SCP-2980 - 悪魔の常夜灯Devil's Nightlight
アイテム番号: SCP-2980
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2980はサイト-81の物品用標準棚に収容する事とします。倉庫からのSCP-2980の持ち出しは試験目的のみ可とします。
説明: SCP-2980は製造元不明のこれといった特徴の無い白熱電灯で、上部に125 V規格用プラスチック製コンセントプラグが付いています。 電球自体は透明色で、通常のフィラメントと配線構造を擁します。電灯の傘は赤い色をしており、『笑い顔』のマークが両面に描かれ、前方部には小さな黒い電源スイッチがあります。
SCP-2980を125 V規格のコンセントに繋ぎスイッチを入れると、その時点でコンセントに電力が供給されているか否かに関わらず、その地方での20時30分を回った際にSCP-2980の電灯が点き赤い光を放ちます。20時30分の時点で電源が入っている同室内の他の灯りは全て、光源がSCP-2980のみとなるまで急速に減光していきます。
SCP-2980の点灯時において、SCP-2980-1に指定されるクラスV相当の人型有体存在が、SCP-2980の灯る室内のどこかに現れます。SCP-2980-1は大柄で、ひづめの付いた二足で立ち、赤黒い肌を持ち巻き角の生えた生物の姿をしています。これらの外見的特徴以外では、SCP-2980-1は人間では無いものの、人間の顏、胴体、両腕を持った姿をしています。
出現後15分から30分の間、SCP-2980-1は傍に居る者に短編の物語集を読み聞かせます。羊皮紙に革製の表紙が付いた小型の黒い本をSCP-2980-1は読み上げます。目立った点としては、SCP-2980-1は本を読む最中は眼鏡をかけています。これら物語の終わりが来ると、読み聞かせの対象者ならば眠りに落ち、SCP-2980-1は消え返ります。SCP-2980は電源が切られるまで灯り続けます。SCP-2980-1の物語を聞き終えた者は例外無くその話の終結と共に眠りに落ち、大凡9時間後に目覚めます。その後対象者は一概に快眠を主張します。
██年██月██日、SCP-2980の試験房にランドール(Randall)博士が入り、SCP-2980の物語(『うんざりちびっ子エルドリッチのヤダヤダ』)の中断及びインタビューの要求を行いました。SCP-2980-1は快く応じ、以下のインタビューが行われました。
ランドール博士: 面談に同意頂き感謝しますSCP-2980-1。貴殿が何によってここにもたらされる事となったのか話して貰えますか?
SCP-2980-1: ふむ、博士、私はいつもいつもお馴染みのことばっかりしているのにはもうあきあきだと思ってね。人々を拷問したり、永遠に地獄に落としたり、というのが気楽な稼業だとどいつもこいつも決め込んどるわけだが、しばらくやってると本当にうんざりしはじめてくるのだよ。過去千年間くらい、自分の書き物を世間に出してやりたかったのだよ、わかるだろう? 地獄から出て人々にお目にかかろうとね。だから数ヶ月前、荷物をまとめあげて、そしてまあ、ここに居るわけだ。
ランドール博士: なるほど。ということは物語は、全てオリジナルなんですね?
SCP-2980-1: 無論。多くは日々出くわすような個人的経験から採っている。まさしく個人的な経験、だな、おわかりだろうが。また色々な作品に手を出しておる。色々な書き手の色々なものを多く読んでね。自分の地平線というものを広げるべく真に努力しておる。 最近の子供たちがどんなものを読んでいるか、その辺りの感覚をよく掴むべくな。
ランドール博士: そうでしょうとも、そうでしょうとも。今、子供たちとおっしゃいましたね。SCP-2980は当初、とある孤児院で発見されたのです。そこに行き着くに至った何か特別な理由でも?
SCP-2980-1: ふむ、そうだな、子供たちについて言えば、ことはお返しということに関わっておるのだ。私は生まれてこの方ずっと生きてきて、いまだなお誰かの人生に影響を与えるという機会がなかったのだよ。もしも幾人かの子らを夜の寝付き良く休ませる手助けが出来たなら、それはなにか意義のあることになるのではあるまいか、と考えた。毎日を意義あるものとすべくね。自分が最初に目にした時よりも、世界をより良い場所にしようというのだよ。
ランドール博士: ふーむ……SCP-2980-1、他に何か付け足したい事はありますか?
SCP-2980-1: そうだな。子供達のための寝る前のおとぎ話集が来春には出来上がるのだ。素晴らしいものだぞ(笑う)いやいや自分自身の作品について自分で何かいうというのはな。しかし真剣な話、査読結果は素晴らしいものでな。まあ、試してみたまえ、時間を使う価値があると保証しよう。売上の全ては「恵まれない若人のためのXlan'gthmr R'llnmerg 財団」へ行く。実に偉大なる大義ではないかね。
補遺2980-A: SCP-2980-1の物語例
以下は封じ込め中にSCP-2980-1が読んだ物語の例とその概要です。
見習い宇宙飛行士のちび悪魔
宇宙へ行く事を夢見る小さな悪魔を描いた物語です。悪魔は人骨製の宇宙船を作成し、月へ飛行すべく乗り込みます。
世にもおぞましきグロッグはおねむの時間
主人公である世にもおぞましきグロッグが、千年にも渡る眠りに就くため相応しい場所を探し回る物語です。冒頭から終わりまでグロッグの眠そうな様子が幾度も言及されます。
ベルゼブブちゃんを眠らせて
顕現後間もない蝿の王の乳児を寝かしつけるべく準備中の、大きな虫型の生物を描いた物語です。物語はベルゼブブが地獄行きの人間の魂で織られた毛布に包まれ、犠牲者の悲鳴の中で眠りに就く所で終わります。
[編集済]
SCP-████に関する機密事項を含んでいました。SCP-2980-1に質問すると、物語は想像上のオリジナル物だと主張しました。
ダムンビ
母を殺され酷く嘆き悲しむ子鹿を描いた物語で、悪魔との契約に署名し、殺戮に荒れ狂ううちに角は邪悪な形状に捻じ曲がり、遂には天から放逐されます。物語はダムンビが過酷な復讐の末に仇敵の死体に囲まれ眠りに就く所で終わります。
██年██月██日の定期試験中、SCP-2980-1は、[削除済]が家へ辿り着く冒険に繰り出し、母と『無数の仲間』と再会するまでを描いた物語『ちびっ子怪物早くお休み』を話しました。その後間もなく、サイト██でSCP-███の収容違反により、██人の死傷者と[削除済]の消失が起こりました。SCP-███とSCP-2980-1の物語の生物が類似していた事から、ランドール博士はSCP-2980-1を質問のため喚び出しました。SCP-2980-1の答えでは『つまりは、自分の知覚する事を書くだろう。私は暫しの間考えていたらだ、次の作品の方向が真に定まる。君も誰も彼もを満足はさせられない、けれども、時々は頭の外から驚くようなものがある。それが我々のする理由だろう?つまりは書く事。それこそが聞き手を満足させる事なのだ。』との事でした。
ページリビジョン: 10, 最終更新: 21 Feb 2024 12:28