SCP-2996-JP
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SCP-2996-JP

アイテム番号: SCP-2996-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 確保済のSCP-2996-JP実例は、電源を切った状態で保管サイト-8125の標準低危険度オブジェクト格納庫へ収容します。新たな実例の捜索が、右記の2段階に大別される手順で行われています。1. 新規の事故物件に対する調査。2. 既知の事故物件に対する、専用の観測法: 対SCP-2996-JP特別観察手順-Gを用いた継続的監視。

前述した対SCP-2996-JP特別観察手順-Gの運用と保守の方法については、Eクラス客員組織: チームE/2996-G.R.の監修に基づいて、適宜更新されます。チームE/2996-G.R.に関する詳細な情報やコンタクト手段に関しては、RAISA-JPデータベースのセキュリティレベルOver3/2996-JPセクションに移行されており、適切な権限を持つ職員のみ、アクセス可能です。

説明: SCP-2996-JPは小型の超音波発信器です。大多数のSCP-2996-JP実例は、2名以上の死亡者を出したいわゆる「事故物件」において、壁の中に埋め込まれた状態で発見されています。

電源の入ったSCP-2996-JPが存在する室内で、レム睡眠を含む睡眠を行った被験者は、起床後、ボクサーのような姿の人物が登場する、次のような夢を見たと話します。

報告される夢の内容: 四方が鏡張りとなった部屋の中で、前述の「ボクサー」は、手当たり次第に、ひたすら鏡を殴り続けています。

この夢の中において、被験者の自己認識は曖昧な状態になっていると考えられています。被験者は、夢における自身の視点は確実にボクサーの視点と同じだったと主張する一方で、この夢について、自身が、殴り続けるボクサーとしての立場と、殴られ続ける鏡(またはボクサーが敵意を向ける何者か)としての立場の両方を同時に体験する夢でもあった、とのように述べます。

夢の中では、鏡がボクサーの打撃に耐え切れずに割れる場面も見られますが、鏡が割れてもその向こうには新たな鏡が現れるだけであり、ボクサーは夢の続く限り、永久的に鏡を殴り続けます。

被験者はこの夢を見ている間、自身がこの作業を少なくとも何十年以上も、(自分が生きてきた時間以上に)繰り返し行い続けているような気分になっていたと報告します。また、「ボクサー」が殴るのを止めない理由(動機)に関して、被験者は、具体的な内容は言語化できないが、非常に激しい処罰と拷問の気配を常に背後から感じていた、とのように説明します。

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Dクラス被験者による「ボクサー」の描写。共通して報告される特徴としては、痩せ型、人種不明、黒ずんだ肌、明らかな[削除済]、苦悶、疲弊、憎悪の表情。

上記の睡眠(レム睡眠以降)を行い始めた被験者は、同時に、体内で内出血を発生させ始めます。ほぼ一定の間隔で、内出血は被験者の肉体における不特定の異なる部位に、新たに発生(増加)し続けます。被験者はそのような状態にもかかわらず、外部から起こされない限り、6~8時間の間、睡眠を継続します。被験者がこの睡眠から自然に起床した場合、被験者の肉体は約1割の部位において内出血が発生している状態となります。適切な治療を受けずにこの睡眠を3回繰り返した場合、被験者はほぼ確実に死亡すると分析されています。

被験者は起床して初めて身体の異常に気付き、その痛みや体調不良、および睡眠中に知覚していた前述の「悪夢」に対し、非常にネガティブな感情を表明します。被験者は夢の中で、鏡としての自分が殴られ、破壊される度に、現実の内出血を遥かに超えるような、激しい苦痛を何度も与えられていたと主張します。


最初のSCP-2996-JP実例は変死事件の捜査中に発見されました。この実例は、電源が入ったままで発見された希少な実例の1つでもあります。確認されている8割以上の事例において、SCP-2996-JP実例は、電源が切られた状態で発見されています。電源が切られたSCP-2996-JP実例は、これまでに上述のような人体への悪影響を示したことはありません。

電源が切られたSCP-2996-JP実例が存在する(および、次に述べる「幻覚」が観測される)物件への長期的な滞在が、居住者の心身に悪影響を及ぼした事例もまた、確認されていません。SCP-2996-JPが一般人に実害を及ぼした事例は、発見される実例の数と比較すると、ごく僅かです。

[編集済]に該当する観測者は、SCP-2996-JP実例の発見された事故物件の内部で、撲殺された死骸の幻覚が視認可能となることを報告しています。確認されている幻覚の外見は、約7割以上が人間型、約2割未満が既知の動物、残りが未知の巨大な有機的形状(推定全長は2 mから100 m超まで様々)となっています。前述の観測者は、小規模なEクラス客員組織であるチームE/2996-G.R.へと分類され、当該チームの協力によって、特別収容プロトコルにおける対SCP-2996-JP専用観察手順-Gが確立されました。

これまでの事例を統合して分析した結果、通常のSCP-2996-JP実例は、第1発見時のような例外を除いて、以下の経緯の中で事故物件に配置され、使用されてきたものと考えられています。

類推されている一般的なSCP-2996-JP実例の配置・使用プロセス:

  1. 物件で死亡者が発生する。
    (物件は通説的な「事故物件」の定義に該当するようになる)
  2. 当該物件の新たな入居者が死亡する。
  3. 当該物件の管理者は新たな入居者の募集を停止する。
  4. 電源の入ったSCP-2996-JP実例が当該物件の壁に埋め込まれる。
  5. 不定の期間が経過する。
    (確認されている限り、この期間には3-4日~数年までの幅が見られる)
  6. SCP-2996-JP実例の電源が切られる。
    (これ以降、前述の「幻覚」が観測可能になると見られている)
  7. 当該物件の管理者は新たな入居者の募集を再開する。
  8. このプロセスを正常に経た(大半の、SCP-2996-JPの電源が入ったままになっていない)
    物件において、以後、不審死の発生は確認されていない。

上記4と6の行動を実施した個人または団体の追跡には成功していません。また、上記3から7に至るまでの各時点における、物件の管理人に対する聞き取り調査からは、有力な情報は得られていません。

なおチームE/2996-G.R.は、電源の入ったSCP-2996-JP実例に対して[削除済]、「実体」は今や、それが認識した精神的、概念的もしくは形而上の存在すべてに対して、激しい復讐心を抱くようになっていると説明しています。


電源の入ったSCP-2996-JPが発する超音波の周波数をヒト(Homo sapiens)の可聴音域内まで下げていくと、特定のフレーズの反復になっていることが判明しました。このフレーズ2996.Aの周波数をある段階まで下げた場合、反復周期は睡眠中の被験者に新たな内出血を発生させる間隔と、ほぼ同一のものとなります。

チームE/2996-G.R.は、このまま無制限にSCP-2996-JPが使われ続ける(フレーズ2996.Aに異常な効力が付与され続ける)場合、更なる[削除済]を招くばかりか、将来的には、一般人が何気なく発したフレーズ2996.Aの構成語句ですら、(恐らくは相互的な)殺傷性を帯びるような事態になりかねない、と(あるいは既に、その影響が現れ始めている可能性がある、とも)警告しています。SCP-2996-JPの背景調査に対するリソースの追加投入が検討されています。

フレーズ2996.Aを平均的なヒトの耳で聞いた場合、「死ね」という言葉の繰り返しとして観測されます。

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