SCP-3055-JP
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警告: 以下の報告書には認識災害を引き起こすミームが含まれています


このファイルにアクセスする前に必ず文字認識能力制御処理を実行してください。


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    当該処理が正常に実行されました。処理の影響によりSCP-3055-JP以外の文字認識に支障が出る場合がありますが2〜5日程度で回復します。処理を行なった場合でも極低確率でSCP-3055-JPの異常性が発現する可能性があります。万が一報告書内に記載されているSCP-3055-JPの読み方が分かった場合はSCP-3055-JPを発話せずクラスA記憶処理を受けてください。



    アイテム番号: SCP-3055-JP

    オブジェクトクラス: Keter

    特別収容プロトコル: SCP-3055-JPが記録された媒体を扱う際は文字認識能力制御処理を受けてください。SCP-3055-JPの発音方法が分かった場合はその文字を発話しないようにし、クラスA記憶処理を受けてください。

    インターネット上のSCP-3055-JPは財団のwebクローラーにより自動的に検出、削除されます。インターネット上で未発見のSCP-3055-JPが発見された場合はwebクローラーのリストを更新し、テキストデータとして収容用PCに保存してください。物理媒体上のSCP-3055-JPは文字認識システムによって監視し、SCP-3055-JPが記載された媒体が発見された場合は迅速に収容し標準収容ロッカーに保管してください。SCP-3055-JPを発話した民間人、およびSCP-3055-JPの発話を目撃した民間人にはクラスA記憶処理を施してください。

    発音に人体変化を伴わないSCP-3055-JPは発生件数に対して削除、収容対応が追いつかない場合のみカバーストーリーの展開による対応を許可します。

    説明: SCP-3055-JPは現代日本で常用される一般的な日本語に存在しない仮名表記であり、視認した人間に異常現象が発生します。SCP-3055-JPは、一定レベル以上の日本語話者が筆記用具で日本語を筆記した際に自覚なく書いてしまうか、PCやスマートフォンなどにて日本語入力状態で文字を入力した際に低確率で変換される形で発生します。一定レベル以上の日本語話者がSCP-3055-JPを視認すると例えそれが日本語の音韻体系にない音素を表す文字だったとしても前提知識なしにその文字を発話することができるようになります。

    また、SCP-3055-JPの音声実現形として現れる音声が通常の人体構造では調音不可能である場合は、発話の際にその音声が調音可能となるように異常な人体変形が発生します。SCP-3055-JPの発音が異常な人体変形を伴うものであったとしても、話者および聴者はこれを一般的な音素であると認識します。

    研究者覚書: 音素とは「ある言語において話者が"同一の音"として認識している単一の、もしくはグループ化された音声」である。
    例として[m][n][ŋ]を挙げる。[m]は「心配」の「ん」などに見られる下唇と上唇で閉鎖を作り調音する両唇鼻音、[n]は「安泰」の「ん」などに見られる舌端と歯茎で閉鎖を作り調音する歯茎鼻音、[ŋ]は「進学」の「ん」などに見られる後舌と軟口蓋で閉鎖を作り調音する軟口蓋鼻音と、調音方法が全く異なる音だが日本語では全て「ん」と一括りにしている。このように音素とは音を作る仕組みに関係なく似た音のグループを聞く側の感覚で一定の範囲でまとめたものである。
    音素として区別することの十分条件に「二つの音がミニマルペアの関係にある」というものがあり、つまり二つの音を使い分けることで意味が変わるということである。日本語で「番」と言う時の「ん」は[n]でも[ŋ]でも聞き手には同じく「番」として受け取られるが、中国語では「办(bàn/する)」と「傍(bàng/近づく)」のように[n][ŋ]の使い分けで意味が異なる事例が確認できる。
    また[m][n][ŋ]という音を日本語話者が一括りにしているのは中国語話者からすると大きな違和感があるように音をどの程度の範囲で区切るかは言語や文化によってその感覚が大きく異なる。

    SCP-3055-JP発生事例: 文字認識能力制御処理を受けている場合は以下に記載された仮名および調音図を見ても人体変形などの異常性は発生しません。処理を受けた場合でも以下の文字の発話を試みることは控えてください。

    番号 表記 調音図 備考
    SCP-3055-JP-1 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9801.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B301.png 軟口蓋鼻音[ŋ]+円唇後舌中央母音[o̞]で発音される。
    ひらがなの「こ」に半濁点がついた形で表記される。
    アンサイクロペディアの「五色」の項目1において財団が発見した。初めて発見されたSCP-3055-JP実例。日に平均約500件ほど発生する。発生件数の多さと異常性の低さからカバーストーリー「方言」2での対応が認められている。
    SCP-3055-JP-2 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9802.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B302.png 歯茎吸着音[!]+円唇後舌半広母音[ɔ]で発音される。
    「僕のヒーローアカデミア」原稿内のセリフ文中において財団が発見した。週刊少年ジャンプおよびコミックス掲載時には該当箇所は修正されている。これまでに185件の発生が確認されている。
    SCP-3055-JP-3 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9803.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B303.png 後述の球状の器官を衝突させた音+非円唇後舌狭母音[ɯ]で発音される。この文字の発話を試みた者の口腔内に球状の器官が口蓋に二つぶら下がる形で出現し、この器官を打ち鳴らすことで音を発生させる。その後球状の器官は消失する。
    料理レシピサイト・クックパッド上に掲載された「混ぜるだけ♪たけのこの簡単炊き込みご飯」のページにおいて財団が発見した。初めて発見された発音に人体変形を伴うSCP-3055-JP実例。これまでに32件の発生が確認されている。
    SCP-3055-JP-4 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9804.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B304.png 後述の器官を振動させた音+円唇後舌広母音[ɒ]で発音される。この文字の発話を試みた者の口腔内に口蓋と口腔を繋ぐ器官が4〜5本出現。口を大きく開き出現した器官を弦のように強く張り、舌で弾くことにより音を発生させる。その後口蓋と口腔を繋ぐ器官は消失する。
    世田谷区赤堤交番付近に立てられた工事表示板において財団が発見した。これまでに12件の発生が確認されている。
    SCP-3055-JP-5 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9805.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B305.png 磁励音+非円唇前舌半狭母音[e]で発音される。この文字の発話を試みた者は音素を発声するために未知の方法で口内にコイルなどの磁性体を出現させ電流を流す。この時の磁歪で空気を振動させ調音しているものと思われる。その後磁性体は消失する。
    香川県高松市高松北小学校の授業中に同校教師が黒板に筆記した当該文字の異常性に生徒が暴露、財団が発見、収容した。これまでに14件の発生が確認されている。
    SCP-3055-JP-6 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9806.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B306.png スパゲティ等のパスタの咀嚼音+円唇後舌半狭母音[o]で発音される。この文字の発話を試みた者の口腔内にパスタが出現し、この文字を発音するために一回のみ咀嚼、その後パスタは消滅する。パスタはほとんどの場合スパゲティを用いたミートパスタだが、他にスパゲティを用いたアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノやペンネを用いたアラビアータが確認されている。
    日立建機株式会社ホームページのIR情報のページにおいて財団が発見した。これまでに7件の発生が確認されている。
    SCP-3055-JP-7 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9807.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B307.png 後述のミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)の鳴き声に酷似した音+円唇前舌半広母音[œ]で発音される。この文字の発話を試みた者の舌体上にミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)とほぼ同様の構造を持った器官が出現、セミの鳴筋にあたる器官と発振膜にあたる器官が伸縮を繰り返すことで発音し、その音を共鳴させて拡大する。これはセミ科全般の発声方法とほぼ同様である。その後舌体上の器官は消失する。
    朝日新聞デジタルのアート・文芸カテゴリのページにおいて財団が発見した。これまでに5件の発生が確認されている。
    SCP-3055-JP-8 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9808.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B308.png 後述の両唇接近音[β̞]とほぼ同様の音素+非円唇前舌狭母音[i]される。この文字の発話を試みた者の口腔内に人間の頭部のような器官が出現する。人間の頭部のような器官は発話者の人種、性別、年齢に関わらず30〜50歳程度のコーカソイドと見られる男性の風貌で統一される。人間の頭部のような器官は[β̞a]を発音する。その後人間の頭部のような器官は消失する。
    鹿児島県徳之島の自宅で首吊りにより自殺した40代男性の遺書において財団が発見した。これまでに2件の発生が確認されている。
    SCP-3055-JP-9 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9809.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B309.png 調音は確認されておらず無音である。口腔内に変化は見られない。発話者は口を円唇後舌広母音[ɒ]と見られる形に変化させる。
    東京都板橋区仲宿商店街にある店舗のシャッターにある落書きにおいて財団が発見した。以降財団が実験に用いるために描画した以外に発生事例は確認されていない。
    SCP-3055-JP-10 %E3%81%93%E3%82%9A_%E8%A1%A8%E8%A8%9810.png %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B310.png 極小規模な水素ガスの燃焼による爆発音で発音される。この文字の発話を試みた者の口腔内に水素ガスが出現。未知の方法により着火され水素ガスが燃焼、極小規模な爆発が起こる。発生する水素の量は概ね100ml以下と思われ、口腔内に軽傷を負う程度の爆発である。
    SCP-███-JPの報告書において財団が発見した。以降財団が実験に用いるために描画した以外に発生事例は確認されていない。

    補遺1: SCP-3055-JP-10の発話実験中にサイト-8126で想定規模を超える爆発が発生しました。サイト-8126は半壊、職務に当たっていた職員18名の死亡が確認されています。この際、爆心地周辺約70mから高レベルの放射線が検出されたため、当該爆発は核分裂反応によるものだと見られます。

    この事象から、SCP-3055-JP-10は極小規模な水素ガスの燃焼による爆発を表す文字ではなく、水素ガスの燃焼による爆発や核爆発を音素として区別せず爆発全般を表す文字である可能性が指摘されています。SCP-3055-JP-10が示す音素の範囲にどの程度まで含まれているか現時点では予測する術がないため今後SCP-3055-JP-10を発話する実験は禁止されます。

    また先述の通り、文字が表す音素とは一定の範囲の音を心理的に区切ったものであるため、その他のSCP-3055-JPでも現在考えられている音以上に広い範囲を音素として包括している可能性があります。

    補遺2: SCP-3055-JP-2、SCP-3055-JP-9の発話実験中、人体変形を伴わないと思われていたこれらの文字にも口腔内に異常な変形が見られました。

    番号 新たに発見された異常性 調音図
    SCP-3055-JP-2 歯茎吸着音を発生させる際に舌体が口蓋全体を覆うサイズに平たく広がる、もしくは舌体上面に吸盤状の器官が発生し、その状態で舌を歯茎に密着させて調音する事例を確認。舌尖を歯茎に密着させて調音する歯茎吸着音とは音質が異なるが、SCP-3055-JP-2は歯茎吸着音ではなくこれらの音も含めて括った音素を表している可能性がある。 %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B302_1.png%E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B302_2.png
    SCP-3055-JP-9 発話時に様々なパターンの人体変形を確認。舌体が消滅する、口底に直径6cmほどの下顎を貫通する穴が空く、下顎が頭部から分離する、口腔と鼻腔が一体化する、中咽頭の頸椎側に穴が空く、等。全てのパターンで調音は確認できていない。 %E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B309_1.png%E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B309_2.png%E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B309_3.png%E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B309_4.png%E3%81%93%E3%82%9A_%E7%99%BA%E9%9F%B309_5.png

    SCP-3055-JP-9は人体変形のパターンが多岐に渡っておりその範囲が予測できないため不要な発話実験は控えてください。

    補遺3: SCP-3055-JP-1は1350回に渡る発話実験の結果人体変形は確認されておらず、当初の予測通り軟口蓋鼻音を表す文字である可能性が高いと考えられます。そのため今後もカバーストーリー「方言」による対応を継続します。SCP-3055-JP-1を含むSCP-3055-JPがどこまでの音を表す文字なのかを正確に把握することは困難であり、これまでの事例を考えるとSCP-3055-JP-1が異常な人体変形を伴う調音が必要な音を包括している可能性は否定できません。日に500件以上日本国内のどこかに発生し続けるSCP-3055-JP-1を完全に収容することは困難ですが、SCP-3055-JP-1が孕んでいるリスクへの対応は急務であると考え、SCP-3055-JP-1の収容方法の確立の模索を継続します。

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