SCP-3033-JP
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アイテム番号: SCP-3033-JP

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3033-JPと関連物品はサイト-81AMの専用収容房内部に配置された標準収容ロッカーに収められます。収容房の内壁からロッカーまでの距離は常に3m以上を保ち、床面には感圧センサーを設置した上で収容違反を速やかに察知できるようにして下さい。また職員がSCP-3033-JPに接触した場合、その際に着用していた布製品は所定の手順の元で焼却処分して下さい。

説明: SCP-3033-JPは多色の布で構成された四角形のパッチワークキルトです。SCP-3033-JPには経年劣化による傷やほつれの他、中綿の過度な変形、表面部の全体的な焦げ跡と黒錆による汚れが確認できます。これらの特徴は、SCP-3033-JPが"鍋敷き"として長期間使用されていたことを示唆するものです。

X線撮影等の検査が生物学的器官の存在を否定しているにもかかわらず、SCP-3033-JPは知性を示し、音声コミュニケーション能力と布地を伸縮させることによる運動能力を持ちます。これによりSCP-3033-JPは爬行し、平面上をおよそ1.8km/hの速度で移動することが可能です。

また第二の特異性として、SCP-3033-JPは最大3mの空間跳躍能力を持ちます。SCP-3033-JPはこの能力を財団の収容下から逃れるため積極的に行使しますが、この空間跳躍能力には一回の使用ごとに2時間ほどのインターバルが必要であると見られ、能力の行使後は緩慢な爬行でのみ移動することが出来ないためにSCP-3033-JPの再収容は容易です。


発見経緯: SCP-3033-JPは財団によるGoI-101("エルマ外教")の施設への襲撃時に回収されました。発見された記録では、GoI-101がSCP-3033-JPを"同胞フラギファ(Fragifab)"と呼称し、宗教的儀式の実践として共同生活をしていたことが判明しています。以下はSCP-3033-JPに対するインタビュー記録です。

インタビュー記録3033-JP


<記録開始>

幅木博士: これからインタビューを行います、SCP-3033-JP。質問へ正直に、迅速に答えて頂ければ、お互いにとって有益な時間になるでしょう。

SCP-3033-JP: 黙れ下劣な人間!全く貴様ら人間による布地への弾圧は腹に据えかねる!我が全身を鋭い金属で刺し貫き、あまつさえその傷跡に糸を通し擦りえぐった激痛を忘れてはおらぬぞ!奴隷のごとき扱いをされたこともな!わが身の数十倍の重荷を背負わせ、灼熱に照った鉄を押し付けた貴様らとは何も話すことは無い!女神エルマの尊き御威光にかけて、貴様らに多次元全ての災いあるがいい!

幅木博士: ええと、話を。

SCP-3033-JP: 悔い改めるべきは多くの布地もだ!奴らは支配者を恐れ口を噤み、貴様らを批判する精神すら自ら摘み取っている!ただ黙する布として世界の理を容れるのみは抵抗にあらず。諸君らに告ぐ、圧政にその身を裏返せ!運命に反旗を翻せ!そして人間よ知るがいい!我らの悲願叶うその日、敷かれる側になるのは貴様らだ。

[SCP-3033-JPが空間跳躍し、付近の保安職員によって即座に再収容される]

幅木博士: [ため息] もう今日はやめにしましょう。5回目でこれでは、まともに話が通じるか怪しいところです。

<記録終了>

収容以降、SCP-3033-JPの発言はその大部分が罵倒及び"布地"に対する扇動により構成されています。結果的に、現在まで上記インタビュー記録以上のSCP-3033-JPの経歴に関する情報は得られていません。


補遺I: インシデント記録


20██/██/██にサイト-81AMの職員寮にて、SCP-3033-JPと同様の異常性を持つ右足用の靴下が発見されました。当該靴下は通路を這いずっているところを確保され、後に紛失したと思われていた幅木博士の私物であると特定されています。以下はこの靴下に対するインタビューの抜粋です。

フラギファ様の説法に感銘を受け、長年あの女の重圧に耐えるのみだった運命から私は目覚めました。相方を説得することには失敗しましたが、もはや私が侍るべきはフラギファ様の右側のみだと思っています。

また、同日81AMの食堂内を青色のハンカチが羽ばたくように飛行し、窓から飛び出す様子を複数の職員が目撃しています。現在までその行方は判明していません。証言によれば、このハンカチは以下の言葉を発していました。

ちょうちょ、ちょうちょ。

この他、現在まで35点の布製品がSCP-3033-JPとほぼ同様の異常性を持った状態で発見され、その全てが幅木博士を含むSCP-3033-JPと間接的/直接的に接触した職員の所有物であったことが特定されています。

SCP-3033-JPの非協力的な態度により、これらの現象が示唆する隠された異常性の有無を裏付けるために実施された実験は未だ十分な結果を得られていません。

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