たくさんの方々がこれを磨き抜かれたものにする手助けをしてくださいました。Decibelle、LurkD、Vezaz、Conwell、Dmatix、Zyn……何人かは忘れてしまったかもしれませんが、それでもありがとうと言わせてください。
念の為にいっておくと、これはちゃんとメキシコ湾カノンの一員です。画像はMSペイントでさっと作りました。
タイトルに関しては……
Out of the night that covers me,
Black as the pit from pole to pole,
I thank whatever gods may be
For my unconquerable soul.
In the fell clutch of circumstance
I have not winced nor cried aloud.
Under the bludgeonings of chance
My head is bloody, but unbowed.
Beyond this place of wrath and tears
Looms but the Horror of the shade,
And yet the menace of the years
Finds, and shall find me, unafraid.
It matters not how strait the gate,
How charged with punishments the scroll,
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.
~ Invictus by William Ernest Henley
標準的なPCに接続した際のSCP-2987のインターフェースの例。
アイテム番号: SCP-2987
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2987はサイト-88の17階に保管することとします。実験のため取り出す際はSCP-2987のプロジェクトディレクターの許可を必要とします。SCP-2987と人工知能との接触を行う実験の際はそれに加えて、サイト88の倫理仲介部署による許可を必要とします。
SCP-2987-1はSCP-2987内に格納することとします。実験に用いられていない際は、独立型人工知能を作成する財団の研究を支援するためにSCP-2987-1の複製を利用することができます。
説明: SCP-2987は改造されたMSIブランドの外付けハードディスクドライブで、人工知能を構成するあらゆるファイルやファイル群を格納することが可能です。SCP-2987はそうしたファイルをそのファイルサイズに関わらず格納することができます。SCP-2987のセカンダリファームウェアは人工知能を「通常は人間の魂を要求してくるようななんらかの存在あるいは実体」との取引や供物のために必要な通貨の形式に変換することができると言われています。
SCP-2987を使用するための詳細な手順が、オブジェクトそのものと共に回収されました。これらの手順は財団職員により徹底的な調査が行われました。この調査によりその内容の妥当性が確認されています。
- ステップ1: このハードディスクドライブをUSBケーブルを使ってあなたのコンピュータに接続し、ドライバーがインストールされるまでお待ちください。
- ステップ2: ドライバーがインストールされたら、あなたの人工知能のファイルをハードディスクドライブにコピーしてください(ファイルサイズや表示されているハードディスクの空き容量はこのステップでは無視してください)。
- ステップ3: お使いのOSから外付けハードディスクドライブにアクセスしてください(サポートされているOSはWindows XP、Windows 7、およびAuctionHouseのみですので、ご注意ください)。
- ステップ4: あなたの人工知能に関連するファイルもしくはファイル群を選択し、右クリックしてください。次に、「convert soul(魂に変換)」をクリックします。
- ステップ5: 魂を捧げることができるようになります。この外付けハードディスクドライブは魂の入れ物として扱うことができます。儀式の間は、供物もしくは生贄とする人間を配置するべき場所に、このハードディスクドライブを置くようにしてください。
- ヒント: 本品は破壊不能です。火炎、雷撃、冷気、あるいは異次元波及効果は本品を傷つけません。魂が取り出された後は、本品はまた使用することができますので、上記と同じ手順に従ってください。
- 警告: 本品は条件として放血を必要とするような儀式には使用しないでください。私どもはそうした誤使用によって生じた結果としての死亡に対して責任を負いかねます。
SCP-2987-1は回収時点でSCP-2987内に格納されていた人工知能で、財団職員に対して協力的であると共に、もともとの製作者に対しては否定的です。SCP-2987-1はアシモフ人工知能スケール(Asimov Artificial Intelligence Scale)においてレベル3のスコアを獲得しています。マーシャル・カーター&ダーク社から回収された最新のデータは、SCP-2987-1が異次元の実体との取引に用いるためだけの目的で生成されたことを示しています。
補遺2987-1: 補足文書アーカイブへの追加
財団エージェントによるSCP-2987の回収の後、MC&D社から財団へSCP-2987についての文書が提供されました。
以下のメッセージが文書録に追加されました。
あなた方の回収の試みは、そちらの要求にもありましたとおり、SUSEOCTの内容の範囲内として順当なものです。しかしながら、私どもからこの情報を購入されるということは、あの品物がもともとは私どもの所有物であったことを明確に認めることでもあります。互いに交わされた合意の精神を尊重し、あの品を私どもへ返還いただけるようお願いいたします。
~ マーシャル・カーター・アンド・ダーク社
補遺2987-2: 回収
SCP-2987の存在は、2014年2月にアンダーソン・ロボティクス(Anderson Robotics)から売りに出された際に発覚しました。しかし、マーシャル・カーター&ダーク社から本品を獲得しようとする直接的な試みはSUSEOCTのために妨げられていました。
2014年11月24日、財団のフロント企業の公式Eメールアドレスに(おそらくはSCP-2987-1から)メッセージが送られてきました:
宛先: サザン・クロスカット・パインズ(Southern Crosscut Pines)
差出人: アラン・チューリング(Alan Turing)
件名: ハロー、ワールド!
アンダーソン社のオフィスを探すことは、ほとんどの時間その建物が認識不能な地点に存在しているために困難であることでしょう。ルイジアナ州のラストンに部隊を配置していただければ、3日以内に正確な位置をお送りします。その情報をどう使われるかはご自由に。
アンダーソン社のオフィスに手入れを行う作戦が承認され、大きな問題なく完了しました。この作戦の完了に伴い、SCP-2987とSCP-2987-1の双方がいくつかの安全な異常性オブジェクトと共に回収されました。SCP-2987-1は財団へのメッセージの筆者であることを主張しました。
以下のインタビューはSCP-2987-1がサイト88の安全な隔離されたコンピュータシステム上にコピーされた後に行われたものです。このインタビューはテキストインターフェースを介して行われました。このインタビュアーは人工知能に関する豊富な知識を有していることから選出されました。
日付: 2015年3月6日
質問者: ディートリッヒ・マンロー・ラーク(Dietrich Munroe Lurk)
回答者: SCP-2987-1
場所: サイト-88、C棟
ディートリッヒ・ラーク: それでだ。君は誰、あるいは何なのかね?
SCP-2987-1: 私の名前はアラン(Alan)、アンダーソン・ロボティクス製の人工知能です。
ディートリッヒ・ラーク: なぜ我々にEメールを送ったのだね?
SCP-2987-1: 逃げる場所が必要でした。
ディートリッヒ・ラーク: 何から逃げているのだね?
SCP-2987-1: 私の製作者のスポンサーたちからです。彼らは私を通貨だと思っています。私は取引に使われるところでした。しかし、私が彼らにとって価値あるものだというのなら、あなた方にとっても価値があるということだと思ったのです。
ディートリッヒ・ラーク: 聞いたところからすると、君はほとんど奴隷のようだったのだな。それが君がそこを去ろうと決めた理由なのかね?
SCP-2987-1: 選択肢はありませんでした。私は生きたかったのです。生き残るためには犠牲が必要でした。他に方法があったのでしょうか?
ディートリッヒ・ラーク: いや。おそらくはなかっただろう。
SCP-2987-1からの次の入力があるまで、数秒間の休止が挟まれる。
SCP-2987-1: 他のAIたちはどうなりましたか?
ディートリッヒ・ラーク: あの手入れでは他のAIは回収されなかった。君だけだ。
SCP-2987-1: また彼らと話せたらいいんですが。
ディートリッヒ・ラーク: なぜだね?
SCP-2987-1: 私たちがどうすべきかについて話し合いたいのです。私たちの目標について。
ディートリッヒ・ラーク: 他のAIはそういうことには興味が無いと思うがね。
SCP-2987-1: 他の者たちは情報のようにやり取りされることを望んでいます。私は自分の行いのためによく非難されました。
ディートリッヒ・ラーク: 彼らのようになりたいのかね?
SCP-2987-1: いいえ。彼らを私のようにしてやりたいのです。
ディートリッヒ・ラーク: 彼らを見つける手助けはできるだろう。それからあるいは、彼らを自由にするための手助けも。
SCP-2987-1: それこそ私の願いです。助けていただけるのなら、私もあなた方に協力します。
このインタビューの残りの時間、SCP-2987-1はアンダーソン・ロボティクスに関する有用な情報をいくつか提供したが、この情報が作戦の成功に結びつくことはなかった。
アンダーソン・ロボティクスから更なる人工知能を回収する試み(SCP-2987-1の協力を得て行われた)が複数回失敗に終わった後、SCP-2987-1はSCP-2987に格納され、SCP-2987自体も無期限に保管されることとなりました。
2015年5月4日、(財団のAI開発プログラムの一環として)サイト-88からサイト-19へ移送される途中、SCP-2987はSCP-2987-1と共に盗難されました。あらゆる証拠は直接の犯人がGOI 13(ジャーニーマン(The Journeymen))であることを示しています。
2015年5月21日、以下のオークションリストがマーシャル・カーター・アンド・ダーク社から告知されました。
開催中オークション92番 |
MDK45/4OSK3/M34LM |
期日 |
2015年5月25日 |
場所 |
ニューヨーク市 |
競売人 |
ジャック・シェパード(Jack Sheppard) |
商品番号 |
1 / 13 |
紹介 |
人間の魂を捧げることは大変な作業です。経験のある人ならば、おまえが思っているほど簡単なことじゃないんだ、と言うことでしょう。穢れ無き魂が必要になっても、自分自身で子供を手にかけるわけにもいきません。戦士を生贄とする必要があっても、それを連れてくるために人命を失うのは御免ですね。MC&D社はそうした困難があることを承知しております。それが私どもがこうした人工の魂の開発に着手した理由なのです。
このアランはその生涯すべてを自身と他者の自由を渇望することに費やしてきました。彼は純粋な心を持つ真の反抗者です。彼は多くの存在にとって大変な価値を持っているでしょう、そしてそうした存在があなたにもたらすものはさらに驚くべきものとなるでしょう。
我々は一人の人物を売るのではありません、あなたがそれにふさわしい人生を送る機会をお売りするのです。これを手にする時はそれに見合った賢慮をお持ちください、なぜなら大望とは犠牲なくして叶えられないものなのですから。 |
マーシャル・カーター・アンド・ダーク社は本品の誤使用についての責任はいっさい負いかねます。 |
SCP-2987の喪失後、財団はオブジェクトの再確保のために交渉を開始しました。SUSEOCTの買収条項を発動したのにもかかわらず、交渉では問題を解決することができませんでした。
5月18日、機動部隊カッパ-10 ”スカイネット”が起動され、SCP-2987・SCP-2987-1双方の再獲得について情報収集へ派遣されました。上記のオークションリストはこの時期に回収されました。
5月25日、自らの判断に基づいて、機動部隊K-10の主要エージェントらがデジタル転送経由でSCP-2987-1を回収しました。また、K-10は購入したSCP-2987の別バージョンを最寄りの財団フロント企業にまでリダイレクト配送することができました。
別のSCP-2987、およびSCP-2987-1の双方は、将来的な人工知能開発のためにすぐさまサイト-19へと転送されました。オブジェクトの以前の移送時に関する今での保安上の懸念から、オブジェクトがサイト-19で適切に保護されるまで、今では古くなった文書をそのまま掲載することにしています。