SCP-3036-JP

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アクセスを記録しました。

ようこそ、エージェント・真川。





アイテム番号: SCP-3036-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 各SCP-3036-JPは腐敗の進行を防止する目的で、防腐処理を施された状態でサイト-8138の冷凍保管庫に収容されています。収容庫内及びSCP-3036-JPの現実性はカント計数機により常時モニタリングされます。1週間に一度、各SCP-3036-JPの腐敗の進行、現在変動能の変化の有無等の点検を実施してください。SCP-3036-JPを用いた試験を実施する際は、クリアランスレベル3以上の職員による監督下で実施してください。SCP-3036-JPへの侵襲性調査については研究監督者による認可が必要です。試験は体液等による汚染等を考慮し財団標準の対生物災害設備が整えられた研究室で実施し、終了後は洗浄と化学的処理を実施してください。

SCP-3036-JP-Aは防腐処理を施した状態でサイト-8138のスクラントン現実錨の備えられた冷凍保管庫に収容されています。収容庫内及びSCP-3036-JP-Aの現実性はカント計数機により常時モニタリングされます。1週間に一度、各SCP-3036-JP-Aの腐敗の進行等の点検を行ってください。

説明: SCP-3036-JPは身元不明な女性の死体の断片です。各SCP-3036-JPは激しく損壊されており、現在までに以下が発見されています。

  • 両乳房及び臓器を除く胸部(SCP-3036-JP-1)
  • 左腕(SCP-3036-JP-2)
  • 右手首(SCP-3036-JP-3)
  • 左手首(SCP-3036-JP-4)
  • 下腹部(SCP-3036-JP-5)
  • 左脚(SCP-3036-JP-6)
  • 頭皮(SCP-3036-JP-7)

状態から、SCP-3036-JPはノコギリ様の刃物、鈍器、プライヤ様の器具等によって死後に損壊されたものと推測されています。SCP-3036-JPの直接の死因は不明であるものの各部の皮下出血、骨折、防御創から刃物等によって生前に加害されていたことが判明しています。

防御創

SCP-3036-JP-4。
手掌中央、小指球の裂傷は防御創と考えられる。

SCP-3036-JPは非常に強力な現実性変動能を有しており、半径約50cm程度の周辺環境中現実性を操作し常に1.04Hmに固定します。この現実性変動能によりSCP-3036-JPは異常な高現実性、低現実性環境への曝露に耐性を有しており、外的な現実改変を無効化することが可能です。現実改変能力を有する実体がSCP-3036-JPの影響範囲に侵入した場合、対象は内部現実性を1.04Hmに固定され、現実改変能力を行使不能に陥ります。SCP-3036-JPの異常性から、生前のSCP-3036-JPは潜在的な現実性操作能力者であった可能性が示唆されています。

SCP-3036-JPの現実性変動能はSCP-3036-JPを由来とする血液、組織液等の滲出液にも観察されます。これらに汚染された物体は流水による洗浄程度で容易に影響を取り除くことが可能ですが、その場合は洗浄に用いた廃水に現実性変動能を保持したSCP-3036-JPが含有されることが確認されます。これらは強酸等による化学的処理、または焼却することで完全に無力化可能であることが確認されています。

SCP-3036-JPは2017年12月6日に東京大学医学部附属病院の遺体保存用冷蔵庫内に収容された状態で発見されました。発見されたのはSCP-3036-JP-1、SCP-3036-JP-2、SCP-3036-JP-3であり、遺体保存用冷蔵庫の同一の棚に並べられていました。同病院にはSCP-3036-JPを遺体保存用冷蔵庫に収容した記録は存在せず、関係者もSCP-3036-JPの存在を認識していませんでした。

警視庁による捜査が行われたものの院内の防犯カメラ映像にSCP-3036-JPを収容した映像等は記録されておらず、SCP-3036-JPが持ち込まれた痕跡は発見できませんでした。SCP-3036-JPの保管状況、他殺を疑われる損傷、及びSCP-3036-JP-1の解剖の痕跡から、警視庁から委嘱を受けた死因・身元調査法に基づいた解剖の対象であった可能性も考えられましたが、警視庁内においてもSCP-3036-JPに関連する記録は存在しませんでした。この事案の発生は警視庁内に潜伏するエージェントによって報告され、直ちに各関係者への記憶処理と情報の隠蔽、偽装工作が成されました。

確保後に実施されたSCP-3036-JPの調査により、SCP-3036-JP周囲50cm程度の環境中現実性が空間中現実性の一般的な範囲の変動を無視して1.04Hmに固定されていることが確認されました。その後に行われたSCP-3036-JPの組織片に対する高/低現実性環境への曝露試験からSCP-3036-JPの異常性が判明しました。

墓碑部門によるDNA解析によりSCP-3036-JP-1、SCP-3036-JP-2、SCP-3036-JP-3が同一のDNAを有することが確認されましたが、財団の保有する遺伝子データベースに合致する人物は存在せず、個人の特定には至りませんでした。表面の付着物の解析により、付着物は火山砕屑物、風成二次堆積物等からなる関東ロームであり、成分的特徴から埼玉県の武蔵野台地を由来とする土壌であると特定されました。この情報を元に、墓碑部門異常調査課が埼玉県武蔵野台地一帯における調査を実施しました。

この調査により埼玉県入間郡毛呂山町の山林の土中からSCP-3036-JP-4、SCP-3036-JP-5、SCP-3036-JP-6、SCP-3036-JP-7が発見されました。また、当該地点周辺からSCP-3036-JPに関連しているものと推測される4点の遺留物と、SCP-3036-JP-Aが発見されました。

以下は発見された遺留物の概要です。



SCP-3036-JP発見現場における遺留物概要

墓碑部門


遺留物1・遺留物2

凶器

遺留物1(上)、遺留物2(下)

刃先を中心としてSCP-3036-JPの体液に汚染されている調理用包丁です。遺留物1及び2の刃の部分からはSCP-3036-JPの血液に加えて1名の人物(SCP-3036-JP-Aと一致)の血液が、柄の部分からは別の人物(人物A)の血液と指紋が検出されています。これら2名分の血液のDNAは財団の保有するDNAデータベースと照合されましたが、一致する人物は確認できませんでした。

人物の特定には至りませんでしたがDNA解析の結果から確認されたDNAはどちらも男性のものであると確認されました。DNAメチル化から推測されるエピゲノム年齢は、SCP-3036-JP-AのDNAが30代前半であり、人物AのDNAは30代後半と推測されています。また、人物AのDNAの対立遺伝子はSCP-3036-JPのものと一致し、人物AとSCP-3036-JPは共通の親を持つ血縁関係者であると推測されています。

遺留物3

遺留品3

遺留物3(一部編集済み)

遺留物1、遺留物2の柄から検出された、SCP-3036-JPと血縁関係にあると推測される人物Aの血液と同様の血液が付着した警察手帳です。遺留物3は警視庁から支給されている現行規格手帳と同一であり、身分証票には身元情報として警部補の階級と真川哲也という氏名、職員番号が記されています。身分証票に偽造の痕跡は発見されていないものの、警視庁内に真川哲也警部補が在籍していた記録はありません。記載されている職員番号についても、異なる人物のものであることが確認されています。

遺留物3にはSCP-3036-JPの血液による汚染が確認されていないものの、SCP-3036-JPの体液に汚染された物品と類似した現実性変動能が確認されています。この現実性変動能はSCP-3036-JPのものと比較すると微弱であるものの、ある程度の高/低現実性への曝露に対する耐性を示します。このことから、人物AはSCP-3036-JPに類似した能力を有する可能性が高いと推測されています。

遺留物4

遺留品4

遺留物4

ICレコーダー(SONY ICD-AX80)です。発見時点では不明な内部構造の破壊によって故障していました。破壊された内部構造には部分的な物質再構築の痕跡が発見されています。記録内容については復元作業が進行中です。

遺留物1、遺留物2の柄から検出されたものと同じ指紋が付着しています。マイク部分に付着した唾液に含まれていたDNAは、遺留物1・遺留物2に付着していた人物Aのものと同一であり、この人物によって使用されていたものと考えられます。また、遺留物3と同様にSCP-3036-JPの血液による汚染が確認されていないものの、SCP-3036-JPの体液に汚染された物品と類似した微弱な現実性変動能が確認されています。

刺創

SCP-3036-JP-A胸部の刺創。包丁による刺創に特徴的な、一方が鋭くもう一方が鈍い創傷が確認できる。

SCP-3036-JP-AはSCP-3036-JP群及び遺留品の付近で発見された、身元不明な成人男性の死体です。SCP-3036-JP-Aは発見時点で死後10日程度の状態にありました。SCP-3036-JP-Aの胴体には5箇所の刺創が存在しており、死因は出血性ショックであると断定されています。各創傷は包丁による刺創に特徴的なものであり、SCP-3036-JP発見現場周辺から回収された遺留物の包丁2本の刃先と創傷が合致します。また、SCP-3036-JP-Aから採取されたDNAは、両包丁の刃先から採取されたDNAと合致しました。これらのことからSCP-3036-JP-Aは人物Aによって、遺留物の包丁で刺殺されたものと推測されています。

頭部CT

SCP-3036-JP-Aの頭部CT。部は顕著な脳構造の異常が観察される箇所。

確保後に行われた調査により、SCP-3036-JP-Aは異常な脳構造を有することが確認されています。SCP-3036-JP-Aの脳構造の異常は大脳全体に観察されるものの特に前頭葉、頭頂葉が顕著であり、先天的な脳血管奇形や既知の皮質異形成とも合致しません。また、これらの脳構造の異常にも関わらずSCP-3036-JP-Aの脳には萎縮や出血、発達不全の兆候は観察されず、生存時には問題なく活動していたものと考えられます。

カント非侵襲性測定-生体内現実性マッピング

カント非侵襲性生体内現実性測定の結果を元に作成されたSCP-3036-JP-A内部現実性マッピングイメージ。通常、死後脳は周辺空間中の現実性と同程度の現実性を示すが、SCP-3036-JP-Aは死後10日程度が経過していた発見時点で明確に高い現実性を示している。

カント非侵襲性生体内現実性測により、SCP-3036-JP-Aの脳は高現実性を有しており、SCP-3036-JP-A頭蓋内の高現実性を示す部分はおおよそ異常な構造を有する部分と合致することが確認されています。

これらのことから、SCP-3036-JP-Aの異常な脳構造は現実性の操作または現実改変に関連した異常なプロセスを経て発達したものであると推測されています。内部現実性が周辺環境中現実性よりも明らかに高い状態にあるという特徴は現実改変者に一般的に観察されるものであり、生前のSCP-3036-JP-Aは現実改変者であった可能性が高いと考えられています。

またSCP-3036-JP-Aは発見時点で死後10日程度が経過していましたが、測定時点で大脳の内部現実性の最高値は1.9Hmを記録していました。通常、死亡以降、現実改変者の内部現実性はある程度低下することが知られており、これは高い現実性を有する存在がより低い現実性の空間に晒された際に高い現実性が低い現実性空間へと流出し、希釈されるためです。SCP-3036-JP-Aの現実性の希釈が死亡時点から開始されたものと仮定しkejelの現実性の法則を用いて生存時点の内部現実性を算定した場合に推定されるSCP-3036-JP-Aの内部現実性は780±30Hm程度です。これは、SCP-3036-JP-Aが極めて強力な現実改変能力を有していた可能性を示唆するものであり、前述の異常な脳構造はこれらの強力な現実改変能力を実現するために最適化されたものである可能性があります。

SCP-3036-JP-Aが現実改変者であった場合、多くの現実改変者と同様に現実改変による外傷に対する復元能力を有していた可能性が高いと考えられています。しかし、SCP-3036-JP-Aの加害に用いられた遺留物の包丁はSCP-3036-JPの体液に汚染されていたためSCP-3036-JP-Aの現実改変を受け付けなかった可能性があり、同様の理由で体液に汚染された創傷も復元できなかったものと推測されます。そのため、SCP-3036-JP-Aを加害したと推測される人物AはSCP-3036-JPの異常性を何らかの形で理解していたものと推測されます。

補遺1: 墓碑部門により、SCP-3036-JP、SCP-3036-JP-A及び人物Aの捜索が行われました。

SCP-3036-JP-Aについて現実改変者であると推測されること、状況から現実改変者の人為的殺害が行われたことが考えられることから、墓碑部門渉外課が日本超常組織平和友好条約機構を通じて世界オカルト連合にSCP-3036-JP-Aに関する部分的な情報を開示し、調査の協力を要請しました。この要請に対し、世界オカルト連合はSCP-3036-JP-Aの可能性のある人物の情報を提示し、現実改変者の可能性があると回答しました。以下は、世界オカルト連合によって提供された情報です。

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外現実ステーション-██-████ ████データベース内から発見された記録に関する報告

ステーション-██-████
PTOLEMY部門


概要

2017年██月██日、外現実ステーション-██-████ ████データベース内からカテゴリ分類されていない破損したデータ群が発見された。これらのデータ群は保護された状態にあり、世界オカルト連合の内部ネットワークに正規の手段で接続していた何者かが残したものであることが示唆された。外現実ステーション-██-████の、基底現実から時空間的に切り離されているという特殊性からこれらのデータ群が何らかの超常的活動に関連している可能性が指摘され、PTOLEMY部門によるデータの復元作業と調査が行われた。

復元作業により、世界オカルト連合の標準脅威存在データベースエントリの様式に則って作成されたファイル(ファイル-01: 2017/██/██)と、同一の人物によって送信されたものと思われる内部ネットワーク電子メールの記録群(ファイル-02: 2017/██/██)が復元された。


復元されたファイル-01: 2017/██/██

KTE-5741-Green



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責任者: ██ ████ (████)
作戦拠点: 極東部門 ステーション-██-████ ████████
顧問: ██████, █████, ████████, ████, ████████████, █████, ███████, ████████



脅威存在データベースエントリ

脅威ID:

KTE-5741-Green — "データ破損"


認可レスポンスレベル:

5 (即時脅威)


データ破損







KTE-5741

概要:

KTE-5741は日本国戸籍制度上データ破損として登録されている成人の日本人男性である。脅威存在には暴行、傷害、略取誘拐、強姦等の前科がありいずれにも常習性が認められていた。過去、日本国司法当局は精神鑑定により当該脅威存在が反社会性パーソナリティ障害であると結論づけていた。当該脅威存在は刑事司法手続を経て日本国厚生省管轄下の医療施設にて入院治療を施されていたが、2017年4月5日に不明な原因により異常特性が突発的に発達し、医療施設から逃走した。データ破損であり、以降は東京都を中心とする関東地方で犯罪行為に及んでいる。

KTE-5741は典型的かつ中程度の現実歪曲能力を有するフェーズ4: "お子様神"の現実歪曲者である。KTE-5741は知覚下、特に視界内の存在に対して中程度の現実歪曲を引き起こすことが出来る。データ破損ら意識的な現実歪曲は知覚下現実に限られるものであり、KTE-5741の能力効果が及ぶ範囲は30m程度であると推測されている。

当該脅威存在は典型的な堕落した現実改変者であり、能力の大部分は自身が特性獲得以降に引き起こした数十〜百数十件の事案の証拠の抹消に費やされている。これらには被害者や目撃者の肉体の抹消、証拠の隠蔽などが含まれるが能力の精度は高いとは言えず、粗雑な改変により多くの痕跡を残している。これらの改変を免れた、または完全には抹消されなかった証拠を基に日本国警察当局は通常捜査でKTE-5741を追っている状況である。異常存在の一般社会露呈が懸念されることから、早急な粛清の実施が求められている。

データ破損

データ破損


粛清方式:

KTE-5741は能力範囲も能力の程度もやや強力ではあるものの典型的な範囲であり、標準的なタイプ・グリーン粛清方式に則った遠距離からの高火力火器による脳の破壊が試みられる。

データ破損

粛清作戦の草稿としては、以下のような概要が用意されている。

データ破損
データ破損対象の現実改変能力を鑑み、非常事態に備えて抗現実歪曲装備を展開する。

データ破損安全を確保しつつ、展開中の排撃班は対象のキルポイント到着を待つ。

4. キルポイントに誘導された対象を対物ライフルにより頭部を狙撃し、頭部及び脳を破壊する。

5. 抗現実歪曲装備要員により対象の死体を収容。死後異常の確認。

6. ██████へと輸送。調査の後、焼却処理。

データ破損

データ破損
データ破損
データ破損

データ破損

ファイル-01: 2017/██/██内に記述されているKTE-5741が世界オカルト連合内脅威存在データベースエントリに登録されていた事実は発見されていない。

記録に記載されていた責任者の██ ████ (████)、顧問の██████、█████、████████、████、████████████、█████、███████、████████についてもこの存在に関する任務に関与していた事実は無く、作戦拠点とされている極東部門 ステーション-██-████ ████████においても指揮、研究、調査が行われた事実は確認できなかった。



復元されたファイル-02: 2017/██/██

電子メール. 1
送信者 "ステインメイカー"(排撃班 A-1253) 受信者 M.ハロルド ステーション-██-████ PTOLEMY部門管理者
件名 未入力
排撃班A-1253所属、ステインメイカー、シリアル番号は42785161/1253、緊急事態につき正規の手続きを無視して連絡します。結論を述べます。A-1253はKTE-5741の粛清に失敗しました。A-1253は作戦計画に則り対物ライフルによる長距離射撃で対象の頭部を破壊しましたがt
電子メール. 2
送信者 "ステインメイカー"(排撃班 A-1253) 受信者 M.ハロルド ステーション-██-████ PTOLEMY部門管理者
件名 未入力
A-1253は作戦計画に則り対物ライフルによる長距離射撃で対象の頭部を破壊しましたが対象は蘇生しました。頭部はおそらく異常なプロセスを経て再生し、復元しました。単純な死後異常ではなく、生存中に外部からの加害を無条件に回復する何らかの能力を発達させていた可能性があります。頭部の完全な再構築を行ってから対象の現実歪曲能力は明らかに強力になりました。具体的には1キロメートル以上の距離に展開していた狙撃手を瞬間的に消滅させました。何が起きたのかはわかりませんが、明らかに影響範囲と現実の歪曲度が増大しています。頭を修復した際に、より現実歪曲に適した形に脳を最適化した可能性があります。
電子メール. 3
送信者 "ステインメイカー"(排撃班データ破損) 受信者 M.ハロルド ステーション-██-████ PTOLEMY部門管理者
件名 未入力
狙撃手を始めとした攻撃要員は対象によって消滅しました。能力が強化された影響だと思いますが消滅させられた要員は単に肉体が跡形もなく消えただけではなく、情報まで網羅的に消えたようです。これは対象の能力が単なる現実歪曲者の域を超えたことを意味します。私は、攻撃後の対象の死体を回収するために展開していました。私は今、データ破損の死体を納める際に使う予定だった固定型抗現実歪曲装備を起動させています。私以外の回収要員もいましたが、今はもう消えたか、消えかかって溶けるか霞んでいるかしています。データ破損は私たちに気が付き、消し去ろうとしています。私がまだ存在できているのは、単に抗現実歪曲装備が近くにあったからです。ですが奴がこちらに近づいてきてより強く能力を行使すれば私もこの装置ごと消えてしまうでしょう。
電子メール. 4
送信者 "データ破損"(排撃班 データ破損) 受信者 M.ハロルド ステーション-██-████ PTOLEMY部門管理者
件名 未入力
このメールを外現実サイトに送ったのは消滅を免れるためです。おそらく、奴の能力は全世界的に作用する域に達している。この世界のどこに送ろうとこのメールはおそらく私たちの存在ごと抹消される。だから現実から隔絶された異空間にあるステーションにこれを送信します。もし奴の能力がそこにまで及ぶのなら、もうお手上げです。でももし届いていて、誰かがこれを発見してくれたのなら気がついてください。奴は粛清を免れ、絶大な能力を得ました。しかも奴は存在を、根底から消し去ることすらやってのけるようです。おそらく、奴に関するデータも、記録も、やつの能力にかかれば一瞬で消えてしまう。やつを野放しにするのは危険です。私たちが消えていくのが無駄にならないように、奴のことを再捕捉してください。
電子メール. 5
送信者 "データ破損"(排撃班データ破損) 受信者 M.ハロルド ステーション-██-████ PTOLEMY部門管理者
件名 未入力
気が付かれました。私の名前はデータ破損。本名です。私は、排撃班データ破損はここにいました。では、私たちの死が無駄にならないことをデータ破損
データ破損
データ破損
データ破損
データ破損
電子メール. 6
送信者 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 受信者 M.ハロルド ステーション-██-████ PTOLEMY部門管理者
件名 未入力
データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損 データ破損
データ破損 データ破損 データ破損 データ破損

ファイル-02: 2017/██/██内に記述されている排撃班A-1253所属の"ステインメイカー"(42785161/1253)とされる人物と合致する人物は世界オカルト連合内で確認されていない。また、排撃班A-1253がKTE-5741の粛清作戦を担当した事実も確認されていない。


これらの情報が敵対的な組織による情報撹乱を目的として意図的にデータベース内に残された可能性について、内部保安チームによって調査が行われているが現在までその痕跡、事実は確認されていない。

外現実ステーション-██-████の「基底現実から隔絶され、保護されている」という特殊性から、これらの情報はファイル-01: 2017/██/██に記録されていたKTE-5741が覚醒した結果、全世界的現実歪曲を引き起こし、情報の抹消を行った結果生じたものである可能性がある。この情報を外現実ステーション-██-████外部へと持ち出した際に抹消されなかったことが確認されており、現在これらの情報が発見されたことを併せて考えるとKTE-5741とされている存在は能力を喪失したか、弱体化、または死亡した可能性が考えられる。一方でこの影響の停止が一時的なものであり、KTE-5741とされている存在が存在し、生存していた場合、世界的な歪曲能力を有する強力な現実歪曲者が何らかの正常性維持機関のコントロール下にない状態で野放しになっている可能性が高く、甚大な脅威となる恐れがある。

内部保安チームによる情報撹乱の可能性の捜査を継続しつつ、事実確認と更なる調査が求められる。

世界オカルト連合は報告内で提示されているファイルの発見時期がSCP-3036-JP-Aの死亡推定日時とおおよそ一致すること、ファイル内で提示されている存在の活動範囲が日本国東京都を中心とする関東地方でありSCP-3036-JP-A発見場所から遠くないこと、連合側の保有する未開示の情報1とSCP-3036-JP-Aの解剖学的一致から報告内で言及されていた存在がSCP-3036-JP-Aと同一であると推測しています。

日本超常組織平和友好条約機構を通じての墓碑部門渉外課と世界オカルト連合による情報共有が行われて以降、警視庁公安部特事課内部でSCP-3036-JP発見現場周辺から回収された警察手帳に記載されていた真川哲也警部補に関する調査の動きが報告されています。具体的な調査内容、及び当該異常存在への特事課の関与は不明であるものの特事課は真川哲也警部補について実在していたことを確実視しているようであり、潜伏しているエージェントによる諜報活動が進行中です。

これらのことから、財団はSCP-3036-JP-Aが世界的な現実改変能力を持った現実改変者であったと断定しました。元来のSCP-3036-JP-Aは一般的な範疇にある現実改変者であったものの、世界オカルト連合による粛清作戦をきっかけとして現実改変能力が強化されたと推測されその後は全世界を対象として自らに関連する情報の抹消を図ったものと推測されます。この情報の抹消により、SCP-3036-JP、SCP-3036-JP-A及び人物A(真川哲也警部補と同一人物であるかは不明)についての情報が失われたものと推測され、抗現実改変能力を有するSCP-3036-JPとその体液に汚染された遺留物のみが改変を免れて残留したものと推測されています。

補遺2: 墓碑部門物理工学課による復元作業が完了し、SCP-3036-JP発見現場から回収されたICレコーダーに記録されていたデータがサルベージされました。以下は、復元された音声記録です。


復元された音声.01

<記録開始>

[擦過音]

[男性の咳払い]

真川氏: …あー。真川。真川哲也。警視庁、警視庁捜査第一課、殺人犯捜査第4係の警部補で。

[咳払い]

[溜息]

真川氏: 頭回んな……。これは…あれ。頭がパッとしないから、つける。うん。多分あいつのせいだ。忘れないように、記録する。…時間が経つごとに体調が悪化してる。あと、記憶も飛んでる。しおりの遺留品は無事だけど、俺の体と持ち物はダメだ。消えそうって言うかな。…うん。この体調のせいで自分の記憶力も落ちてる。このままいけばそのうち今まで俺が調べてきたことも忘れるかもしれない。

[溜息]

[5秒の沈黙]

真川氏: 忘れても思い出せるように、ボイスレコーダーに残す。

真川氏: まずはあれ、えーと。事件のこと。俺の覚えてる限りで。

[咳払い]

真川氏: まず…俺たちは高木って言うやつを追いかけてた。高木、京佑。高木は、関東圏で殺しをやった。連続殺人の…女ばかり狙ったやつで3件の殺しと2件の死体遺棄。高木は強姦と傷害の逮捕歴があったからツラはとっくに割れてた。前に捕まった時に高木が精神障害だって分かって、裁判の後は入院してたんだけど、でもどういうわけかそっから逃げ出しての連続殺人だった。

[擦過音]

[溜息]

真川氏: さっさと、殺しときゃ良かったんだよ。

[擦過音]

[何らかのクリック音]

[深い溜息?]

真川氏: …あいつの殺しはちょっと変だった。証拠がちょっとありえない形で消えてたりした。今思えば…やっぱあいつって最初から超能力あったんじゃねぇかな。多分、公安の裏の方がわざわざ現場まで来て動いてたのもそのせい。でもまぁ、細かいのは見落としてたのか、あったんだけどさ。…それで、まぁ、俺たちは高木を追っかけてたんだ。

[深い溜息?]

真川氏: 俺も追っかけてた。途中までさ。でも、しおりが見つかってから外された。

[深い溜息?]

[5秒の沈黙]

真川氏: 埼玉の山で、手首が見つかったんだ。地元の人がさ、土から飛び出てる指を見つけて通報したんだ。そして埼玉県警が掘り起こしたら、手首が出てきた。

[12秒の沈黙]

真川氏: 生活痕から、生きてる時に切られたのがわかったんだ。それは高木がやったのが確実視されてた別件のやり口と同じだった。姿も目撃されてたし、警視庁と県警との合同捜査になったんだ。それで、それで、一緒に見つかった遺留品から割れたんだ、身元が。

[20秒の沈黙]

真川氏: しおりだったんだ。しおり、俺の、妹の。

[深い溜息?]

真川氏: 俺はさ、しおりと仲悪くてさ。あいつ、都内にいんのに別の部屋に住んでたんだ。あいつ大学生だし、俺たちの親の遺産だって俺の警察学校としおりの大学入学でなくなったし。あいつだって生活苦しいだろうに、わざわざ違う部屋にさ。……そのせいで、何日も前に殺されてんの知らなかったんだ。

[20秒の沈黙]

真川氏: 捜査から外されたよ。遺族だから。でも、納得できなかった。

[深い溜息?]

真川氏: 俺、勝手に一人で捜査みたいなことしてたんだ。それで…しばらくして高木を見つけた。あいつをぶっ殺そうと思ってさ、尾けてたんだ。そしたら…

[鼻をすする音]

真川氏: あいつの頭が突然吹き飛んだんだよ。誰かが…多分警察じゃない。でも、誰かが銃かなんかで吹き飛ばしたみたいだった。高木の頭が粉々になって体が倒れたんだ。

真川氏: でもあいつの頭は寄り集まって、治った。そしてしばらくして、宙を浮いて遠くの方に飛んでいきやがった。バカみたいだよな。俺、自分の頭がおかしくなったのかなって思った。

真川氏: その時になんか、頭がめちゃくちゃ痛くなってきてさ。立ってられなくなって、気失ったんだ。

真川氏: 目が覚めたら、俺の持ち物がほとんど消えてた。服以外ほとんど消えてた。高木もいなかった。しかも、高木の事件に関係したニュースが全部消えてた。多分、あいつの超能力だ。多分、高木が自分に関する報道とか情報とかそういうものを全部消したんだろうな。ネットで調べてもネットニュースも、ツイッターの書き込みも無かったよ。

[深い溜息?]

真川氏: しかも、誰も俺のことを気にしなくなってた。誰かにぶつかってみてもさ、俺に気づきはするんだけど、3秒くらいするとぶつかったことを忘れるんだよな。というか、見えてないみたいな。警視庁に…登庁しても俺に誰も気づかなかった。…それだけじゃなくて、捜査第一課のメンツのほとんどが知らない人間になってた。もちろん誰も俺に気がつかないし、話しかけても聞こえてないみたいだった。俺の席も無くて、別の知らない人の席になってた。

真川氏: 姿のある透明人間っていうかさ、そんな感じ。しかもなんかだんだん体調も悪くなってきたんだ。最初はただ頭が痛いくらいだったんだけど、頭が割れそうっていうか。そんな感じになってきた。その頃から記憶が飛び飛びになったりさ、自分がいる場所が分からなくなったりってのが出てきた。

真川氏: 高木、あいつはさ、多分。なんでも好きなようにできるんだ。全知全能だよ。あいつは自分に関する情報の全てを消しやがった。そして多分、関係者も消したんだろ。第一課のメンツもそれで消えて、違う誰かが代わりに充てがわれたんだろ。ガイシャも消えた。死体も、遺族も消えてた。あいつは多分、自分の事件に関わったやつを徹底的に消しにかかってた。だから俺の体調不良とか記憶が消えていってるのも、多分高木の超能力で消えそうになってんだ。

真川氏: でも俺は消えてない。記憶は怪しくなってるけど、まだ俺は存在してる。これは多分、俺と、しおりの血のせいだ。俺がこのことに気がついたのは鑑識課に入っていって事件の証拠を探した時だった。誰も俺に気が付かないからさ、鑑識課に勝手に入って証拠品確認したんだ。そしたら、しおりの死体と一緒に見つかった包丁だけが残ってた。他のガイシャのは綺麗さっぱり消えてたのに。

真川氏: しおりの血がついたものは消えないみたいだ。そして、俺の血が着いたやつもだ。血というか、体液かな。俺の唾がついたのも消えてないから多分体液。俺たち兄弟だから、二人ともどういう訳かあいつの超能力が効きにくい体質みたいだ。俺の方はじわじわ効いてるけど、少なくともすぐに消えたりはしてない。多分、しおりの死体も残ってるはずだ。司法解剖に回されてたから、多分大学病院の中にまだあるはずだ。……それで、俺は閃いたんだ。妹の血の着いたこの包丁なら高木を殺せるんじゃないかなって。

真川氏: 頭をぶっ飛ばしても死なないのは見てた。でも、高木の超能力が効かない、しおりの血がついてるこの包丁なら高木の超能力を無効化して刺せると思うんだ。あいつは超能力者だ。あらゆる証拠は消されちまったし、そもそも超能力者なんてこの国の法律じゃ裁けねぇだろ。

[深い溜息?]

[何かを擦り付けるような音]

真川氏: だから殺す。

[4秒の沈黙]

真川氏: …頭いてぇ。

[擦過音]

<記録終了>


復元された音声.02

<記録開始>

[大きな溜息]

真川氏: 今いる所は、埼玉の…どこだ。

[擦過音]

真川氏: 毛呂山町の…どっか。…しおりの死体が出たとこの近くにいる。

真川氏: 頭…マジで頭痛てぇ…

真川氏: …えーと。それで、現場の山にいる。そこで高木を待ち伏せしようと思ってる。

真川氏: 県警がしおりの手首を見つけた場所の近く…それで、警察の捜索がされてなかった場所を探してたら死体の一部を見つけた。胴体だったよ。

[大きな溜息]

[20秒の沈黙]

真川氏: …あいつが、高木がしおりの死体をこのままにしておくとは考えにくいと思ってる。何もかも綺麗さっぱり消して回ったやつだ。それに、あいつは元々超能力を持ってるみたいだった。それなら、しおりを殺した時にしおりの血の着いた証拠品を消せないことを知ったはずだ。しおりをこんな山奥に埋めたのも多分そのせいだ。あいつが死体を、それも一度警察に見つかったやつを放置するとは思えない。多分現場に戻ってくる。俺は、残りの間はここで待ち伏せするつもりだ。

真川氏: あいつがここに来たら、俺は包丁で刺し殺す。でも、俺の読みが外れたら、俺はここで誰にも知られずにゆっくり消えてなくなるかもしれない。勝負に持ち込んでも、しおりの包丁が本当に効くか確証はない。そもそも、あいつはほとんど全能の存在だろ。頭がバラバラになっても生き返ったとこを俺は見てる。殺すことも出来るのか分からない。

[4秒の沈黙]

真川氏: 全体的に勝率は低いかも。

真川氏: でも、どうせもう俺は透明人間みたいなもんだし、もうほとんど死んでるようなもんだろ。

真川氏: 好きにやろう。

[擦過音]

<記録終了>


復元された音声.03

<記録開始>

[14秒の沈黙]

真川氏: …頭が痛い。今日は特に……ひどい。

[溜息]

真川氏: ここ最近、ほんと手足に力が入らない。

真川氏: しおりの包丁も死体もしっかり残ってくれてる。多分、高木の超能力に抗う力みたいなのが俺よりも強い。俺はもう、生きてるのかどうなのか分からねぇけど。

真川氏: …何日くらいこの山にいるのか、もうあんまりよく分からない。レコーダーを再生して、ここで俺が何をしてるのかを思い出してる。毎朝、酷いと何時間かに一度やってる。

真川氏: やっぱり、高木の力だろうな。頭痛は止まらないし、さっきは鼻血も出た。ちょっと前には血尿も出た。…何回くらい出たかは覚えてない。俺の脳みそだけじゃなくて、俺の体もしっかり消えようとしてるのかな。このままだと、俺はしおりと違って死体も残らないかも。

真川氏: でも、食い物には困ってない。いつ持ってきたのか覚えてないけど、菓子パンが大量にある。多分、どっかから盗ってきたんだ。財布が手元にないし多分そうだ。透明人間だからそんくらいのことは出来たんだろ。

[4秒の沈黙]

真川氏: 刑事失格だよ。俺は。まぁ、勝手に私刑をしようとしてる時点で、だけど。

[大きな溜息]

真川氏: …もう話すことも、無いな。

<記録終了>


復元された音声.04

<記録開始>

真川氏: …と一緒に行ったのはいつだったけ。母さんが死ぬちょっと前だったかな。俺たち、あの時はまだ仲良かったから。

[鼻をすする音]

真川氏: 今更昔のこと録音しても仕方ないよな。もう、お前は死んでるのに。

真川氏: いつ忘れるんだろうって、俺怖いんだ。今朝、起きた時俺はお前の名前が分からなかった。レコーダーを聞いてお前の名前がしおりだって思い出したんだ。

真川氏: 最低な兄貴だよな。俺は。ごめんな。

真川氏: 俺がもっとしっかりしてれば、俺が、俺がもっとお前のこと気にかけてやってれば、お前も死ななくて済んだかもしれないのにな。

真川氏: あいつはまだ来ない。もう、何日たったかは分からない。数えてないんじゃなくて、覚えてないんだ。来た時のことは覚えてる。でも、所々無いんだ、記憶が。

[7秒の沈黙]

真川氏: 俺も、そっちに行くかもしれない。ごめんな。しおり。

[42秒の沈黙]

[鼻をすする音]

[67秒の沈黙]

<記録終了>


復元された音声.05

<記録開始>

[溜息]

[12秒の沈黙]

[何かを言いかける真川氏の音声]

[89秒の沈黙]

[大きな溜息]

<記録終了>


復元された音声.06

<記録開始>

[真川氏の呼吸音。声を潜めているようである]

真川氏: …当たった。

[真川氏の呼吸音]

真川氏: 来た。あいつが。今、下の方にいる。

[真川氏の呼吸音]

[6秒の沈黙]

真川氏: やっぱり来た。ここに。

真川氏: 俺はやるぞ。やってやる。

[真川氏の呼吸音]

[21秒の沈黙]

真川氏: 俺は、やる。やるぞ。

[激しい擦過音]

[足音]

[真川氏の荒い呼吸音]

真川氏: 高木!

不明な男性: (不明瞭)

[足音]

[真川氏の荒い呼吸音]

真川氏: 俺が、分かるか!

[激しい擦過音]

[高周波音]

[激しい擦過音]

不明な男性: 何。お前。(不明瞭)消えろよ。なんで(不明瞭)。

[不明な音響]

真川氏: お前、お前がやったんだぞ。

不明な男性: 消えねぇんだけど。なんで?

[高周波音]

[データ欠落]

[高周波音]

真川氏: 高木!(判別不能な叫び声)

不明な男性: お前なんで消えねぇ(不明瞭)いいって。死ねよ。

[爆発音?]

[不明な音響]

[連鎖的な破裂音]

[不明な音響]

[高周波]

<記録終了>


復元された音声.07

<記録開始>

[荒い呼吸音]

[210秒の沈黙]

[擦過音]

[息を吸い込む音]

真川氏: やった。

<記録終了>


ICレコーダーの記録者は真川哲也警部補と名乗る人物であり、この人物がSCP-3036-JP-Aを殺害したものであると推定されます。また、記録内容から遺留物から発見されたSCP-3036-JPと血縁関係にある人物Aが真川哲也氏であると推定されます。真川哲也氏にはSCP-3036-JPに類似した抗現実改変能力が存在する可能性が指摘されています。また、この記録内容はSCP-3036-JP-Aが強力な現実改変者であり自身に関する情報を網羅的に抹消したという仮説を裏付けるものです。

真川哲也氏の遺体は発見されておらず、生存している可能性、またはSCP-3036-JP-Aとの戦闘によって何らかの形で発見不能な形となった可能性が考えられています。真川哲也氏が死亡している可能性も視野に入れ、墓碑部門による身元不明者等を対象とした調査が行われます。

補遺3: 2019年6月8日、墓碑部門によって行われた調査により、埼玉県さいたま市浦和駅周辺で真川哲也を自称するホームレスの男性が発見されました。この男性はSCP-3036-JP発見現場から回収された警察手帳に添付されていた顔写真に類似した容貌を有しており、声紋鑑定からもボイスレコーダーに記録されていた真川氏の音声と一致することが認められ、これらの根拠から真川哲也氏本人であると断定されました。回収後に財団で行われた検査から、真川氏にはSCP-3036-JP-Aの現実改変の影響と考えられる存在希釈の兆候と記憶障害、全身性の臓器機能低下が観察されました。また検査によって事前の調査から推測されていた通り、真川哲也氏には軽微な抗現実改変能力が存在することが確認されました。現在、真川氏に対する治療が行われています。

現在の真川氏には現在改変による影響を受けたことによる後遺障害により記憶等に混乱が見られますが、断片的な発言からSCP-3036-JPの身元が真川氏の実妹である真川しおり氏であったこと、SCP-3036-JP-Aの身元が高木京介氏であったことが確認されました。現在墓碑部門により真川氏の供述を基とした、SCP-3036-JP-Aによって抹消された死者及び関係者の特定作業が行われています("SCP-3036-JP-A関連死者の包括リスト 墓碑部門報告"を参照。)。

補遺4: 各種疾患への治療を受けている真川氏は2020年1月6日時点である程度の回復を見せています。真川氏は意識が明瞭となって以降、財団への入団を希望しています。現在、真川哲也氏の処遇についての議論が行われています。

真川哲也氏の抗現実改変能力は財団の管理下に置かれるべきであり、一般社会への解放は検討されていません。真川哲也氏の能力は現実改変影響に対してある程度対抗することができます。また、真川哲也氏は単身での現実改変者の調査、終了に成功しており、超常的存在に関与した調査及び対現実改変者戦闘の実績があります。これらのことから、真川哲也氏の雇用は議論の段階にありますが、人事部門によって職員としての雇用が検討されています。








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