SCP-2982-JP
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SCP-2982-JPの影響を受けた映画館

アイテム番号: SCP-2982-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2982-JPは転移能力により収容が困難であるため、異常性が発現することを防止するための処置が行われます。██県内の映画館に配備されたエージェントは、SCP-2982-JPの存在を確認した場合、その場に適した迷惑行為を行ってください。SCP-2982-JPの転移が確認された後は、映画館のスタッフ、観客に記憶処理を行います。

SCP-2982-JPの異常性が発現してしまった肘掛けについては、故障中などと称して左右の座席を封鎖するなどして対応してください。ほとんど、または全ての肘掛けに異常性が発現してしまった場合にはそのシアターの封鎖を行います。

説明: SCP-2982-JPはモンゴロイド男性に見える外見的特徴を持つ人型異常実体です。SCP-2982-JPは保持している異常性を除けば通常の人間との差異はないと考えられています。また、意思の疎通は不可能であると考えられています。可能ですが、SCP-2982-JPはそれを好まないため成功例はほとんど確認されていません。

SCP-2982-JPは転移能力を保持しており、██県内の映画館に出現します。この転移は約2時間に一度行われ、SCP-2982-JPは一度映画館に出現するとその映画館に存在する全ての座席に座るまで転移を繰り返します。SCP-2982-JPの転移は映画が上映される前と後にのみ行われます。映画が上映されている間は転移は行わず、1つの座席に留まります。SCP-2982-JPが座席に着席すると、その座席の左右の肘掛けに異常性が発現します。異常性が発現した肘掛け(SCP-2982-JP-1)はSCP-2982-JPのみが使用可能になり、他の観客がSCP-2982-JP-1を使用しようとすると、不可視の何かに阻まれるような感触を覚え、肘を置くことが不可能になります。この異常性により、SCP-2982-JPが全ての座席に着席し終えると、その映画館の全ての肘掛けは使用することが不可能となります。この段階に至ると、SCP-2982-JPは異なる映画館に転移し、再び上記の行動を繰り返します。

SCP-2982-JPは██市において「映画館の肘掛けが使えない」といった報告が相次いだことによって情報が補足されました。その後、██市内の映画館にエージェントを配備し監視を行ったことろ、SCP-2982-JPの存在が確認されました。エージェントらはSCP-2982-JPの収容を試みましたが、SCP-2982-JPが保持している転移能力のため失敗に終わっています。映画が上映される以前に収容を試みると、SCP-2982-JPは即座に転移を行い、その日は出現することはありませんでした。その際、SCP-2982-JPが座っていた左右の肘掛けに異常性は発現しなかったため、SCP-2982-JPの異常性は映画が上映し終わるまで座席に座っていた場合のみ発現するものと考えられています。

SCP-2982-JPが着席する座席の法則性を確認すると、最前列から最後列に向かって順番に着席を行っていることが判明しました。1これを受けて、エージェントによってSCP-2982-JPの異常性の詳細な調査が行われることとなりました。それらの記録は以下の通りです。
実験記録2982-JP-1

実施方法: SCP-2982-JPの映画観賞券の受け取りを拒否する。

結果: 不快そうな表情を見せた後、シアター内へと直接転移を行った。映画上映後の座席にはSCP-2982-JPが購入したと思われる映画観賞券が残されていた。

実験記録2982-JP-2

実施方法: SCP-2982-JPに話しかけ、意思の疎通が可能か確認を行う。

結果: どこで話しかけても反応が見られなかったため、意思の疎通は不可能かと思われたが、シアター内で話しかけたところ、舌打ちをし、「違反。」と呟いた後転移を行った。

実験記録2982-JP-3

実施方法: SCP-2982-JPが座席に着席する前にSCP-2982-JPの左右の座席にエージェント2名を着席させ、先に肘掛けを使用する。

結果: エージェントらに所持させたカメラの記録から、徐々に肘掛けからエージェントらの肘がずり落ちていく様子が確認された。エージェントらは肘掛けが使用できなくなっていることを認識できておらず、完全にずり落ちた後にはSCP-2982-JPが肘掛けを使用していた。この際、「先に来たからといって」などと呟いている様子が確認されている。

実験記録2982-JP-4

実施方法: シアター内の全ての座席にエージェントを着席させる。

結果: SCP-2982-JPは券売機の前で数秒硬直し、その後転移を行った。

実験記録2982-JP-5

実施方法: SCP-2982-JPの座席の背もたれを蹴る。

結果: 即座に転移を行った。

これらの結果から、SCP-2982-JPの異常性の発現を阻害するためには、迷惑行為などを行い、SCP-2982-JPの映画鑑賞を阻害することが有効だと考えられています。その後、██市内の映画館に配備したエージェントらにSCP-2982-JPの存在が確認された場合に迷惑行為を行わせたところ、SCP-2982-JPの異常性の発現を大幅に抑えることに成功しました。しかし、その結果、エージェントらが映画館側から解雇、または出入り禁止とされてしまったため、SCP-2982-JPへの措置を行った後に映画館のスタッフ、観客に記憶処理を施すことが必須となりました。

20██/10/28追記: 約1ヶ月に渡りSCP-2982-JPへの迷惑行為を行ったところ、██市内の映画館へのSCP-2982-JPの出現は現在までの1ヶ月間確認されていません。他の地域の映画館に出現している可能性を考慮し、全国の映画館で監視、調査を行っていますが、SCP-2982-JPの存在は確認されていません。現在Neutralizedへの再指定が検討されています。

20██/12/31追記: ██市内の全ての映画館において、SCP-2982-JPによって撮影されたと思われる映像が上映される事案が発生しました。2映像データを確認したところ、本来上映される予定だったものとの差し替えが行われていることが確認されています。映像の内容は以下の通りです。
映像記録2982-JP

<再生開始>

00:01 映画館のシアター内の映像。██市内の映画館であることが確認されている。

00:05 座席の肘掛けが画面の中心に映る。隣の座席に座っている二人の人物が何か言い争っている。

00:10 「悲しいことだ。」というSCP-2982-JPの声が流れる。

00:12 画面が暗転する。

00:15 新幹線のリクライニングシートの肘掛けについているボタンが画面の中心に映る。

00:19 「自他の境界は曖昧であり、故に皆自分にこそ資格があるのだと思い込む。」というSCP-2982-JPの声が流れる。

00:24 画面が暗転する。

00:28 夜行バスのリクライニングシートの側面にあるレバーが画面の中心に映る。

00:31 「横暴な者ばかりが幅を利かせ、謙虚な者な者の自由は奪われる。」というSCP-2982-JPの声が流れる。

00:35 画面が暗転する。

00:37 飛行機のリクライニングシートの肘掛けについているボタンが画面の中心に映る。

00:39 「故に憎しみは絶えず、世界には争いが満ちている。」というSCP-2982-JPの声が流れる。

00:45 画面が暗転する。

00:48 映画館のシアター内の映像が流れる。画面の中心にはSCP-2982-JPが立っている。

00:51 SCP-2982-JPが「ならば全てを我が手に収め、争いを、悲劇を終わらせよう。」と呟く。

00:56 画面が暗転する。

01:00 「資格は我にあり。」というSCP-2982-JPの声が流れる。

<再生終了>

この映像を受けて、SCP-2982-JPについて改めて調査が行われることが予定されています。

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