同様の編集の発生という結果に終わりました。

当該編集は、記録上ではアティ・オーウェン博士3による編集であるとされていますが、財団の雇用記録に該当する人物は存在しないことが確認されました。

当該事案は超常現象として記録されています。さらなる情報についてはRAISAの担当職員に問い合わせてください。

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