アイテム番号: SCP-3001-JP-EX
オブジェクトクラス: Safe Explained
回収されたSCP-3001-JP-EX-1 |
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特別収容プロトコル: 現在当該オブジェクトに対して特別収容プロトコルは存在していません。SCP-3001-JP-EXは一般社会において排斥される傾向にある化学物質ではあるものの、特別な異常性を持つオブジェクトではありません。
回収された全てのSCP-3001-JP-EXは生物サイト-553の医薬品保管庫に保管されます。当該オブジェクトへのアクセスは除染処理が可能な技術スタッフが待機している場合のみ許可され、アクセスログ及び報告書は48時間以内に施設管理者へ提出されなくてはなりません。
説明: SCP-3001-JP-EXは一般的な製薬会社のパッケージに封入された点滴静脈注射用の薬剤です。
基本的な成分は一般流通されている電解質組成の製剤と同一のものですが、成分にコカノキ由来のアルカロイドを含んでいるにも関わらず、パッケージには麻酔用や一時的な鎮痛効果の用途で使用する説明文はありませんでした。
SCP-3001-JP-EXを投与された生物は一時的な成分内に含有されるコカノキ由来のアルカロイドから推定される睡眠/鎮静期間の1.2倍の意識混濁の後、投与量と投薬時間に比例した記憶の混乱を引き起こします。この記憶の混濁は最大で620時間持続し、その後不規則なフラッシュバックの形で徐々に記憶混濁から回復していくことが確認されています。
また一方でこの薬剤を投与された生物は投与から100~120時間後に肉体に対してコデインを材料にした粗悪な合成デソモルヒネを投与された際と同様の副作用を発露します。主な症状としては投与個所の糜爛、四肢の末端へ血流停止を由来とする筋肉・細胞組織の壊死、脳への血流量減少が要因の思考能力の低下及び各種精神障害などを引き起こし、最悪の場合SCP-3001-JP-EXに対する身体の拒絶反応によりショック死します。
これらの肉体へのダメージはコカノキ由来のアルカロイドによって引き起こされる薬剤の副作用としては本来起きえぬものであり、現状では未検出の異常物質が薬剤に含有されている可能性を示唆しています。
SCP-3001-JP-EXは2008年、エジプト・アラブ共和国とスーダン共和国の国境付近に存在する戦争難民による難民キャンプにおいて行われていたNGO団体██████による医療支援活動の最中に発見されました。エジプト政府の報告によって急行したエージェントによると該当キャンプでは脱水症状や栄養失調を起こして輸液による処置を受けていた患者1328名及び医療支援活動を行っていたスタッフ22名がSCP-3001-JP-EXの症状と思われる症状によって死亡し、832名が副作用による苦痛を訴えている状態でした。財団は即座に生物災害対応能力を有する医療チームを派遣し、カバーストーリー「アウトブレイクの阻止」が適用される事によって付近一帯の封鎖と情報統制が行われました。
押収した納入記録の一部 |
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調査記録UY/2008: SCP-3001-JP-EXの実験を行うに先立って薬剤の製造方法、流通経路を確認する為の調査が行われました。NGO団体の資金帳簿と医薬品の納入記録を押収、これらを調査したところSCP-3001-JP-EXは全てスーダン政府からの好意的な支援による格安の提供という名目で購入されたものでした。
これを受けスーダン政府への確認を行ったところ、NGO団体に対して支援を行ったとする記録と共に該当部署において提供を行ったとする人物の照会が行われました。結果として外務省所属の担当者であるイスマイール・アワダッラー氏が当該記録の作成を行っていたことが確認され、イスマイール氏に対してインタビューが行われました。下記はそのインタビュー記録から抜粋したものです。
インタビュー記録 A-2518
対象: スーダン政府外務省NGO関連事業担当官イスマイール・アラダッター
インタビュワー: エージェント・ラザフォード付記: [このインタビュー内で行われた金銭取引は事前申請の上で予算計上されています。]
<録音開始, [2008/10/11]>
エージェント: さて、今回お呼び立てしたのは先日、エジプトとの国境付近で起きた疫病騒ぎにおいての件です。イスマイール: 米ドルで5000、それと南アフリカへのビザの提供だ、それで話そう
エージェント: 分かりました、お支払いしますので知っている事を話していただけますか?
イスマイール: いいだろう、あの団体に偽物を売りつけたのは私だ。アメリカ政府がレスレクシオン・カルテルを壊滅させたときに処分を委託された粗悪品の水溶性コカインを点滴と偽って売りつけて処分した。
エージェント: 偽物?コカイン?……あのアウトブレイクは単なる粗悪品の麻薬によるものだという事でしょうか?
イスマイール: そうだ、咳止め用のシロップを加工して水増ししたところ、効能の増大と引き換えに副作用が出るって話で、うるさい難民を始末できればと考えたわけだ。水増し分は特殊な試薬を使わないと検出できないそうでね、おかげでバレないと思ったがすぐに訪ねてきたので矛先が向く前にゲロって逃げようという訳だ。
エージェント: つまり、全て政府の自作自演であったという訳でしょうか?
イスマイール: いや、私の汚職だよ。皆手を染めているんだ、私だってその位してもいいだろう。
エージェント: なんてことだ、骨折り損じゃないか。
<録音終了>
イスマイール氏はインタビュー後に記憶処理を受けた上で汚職の容疑で告発され、現在はスーダン国内の政治犯収容所に収監されています。イスマイール氏の証言を裏付けるものとして、スーダン政府より提供された資料より、合衆国より委託されていた合成ドラックの償却記録および医薬品の売買記録の偽造が確認され、当該オブジェクトの異常性は科学的に検証可能である可能性が非常に高いとの見解が為されました。
これによりSCP-3001-JP-EXの科学調査が再度実施され、オピオイド系の合成麻薬、特にジヒドロデオキシモルヒネの検査に行われる特殊な検出薬を用いた成分検査によりオブジェクトの異常性は科学的に証明されました。
当該オブジェクトの副作用は異常なものではなく、コカインと輸液用の薬剤に検出が困難なオピオイド系の合成麻薬を混ぜ合わせた粗悪品のドラックを誤認したものです。当該オブジェクトはサンプルを残し破棄し、付属する調査記録を持ってオブジェクトクラスをExplainedに変更する旨を申請します。
当該オブジェクトの調査資料へのアクセスはセキュリティクリアランス4以上の職員、もしくは3名以上のクラス4の許可を受け一時的な閲覧権限が付与された職員に制限されます