アイテム番号: SCP-3029
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: ペレグリン-14任務の結果から、SCP-3029およびその主星は財団が持ついかなる手段を講じても検出することが不可能になりました。この事実は、関連するすべての宇宙望遠鏡の観測データの改ざんに加え記憶処理を併用することで、民間団体から秘匿しなければばなりません。
元のSCP-3029の特異な観測結果は、民間人の疑念の増大を防ぐため完全に再現されるべきです。
説明: 元の文書からの変更はありません。
補遺1: ペレグリン-14任務
2019年5月30日、民間人によるSCP-3029の発見の可能性が無視できないほど大きくなり、アノマリーの更なる調査に探査チームを派遣しなければならないと、O5評議会は8対5で可決しました。およそ1300光年にわたる行程は時間溝の利用が計画されました。これは8年前のペレグリン-9任務でSCP-3200の探索に利用された機構です。
目的: SCP-3029の性質および創造主に関するデータの収集。可能であれば、効果的な収容方法を確立する。
乗組員: デニス・ペレス、任務指揮官; ジョナサン・ダニエルス研究員、宇宙船エンジニア; エリック・キム研究員、収容スペシャリスト。
フライト詳細: 任務は2019年10月1日から2019年10月22日まで行われます。時間溝を利用した飛行時間は地球からの測定での総任務時間の約2週間分を占め、片道の飛行時間の7日間、乗組員は極低温の睡眠状態クライオとなります。この比較的余裕のある飛行時間は主に地球とSCP-3029間の明確な速度の差を克服するためのものです。
補遺2: ペレグリン-14の音声およびテキストログ
地球日時: 2019年10月8日
[記録開始]
ペレス: よし、動いてるぞ。司令部―
ダニエルス: すげぇ、1,300光年先だってよ。時間溝ってやつはクールだな。
ペレス: 黙っとけ、ダニエルス。-ともかくクライオからはうまく出れたみたいだ。スキップが進行方向に見えてそれで……あー、デカいのはわかってたが頭でわかってることと、こうして地球の軌道よりもデカい太陽電池の隊列を見るのとじゃ訳が違うな。
キム: すごく驚いてることを認めなくちゃいけない。あの怪物を封じ込める何かを考えなきゃいけないみたい。
ペレス: [タイピングする] うわっ、面倒なことになった。監視結果を見ていたんだが……全部落ちてる。このマイクと生命維持装置、あと通信システムだけで残りは全部オフラインだ。
ダニエルス: マジで言ってる?俺たちが起きてるこの30秒の間に全部ブッ壊れやがったのか?リアクターもオフになってるだろうから非常用電源を入れよう。ペレス、シャットダウンしといて。何が悪さしてるのか調べるから。
ペレス: そうだな。今はペレグリン-14をサインオフしておく。
[記録終了]
リアクターが動作しておらず、生命維持装置のみに電源が供給されている場合、ペレグリン-14宇宙船の非常用電源は最低4週間持つはずです。
地球日時: 2019年10月18日
[記録開始]
ペレス: こんにちは、司令部―いつかこれを聞いてくれると思ってる―俺たちはまだ宇宙の真ん中で腐っているけど、でも何でかわかってると思うんだ。
ダニエルス (音声が遠い): 俺たちは構造体から何かしらの妨害を受けてる。
ペレス: そう、ただこのアノマリーの特性なのか、創造主がわざと俺たちにめちゃくちゃしてるのかはわからないけれど、今すぐにどこかに飛んでいけそうもない。
ダニエルス (音声が遠い): マジで変なことが起こってる。何も動かないんだが、原因がわからない。損傷はどこにもないし、ただ……オフになってる。止まってるだけ。場か信号か何かが全部のスイッチを切っちまったんだ。
キム (音声が遠い): 何か僕にできることあるかな。どうにかしてそれをブロックできるかもしれない。
ダニエルス (音声が遠い): やってるよ、この船の中に大量のテレキル合金を積んできただけじゃねぇ。
キム (音声が遠い): あれはそういうものでも、あれに効くようなものでも全くないよ。
ダニエルス (音声が遠い): 悪い、気づかなかったわ。俺はあのクソ恒星系の異常サイズに役に立つものを何も持ってこなかった収容スペシャリストじゃないんでね。
ペレス: やめろお前ら、俺たちはここに仕事に来てるんだ、喧嘩しに来てるんじゃない。司令部、ペレグリン-14は離脱します。ここでの問題が解決できるまで電力を節約しなくちゃいけない。
[記録終了]
個人ログ: ジョナサン・ダニエルス
日時: 2019年10月19日
ドライブ ✔
RCS ✔
センサー ✔
クライオ ✔
時間溝 ✔
俺はこれまで全部の診断をしてきた。すべて機能するはずなのに、なんでか動かない。すべてが何もしてないのに死んでるみたいだ。俺はログの中にいくつか他のおかしなものも見つけた。
コンピュータがクライオを止めちまったから、俺たちは目覚めなかった。3029がコンピュータを止めたから俺たちは目覚めた。ドライブも同じだ。逆推力は噴射されなかった。何もしてないのに止まっちまった。時間溝もそうだった。まずいことになった―この船は少なくともこの300光年の間スキップの支配下にあったことになる。
俺たちは本当は適切な星の周回軌道上にいない。俺たちは停止してる。何かが俺たちを引き止めて、落ちないようにしてる。何かはわからない。
まだ疑問がある。何でシュカドフ・スラスターを作ったんだ。一体どうして誰かさんは恒星系全体を動かす必要があるのか。奴らは特別どこかに行こうとしてるのか、それともただ文字通りどこか別の所へ行きたいだけなんだろうか。
俺は、このくだらんことに時間を割かないようにだけは注意したい。
もうひとつ気にすべきなのは―前に窓の外を見ていて新しいソーラーパネルができるのを見たことだ。それはいきなり黄色い光の中で現れた。どこから来たのかもわからないし、どうやってそこに来たのかもわからない。とにかく現れたんだ。この場所は俺の頭をなんかパニクらせて、そいつは宇宙の真ん中で腐ってる船を助けちゃくれない。
最後については、プランがある。後でペレスに伝えようと思う。
地球日時: 2019年10月20日
[記録開始]
ペレス: よし、何か掴んだぞ。賭けにはなるが、それでもたいしたことだ。
[ペレスは3秒間黙っている]
ペレス: 俺たちは、それがある種の意図的な電波妨害だと考えてる。スキップに信号を送って、交渉してみて、それか……何かしてみる。ぶっちゃけると、あんまりいい案じゃない。
ダニエルス: 通信配列をセットアップした。ほとんど全部の周波数でいつでもメッセージを送れる。待てよ……俺たちが何を伝えればいいのかわかってるか?
キム: 何か簡単なことでいいよ。素数を並べ立ててみて、彼らに賢いところを知らせてやろう。
ペレス: それなら手堅いな。やってみて。
ダニエルス: [タイピングする] 送信を始める。3秒ごとに別の数字を吐かせる。
[10秒間沈黙]
ダニエルス: あー、どんくらいやってればいい?
ペレス: 返事が来るまでかな。
[20秒間沈黙]
ペレス: 時間がかかりそうだ。報告があるまでマイクは止めておくことにする。
[記録終了]
ペレグリン-14からの放送
2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71, 73, 79, 83, 89, 97, エラー: 通信は遠隔から無効にされました。
地球日時: 2019年10月20日
[記録開始]
ペレス: 司令部、こちらペレグリン-14。報告があります、だいたい30秒くらい前か?
ダニエルス: ああ、最初の手がかりは俺たちが交信に失敗したってことだった。何かが俺たちのつまらん数え上げプロジェクトを止めちまったんだ。状況を考えれば、それが何かは明らかなんだが。
キム: 数時間後にはシステム全体が闇夜に駆けてってしまうよ。星もスキップも、何もかも。いなくなる。悲しいかな、僕たちのカメラは僕たちがシステムに入る前からオフラインだったよ。役に立つ収穫はなにもない。
ペレス: ちょっと、それは違うかも、キム。ハードウェアは全部再開したよ、5秒前に。
ダニエルス: それマジ?センサーは何を拾ってる?全部?
ペレス: 重力はある。俺たちにまだ追いついてないのは―光速の遅れだ。数分時間をくれ。多分何が起こったのか理解できるから。
[簡潔さのため10分間の録音は削除]
ペレス: うわっ、なんてことだ。3029が飛んでいった方向から一瞬重力場を観測した。彼らはここから系全体を溝内に入れたみたいだ。
キム: 彼らが時間溝を使えるのかい?
ダニエルス: 実際してるんだから、できるんだろうさ。奴らは俺たちがここにいる間ずっと俺たちをスキャンしてたんだろう。俺らから技術を盗んだんだと思うか?時間溝が使えるのに、どうしてデカい帆みたいなスラスターを作るんだ。
ペレス: わからないけど、それは理にかなってると思うよ。ここで調査すべきことはほとんど残ってないね。もう店じまいして、地球に帰ろう。もうほとんど1週間遅れてる。司令部―ペレグリン-14は離脱します。故郷に帰還します。
[記録終了]
補遺3: SCP-3029の「お別れの」通信
ペレグリン-14の乗組員が地球に帰還した際、宇宙船内のデータバンク中に未確認の送信元からの通信が発見されました。
私たちを助けてくれてありがとう―私たちは光よりも速いものを作らないで、厄災から逃れるためのいい帆を使ってきたんだ。他のみんなは逃げてしまったし、誰も私たちを助けてくれない。
さようなら。次は私たちも結ばれるかもしれないね。
SCP-3029の設計者はペレグリン-14の宇宙船のデータバンクに存在するファイルを用いて、時間溝や英語の知識をリバースエンジニアリングしたと考えられています。ファイル中で述べられている「厄災」の正体は現在のところ不明です。