E-1261は、以前のインタビューでは開示をためらっていた、カオス・インサージェンシーで過ごした時間について語ることへの意欲を表明した。
kgrimmer: 起きているかい? 他のスタッフが何人か、君にもっと話す意思があると教えてくれた。今はCIプログラムについて話し合うのに都合の良い時間かな?
E-1261: 都合の良い時間なんて無いけど、今は準備できてると思う。もっと沢山思い出せる。
E-1261: どこから始めようか?
kgrimmer: では最初から頼む。
E-1261: 一番最初?
kgrimmer: そう。
E-1261: 分かった。奴らが頭に色々押し込んだせいで、ここはかなり曖昧。
E-1261: 1417年に生まれた。パキスタンの何処か、具体的にはよく分からない。小さな町の近くに住んでた。それほどモダンじゃないけど、父さんが食料品店をやってた程度にはモダンな町。母さんは父さんの手伝いをしてた。3人兄弟。私は末っ子だった。
E-1261: 名前は全然覚えてない。顔さえも。ただ人が存在してたってだけ。
E-1261: 子供時代のことはほとんど何も覚えてない。
E-1261: 一番はっきりしてる記憶は攫われた日。1431年の第七月ラジャブ24日だった。
E-1261: 正確な日付まではっきり覚えてる。私たちは旅行中だった。父さんはいつも東で羊飼いをしてる従兄弟から良い仔羊の肉を仕入れてた。父さんは冷蔵トラックを借りてそれを店まで運んでた。それまで私を一緒に連れて行ったことが無かったけど、あの年はしつこいお願いが聞き入れられた。
E-1261: 父さんはいつも「この旅に女の子の居場所は無い、危険すぎる」って言ってたけど、根負けした。
E-1261: 停車させられた。大したことじゃない。追剥ぎはそう珍しくなかった。控えめな通行料を払えば済む。
E-1261: でも奴らは撃った。父さんのこと。
E-1261: そして兄さんも。私は座席の裏に隠れた。どうしていいか分からなかった。
E-1261: 銃声は止んだ。奴らはトラックを開けた。私を見つけた。
E-1261: 私の頭に袋を被せた。何か乗り物に私を押し込んだ。
E-1261: トラックから降ろされた。多分私みたいなのが100人ぐらい外にいた。ライフルを持った男たちが沢山。1人が奴らから逃げようとして始末された。
E-1261: 私たちは輸送コンテナに詰め込まれた。荒野の真ん中にポツンと立ってる研究所に運ばれた。
E-1261: 部屋の中に何かのガスを吹き込まれた。みんな頭がぼんやりするか気絶した。
E-1261: 病室に運ばれた。何かの薬の混ぜ物でぼんやりしたままにされて、殆ど身動きできなかった。
E-1261: 何週間も過ぎた。みんなはゆっくり、一人ずついなくなった。
E-1261: 長くてモヤモヤした時間だった。何もかもが全部一緒に流れているような感じ。医療処置。単純作業を何度も何度も繰り返した。繰り返しドアを開けたことを覚えてる。でもそれは間違ってると感じた。とても、とても間違ってるって。後になるまで何故なのか気付かなかった。
E-1261: 次に思い出せるのは、すごく違う場所。寒かった。遠く離れた所にある何かの研究施設。
E-1261: 私はある種の戦闘服を着てる。他の皆は一団になってライフルを持ってる。私は違う。私は大振りのナイフを持ってる。
E-1261: 私たちの一団が入口に向かって走り出す。そこにマシンガンか何かを持った男が1人いる。撃ち始める。
E-1261: 誰かがマシンガン男を撃つ。全員が入口に突入する。
E-1261: もっと沢山の銃を持った男。もっと沢山の負傷。死者はいない。それにかなり近い状態のは大勢いる。私の身体は誰かを10回突き刺す。全然激しくない。機械的。まるで日常的にやってる事のように。
E-1261 あの人の顔が、瞬きをする度に目に浮かぶんだ。可哀想なパニクった顔だった。お葬式から帰ってきたばかりみたいに、黒いスーツを着てた。兵士だったとは思わない。彼はやり返そうともしなかった。ただ叫んでた。
E-1261: 私はそれが嫌いだった。殺しは悪いことだ。誰も、私の家族を殺した奴らでさえ、どんな理由でも死んでいいわけが無いと思った。奴らは恐ろしい事をしたけれど、私には罰する権利が無い。
E-1261: もうナイフは使ってない。私の身体は銃を撃ってる男に向かって走る。絞め殺す。
E-1261: 男は私を撃って撃って撃つけど私の身体は離さない。彼の顔は物凄い紫色に変わる。
E-1261: そしてこれが何時間も続く。その日の終わりには、私たちのうち10人ぐらいが倒れていて、かなり深刻な負傷者が沢山いる — 腕は取れているし、そこら中に血が飛んでる。
E-1261: クラッグスが姿を見せる。私は全力を振り絞って動こうとするけど、動けない。クラッグスは何人かの負傷者を選び出す。何かの注射をする。彼らは倒れる。多分死んだ。
E-1261: その後、全てがぼやけて一緒になり始める。より多くの任務。よく多くの死。より多くの傷。
E-1261: チップの故障と何か関係してるんだろうけど、幾つかの出来事は記憶に永久に焼き付けられてる。私が自分で見た悍ましい出来事の総集編みたいに。
E-1261: 自分の杖で刺し殺されたお爺さん。妊婦とソケットレンチの絡む何か。沢山の血と絶叫と泣き声と、吐き気がするようなバリバリって音。
E-1261: それが夢の中で繰り返される。メンタルヘルスの心配はいらない。対処できてる。私は目的を見つけた。
E-1261: どこかの時点で、何かが私の頭の中で弾ける。チップが焼けたんだと思う。何ヶ月か、ひょっとすると何年かで初めて、私は自分を制御できるようになった。私は動こうとして気絶した。私をここに運んだあなたたちの仲間の仕業だと思う。
E-1261: どうすれば私が傷付かないかを探るための数ヶ月が過ぎて、今に至るってわけ。
kgrimmer: 分かった。話をしてくれてありがとう。さっき、目的を見つけたと言ったね? それは一体何だい?
E-1261: うん。私はあの悪魔のクラッグスを殺したい。インプラントの一部はまだ機能してるはず。私の身体が壊れることは無い。
E-1261: 私たちは彼女の遊び道具であって、人間じゃなかった。ただ面白そうだって理由で、バラされて改造されて組み直されて叩き壊される玩具だった。
E-1261: 私が考える限り、あなたたちも彼女に死んでもらいたいはず。銃をくれれば捕まえに行くよ。銃じゃなくてもいい。ナイフ。尖った棒。手榴弾。私は質問しない。真っ直ぐここまで戻ってくるし、私に対してやりたい事は何だってやればいい。
E-1261: あの女がまだ生きてるって言うのが、私がまだ自殺してないたった一つの理由なんだ。