アイテム番号: SCP-3042
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル:
SCP-3042が示す異常な能力の性質上、従来の方法による単独での収容は成功していません。代わりに、SCP-3042が好意を示す個体(SCP-3042-1と指定)の収容に重点を置いています。-ゲルマン博士
SCP-3042とSCP-3042-1は、生物試験エリア-45内のモジュールハウス(収容施設と指定)に収容されています。収容施設には、エリア内の特別連絡要員との秘匿通信回線と、通常の専用のデータキーで作動するガス室が含まれています。施設を中心とした半径15mの区域は、上部が天蓋により完全に覆われた高さ5mの強化電気柵で囲まれています(事件記録3042-CB-3参照)。柵には気密式の出入口があり、物資の安全な搬入、廃棄物の回収、人員の動員が可能です。
柵より外の区域は、全地形型特殊機動部隊3名が常時巡回しています。万が一、SCP-3042とSCP-3042-1が離れた場合は、機動部隊がSCP-3042-1をSCP-3042に引き渡します。試験期間中、被験者の試験サイトへの輸送は、特別逃亡者輸送ユニットの5人以上の職員によって実行されます。
収容施設には、2名の特別職員が配置されています。SCP-3042-1の体調が悪化した場合、職員はSCP-3042-1を拘束し、Dクラス職員(3042-Dと指定)を1人収容施設に移送します。SCP-3042-1は3042-Dによりガス室内で終了され、3042-Dは新たなSCP-3042-1として再分類されます。これらの手順は、現在のSCP-3042-1の要請により実施されることもあります。
説明:
SCP-3042は灰色と茶色の斑をもつ、白い小型犬です。体重は5kg、体高は25cmで、4-5歳のハバニーズに似た外見を有しています。唾液検査の結果、DNAは既知の犬種が有するもののいずれとも異なることが判明しています。SCP-3042は収容以来、睡眠、排泄、食事や水の摂取を行っていませんが、体調は極めて良好で、怪我の痕跡や病気の兆候は一切見られません。当該生物の異常性のため、これ以上の医学的検査は不可能であることが分かっています。
SCP-3042はSCP-484とみられる事案の収容のため行われた、機動部隊カッパ-7による襲撃作戦の際に発見されました。襲撃では、麻薬販売業者に対し致死的な措置がとられました。この時、SCP-3042は特別捜査官 ██████への愛情を示し始め、後を追うようになりました。はじめSCP-3042は異常性を有しないイヌとして認識されていましたが、捜査官 ██████が襲撃作戦から1週間以内に当該生物の異常な行動と能力を報告し、財団により██████は最初のSCP-3042-1に指定されました。
SCP-3042は、極端かつ強迫的な心理的刷り込みに似た行動を示した後、SCP-3042-1に対し過度な愛情行動を永続的に示します。SCP-3042は、虐待されている場合や激しく拒絶されている場合でも、SCP-3042-1に飛びつく、舐める、甘噛みする、ひっかく、吠えてからかうなどの行動をとり続けます。これまでのところ、外部刺激によりSCP-3042の興味をSCP-3042-1から失わせる実験はすべて失敗に終わっています。SCP-3042-1に指定された個体は、その破壊力の高さにもかかわらず、SCP-3042によって重傷を負うことはありません。時折、SCP-3042に長期継続的に舐められることに起因する擦り傷、みみずばれ、皮膚潰瘍などが報告されますが、これらの症状に異常性はないと考えられています。
SCP-3042-1に指定された人物は、収容の間、身体的・心理的な症状(体・目の痛み、慢性的な疲労、過敏症、頭痛、混乱、記憶喪失、妄想、けいれんなど)を報告します。プロジェクトの医療責任者であるイーストモア博士は、これらの症状は、SCP-3042の継続的な愛情行動がもたらす睡眠不足と慢性的なストレスの結果として起こる、非異常性のものだと考えています。
SCP-3042がSCP-3042-1と離れた場合、SCP-3042はただちに直線的なルートで SCP-3042-1のもとに戻ろうとします。この際、SCP-3042は超高速で移動し、あらゆる物質を破壊する能力を示します(テストログ 3042-A参照)。また、SCP-3042は物理的なダメージ、毒、病気、飢えに対して驚異的な耐久力を示します。SCP-3042を傷害する方法は未だ発見されていません。(テストログ 3042-B参照)。
SCP3042-1が終了されると、SCP-3042はただちに次のSCP‐3042‐1に向かって直線的に移動します。このため、以前の収容プロトコルでは、SCP-3042-1の終了措置に一定の責任を負う人物が新たなSCP‐3042‐1となっていました。現在の特別収容プロトコルは、SCP-3042を収容し、財団・民間における死傷者や損害を防ぐと同時に、終了措置について切れ目のない連鎖を作るように設計されています。自殺や不慮の事故によってSCP-3042-1が終了された場合に、SCP-3042がどう反応するかについての研究は、安全な方法が確立されていないため無期限に凍結されています(事件記録 3042-CB-2を参照)。
事件記録 3042-CB-2
注: この事件はSCP-3042の収容初期に発生したものである。この時期の収容はサイトにある標準的な人型実体用収容セルで行われていた。この時点ではSCP-3042の異常性の詳細は不明である。-D.G.
20██/██/██、SCP-3042-1は「…もうこのクソ犬にかまってられるか!」と叫び、終了を要求しました。サイトの責任者によって申請は承認されましたが、SCP-3042がレベル3の耐衝撃ガラスを突き破ったことで初期の終了用の部屋は破壊され、SCP-3042-1の終了が滞りました。これを受けたエージェント ████████の命令により、SCP-3042-1は銃器により終了されました。SCP-3042-1の終了直後、SCP-3042はエージェント ████████に対する刷り込み行動を示し、エージェント ████████のもとへと移動し始めました。その間、SCP-3042は鉄筋コンクリートの壁を2枚貫通し、展望デッキを突き破り、高速移動が原因で発生した衝撃波により第3セクションの窓14個を粉砕しました。その結果、22名の財団職員が負傷、4名が死亡、他の3つのSCPオブジェクトのために二次収容プロトコルが制定されました。エージェント ████████は、長距離用高出力ライフルで SCP-3042を 至近距離から撃ったが、効果はなかったと報告しています。 エージェントは SCP-3042-1 として再分類されました。その後すぐに現在の特別収容プロトコルに改訂されました。
事件記録 3042-CB-2
20██/██ 14:30頃、SCP-3042は収容施設の壁を破壊し、強化電気柵を突き破って、北東方向に猛スピードで移動し始めました。財団の空撮部隊によると、SCP-3042は姿を消すまでの間に最高速度約マッハ1.2を記録しました。収容違反の4分37秒後、サイトは近くの国道██号線にいたエージェント █████から連絡を受けました。エージェントは、財団供給輸送車の運転席側のドアが破壊され、SCP-3042が車と同じスピードで彼の膝に飛び込んできたと報告しました。エージェントはただちにエリア-45に戻るよう命令を受け、それに従いました。調査の結果、エージェントが物資を収容施設に搬入したこと、SCP-3042-1が供給物資に含まれていたビーフジャーキーで窒息死していたことが判明しました。エージェントはSCP-3042-1に再分類され、職員は恒久的に収容施設に配置されることになりました。
事件記録 3042-CB-3
20██/██ 02:45頃、収容施設の職員から、SCP-3042-1が不審な行動をしているとの報告がありました。観測を続けると、SCP-3042-1はSCP-3042を電気柵の外へと投げ出し、自身も外部へと逃亡しました。SCP-3042-1はその後収容施設職員により確保されました。SCP-3042は、着地するとただちに起き上がり、柵に直径約1メートルの穴を開けて、SCP-3042-1のもとへ急いで戻ったと報告されています。SCP-3042-1は電気柵が修理されている間拘束され、3042-Dが収容施設に派遣されました。SCP-3042-1は手順に従って予定通りに終了され、3042-DはSCP-3042-1として再分類されました。柵を覆う天蓋の設置は遅延なく完了しました。
共通手順:
SCP‐3042‐1は、SCP‐3042を壁状の障害物の向こう側へと放り投げます。SCP-3042の障害物へと及ぼす影響はマルチスペクトル超高速カメラによって記録されます。SCP-3042-1と再び接触するまでの時間も同時に記録されます。
ログ.A.3042.001
材質: 炭化タングステン
厚さ: 5cm
結果: SCP-3042は、いわゆる「穴掘り」の動作により、直径0.5mの穴を開けた。
時間: 2.594秒
注記: 採取した壁材のサンプルに異常性は見られない。壁は機械的せん断によって削られたように見える。
ログ.A.3042.010
材質: チョバム・アーマー
厚さ: 5cm
結果: SCP-3042は壁を突き破った。2人の財団職員が榴散弾の破裂で負傷した。
時間: 1.953秒
注記: 採取した壁材のサンプルに異常性は見られない。壁は強烈な鈍力によって破壊されたように見える。
研究者による注記:この2回目のテストは大きな転換点となった。いつもの「ステップアップ」の手順ではなく、最上位の耐久力を持つ素材からテストすることにした。-D.G.
ログ.A.3042.100
材質: グラフェン
厚さ: 15nm
結果: SCP-3042は全てのグラフェンを口内に入れ、噛み千切った。
時間: 2.285秒
注記: 採取した壁材のサンプルに異常性は見られない。グラフェンは綺麗に細断されているように見える。
他のSCPオブジェクトとのクロステストの監督承認、もしくは材料工学における十分な科学的進歩がなされるまでの間、能力に関する試験は無期限に凍結します。-エリア責任者 L.E.
共通手順
SCP-3042にいくつかの健康ストレス因子を与え、その後病気や怪我の有無を検査します。
ログ.B.3042.001
ストレス因子: SCP-3042-1は、最大限の力を込めてSCP-3042を鋼のナタで打つよう指示された。
結果: SCP-3042は動じなかった。ナタは壊れ、SCP-3042-1は軽度の裂傷を負い治療を受けた。SCP-3042に怪我はなく、ナタの残骸に異常性は見られない。
ログ.B.3042.010
ストレス因子: SCP-3042-1は、過圧ホローポイント弾を装填した.45口径拳銃でSCP-3042を狙撃するよう指示された。
結果: SCP-3042は音、閃光、衝撃に動じなかった。研究者の助言に反し、SCP-3042-1は銃口をSCP-3042に押し付け狙撃した。拳銃は壊れ、SCP-3042-1は右手に重症を負い、飛んできたピストルのスライドに打たれ脳震盪を起こした。SCP-3042に怪我はなく、銃器の残骸、射出された薬莢、および回収された弾丸に異常性は見られない。
ログ.B.3042.011
ストレス因子: SCP-3042-1は、標準的なM112 C-4方形爆薬を積んだベストをSCP-3042に着せるよう指示された。その後複合装甲の上にSCP-3042を放出し、直ちに爆薬を爆破させるよう指示した。
結果: SCP-3042は起爆後に装甲を破り、SCP-3042-1のもとに戻った。SCP-3042は毛皮が少し傷ついているが、怪我はないことが確認された。C-4は適切に起爆されたことが確認されている。想定通り、使用した物品(およびその残骸)に異常性は見られない。
ログ.B.3042.100
ストレス因子: SCP-3042-1は終了が予定されている。SCP-3042-1はSCP-3042とともにガス室に入れられる。3042-Dが終了措置をとる。
結果: SCP-3042-1は予定通り終了された。SCP-3042はSCP-3042-1の終了後、ガス室を突き破って出てきた。SCP-3042に損傷は記録されていない。3042-DはただちにSCP-3042-1に再分類された。
エリア責任者の注記:私は特殊技術チームにガス室の改造を依頼しました…こんな言葉を書くとは想像もしていませんでしたが…SCP-3042が迅速かつ容易に脱出できるように。3週間ごとにドアを交換するわけにはいきません。-L.E.
ページリビジョン: 37, 最終更新: 05 Feb 2023 01:06