SCP-3065-JP
評価: +42+x
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アイテム番号: SCP-3065-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-3065-JPは全体を布で覆った状態で低危険度物品収容ロッカーに収容されます。この際、ロッカー内が温度18~22℃、湿度50~60%の範囲に収まるように環境を調整してください。SCP-3065-JPを用いて実験を行う際には搬送中に覆い布が外れてしまうことのないように留意し、実験開始までは表面を下向きにして布を外さないことで偶発的な収容違反を防いでください。

SCP-3065-JPの影響を受けた人物が新規に発見された場合、速やかに調査を行い対象を確保してください。確保した人物にはインタビューを行った後、Aクラス記憶処理を行ってSCP-3065-JPについての記憶を取り除いたうえで解放してください。異常性を目撃した周囲には適切なカバーストーリーを流布してください。

SCP-3065-JPについては東京都新宿駅を中心に定期的な捜索を行い、新規の出現がないことを確認してください。

SCP-3065-JP-A群は全て低危険度物品収容ロッカーに収容されます。未収容のSCP-3065-JP-Aの存在が疑われた場合速やかに調査を実施し、疑いのある物品は全て確保、収容してください。


説明: SCP-3065-JPは男性の左手と、その手背橈側の三角形状のくぼみ(一般的に「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」と呼称される、長母指伸筋腱、短母指伸筋腱、長母指外転筋腱、橈骨茎状突起、第一中手骨、舟状骨、大菱形骨によって構成されている窪み)に2本の紙巻タバコが立て掛けられている様子の描かれた、金色の額縁に入れられている横410mm、縦318mmの1枚の油絵です。

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研究員の左手を用いて写真で内容を再現されたSCP-3065-JP。異常性発現防止のため、紙巻きタバコの代わりにシガリロ1を使用している。

SCP-3065-JPの額縁、用紙、絵の具などの画材は全てKIG画材商社2によって一般に取り扱われている非異常の画材と同じ組成の物質で構成されています。画材の組成からSCP-3065-JPは近年になって描かれたものであると推測されていますが、放射性炭素年代測定を用いた年代測定では約200年前の物質で構成されていると推算されており、正確な製作時期は不明です。また現時点で製作者も特定されていません。

SCP-3065-JPの異常性は、SCP-3065-JP実体の絵画面を視認した際に発揮されます。

SCP-3065-JPの絵画面を視認した人間(以下、「対象」)は、人間の左手の「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」に当たる部位を灰皿であると認識するようになります。この際「対象」の認識する灰皿の外観は「対象」の知識に依存して変化し、また左手と灰皿の関係性についても「対象」によって認識が変化しますが、共通して「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」にあたる部位に対する影響や変化がその灰皿に反映されたように認識します。この影響は「対象」が喫煙を試みたり灰皿の有無について会話をしたりするなど、喫煙について強く意識している際にのみ発生し、それ以外の日常生活において同部位を灰皿として認識することはありません。

この性質上「対象」は喫煙について強く意識した瞬間、自身の左手に灰皿が突然出現したように知覚しますが、「対象」がこれに対して違和感を覚えることはありません。「対象」に対してその認識の異常性を強く指摘した場合、「対象」は一時的にこの異常性を異常として認識できるようになりますが、指摘が継続されなかった場合この効果は次第に失われていきます。

「対象」が同部位を灰皿として使用したために同部位に置かれた灰、吸殻などの物品は「対象」が同部位を灰皿として認識しなくなった際に同時に消失しますが、「対象」が同部位を灰皿と認識するようになると瞬時に再出現します。「対象」が同部位を灰皿として使用したために生じた熱傷や色調変化は灰皿としての認識が終了しても維持されますが、「対象」は自主的にはその変化を認識できず、疼痛の自覚もありません。また「対象」が同部位を灰皿と認識している間、「対象」が同部位に対してこれを触れる・掴む・奪うなどの干渉を行った際、干渉によって生じた結果が「対象」にとって違和感のないよう、触覚や筋力などが異常に変化します。詳細は事案3065-JP-19および事案3065-JP-21を参照してください。

現時点でSCP-3065-JPの影響が自然に失われた例は確認されていません。SCP-3065-JPは軽度の反ミーム特性を有しており、SCP-3065-JPを視認した人間はその詳細な特徴について通常の記憶保持能力に比して異常な速度で忘却していきますが、この忘却によってSCP-3065-JPの影響が減退・消失することはありません。一方で「対象」に対して記憶処理を施しSCP-3065-JPを視認した記憶そのものを完全に取り除くことにより、SCP-3065-JPの影響を失わせることが可能です。

SCP-3065-JP-A群はSCP-3065-JPを撮影、模写あるいは再現することによって作成された複製物の総称です。このとき、紙媒体以外の形式で作成された複製物はSCP-3065-JP-A群には含まれず、紙に直接描画する、画像データを印刷するなどして紙媒体の形式にされたものだけがSCP-3065-JP-A群に含まれます。模写あるいは再現により複製が作成された際、SCP-3065-JP-Aとして異常性を発現するためにSCP-3065-JPとの内容の差異がどの程度まで許容されるかについては現在調査が継続されています。

SCP-3065-JP-A群を視認した人間にはSCP-3065-JPを視認した際とほぼ同様の認識変化が生じますが、SCP-3065-JPとSCP-3065-JP-Aとの間には以下の違いが存在します。

  • 「対象」の認識変化は喫煙についての強い意識とは関係なく、SCP-3065-JP-Aを視認している間のみ発生する。
  • 「対象」の認識している灰皿の耐久性は著しく低下し、「対象」がこれを灰皿として使用した場合、平均して紙巻タバコ1本分程度の使用で「対象」の認識上灰皿が破損する。この際、「対象」の左手の「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」部分の皮膚は全体がIII度熱傷を生じて壊死し、構成している骨は全て粉砕骨折する。
  • SCP-3065-JP-AはSCP-3065-JPの有する反ミーム特性を有さない。

補遺1:
SCP-3065-JPは2024年2月、SNS上で「東京都小金井市の小金井公園に、自分の左手を灰皿にしている人間がいる」との噂が広まっていることを受けて調査が開始されました。

同年2月13日、Agt. 芝久保が同公園へ調査に向かったところ、流布されていた噂通り自身の左手を灰皿として使用している22歳の日本人男性、田無 肇氏(以下、田無氏)を発見したためその場でインタビューを行いました。以下はその際のインタビュー記録です。

インタビュー記録 3065-JP-1 - 日付 2024/02/13 -

対象: 田無 肇

インタビュアー: Agt. 芝久保

<記録開始>

[田無氏は公園内のベンチに座って紙巻タバコ(マールボロ・メンソール・8)を吸っている。タバコを持つ際には必ず右手を用いており、左手は常に母指をそらしたまま胸元に維持して、灰を左手の「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」に落としている]

Agt. 芝久保: どうも初めまして。すみません、少しよろしいですか?

田無氏: え? ああ、はい、なんすか? 

[田無氏は火のついたままのタバコを左手の「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」に置く。同部位には既に2本の吸殻が置かれており、その上に新しく置かれたタバコを含めた3本は物理的に異常なバランスで保たれているように見える。田無氏の同部位はタバコの火によって無数の熱傷を負っているが、気にする素振りは見せていない]

Agt. 芝久保: いえ、ちょっとそのタバコについてお聞きしたいことがありまして。

田無氏: はあ……。ここ、携帯灰皿持ってれば吸ってもいいんすよね?

[田無氏は左手を上下させる。3本のタバコは不明な力によって落下しない]

Agt. 芝久保: ええ、そうみたいですね。その灰皿はどちらで購入されたんですか?

田無氏: これすか? いや、その……実は自分でも知らない内になんか気付いたら持ってたんすよね。あ、いや、盗んだとかじゃないっすよ。本当に気付いたら持ってて、しかもなんかずっと持ってるんす。自分でもよくわからないんすけど、タバコ吸おうとしたら気付いたら手の中にあるっていうか。しかも吸い終わると勝手に消えてるし。

Agt. 芝久保: それはなんとも、不思議な話ですね。

田無氏: いや本当に。まあ、携帯灰皿持ち歩くの地味に面倒だったんで楽になってラッキーって思ってますけど。

[田無氏はAgt. 芝久保の左手に目線を向ける]

田無氏: ……ていうか、お兄さんも同じの持ってるじゃないっすか。

Agt. 芝久保: え? ああ、はは……。あの、先程「知らない内に」と仰ってましたけど、曖昧でもいいのでいつ頃の話か教えていただけませんか? それと、直前に何か変わったことをしたりしていたら教えて頂きたいのですが。

田無氏: そうは言われても……。あー、そうか。

[田無氏は少し考え込む素振りを見せた後、何かを思い出した様子で目を開く]

田無氏: そういえば、最初に気付いたのは新宿から帰ってくる電車の中だった気がしますね。電車座ってたんすけど、ちょっと時間空いちゃったんでふとタバコ吸いたくなって。ただまあもちろん電車の中なんで無理でしたけど、そんなこと考えてたら、気付いたら左手で灰皿持ってたんす。びっくりして、あと電車の中でそんなの出してたら怒られるんですぐしまいましたけど。

Agt. 芝久保: ちなみに、それは何日頃のことでしょうか。

田無氏: ちょっと待ってもらっていいですか?[田無氏はスマートフォンを取り出してカレンダーを眺める]確か2週間前の……そうだ、2月4日っすね。思い出しました、この日新宿でちょっと変なところ入ったんすよ。

Agt. 芝久保: 変なところ、と言うと?

田無氏: いや、新宿歩いてた時なんですけど、なんか絵画展みたいなのをやってるのが急に目について。普段ならそんなの全然興味ないんすけど、なんかその時は凄い気になって、つい入っちゃったんですよ。

Agt. 芝久保: 中はどんな様子でしたか?

田無氏: いやー、それがあんまりよく覚えてないんですよね。絵を一枚……人の手みたいなのを見た覚えはあるんですけど。それ以外はあんまり覚えてないっすね。

Agt. 芝久保: なるほど。ありがとうございます。……最後に、ちなみになんですが、私やあなたの持っている灰皿ってどんなものか、教えてもらってもよろしいでしょうか。

田無氏: え? いや、普通の携帯灰皿ですよね。ポケットサイズで、外は黒くて、中に金属が入ってるやつ。 急にどうしたんすか?

<記録終了>

終了報告書:
インタビュー終了後、Agt. 芝久保は一度帰還して映像の再検討を行いました。再検討の結果、田無氏の言動そのものは異常とは断定できなかったものの、タバコや吸殻、灰が物理法則に反して異常な挙動を示していることから、本件におけるアノマリーの関与が確実とされました。

田無氏は確保され一時収容されましたが、SCP-3065-JPが収容されその異常性が調査されたのち、Aクラス記憶処理を施された上で解放されています。

その後も調査が進められ、田無氏と同様の認識変化が生じている人物を17人発見しました。これらの人物はいずれも2月4日に、田無氏のインタビュー内で存在が示唆されていた「絵画展」および「人間の手の絵画」と同様の存在と接触していたことが判明しました。これらの人物はいずれも一時収容され、のちに田無氏と同様Aクラス記憶処理を施された上で解放されています。

これを受け「絵画展」および「人間の手の絵画」について新宿駅周辺を中心に捜索が進められましたが、発見には至りませんでした。

2024年4月6日、東京都狛江市の喫茶店「やまんば」にて、店員の宮本 美雪(以下、宮本氏)と同喫茶店の客である町野 球磨(以下、町野氏)の間で発生した口論が傷害事件に発展し、付近の交番から巡査が派遣される事案が発生しました。この際、同交番に潜入していた財団エージェントからもたらされた報告により本事案にSCP-3065-JPの関連が疑われたため、Agt. 芝久保が派遣され調査が開始されました(事案3065-JP-19)。

以下はその際の宮本氏に対するインタビュー記録です。

インタビュー記録 3065-JP-19 - 日付 2024/04/06 -

対象: 宮本 美雪

インタビュアー: Agt. 芝久保

付記: 本インタビューは狛江警察署から派遣された刑事による宮本氏に対する事情聴取に偽装する形で行われました。宮本氏はインタビュー時、鼻骨骨折および右眼窩吹き抜け骨折により一部発音が不明瞭であったため、本記録内では音声的に不明瞭であった部分を補足、再現しています。

<記録開始>

Agt. 芝久保: それでは始めます。まずはお名前と年齢、ご職業からお願いします。

宮本氏: えっと……宮本美雪。24歳です。仕事は……その……喫茶店とかで、バイトを。

Agt. 芝久保: はい、それではお話を伺っていきたいと思います。まず「やまんば」ではいつから働かれているのですか?

宮本氏: 昨日から、です。

Agt. 芝久保: 以前は何を?

宮本氏: 特には何も……大学を卒業してからはぶらぶらしてました。

Agt. 芝久保: なるほど。では、町野さんとの間に何があったか教えてください。

宮本氏: はい。その、町野さんが常連だってことは店長から予め聞いてたんです。ただ、店は禁煙なのにいつも中でタバコ吸おうとするから注意してくれって言われてて。それで、いざ町野さんが店に来た時、それを考えてたら……出たんです。

Agt. 芝久保: 出た?

宮本氏: はい。その……灰皿が。最近、私おかしくて。タバコのこと考えてると、人が左手に灰皿を持っているような気がしてくるんです。

Agt. 芝久保: ……なるほど。それはいつ頃からですか?

宮本氏: 2月の……頭くらいだったと思います。

Agt. 芝久保: 灰皿が見えるようになる前、絵画展のようなところで人の手の絵を見ませんでしたか?

宮本氏: はい、見ました。人の手に煙草が乗っている絵。……どうしてそれを?

Agt. 芝久保: いえ、お気になさらず。その灰皿を実際に使ったりしましたか?

宮本氏: 使ってません。最近、禁煙してるんです。彼氏がタバコ吸うなっていうから。でもタバコ吸わないでいると、余計に意識しちゃうことが多くって。

Agt. 芝久保: なるほど。ところで、その後なぜトラブルになってしまったのでしょうか?

宮本氏: その、灰皿が見えているのは自分の気のせいだってわかってたはずなんですけど……どうしても気になってしまって、一瞬気を抜いた瞬間につい灰皿を掴んで、持ち込まないで下さいって言ってしまって。それで、自分ではそんなに強く掴んだつもりはなかったんですが、かなり強く掴んでしまっていたみたいで。

Agt. 芝久保: 町野氏は第一中手骨を粉砕骨折していますね。

宮本氏: 自分のどこにそんな力があったのか、わからないんですけど……。

Agt. 芝久保: わかりました。事情聴取はこれで終了とします。

<記録終了>

終了報告書:
町野氏にはカバーストーリー「被害者の精神症状による幻覚」が適応され、財団管理下の病院で治療を受けた後に解放されました。

宮本氏は財団管理下の病院で治療を受けた後、田無氏と同様に一時収容されました。

本事案を受け、「絵画展」および「人間の手の絵画」の捜索体制が強化されましたが、依然発見には至りませんでした。また3月以降SCP-3065-JPの影響を受けたと考えられる人物の報告頻度は極端に減少しており、5月20日までに報告されたのは本事案を含め2例のみでした。

2024年5月21日、東京都文京区の不動産会社社長、今村 瞳氏(以下、今村氏)から「研修中の新人の指をちぎり落としてしまった」との緊急通報が発信されました。指令を受けた付近の交番の巡査が現場へ調査に向かったところ、発信地点となったオフィスの一室で左手を抑えてうずくまる鉢山 結城氏(以下、鉢山氏)と部屋の隅に座り込んで頭を抱えている今村氏を発見しました。鉢山氏の母指は第一中手骨が露出するように付け根から千切られており、千切られた母指は部屋の中央に放置されていました。鉢山氏の左手からは拍動性の出血が継続しており、速やかに近隣の病院へ救急搬送されました。その後状況の異常性から本事案は財団の管理下におかれ(事案3065-JP-21)、今村氏はAgt. 芝久保によって確保されました。

インタビュー記録 3065-JP-21 - 日付 2024/05/20 -

対象: 今村 瞳

インタビュアー: Agt. 芝久保

付記: インタビューは事件現場で身柄を拘束された今村氏に対する事情聴取に偽装する形で行われました。確保当時、今村氏は精神的な動揺のため良好な回答が得られる状態ではなかったため、少量の精神安定剤を投与したのちにインタビューが行われました。

<記録開始>

[Agt. 芝久保と今村氏は平坂警察署内の取調室で机を挟んで向かい合って座っている。今村氏は頻繁に鼻をすすり、ハンカチで目元を拭う仕草を見せている]

Agt. 芝久保: さて、今村さん。ご気分はいかがでしょうか。

今村氏: ……はい。少し落ち着きました。取り乱してしまってすみません。

Agt. 芝久保: そうですか。では、何があったのか詳しく教えてください。

今村氏: えっと……どこから話せばよいでしょうか。

Agt. 芝久保: そうですね、ではまず、今日は鉢山さんと何をされていたのですか?

今村氏: はい、今日はその、新人研修というか……。彼、今年に入社したばかりの新人なので。

Agt. 芝久保: なるほど。確かにこちらでもそう確認しています。

今村氏: ええ。それで、その……。ええと、なんと言ったらいいか……。

Agt. 芝久保: どんな内容でも構いませんよ。

今村氏: はい、あの……急に何の話だと思われるかもしれないのですが……研修中に、急にタバコを吸いたくなってしまって。

Agt. 芝久保: タバコですか。普段から吸われるのですか?

今村氏: いえ、10年ほど前に息子を妊娠して以来禁煙してたんです。ただ、その……あんなことをしておいて、こんなこと言う資格は無いんですけど……研修中、彼にイライラしてしまって。彼、要領が悪いんです。同じことを何回言っても覚えないし、こっちが忍耐強く教え直してもまるで響いていない感じで、生返事をするばかりで。今日も、もう20回は言ったことをまた教えてたんですけど、聞いてるんだか聞いてないんだか……。

Agt. 芝久保: それで、彼の指を?

今村氏: まさか、まさか! そんなことするわけないじゃないですか! ……いや、したんですけど……。違うんです。その、それでタバコを吸いたくなった時に……。

Agt. 芝久保: もしかして、鉢山さんが灰皿を持っているように見えたのではないですか?

今村氏: えっ? そ、そうです。どうしてそれを?

Agt. 芝久保: いえ。……続けてください。

今村氏: は、はい。それで仰った通り、急に彼が灰皿を持っているように見えて……。物凄く腹が立ってしまって。今考えれば、それまで持っていなかった灰皿を急に持っているなんてありえない話なんですけど。あの時はどうしてかそんなこと考えられなくて、イライラして……。それで、灰皿を掴んだんです。なぜだか、灰皿のガラスの感触もしっかりあって。

Agt. 芝久保: ガラスの感触……今村さんにはガラス製の灰皿が見えていたのですか。

今村氏: ええ、ええ……。それで、灰皿を掴んで「置きなさい!」って。でも放さなかったから、私自分で灰皿を彼の手から奪って……でも灰皿は灰皿じゃなくって……指が……指が……。

[今村氏は言葉の途中から震えだし、空を見つめるようになる。Agt. 芝久保とは視線が合わず、何かに怯えるように目を見開いている]

Agt. 芝久保: 今村さん? 落ち着いてください、今村さん!
[今村氏が呼びかけに応答できない状態となったため、Agt. 芝久保により少量の精神安定剤を追加投与する。今村氏は視線を空にさまよわせ身体を震わせていたが、次第に落ち着きAgt. 芝久保と視線が合うようになる]

Agt. 芝久保: 落ち着きましたか、今村さん。

今村氏: はい、ええ……多少は……。

Agt. 芝久保: わかりました。質問はこれで最後にしましょう。2月4日頃、絵画展のようなところに行きませんでしたか?

今村氏: え? ……ああ、そういえば行った気がします。中でその……人間の……どこだったか、一部分が書かれたような絵を見たことくらいしか覚えていないんですけど。

Agt. 芝久保: わかりました。事情聴取はこれで終了とします。

<記録終了>

終了報告書:
今村氏もその後田無氏、宮本氏と同様に一時収容され、現在はAクラス記憶処理を施行され解放されています。

鉢山氏は財団管理下の病院で母指再接着術を施行され、術後の経過は良好でした。術後のインタビューでは今村氏の供述と同様の内容を聴取したため、Aクラス記憶処理を施したうえでカバーストーリー「シュレッダーによる母指切断とショックによる解離性健忘」が適応され、解放されました。

本事案発生後、7月12日までに他のSCP-3065-JPが関連する事案は報告されませんでした。

2024年7月13日、東京都港区の民家から救急要請があり、元会社役員の友道 萩氏(以下、友道氏)が同区内の浜町公園病院救急外来に搬送されました。友道氏は来院時40.2℃の高熱と敗血症に伴うショック状態を呈しており、外来で速やかに補液投与と抗菌薬投与をはじめとする治療が行われましたが、同日中に死亡が確認されました。友道氏が敗血症に至った原因として、左手母指基部のIII度熱傷部位からの細菌感染が疑われました。熱傷周囲の状況からこの熱傷は同部位の皮膚に煙草の火を繰り返し押し当てたことにより形成されたものと考えられたため、院内に潜入していたフィールドエージェントよりSCP-3065-JP担当研究員に本事案が報告されました(事案3065-JP-22)。

報告を受けAgt. 芝久保が友道氏の自宅を調査したところ、同宅に居住していた友道氏の妻、長男、義娘、孫もSCP-3065-JPの影響を受けていたことが判明しました。これを受けて同宅内の捜索が行われた結果、以前よりインタビューで存在が示唆されていた「人間の手の絵画」であることを疑わせる油絵が発見されました。その後、同物品を視認したエージェントや研究員に以前からインタビューで判明していた異常性が出現したことから同物品がSCP-3065-JPであると判断され、収容されました。その後の同居家族に対するインタビューにより、友道氏が2月4日にこの絵画を購入したと話していたことが判明しました。

事案3065-JP-22発生後、東京都市圏各地の病院で同様の熱傷および血症性ショックを呈して死亡した例が13件報告されました。報告された事例で死亡した人物はいずれも現在身寄りがなく、他者との定期的な交流を持たなかったことが判明しました。この性質から、報告された事例ではいずれも発見時には既に心肺停止状態となっていました。死亡した人物のうち、自身の行動を何らかの形で記録していた者については全員が2月4日に「絵画展」および「人間の手の絵画」を視認していたことが確認されました。

2024年8月12日に最終事案が報告されて以降、2024年末まで新規のSCP-3065-JPが関連した事案は報告されませんでした。


補遺2:
SCP-3065-JP関連事案発生頻度の経時的変化について、中出博士より以下の考察がなされています。

SCP-3065-JP関連事案の発生時期には大きく分けて3つの段階がありました。すなわち、事案3065-JP-1から3065-JP-18までの第I期、事案3065-JP-19から3065-JP-21までの第II期、事案3065-JP-22から3065-JP-35までの第III期です。これら3つの段階は発生した時期的な違いのほか、明らかにそれぞれが異なる性質を有しています。

第I期の特徴として、発見経緯や事例が非常に単純であることが挙げられます。事案3065-JP-1がその代表例ですが、単純に自身の左手を灰皿として使っていることが周囲から不審がられ、話題になり発見された。第I期にはこの他、家族や友人が精神科に本人を連れていく、あるいは通告することによって発見された例もあります。

第I期に発見された人物はいずれも日常的に喫煙を行っており、かつこれを家族の前や公共空間といった人前で行っていました。これにより、異常が発生して比較的すぐに報告されるに至っているのです。

次に第II期を一度飛ばし、第III期に行きましょう。第III期の特徴として、発見されたときには影響を受けた人物が死に至っていることが挙げられます。これは影響を受けた人物が日常的に喫煙を行っていたにも関わらず、様々な要因からその喫煙行為を周囲に見られていなかったために至る段階です。影響を受けた人物は周囲によって妨害されないSCP-3065-JPを用いた喫煙行為を反復することにより、自身の「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」部分に損傷を与え続け、最終的に死に至った段階で発見されることになります。

事案3065-JP-22は例外的に、家族によって喫煙行為を見られている中でも死に至りました。これは3065-JP-22において、影響を受けた人物がSCP-3065-JPを購入していたことにより家族全員が影響を受けたため、その異常な喫煙行為が咎められなかったためです。

最後に第II期ですが、これは第I期および第III期に比べると例外的です。まず第II期に発見された影響を受けた人物は日常的に喫煙を行っておらず、過去に喫煙歴はあるものの現在は禁煙していました。これにより、この人物は第I期においては発見されませんでした。一方で当然ながら、日常的な喫煙習慣がないため第III期には至りません。

しかし、過去に喫煙歴のある人物が日常生活において一切喫煙について意識しないことは困難です。また禁煙の経緯がある関係上、この人物が喫煙について意識しているときには何らかのイレギュラーが存在している可能性が高く、これにより不意の事件化が起きやすいのが第II期の特徴と言えます。なお、過去に喫煙歴のない人物はSCP-3065-JPには遭遇していないのか、もしくは現在まで喫煙を意識せずに経過しているために発見されていないのかは不明です。

この段階分けを踏まえると、1つの仮説が考察されます。それは「SCP-3065-JPは2024年2月4日に出現し、事案3065-JP-22の影響を受けた人物によって購入されて以降は出現していない」ということです。仮にSCP-3065-JPが複数回出現している場合、第I期および第III期における発見時期はより広い範囲に広がるものと考えられるためです。

ただし、これは今後SCP-3065-JP関連事案が生じないということは意味しません。前述した通り、第II期に相当する人物が偶発的に異常性を発現する場合があるためです。また、SCP-3065-JPの今後の出現可能性がないことを意味するものでもないため、SCP-3065-JPの新規出現がないかの捜索は継続されます。

 - 中出博士


補遺3:
2025年8月、関東圏を中心に「嗅ぎタバコ」と呼称される新種の合成麻薬の流通が拡大していることが観測されました(事案3065-JP-A)。「嗅ぎタバコ」はアンフェタミンに類似した化学構造を持つ白色粉末状の物質であり、鼻腔から吸引することによって吸引後4~6時間のあいだ使用者に多幸感や気分高揚感、場合によっては幻覚などの作用をもたらす一方で、効果時間が終了した後には強い抑うつ状態を生じます。また反復的な使用により比較的速やかに耐性が生じるため精神的な依存性が高く、長期的には不眠、不穏、振戦、統合失調症に類似した精神症状などを生じます。

この合成麻薬の流通は当初非異常のものと考えられていました。このため本事案は財団の監視下には置かれず、匿名・流動型犯罪グループによるものとして警視庁暴力団対策課によって捜査が進められていましたが、「嗅ぎタバコ」の現物およびこれを所有している人物を確保することができず、捜査は難航していました(このため前述した「嗅ぎタバコ」についての性質は当初判明しておらず、事案解決後の調査により判明しました)。

2025年9月12日、渋谷駅周辺で錯乱状態となっていた「嗅ぎタバコ」使用者と思われる23歳男性が逮捕された際、押収された所持品の中にSCP-3065-JPと類似したイラストの描かれた切手サイズの紙片(SCP-3065-JP-A-α)が含まれていました。暴力団対策課に潜入していたフィールドエージェントよりこの紙片がSCP-3065-JP担当チームに報告され、事案3065-JP-Aは財団管理下で調査が進められることとなりました。

その後、2025年末までに231人の「嗅ぎタバコ」使用者と思われる人物が確保されました。これらの使用者、および押収されたSCP-3065-JP-A-α群に対する調査により、以下の事実が判明しました。

  • 「嗅ぎタバコ」購入者は同時にSCP-3065-JP-A-αを購入し、吸入する際にはSCP-3065-JP-A-αを使用してその灰皿上から吸入することを義務付けられている。
  • このため「嗅ぎタバコ」はSCP-3065-JP-A-αの効果により使用時以外は消失しており、通常の捜査でその現物を確保することは困難であった。
  • 「嗅ぎタバコ」購入者は、自身が逮捕・拘束される際にはSCP-3065-JP-A-αを飲みこむことでその存在を隠匿することを義務付けられている。

これらの事実から「嗅ぎタバコ」流通の大元となる組織あるいは人物は2024年2月4日のSCP-3065-JP出現時にSCP-3065-JPに暴露した人物が身近にいたことで、その異常性を認識して利用しているものと考えられました。一方で「嗅ぎタバコ」流通過程では情報統制が徹底されており、確保した末端の使用者には流通過程の上流への情報が遮断されていたため、大元となる組織あるいは人物を特定することは困難となっていました。

2026年1月23日、以前に実施されたSCP-3065-JP関連事案のインタビュー記録を再調査していた中出博士により、事案3065-JP-19でインタビューが実施された宮本氏に対して複数の疑念があるとしてインタビューが実施されました。以下はその記録です。

インタビュー記録 3065-JP-347 - 日付 2026/01/23 -

対象: 宮本 美雪

インタビュアー: 中出博士

付記: 宮本氏をはじめとするSCP-3065-JPの影響を受けた35人にはカバーストーリー「新種の精神病治療のための長期入院」を適応し収容されていました。この35人は後にAクラス記憶処理を施したうえで解放されています。

<記録開始>


中出博士: 宮本さん、調子はいかがですか。

宮本氏: 調子は変わらないですけど……あの、入院はいつまでかかるんでしょうか。

中出博士: もう少しだと思いますよ。今日は少しお聞きしたいことがあって伺いました。

宮本氏: はあ、なんでしょう。

Agt. 芝久保: 実は最近、以前お話を伺った時の記録を見返していたのですが、その中でいくつか気になることがありまして。まず一つですが……宮本さん、あなたは二年前、どのような絵画を見てから灰皿病3に罹患したのか覚えていますか?

宮本氏: ……ええ、まあ。灰色の背景に人の手と、その右側に立てかけるようにタバコが二本描いてある絵ですよね。それがどうかしましたか?

中出博士: ありがとうございます。理由についてはのちほど。もう一つですが……初めにお会いしたとき、あなたは「彼氏にタバコを止められた」と言っていましたね。それはなぜだったのですか?

宮本氏: えっと……タバコの臭いが嫌いなだけですよ。彼氏、ちょっと潔癖な気があって。

中出博士: なるほど。では追加でお聞きしますが、宮本さんが灰皿病について気がついたのはいつ頃ですか? こちらに入院して我々から説明を受けたのがきっかけでしょうか。

宮本氏: いや、タバコ止められてたので、余計にタバコのこと意識するようになっちゃって。だから、絵を見てから割とすぐ気が付きました。タバコのこと考えるといつの間にか灰皿が出るようになってたんです。

中出博士: そのことは彼氏さんはご存じでしたか?

宮本氏: まさか。こんなこと言えるわけないじゃないですか。頭おかしいと思われちゃいますし。

中出博士: なるほど。ええ、宮本さんは二年前にも同じことをおっしゃってましたね。……ですが、やはりそれはおかしい。

宮本氏: え? 何がおかしいんですか?

中出博士: 宮本さん、あなただけなんですよ。

宮本氏: だから、何がですか?

中出博士: 自分の左手に灰皿が出現するその異常性について、人から指摘されたり、よほど重大な事件を起こしたりせずに気が付いているのはあなただけなんです、宮本さん。

宮本氏: ……………………ああ、そうだ、思い出しました。最初に気付いたのは彼氏に言われたからです。ベランダでタバコ吸ってたら彼氏がぎょっとした顔でこっちを見てきて「お前なにやってんだ?」って。そのときに自分でもふと気が付いたんですよ。

中出博士: タバコの臭いが嫌いな彼氏さんが、ベランダでタバコを吸っている宮本さんの姿をわざわざ見にきたのですか?

宮本氏: ……別に、そういうこともあるでしょう。

中出博士: まあいいです。それで、彼氏さんはその後どうされましたか?

宮本氏: えっと、どうっていうのは。

中出博士: 自分の彼女がいきなりタバコを左手に押し付けて、「灰皿がある」なんて言っているんですよ。真っ当な人間なら何か行動を起こすものではないですか?

宮本氏: だから、タバコを吸うのをやめろって言ったんじゃないですか。

中出博士: なるほど。タバコの臭いが嫌いというのは嘘だったのですね。

宮本氏: ……………………。

中出博士: そうそう、あなた以外にも家族などに指摘されて気が付いたという人はいるんですよ。まあその全員が、気付いた人間に連れられて精神科を受診していますがね。

宮本氏: ……別に、私と彼の自由じゃないですか。

中出博士: 随分と愛されていますねえ、宮本さん。ただね、あなただけというのはこれだけじゃないんです。

宮本氏: は?

中出博士: 絵の詳しい内容……特に「煙草が立てかけられていた」こと。絵を見てから一週間以上経過してからこのことを覚えていたのもあなただけなんです、宮本さん。

宮本氏: それこそ知りませんよ。私以外の人たちの記憶力が悪かったんじゃないですか?

中出博士: あの日、新宿で絵を見た人に限った話であればその可能性もあったかもしれませんね。ただ、実は私たちはあの絵を手に入れてまして。こちらでも実験を行ったんですが、試した全ての職員が一週間で忘れてしまうんです。当然、記憶力に何ら問題のない職員がほとんどでしたが。

宮本氏: 待ってください、あの絵を手に入れたんですか?

中出博士: ええ、まあ。

宮本氏: なんだ、じゃあそのせいですよ。多分、どこかで最近あなた達から話を聞いたんです。

中出博士: いえ、それはないですね。宮本さんとの会話は全て録音していますので。

宮本氏: はい、え? 全て録音?

中出博士: 宮本さん、私たちに何か隠していることがありますね。教えてはくれませんか。

宮本氏: ……一体何の話をしているんだかわかりません。

[中出博士は宮本氏にSCP-3065-JP-A-αの存在、およびその流通により「嗅ぎタバコ」と呼ばれる薬物が広まっていることを話す。内容は報告書に記載されている通りであるため省略する]

中出博士: 宮本さん、私たちはあなたの「彼氏」がこの流通に関わっているのではないかと考えているのですよ。あなたの「彼氏」はあの日、絵画に影響されたあなたを見て、その異常性に気が付いた。そして彼は、絵を見てから一週間も経っておらずまだ記憶が残っていたあなたから絵の内容について聞き、自分でそれを再現した。その結果、再現したイラストにも似たような異常性が発現した。そうして、その異常性を何かに活かせないかと──あなたが私たちに確保されてからも──考え、行動し、そして今回の流通を首謀するに至った。私たちはそう考えています。あなたは「彼氏」に指摘されたから自身の異常性に気が付いた。「彼氏」はこれを秘密裏に活用するため、外部に知らせることをしなかった。あなたは「絵画を複製したもの」を日常的に見ていたから、その詳細を忘れなかった。違いますか?

宮本氏: ………………なんですか、これ。取り調べですか。

中出博士: そうですね。もう、取り調べに変わっていると言っても良いでしょう。

宮本氏: ……知りません。

中出博士: 宮本さん、ご協力いただけませんか。あなたの「彼氏」がこのまま活動を続けたらとんでもないことになる。それだけじゃありません。勢力こそ全盛期から大きく衰えましたが、関東にはいくつもの反社会勢力が蔓延っているんです。「彼氏」の行動を彼らがこのまま見過ごすと思いますか? このままでは「彼氏」自身だって身を脅かされることになりますよ。

宮本氏: ……。

中出博士: なぜ黙るんです。何もやましいことがなければ素直に話して、すぐにでも「彼氏」の身の潔白を証明すればいい。

宮本氏: ……あなたたちがここまで私から話を聞きたがるってことは、まだ何も掴めていないということでしょう。ええ、確かに二年前からゆうくん4は何かしていましたよ。でも、ゆうくんの本当に隠したいものの場所は私しか知らないんです。だからあなたたちだってまだ調べられてないんだ。つまり、私さえ何も言わなければいいんです。

中出博士: ………………ご協力ありがとうございます、宮本さん。その言葉が聞きたかった。

宮本氏: え?

中出博士: 宮本さん、何か勘違いをしているかもしれませんが、私たちは警察や検察じゃない。もちろん医者なんかでもありませんが。だから、別に確実な証拠なんか必要ないんです。ただ、倫理審査委員会を通すのに現時点の情報では少し足りなそうでしたから、その意味で確実な証言が欲しかった。あなたが「何かを知っている」という確実な証言がね。ご協力感謝しますよ、宮本さん。

宮本氏: え、ちょっと? はい? 倫理審査委員会?

中出博士: インタビューを終了します。

<記録終了>

終了報告書:
インタビュー終了後、中出博士からこのインタビュー記録を根拠として倫理審査委員会に宮本氏を対象とした自白剤使用の許可申請が提出されました。

この申請は一時保留とされていましたが、SCP-3065-JP-A-αの流通拡大を受け2026年3月17日に許可され、宮本氏を対象に自白剤が使用されました。この結果、宮本氏と交際関係にあったとされる24歳の男性、七内 裕氏および、七内氏が「嗅ぎタバコ」とSCP-3065-JP-A-αの製造と保管に用いていた、東京都世田谷区に存在する一軒家の地下室の所在が明らかとなりました。

この情報をもとに調査が進められた結果、「嗅ぎタバコ」およびSCP-3065-JP-A-αの流通に関与していた七内氏を含むグループ幹部8人の身柄が判明、拘束されました。この8名についてはインタビューを行った後、記憶処理によりSCP-3065-JPおよびSCP-3065-JP-A-αについての記憶を取り除かれ、麻薬及び向精神薬取締法違反により財団監視下の刑務所での懲役刑が課されました。

なお、七内氏は宮本氏との交際関係を否定していました。

七内氏を含むグループ幹部の逮捕後、新たにSCP-3065-JPの関与が疑われる事案は発生していません。


補遺4:
七内氏らによるSCP-3065-JP-A-αの販売時には、以下の文言が記された書面が付属していました。

「嗅ぎタバコ」お買い上げありがとうございます。

付属の紙片は「解剖学的灰皿」という名前の絵でして、「嗅ぎタバコ」が犬どもに見つからないように隠してくれる役割があります。早速紙を見てみてください。どうでしょう。あなたの左手が、そして販売者の左手が灰皿に見えてきませんか? それではこの上に「嗅ぎタバコ」を乗せて、絵をしまってみてください。どうでしょう、ほら! 「嗅ぎタバコ」が消えました。手品ではありませんよ。もう一度絵を見れば再び現れます。実のところ我々にも原理はわかっていないのですが、非常に便利ですよね。

「嗅ぎタバコ」購入にあたって、3つの約束があります。一つ、「嗅ぎタバコ」を吸うときは、必ずこの「灰皿」から吸うようにしてください。この「灰皿」を使っている限り、あなたは捕まることはありません!(なんたって、誰にも見えなくなるのですから)二つ、あらゆる秘密は厳守です。この紙は販売時に読み合わせ、その場で処分されます。あなたが万が一何らかの事情で捕まってしまった場合、「解剖学的灰皿」はすぐに飲み込んでください。これで秘密は守られ、あなたが罪に問われることはありません。何せ、証拠がなくなりますから。

そして最後、左手の灰皿は、絶対に「灰皿」として使わないように!この灰皿は非常に脆く、すぐに壊れてしまいます。そして、それはあなたの左手がボロボロになることを意味しています。絵は「解剖学的灰皿」なんて名前をしていますが、これはあくまでも「嗅ぎタバコ」入れです。そう、「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」なんですよ!


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