SCP-3047-JP
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実験時に撮影されたSCP-3047-JP-1

アイテム番号: SCP-3047-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 財団外部におけるSCP-3047-JPの抹消は完了しました。新たにSCP-3047-JPに関連する情報及び資料は財団によって回収・隠蔽されます。

説明: SCP-3047-JPは12世紀初頭のイギリスに起源を持ち、その後数世紀に渡って一部貴族の間で広く利用されていた儀式手順です。

SCP-3047-JPの実行には、宛名の書かれた手紙(対象物と表記)の焼却、粉末状に加工されたナツメグの散布1を含む複数の工程が必要となります。儀式に要求される物品はどれも非異常であり現代において再現性が容易である事から、全工程の詳細はレベル3/3047-JP機密に指定されています。

SCP-3047-JPの全工程を達成すると同時に、焼却された対象物はカワラバト(Columba livia)へと変化します。このカワラバト(SCP-3047-JP-1に指定)は通常のカワラバトと同様の振る舞いを示します。SCP-3047-JP-1は不死性を有しており、いかなる手段を用いたとしても死亡しません。

SCP-3047-JP-1は対象物に書かれた宛名の人物(対象と表記)に向かって飛行による移動を開始します。SCP-3047-JP-1が対象に物理的に接触すると同時に、SCP-3047-JP-1は手紙へと変化します。該当の手紙の内容は焼却以前の対象物と同様です。なお、飛行時にSCP-3047-JP-1を確保し、隔離した場合、対象の存在する方向の壁に向かって体当たりを続けるといった挙動を示します。

また、対象はSCP-3047-JP-1の接近及び到来を不明な原理によって知覚していることが判明しています。

SCP-3047-JPは遠距離通信の手段として発案されたものであるとされています。当時の遠距離通信の手段は伝書鳩や狼煙をはじめとしたものが主流でした。SCP-3047-JPはそれらの手段と比較して、SCP-3047-JP-1が不死性を有している点、手紙の内容が対象以外に漏洩しない点、対象に確実にメッセージを伝えることができる点などで優れていました。

年代が進むにつれて、電信をはじめとした現代的な遠距離通信の手段が発明されていきました。ですが、その有用性から依然としてSCP-3047-JPは使用されていました。使用事例自体は20世紀時点でも確認されています。これに対し財団は関係者に対する記憶処理、関連文書・資料郡の回収を実行し、結果として一般社会からSCP-3047-JPは忘却されることとなりました。


補遺1: 関連性のある異常存在

1992年にイギリス国内で行われた網羅的異常調査の際に、SCP-3047-JPに関連するとされる異常存在(SCP-3047-JP-2に指定)が確認されました。

SCP-3047-JP-2は不死性を有したカワラバトの群れであり、総個体数は21体です。SCP-3047-JP-2はイギリス郊外に存在する墓地の周辺に群がるようにして存在しています。発見後、SCP-3047-JP-2は財団によって確保され、サイト-61に移送されました。

墓地の中にはイギリスの貴族であるジュアン・フォードハム氏が埋葬されています。ジュアン氏の死因は病死とされています。ジュアン氏は生前、友人のイシュメル・ギネス氏とSCP-3047-JPを用いた連絡を取っていたようです。不死性を有している点や、ジュアン氏がSCP-3047-JP使用者だった点から、SCP-3047-JP-2はSCP-3047-JPに由来する存在であるとされています。

ジュアン氏及びイシュメル氏について調査を行ったところ、SCP-3047-JPを用いて送付されたと推測される手紙が複数確認されました。手紙には日時と交流目的の文章が記されていました。しかしながら文章は日時が新しくなるにつれて互いを非難するような内容へと変化しており、このことから両者の関係が悪化していたことが伺えます。最後の手紙はイシュメル氏がジュアン氏に対して送付したものであり、前回の手紙から7ヶ月ほど期限が空いていました。

以下は、内容の転写です。

1256/09/13

親愛なるジュアンへ

貴方を貶し、非難するような文章を書いてしまったことを心から悔いている。言い訳になってしまうが、君のことを信頼し、友人だと思っているからこそ強い言葉を使ってしまった。親しい間柄だからこそ、気を遣い、丁寧に接するべきだということを失念してしまっていたのだ。今更になるが、申し訳ないと思っている。本当にすまなかった。

私は貴方のことをかけがえのない友人だと思っている。もし差し支えなければ、これからも文章での交流を続けていきたい。無論、都合のいい言い分だということは理解している。それでも、私は貴方の友人で在り続けたい。私の人生にとって、貴方は欠けてはならない存在となっているのだ。どうか、こんな私を許してくれないだろうか。

気が向いたらで構わない。嫌なら無視してくれてもいい。

でもどうか、返事をいただけないだろうか。

イシュメル・ギネス

ジュアン氏の邸宅からは、書きかけの手紙が回収されています。イシュメル氏に宛てたものであり、その内容はイシュメル氏への謝罪と交流を続けることに対する肯定文でした。しかしながら、手紙の執筆途中にジュアン氏が死亡したため、手紙はイシュメル氏へと送付されませんでした。なお、イシュメル氏はその後も定期的に手紙を送付していたようです。

現在、SCP-3047-JP-2は収容室の壁に向かって体当たりを繰り返しています。SCP-3047-JP-2の体当たりしている壁の方向に回収場所である墓地が存在していることは特筆すべきです。

後日行われた、財団によるジュアン氏の遺骨との接触実験において、SCP-3047-JP-2は手紙へと変化しませんでした2

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