アイテム番号: SCP-3064-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 通常時のSCP-3064-JPは低危険度物品保管庫に保管してください。毎月1日午前0時に担当研究チーム研究対策チーム"デマゴーグ"が活性化状態のSCP-3064-JPに表示された質問内容を確認し、適切な回答を作成します。作成された回答はレベル3職員の承認を得た上でSCP-3064-JPに入力されます。この作業は表示された期限内であれば、SCP-3064-JPに正答と判定されるまで実行する必要があります。
正答が期限2日前までに入力できなかった場合、質問文から想定されるSCP-3064-JP-Aの出現に備えてSCP-3064-JPを対応可能な実験場へと移送し、適切な機動部隊を配備してください。SCP-3064-JP-Aが出現した場合は速やかに鎮圧し、その危険度に応じた収容房へ収容します。
説明: SCP-3064-JPは一般的な外見の富士通製ノートパソコンです。当該異常は電源に接続されていなくとも継続した稼働をしており、現時点では電源を落とすことはできていません。SCP-3064-JPは高山博士のオフィスで仕事用に使用されていたPCでしたが、2016年5月1日に異常性を突如として発現させました。当該異常の発現と高山博士との関連性は不明です。
SCP-3064-JPの画面(通常時)の再現画像。
通常時のSCP-3064-JPは画面に「これって異常? 博士の異常実体Q&A」という文字を表示させています。この段階のSCP-3064-JPは一切の操作を受け付けないため、中身のデータがどのような状態になっているかは不明です。
SCP-3064-JPの画面(活性化時)の再現画像。質問番号001を基に作成。
SCP-3064-JPは毎月1日午前0時になると画面が変化し、上部に「Q. 『異常実体を目撃した体験談』1。これって異常ですか?」という形式の質問文と、下部に最後尾に「A. 異常ではありません」と記載された回答欄及びタイマーが表示されます。この回答欄はキーボードを用いて入力可能ですが、「異常ではありません」の文字を消去することはできません。これまでの実験により、下部のタイマーは回答までの期限を示していることが判明しています2。
SCP-3064-JPに表示された質問に対して「異常ではない」ことを証明する回答を入力した場合、画面が通常時のものに戻ります。この回答は現時点では不明な基準で正答と誤答を判定しており、誤答が入力された場合にはブザー音と共に入力内容が消去されます。実験により、勘違いや幻覚などの質問者の認識が誤りであるとする回答は誤答と判定されやすく、反対に論文の引用や数値などのデータ、断定形を用いる回答は正答と判定されやすい傾向にあると考えられます。
タイマーが示す期限内に回答を入力できなかった場合、質問文に記載された内容と合致する異常実体(以下SCP-3064-JP-Aと呼称)がSCP-3064-JPの半径10 m以内に出現します。SCP-3064-JP-Aの出現後、SCP-3064-JPの画面は通常時のものに戻ります。
以下は質問内容とそれに対する回答記録の抜粋です。
質問番号: 001
表示日: 2016年5月1日
質問文: 「空を飛び回る人を目撃しました。上空を確認したところヘリコプターや飛行機などで吊るされている様子もありませんでした。雲一つない晴天でしたので間違いないです。これって異常ですか?」
回答: なし
結果: SCP-3064-JPの解析を目的として移送されていたサイト-██にてSCP-3064-JP-Aが出現しました。SCP-3064-JP-Aは時速100 kmで通路を飛行し、1時間後に警備員によって確保されました。このインシデントにより2名の負傷者が発生しました。SCP-3064-JP-Aは人間の男性と類似した外見を持ちますが、後の調査により飛行以外の行動を取らないことが判明しています。現在はSCP-3064-JP-A-1に指定し、標準人型実体収容室に収容しています。
質問番号: 002
表示日: 2016年6月1日
質問文: 「██動物園のふれあい広場でウサギを見ていたら、だんだん大きくなって、キリンの大きさを越えてしまいました。しばらくしたらまた小さくなりました。これって異常ですか?」
回答1: 熱中症による幻覚症状と思われます。異常ではありません。
正否: 誤答
回答2: 動物園のパフォーマンスに使用されたウサギ型バルーンです。異常ではありません。
正否: 誤答
結果: SCP-3064-JPを保管していたサイト敷地内にSCP-3064-JP-Aが出現しました。SCP-3064-JP-Aはサイトのガレージにて体長約10 mの状態で発見されましたが、発見したエージェントが応援を呼ぶまでの間に一般的なウサギサイズに縮小しました。確保後の調査により、SCP-3064-JP-Aは30分毎に大きさを変容させることが判明しています。現在はSCP-3064-JP-A-2に指定し、超大型生物収容ユニットに収容しています。
質問番号: 003
表示日: 2016年7月1日
質問文: 「██公園で遊んでいたら、友達がジャングルジムに閉じ込められました。ジャングルジムから突然手が伸びてきて、友達を捕まえたんです。これって異常ですか?」
回答1: ██公園が位置する███県は夏場の気温が29℃を記録していました。よって熱中症による幻覚症状と思われます。異常ではありません。
正否: 誤答
回答2: 有害金属が使用されていたジャングルジムです。それによって幻覚症状が現れたと思われます。異常ではありません。
正否: 誤答
回答4: ロシアで製造された子供を対象とした捕獲兵器です。異常ではありません。
正否: 誤答
回答6: ██公園が位置する███県は夏場の気温が29℃を記録していました。現実に常温で流体となる水銀が存在しており、水銀のようにジャングルジムに使用されていた金属の融点が29℃以下であった可能性があります。よって日差しによって金属が融けて内部に閉じ込められたのではないでしょうか。異常ではありません。
正否: 誤答
結果: SCP-3064-JPの保管サイトにあるSCP-███-JPの収容室内部にSCP-3064-JP-Aが出現しました。SCP-3064-JP-AはSCP-███-JPの上空に出現してそのまま落下したため、SCP-███-JPは押し潰されてその大部分が破損しました。出動した警備員によってSCP-3064-JP-Aは確保されましたが、その異常性を示すことはありませんでした。これは周囲に子供が存在していなかったことが理由であると推測されています。現在はSCP-3064-JP-A-3に指定し、収容セルに収容しています。
備考: この事例以降、期限の2日前にSCP-3064-JPを実験場へと移送することが決定しました。
質問番号: 006
表示日: 2016年11月1日
質問文: 「██のビーチで遊んでいたら海から頭がサメの人と、複数の人魚が上がって来ました。彼らが突然歌い出すと、ビーチにいた一部の人たちが海に飛び込み始めました。これって異常ですか?」
回答2: 人魚はそもそも生物学的に存在しえない生物です。よって見間違いや幻覚の類いです。異常ではありません。
正否: 誤答
回答4: ██で行われた仮装イベントです。異常ではありません。
正否: なし
回答5: ██で行われた海をテーマにした仮装イベントです。参加者名簿によると48名が参加しており、その内14名が人魚の仮装をしていました。サメ頭に関しては申請内容から推測するとビクトール・クラム3の仮装でしょう。仮装イベントの内容にはサプライズイベントとして歌と躍りも含まれており、飛び込みをした人物も参加者です。異常ではありません。
正否: 正答
結果: SCP-3064-JP-Aは発生しませんでした。この記録が最初の正答事例です。また、回答に使用された仮装イベントは虚偽の情報です。
質問番号: 013
表示日: 2017年6月1日
質問文: 「友だちが手から火の玉を出して、離れたところにある空き缶に当てました。空き缶は溶けてしまいました。これって異常ですか?」
回答12: ノイベル・シュタイン著『静電気と発火現象の関連性及びその威力について』には「静電気によって人体の脂が引火し、空気中の塵が燃料となって火事が起こる事例」が紹介されています。その友人は静電気で手の脂に着火し、空気中の塵を利用することで火の玉を作り出しています。また、静電気によって着火した火は金属に引き寄せられる性質があるため、空き缶に向かって火の玉が飛んで行ったのでしょう。異常ではありません。
正否: 正答
結果: SCP-3064-JP-Aは発生しませんでした。また、回答に使用された情報は全て虚偽のものです。
補遺: これまでの回答記録により、虚偽の情報、あるいは論理的に成立していない内容を根拠とした回答の正答率が高くなる傾向にあることが判明しています。しかし「店のイベント」や「有毒ガスによる幻覚」のような情報量の少ない虚偽情報は正答率が低いことも判明しています。これはSCP-3064-JPが科学的な整合性を判断できず、数値や論文の引用などの権威的な表現を真偽の区別なく重視していることが理由と推測されます。この推測を基に、情報の真偽を問わない"適切な回答"を作成する研究対策チーム"デマゴーグ"が発足されました。"デマゴーグ"発足以降の正答率は上がり続けており、2024年1月には90%を超えると推測されています。









