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プロジェクト・セカンドチャンスは約100万年前への現実転移を一時的に誘発するため計画されています。これは2つの段階により達成されます。
ステージ1: 最低106年を安全にトンネル可能な強化EnhancedシャンクXyank-パラネズPalanez現実Real-時間Temporal転移Shift平衡装置Equalizer(EXPERTISE)を構築します。EXPERTISEは、多数のタイムライン内で緊密に繋がったポイント同士に複数の相互に連絡した裂け目を開くことで、基底タイムラインの因果律を破壊することなく一世紀丸々に渡る大量の情報を不安定ながらも転移させることが可能です。現在の理論によりそのような機器の理論的基礎は立証されています。
ステージ2: EXPERTISEを用い、贈物-7491を原始のヒト科個体群の全てに普及させます。贈物-7491の休眠状態の芽胞から成るペイロードが、北アメリカと肥沃な三角州の淡水を経由するエアロゾルを介して、5000年間に渡り10年おきに散布されます。
ステージ3: [データ破損]
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かつての我々へ、我々の遺した者達へ
次の世界がこのメッセージを受け取れることを願う。
君がこれを読んでいるなら、我々は成功した。恐らくは。分からないが。こちらの科学者連中が言うには感染率は99.999%を超えるだろうということだ。望みを託すに充分だろう。
我々の世界は滅びかけている。私がこの最期のメッセージを、かつては人類の魂であった灯火の灰燼を綴る傍ら、既に我々は終焉に辿り着こうとしている。今や私はどこで我々が失敗したのか分かっている。奇妙なことだとは思わないか?それが我々に世界の終わりを齎し、そして最後に忌々しいほどに明快な事実を遺したのだ。我々は弱すぎた。
いや、弱かったのではない。
自己満足が過ぎていた。
世界は我々にとっては良いものだった。何故あれ以上を望む必要が?
人類は最終的には一つに団結したものの、まだ十分ではなかった。我々は来たるモノを止められなかった。奴は我々の微かな抵抗を灰に、街を煙に、子供達を原子に帰した。
かつての世界の導き手は、今や隠れ家の中で膝を抱えるばかりだ。
私はこの計画を、この最期の一か八かの反抗作戦を認可した。我々が、ある意味で、君達を通じて、生き残ることが出来ることに賭けて。君は今頃新たな人類の希望と共にあることだろう。
恐らく、7491とは何なのか、理解出来た頃かと思う。大した時間は残されていないが、その理由を伝えよう。
君がこれを読んでいる時には、人類はおおよそ形になってからかれこれ25万年ほどで、しかしながら大きな進歩があったのは直近の数千年だけというところか。
では、君達は25万年弱、一体何をしていたのか?君達は理解できないモノに怯え、洞窟の中や小さな焚き火の周りで群がっていた。それは何故太陽が昇るのかを説明することよりも難解な、世界に訪れた無数の人の頭を具えた鳥と岩の謎だった。故に君達は奴らを「神」や「悪魔」と呼び、慈悲を請い、生き残るために祈った。奴らを畏れた。奴らに跪いて暮らし、奴らの踵を穿つ為の矢を鍛えることが出来るようになるまで耐え忍んだ。
我々は皆、旧き物語を知っている。
園の蛇が我々に智識を与えた。その果実は運ばれてきたのではない。我々は力づくで奪ったのだ。
狡知の神が我々に自由を与えた。そして我々は彼さえも打ち倒した。
巨人が我々に火を与えた。我々はそれをお返ししてやった。
時が過ぎるにつれ、奴らの数は逓減し、君達の数は増えていった。我々は革命の数々を畏れによって鍛えられた剣により勝利したのだ。畏れに値するものが減ってゆくにつれ世界はより意味を為すようになっていったが、それでも、まるで宇宙が奇怪と不可能を継ぎ足しているかのように、説明のつかないものが真に無くなることはない。聴こえるか、残響が我々の知覚の際で反響しているのが?我々が智識の海に身を沈めていくにつれ、魚はより大きくなるんだ。
今回、我々は十分に大きな網を造れなかった。我々の経た時間では。我々は準備が出来なかった。
代わりに私は君達に武器を与えよう。死にゆく世界から鍛えられた武器を。
その存在は、それが何であるかはともかくとして、我々がそれ自身を知覚することに弱い。だから奴は突然に来て、我々を速やかに全滅させようとした。我々は数少ない残された生存者の畏れがその速度を遅めることを学び、この最期の、窮余の計画を立てるにギリギリの時間を得た。
これが君達が勝つための方法だ。ずっと君達の肩越しに見つめてくる、君達の畏れが、パラノイアこそが。奴を浜辺に留めることが出来るのはそれだと思う。もしそうでなかったら?その時は君達がかつての我々よりも準備が周到であることを願うばかりだ。
時に贈り物というのは高くつくものだ。畏れは大きなことを成し遂げ、非常に多くの偉業の原動力となる。しかし君達は畏れるべきでないものまで畏れることだろう。無害なものを。避ける必要なんて全くないものを。他の人々さえも。
今、人類は常に畏れの内に生きているだろう。だが君達はそれを我々の生存のために利用するんだ。護ってくれる存在は他には誰もいない。自分たち自身のために立ち上がれ。
残りの人類が光の中に暮らす一方で君達は、彼らが正気で普通の世界に過ごせるように、闇の中に立ち、それと闘い、収容し、公の眼から隠すんだ。
動物は闘争と逃走の能力を持つが、我々は君達に三つ目の選択肢を与えよう。捕食者から逃げる動物もいれば、無為に牙を突き立てようとするものもいる。君達人類は、代わりに檻を造るんだ。
畏れとは勇気の礎Foundationであるとはよく言ったものだ。
我々は君達に畏れを与えた。
足りないなんてことがなければ良いが。I fear it may not be enough.
-首長エスペランザ