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当記録のセキュリティは侵害されています。以下に記されている情報は正確でない可能性があります。
財団情報保安部門による調査中のため、当記録は[凍結]されています。当記録へのあらゆるアクセスは監視され、当記録への編集は一切禁止されます。
詳細に関しては、下記の"特別補遺2996.A"を参照してください。
アイテム番号: SCP-2996
オブジェクトクラス: Euclid Safe Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-2996は サイト-81の標準的な 無形実体用真空房に収容します。この真空房は4機の非物質変位無効装置(nPDN)を取り付けます。SCP-2996による特定の娯楽用品の要請は状況に応じて許可されます。
週に1回、SCP-2996には必ずサイトの心理学者による定期心理検査を受けさせ、その精神状態を診断します。現在のSCP-2996の精神的健康状態に対する懸念から、必要に応じてクラスH静電的記憶処理治療を適切に使用することが承認されました。
更新された収容手順: nPDNが有効に作用しているため、現在SCP-2996の身体検査を実行することが可能です。これらの試験は週に1回、霊的実体の身体的性質に関する情報収集の取り組みの一環として実行されています。
更新された収容手順: 2012/08/19時点において、SCP-2996は無力化したことが布告されています。前述の収容手順はもはや必要ありません。
説明: SCP-2996はインディアナ州ナッシュビルの廃屋で発見された クラスII霊的人型実体です。SCP-2996はヨーロッパ系の黒髪と青い目を持つ若年の人間女性であり、全身に及ぶ多数の傷と、右目の大きな銃創が目視で確認できます。SCP-2996は本来霊的な実体ですが、nPDN装置の採用により財団職員はSCP-2996を物理的な状態に「固定」して検査することが可能になりました。これらの装置の使用とそれに伴う収容状況がSCP-2996の精神的/感情的な状態を悪化させている原因となっていると現在仮定されています。
SCP-2996は自身を1929年、インディアナ州ナッシュビルで殺害された8歳の少女Emily Nashであると主張しています。様々な情報源から得られたデータはEmily Nashが彼女の自宅にて遺体で発見されたという主張を補強していますが、しかしながら、記録上の死因は自殺とされていました。インタビューの際、SCP-2996は自殺を示すあらゆる証拠を拒絶し、幾度も熱心に殺人犯は近所の親しい友人である13歳の少年James Franklinだと述べました。1929年のナッシュビルにおいてこの人物の実在は確認できませんでした。更なる情報収集の取り組みを継続中です。
精神鑑定結果: 私が懸念を抱いているのはSCP-2996の感情面における健康状態だ。対象は明らかに自身の死について示されている証拠や、また収容されている現状に対して反感を抱いている。インタビューを通じ、SCP-2996は己を殺人犯に対する復讐を為すためこの世界に留まり、肉体の束縛から解き放たれた強力な霊魂なのだと信じていることが明らかになった。この認識は無論、我々がSCP-2996に提供した対象の死因に関する情報と、サイト-81における対象の収容との双方に真っ向から対立している。SCP-2996については多数の事実が曖昧なままで、これが対象の不安感を煽り、付随して鬱病や自滅的な思考を招いてしまった。この存在の性質を考えれば、後者こそが最大の懸念である。
- David Rudolph博士
補遺2996.1: 第一回精神鑑定インタビュー 2012/06/05
日付: 2012年6月5日
質問者: David Rudolph博士
回答者: SCP-2996
[ログ開始]
Rudolph博士: こんにちは、SCP-2996、よ―
Rudolph博士の言葉は収容房に突然響き渡った何かを叩く音で遮られる。
Rudolph博士: そうか。さて、私の名はRudolph博士だ。これから君の問題の診断を担当す―
SCP-2996: …あいつと同じクソみたいな世界で生きてる屑野郎いつかあいつを見つけた時みたく喉からお前の心臓引きずり出してお前をぶっ殺してやる…
Rudolph博士: (無言のスピーカーへの身振り) 分かった、SCP-2996、君が検査に応じてくれればお互いに面倒を大きく減らせるだろう。残念だが、今日は用事を済ませられそうもないようだ。君の機嫌が良くなるまで延期するとしよう。
[ログ終了]
補遺2996.2: 精神鑑定インタビュー 2012/07/01
日付: 2012年7月1日
質問者: David Rudolph博士
回答者: SCP-2996
[ログ開始]
Rudolph博士: おはよう、SCP-2996。今日は話せる気分かな?
SCP-2996: (SCP-2996は収容房の角で縮こまっている)お前のような薄汚い舌で不潔な唇を舐め回して喋るヤツとわたしが話したがると思う?(SCP-2996が観察デッキへ向けて唾を吐く)
Rudolph博士: フラストレーションは理解しているよ、SCP-2996。だがしかし、君には協力することを学んでもらわなければならない。誰も君を傷つけようとは思っていない、ただ話をしたいだけなんだ。
SCP-2996: (嘲笑する)わたしは解き放たれた苦痛の霊、お前は死ぬ定めにある生ける魂。話すことなんてない。あいつの命をのたうつ喉から搾り取るその時までわたしは止まらない。
Rudolph博士: SCP-2996、それについてはもう結論が出ている。我々が集めた証拠は明らかに―
SCP-2996: あいつは冷酷にわたしを殺した! わたしを地獄に落とすと言ったのよ! 下らない証拠の話なんか二度と―(SCP-2996が観察デッキの方へ突進、ガラスに衝突する。SCP-2996は動揺を露わにする。)
Rudolph博士: SCP-2996、無効装置をオフにして君を霊的な姿に戻しても構わないが、落ち着いて私と話すことのみが条件だ。
SCP-2996が暴れ出し、収容房中の壁に手足や頭を叩きつける。保安職員が収容房へ入りSCP-2996を鎮静化させる。Rudolph博士はインタビューの終了を指示する。
[ログ終了]
サイト副管理官の注記: 承認が降りるまで、Rudolph博士のサイト-18への転勤が決定した。Angela Kidwell博士がサイト-81にてRudolph博士の進行していたプロジェクトを代理として主導することが仮決定された。
補遺2996.3: 精神鑑定インタビュー 2012/07/28
日付: 2012年7月28日
質問者: Angela Kidwell博士
回答者: SCP-2996
[ログ開始]
Kidwell博士: こんばんは、SCP-2996。私と話がしたいと聞いたけれど?
SCP-2996はゆっくり収容房の中を歩く。
SCP-2996: 訳が分からないわ。どうやってわたしをここに閉じ込めてるの?
Kidwell博士: ええ、我々は変わった装置を2・3使用していて、まず―
SCP-2996: わたしの魂は何物にも縛られない! 理解できない、わたしは復讐するための存在なのに…(SCP-2996の声が次第に小さくなる)
Kidwell博士: ええ…私たちはあなたのような存在を捕らえて収容できる機械を持っているのよ。あなたについてもっと知りたいことがあるの。どこで発生したのか、どうやって存在しているのか。
SCP-2996: でも…わたしは憎悪の魂、そして―
Kidwell博士: …そして我々はあなたを収容した、SCP-2996。私にはあなたのためにある程度の便宜を図る用意がある。けれど、まずはあなたの協力が必要よ。
SCP-2996は黙りこみ、以後質問に応じない。Kidwell博士がインタビューを終了する。
[ログ終了]
担当精神科医の注記: SCP-2996に関する我々の研究は確かに前進していると言えるだろう。被験体は今や対話においても暴力的な傾向を示さず、追加のインタビューの際にはさらなるコミュニケーションに応じる意思もあるようだ。例の問題には触れないように努めるのではなく、むしろありのままに発生するに任せることを提案する。
補遺2996.4: 精神鑑定インタビュー 2012/08/04
日付: 2012年8月4日
質問者: Angela Kidwell博士
回答者: SCP-2996
[ログ開始]
Kidwell博士: 以前も話したけれど、SCP-2996、あなたは収容に対する意見を述べていたわね?
SCP-2996:ただ…憎しみが増してゆくのを感じてた。私の内にはJimmyのやつから命を搾り取ろうとする思いしかなかった、けど…証拠を見たわ、博士。渡されたレポートを読んだの。
Kidwell博士: あなたにとっては本当に難しいことだったでしょうね、SCP-2996。だけど、それこそ我々の研究の目的なの。あなたや、あなたのような存在に、正常な意識を取り戻そうと試みているのよ。
SCP-2996: (SCP-2996はしばらく黙り込む) あなたの言う通りなのかもしれない。多分わたしはただ怒って、混乱していただけで、死んでもその気持ちは治まらなかった。だからこんな、こんな風になってしまったのかも。
Kidwell博士: 今の状態があなたにとって辛いものだということは分かっているわ。だけどこれは大きな一歩で、あなたが選択すべき道だと私は思う。あなたは得難い機会を与えられているの。怒りを過去のものとして、最初からやり直すためのね。
SCP-2996: あなたは… あなたは本当にやり直せると思う?
Kidwell博士: もちろん。
SCP-2996:(微笑んで)わかった。あなたを信じてみる。
[ログ終了]
補遺2996.5: 最終記録 2012/08/28
Kidwell博士及びサイト-81スタッフのカウンセラー助手たちが実施した幾度ものセラピーセッションにより、SCP-2996の暴力的発作の頻度は著しく低下していった。治療を通じて、彼女は彼女の死を取り巻く出来事に折り合いを付けられるようになり、それらを乗り越えて活動することが可能となった。
2012年8月15日、SCP-2996は最後の生理検査を課され、彼女の異常特性はもはや存在しないことが判明した。あらゆる点から見て、SCP-2996は正常な人間の少女であった。
この結果を受けて、2012年8月18日、SCP-2996の"Neutralized"移行が決定された。サイト-81スタッフによって「かつてSCP-2996であった児童を養子縁組を望む家族の下に解放する」旨の申請が監事司令部へ提出されている間、記憶処理の最終工程の用意が為された。当申請はKidwell博士により執筆され、Bishop博士(サイト-81の研究室長)の認証とサイト管理者Aktusの署名を受けた。
2012年8月28日、申請は承認された。Samantha Pendletonと改名された児童は一連の記憶処理を受けた後、財団のフロント組織である養子縁組斡旋団体に身柄を譲り渡された。
特別補遺2996.A: 機密情報 / レベル4 目視に限る
自動化メッセージ
FROM: サイト-81所属の管理職員(サイト-19所属の管理職員経由)
TO: レベル4職員
2016/1/19、自動化された財団システムはこの記録を含むサイト-17のデータ領域内にて発生した幾つかのエラーを報告した。更なる調査によって、この記録の特定箇所に消失、変更、明らかな捏造が発見された。変更に関する情報は改竄、あるいは消失してしまったため、編集元は分かっていない。
著しい相違は以下の通り。
- サイト-81におけるSCP-2996の存在(サイト-19の記録と矛盾)
- Kidwell博士のサイト-81におけるプロジェクトへの配属
- Aktus管理官のそのような実体がサイト-81内に収容されていることについての認識
- "Samantha Pendleton"の存在
これら以外にも事実の食い違いが存在する可能性はあるが、既に起きてしまったセキュリティ侵害の深刻さのために確認は不可能である。職員の記憶が復元データと矛盾することから、関係人物への記憶改竄が行われたものと現在考えられている。
SCP-2996に関するより正確な情報を集めようと、情報復旧チームはこの記録の過去版へのアクセスを試みている。ビデオ監視ログと音声ファイルは主要な財団データアーカイブから削除されており、失われてしまったと見なされている。
職員各位は当記録、またはセキュリティ違反に関するいかなる情報もサイト-81管理職員まで報告されたし。
これはサイト-81からサイト-19を経由して送信された自動化メッセージです。このメッセージの内容を変更しないでください。