SCP-3073-JP
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アイテム番号:3073-JPItem#:3073-JP
クリアランスレベル2: Clearance
収容クラス: euclid
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副次クラス: {$secondary-class}
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撹乱クラス: #/dark
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リスククラス: #/caution
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SCP-3073-JP

SCP-3073-JP。


特別収容プロトコル: SCP-3073-JPは、高さ8m、奥行き15m、幅15mの収容プールに収容されています。水槽内は海水で満たし、水温は23~25℃程度を維持してください。収容プール内の海水は濾過装置により常時循環させてください。収容プール内には標準的な大型海水棲魚類の飼育に適した環境を構築し、数日おきに清掃を行い環境を維持してください。

給餌は1日に一度行い、イカ、魚類、アザラシ肉等を与えてください。一度あたりの給餌量は5kgを目安とし、餌の内容はSCP-3073-JPの示す態度、栄養状態等を勘案し飼育管理担当者が決定します。またSCP-3073-JPが餌の提供を求めた場合は、少量の給餌が許可されます。

説明: SCP-3073-JPは異常な内部構造を有する全長4.8mのメスのホホジロザメ(Carcharodon carcharias)の一個体であり、左腕を欠いたイタリア人男性であるサトゥルニーノ・プローディ氏の上半身、Apple Inc.製のiPhone XS Maxスペースグレーと融合しています。SCP-3073-JPの内部構造は生物学的、解剖学的に異常な状態にあるにも関わらず、生理的には目立った影響を受けていません。SCP-3073-JPの脊椎骨は途中でプローディ氏の脊柱と接続されており、双方の脊椎骨、脊椎は本来ホホジロザメ、ヒト双方に存在しない肋骨様骨格によって補助的に接続されています。SCP-3073-JPの腹腔内にプローディ氏の上半身が突き出る形で存在しており、肝臓、卵巣、子宮等の器官はプローディ氏を避けるようにして配置が変化しているようであり一部の血管等はプローディ氏と融合しています。これによりプローディ氏はSCP-3073-JPと栄養を共有しているものと考えられています。

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SCP-3073-JPの全身X線撮影画像。

プローディ氏の頭部にはApple Inc.製のiPhone XS Maxスペースグレーが融合しています。頭蓋骨に突き刺さり脳梁に割り込む形でiPhone XS Maxが入り込んでおり、先端は脳幹に達しています。iPhone XS Max内部には端末下部のlightningコネクタを介して異常な発達を遂げた神経組織が侵入しており、内部構造と接続しています。これらの異物の侵入にも関わらず、プローディ氏の脳組織には神経活動が確認されます。脳波等の状態から低レベルではあるものの意識があるものと推測されていますが、主にSCP-3073-JPと融合したことによる解剖学的変化を原因としてプローディ氏が直接意思表示を行うことは不可能であると考えられています。

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サトゥルニーノ・プローディ氏とiPhone XS Maxの接合部のX線撮影画像。

プローディ氏の頭部と融合しているiPhone XS Maxは液体中かつ電力供給を受けていないにも関わらず常に起動状態を保ちます。当該端末はオフライン状態であり現在のiPhone XS Maxが実行しているソフトウェアプログラムについては特定されていませんが、iPhone XS MaxはiOSに搭載されているバーチャルアシスタント「Siri」の音声を再生します。iPhone XS Max及びプローディ氏の頭部はSCP-3073-JPの食道に接しているため、この音声はSCP-3073-JPの口腔内から聞くことが可能です。これらの音声は明確に本来想定されているSiriの挙動から逸脱しており、大部分が支離滅裂でワードサラダ的な文章を読み上げます。しかしそれらはプローディ氏、またはホホジロザメに何らかの形で関連する内容であることが多く、プローディ氏、またはSCP-3073-JP、あるいはその双方が知性的に操作しているものと考えられています。

SCP-3073-JPには通常のホホジロザメからは逸脱した知的行動が認められており、ヒト(Homo sapiens)に相当する知性が確認されています。SCP-3073-JPは英語、イタリア語等を理解し、前述のSiriによる音声再生を介してコミュニケーションを図ることが可能です。SCP-3073-JPとプローディ氏の中枢神経系が脊椎を介して接続されていることで意識が共有されている可能性があります。SCP-3073-JPとのコミュニケーション試行の詳細は補遺1を参照してください。


補遺1: コミュニケーション試行
以下は、SCP-3073-JPの言語的コミュニケーション能力を試験したコミュニケーション試行時の記録からの抜粋です。

SCP-3073-JPコミュニケーション試行(1)

(2019/04/05)

    • _

    対象: SCP-3073-JP

    インタビュアー: ジョン・マイヤーズ博士


    [記録開始]

    SCP-3073-JP: 空腹です。そういえばイカとは、8本足のイソギンチャクモドキであり、10本足のイソメに似ています。はい。空腹ですが、墨はニンジャが使います。でも鮫はニンジャは食べたことないです。

    [SCP-3073-JPは水槽中をぐるぐると泳ぎ回る]

    SCP-3073-JP: ブクブク。空腹です。私たちは空腹です。イカは私のパンですが、やはりパンだけじゃなくカラマリリピエーニが食べたいです。歯の詰め物が取れる心配がありますが、歯は生えてきます。空腹です。

    マイヤーズ博士: やぁ、SCP-3073-JP。私の声を認識しているかな?

    [SCP-3073-JPは水面付近まで上昇し背鰭を一瞬見せるが、すぐに下層へと潜る。]

    SCP-3073-JP: 詰めて焼くだけじゃないですが、難しくないです。ただ、私は生のイカにはうんざりです。でも私は生のイカを消化しないので、感染性胃腸炎にかかることもインフルエンザになることもないです。予防接種は?天然痘ワクチン。

    マイヤーズ博士: あー。SCP-3073-JP。私の声を認識していたら、何か合図をしてくれないか?

    SCP-3073-JP: 元気がありません。私達は空腹です。私がもらったアルジェンテロのサインは多分エビになりました。エビよりもイカがいいです。うーん。大きいしね。空腹です。ね。来年に発表されたオキアミの供述によると、空腹だと協力しにくいとされています。

    マイヤーズ博士: うーん。発言内容を勘案すれば、餌が欲しいということだろうか。

    [マイヤーズ博士と飼育管理担当者が簡単な協議を行う。]

    SCP-3073-JP: イカと言えばやはりハンバーガーですね。スクイドワード1はモアイ像をどうやって運搬したんだろう?でも、蟹は固くて苦手だよ。

    SCP-3073-JP: ブクブク。だよね。とてもわかる。鳥怖いもん。

    [飼育管理担当者との協議により少量の餌付けを行うことが決定される。]

    SCP-3073-JP: イカ。大きいと喉に引っかかりますね。フックはハンガーよりも小さくていいですが、私のコートについた泥汚れはクリーニングでもクレーンできませんでした。英訳版。古代グレートアメリカ合衆国では全ての男性は一般的にイカをサメ人間プールに投げ入れるべきだとされています。出典、ウィキペディア。

    マイヤーズ博士: SCP-3073-JP。少しだが餌をあげよう。イカだよ。だから聞こえてたら反応をしてくれないか?なんでもいいから明確なサインをしてくれ。

    SCP-3073-JP: イカはリピエノって思ったけど生がいいよね。生レア生。寿司は得意じゃないんだよね。やっぱり中華はブルスケッタがすき。やっぱり料理は海だからね。お魚っていうかアザラシだけど。

    [SCP-3073-JPが浮上し背鰭を出して水面付近をぐるぐると泳ぎ回る。]

    マイヤーズ博士: サインとみなすぞ。ほら、イカだ。

    [マイヤーズ博士がアメリカオオアカイカ(Dosidicus gigas)を水槽に投げ入れる]

    [SCP-3073-JPがアメリカオオアカイカを捕食し水中へと潜る。]

    SCP-3073-JP: CIAO.こんにちは。 Signor Calamaro.イカさん。イカさんヒエヒエだ。アイスクリームイカは単独行動中ですか?

    マイヤーズ博士: イカはもっとあるぞ。SCP-3073-JP、イカをもっとやるから私の質問に答えてくれないか?

    SCP-3073-JP: サメいいよ。サメいいよ。いいよ。だってイカは固クラゲ以上柔らかアザラシ以下です。ん?ベネツィアに海ってあるの?川だよ。

    [SCP-3073-JPが浮上し背鰭を出して水面付近をぐるぐると泳ぎ回る。]

    マイヤーズ博士: ふむ。背鰭を出すのがサインかな。よし、では質問だ。君の名前を教えてくれないか?

    SCP-3073-JP: 私はSiriです。何かお手伝いできることがあればお知らせください。2

    マイヤーズ博士: Siriに反応してるのか?SCP-3073-JP、イカをやる。自己紹介をもう一度してくれ。

    [マイヤーズ博士がアメリカオオアカイカを水槽に投入すると、SCP-3073-JPは迅速にそれを咥える。]

    SCP-3073-JP: 私はSiri、あなたのバーチャル鮫アシスタントです。3

    マイヤーズ博士: それはからかっているのか?

    SCP-3073-JP: すみません、聞き取れませんでした。4イカは労働法規に乗っ取って支払われるべきです。

    [SCP-3073-JPはマイヤーズ博士の立つ方向に向かって口を開きながら飛び跳ね、水中に潜る。]

    SCP-3073-JP: 空腹です。電池残量が低下しました、リストランテを放流してください。イカ祭典は冷戦中の東アステカ共和国の始皇帝によって開始された最も重大なイベントの一つです。イカ祭り。イカストライキ祭り。

    [SCP-3073-JPは水中をぐるぐると泳ぎ回る。]

    マイヤーズ博士: わかった。もっとイカをやる。SCP-3073-JP、私と話してくれないか?

    SCP-3073-JP: サメいいよ。リンゴと窓だとどっちがいいと思いますか?私は無線機よりも延長コード漁船がいいです。マグロ採れるしね。マグロマグロ。寿司苦手。やっぱり日本食はマルゲリータだよ。

    [SCP-3073-JPが浮上し背鰭を出して水面付近をぐるぐると泳ぎ回る。]

    マイヤーズ博士: 同意と受け取るよ。それじゃあ、質問だ。君はサメかい?それとも人間かい?

    SCP-3073-JP: ソビエト連邦ジョージア州にいるんだっけスパイダーマン?違うね。それは007に出てくるカモメとかだったね。サトゥルニーノはジョーズだよ。エイリアンじゃないけどクジラじゃないし、多分オキアミじゃないかな。オキアミじゃないよ。あれ?なんでしたっけ?恐らくそれはサトゥルニーノジョーズですね。

    マイヤーズ博士: 今サトゥルニーノと言ったのかい?君は、サトゥルニーノなのかい?

    SCP-3073-JP: 私がSiriです。何かお手伝いできることがあればお知らせください。5

    マイヤーズ博士: Siriではない。サトゥルニーノ、君がそれを操作しているのかい?

    SCP-3073-JP: サメよくないよ。イカとばあちゃんの教会はあんまり好きでは無いです。日曜日はマグロの気分だよね。うん、イカマグロイカ。サメよくないよ。やっぱり足し算は稚魚の時からしておくべきだよね。うん、プラスマークってXに似てない?

    [SCP-3073-JPは下層へと移動しぐるぐると泳ぎ回る。]

    マイヤーズ博士: じゃあ質問を変えよう。君はSiriか?

    SCP-3073-JP: ジョーズはSiriです。ん?ジョーズはメガマウスじゃないよ。うん。顎だよね。ジョーズ一世はイングランド王室の皇帝です。サトゥルニーノがSiriだよね。ジョーズはポップコーンとピザだし。ジョージは猿だっけ?

    マイヤーズ博士: 君たちは意識を共有しているということか?

    SCP-3073-JP: すみません、聞き取れませんでした。6電脳人間サメは聞き取れませんでした。耳垢って出るの?鮫出ないよ。

    マイヤーズ博士: あー。そうだな。君たちはサトゥルニーノでありサメである、ということか?

    SCP-3073-JP: Trinità三位一体.Siriイカ電子イカ人間サメはリンゴ食べれないよ。イカいいよね。アザラシよりシャチ怖いけど。リンゴ食べたいけど口開かないからね。マグロ食べたいです。サメとイカだとマグロ食べたいです。

    [記録終了]



SCP-3073-JPコミュニケーション試行(7)

(2019/04/11)

    • _

    対象: SCP-3073-JP

    インタビュアー: ジョン・マイヤーズ博士


    [記録開始]

    マイヤーズ博士: SCP-3073-JP。調子はどうだい?

    SCP-3073-JP: ピエモンテってヒマラヤの一部なの?というかヒマラヤってクジラだよね。うん、シロナガスクジラだね。やっぱり。はい、その通りです。イルカってシーシェパードのキリストなんだっけ?あれ?はい。体操選手です。お腹充電完了しました。電池残量は2パーセントです。体操選手。

    [SCP-3073-JPは3度連続して水面を飛び跳ね、水中に潜る。]

    マイヤーズ博士: 元気そうだな。よし、今日も質問させてくれるかい?

    SCP-3073-JP: サメいいよ。お腹残量は90.8パーセントです。いいよ。サメいいよ。ノンニーノ先生。貝って毒ヒトデとイカヒトデあるよね。貝毒は食中毒の原因の一つであり、サメの寄生虫に似ています。要出典。

    [SCP-3073-JPが浮上し背鰭を出して水面付近をぐるぐると泳ぎ回る。]

    マイヤーズ博士: 同意と受け取るよ。さて、それでは君が生まれた時のことについて教えてくれないか?

    SCP-3073-JP: はい。Siriは暗くて狭いスクランブルオムレツから生まれて、母親サメの尻穴7から出た固めおしっこです。トスカーナ8の母サメはApple社に作られたんです。鳥の糞。ウミネコのかな?

    マイヤーズ博士: ふむ。やはりサメとプローディの意識がまざりあっている、と見て良いようだな。質問を変えよう。君はなぜそうなった?なぜスマートフォンと人間とサメが合体した?

    [SCP-3073-JPは下層に潜りぐるぐると泳ぎ回る。]

    SCP-3073-JP: 無知の知って屁理屈だよね。ソクラテスは大南コンゴ帝国の戦士として有名で、ラーメンをイカヒトデに持ち込んだ最初のサメとして有名です。でも、サメはすみません、よくわかりません9、と言っています。言ってないけど考えているんじゃない?はい。知の知。

    マイヤーズ博士: …では、君がそうなっていることに気がついたのはいつだ?答えてくれ。

    [SCP-3073-JPは下層をぐるぐると泳ぎ回る。]

    SCP-3073-JP: ある朝、グレゴール・サメ・イタリアン・リンゴマシン・ザムザが気がかりな夢から目をさますと、自分が水の中でサメ・イタリアン・リンゴマシンに変わっているのを発見した。フランクフルト・カフカを食べる時にはビールが良いよ。お酒飲んだことないけど、イカみたいだね。はい。

    マイヤーズ博士: …詳しく教えてくれないか?SCP-3073-JP。

    SCP-3073-JP: イカマージンはサメ労働者に支払われるべきだと思います。少なくともドラッグストアのパートタイムよりはいいマグロだね。マグロしか知らないけど。ブクブク。小切手のカルパッチョでもいいけどサメ食べれないからダメです。サメよくないよ。ブクブク。

    マイヤーズ博士: イカは答えてくれたらあげよう。だから教えてくれ、SCP-3073-JP。

    [SCP-3073-JPは浮上し、背鰭を出してぐるぐると泳ぎ回る。]

    SCP-3073-JP: リンゴ人間サメはとても熱いビリビリに当たりました。心筋梗塞。爆発。爆発あちあちビリビリ。透明毒クラゲ。クラゲじゃないよ。電気電気。ボカーン。そしたらグレゴール・サメ・イタリアン・リンゴマシン・ザムザはサメ・イタリアン・リンゴマシンに接着しました。グレゴール・フランクフルトはパンに挟むと美味しいですよ。熱ゴールデンレトリバー。ホットドッグ。

    [記録終了]




補遺2: 発見
SCP-3073-JPは2019年3月22日にオーストラリア連邦西オーストラリア州████の████ビーチで発見されました。当該ビーチでは同年1月7日頃より大型のホホジロザメの目撃情報が相次いでおり、11日には海水浴客であるアメリカ合衆国国籍の18歳女性が左足を噛まれ負傷する事例が発生していました。

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サトゥルニーノ・プローディ氏によるFacebookへの2019年3月22日午前0時4分の投稿。
翌日(厳密には当日)サーフィンへと行くことが示唆されている。

3月22日、イタリア共和国国籍の37歳男性であるサトゥルニーノ・プローディ氏がビーチへと向かい、ホホジロザメの襲撃を受けました。プローディ氏は旅行者で、当該ビーチへはサーフィンを目的として向かったものと推測されておりホホジロザメの襲撃事例については把握していなかったものと推測されています。当日はカテゴリー4の熱帯低気圧「ベロニカ」10の接近に伴いオーストラリア気象局は「危険な高潮と海岸線の侵食」等への警戒を呼びかけていました。

午後12時40分頃、目撃情報によるとプローディ氏はセルフィースティックと接続したスマートフォンを用いて自身のサーフィンの様子の動画を撮影していたようですが11、程なくして現れたホホジロザメに襲われました。当該のホホジロザメは同氏の下半身に噛み付き、海中を引き回しました。これにより同氏は明確に溺れており、かつ多量の出血が確認されていました。この時点でビーチにいた複数の目撃者により地元当局への通報が成されました。

午後12時43分頃、プローディ氏に噛み付いたホホジロザメは陸から目視可能な距離を遊泳していましたが、同時に天候が悪化し始めており高波の影響で接近することは困難な状況でした。この時、既にプローディ氏の姿はホホジロザメの口部からは確認できておらず、食道付近へと飲み込まれていたものと考えられています。複数の目撃者がプローディ氏の救護を試みている最中、落雷が発生しました。この落雷は海水中に存在していたホホジロザメに直撃したものと推測されており、落雷から2分程度ホホジロザメが活動を停止していたことが確認されています。午後12時46分頃に当該ホホジロザメは活動を再開し、急速に沖の方面へと移動し姿を消しました。

地元当局が現場に到着した後、当該ビーチは一時的に閉鎖されプローディ氏が海水中で振り落とされた可能性を考慮し、ダイバーによる捜索が行われました。熱帯低気圧接近にともなう天候の悪化により午後18時29分頃に捜索は中断されましたが、それまでに当局はプローディ氏のものと思われるセルフィースティック、サーフボード、関節窩から断裂している成人男性の左腕を回収しました。回収された左腕は調査によりプローディ氏のものと断定され、プローディ氏はホホジロザメの襲撃によって捕食され死亡したものと判断されました。

3月29日頃より西オーストラリア州████周辺の複数のビーチで大型のホホジロザメの目撃情報が熱帯低気圧による豪雨災害復興ボランティア、地元住民、漁業関係者等を中心として相次ぎました。これらには相当数の「サメから機械音声が流れていた」「こちらの言葉を理解しているようだった」という趣旨の証言が含まれており、地元当局にこの情報がもたらされたことで財団の関心を惹きました。

4月2日、西オーストラリア州政府がサメ駆除作戦の一環として████周辺のビーチに配置していたトラップによって大型のホホジロザメが捕獲されました。このホホジロザメは大きさ及び背鰭付近の雷撃傷からプローディ氏を襲撃した個体と同一であると当局により判断されました。直ちに財団が介入し調査を実施したことで異常性が判明し、当該ホホジロザメはSCP-3073-JPに指定され財団の収容下に置かれました。SCP-3073-JPの記録は改竄され、公的にはサメ駆除作戦により捕獲、殺処分されたものとされました。


補遺3: 異常性獲得経緯の未解明点
SCP-3073-JPがどのような経緯で異常性の獲得に至ったのかについて明確な結論は出ていませんが、西オーストラリア州████の████ビーチでの落雷をきっかけとしている可能性が疑われています。しかしながら、強力な落雷であるとしても放電量としては数十万A、電圧10億V、エネルギー換算では900MJ程度であり、直撃雷であったとしてもこれによって異常な身体構造変化が引き起こされるとは考えられません。直撃雷によって瞬間的に直撃部の温度が数万℃に達し、熱傷や爆傷、各臓器の破壊、心停止などが引き起こされることは想定できますが、軟骨魚類と霊長類が融合して神経系の機能を維持したまま接続し、未知の骨格が発達し、既存の臓器がその機能を失うことなく再配置され、異種間で循環器系を共有し、加えて生体のヒト脳組織が電子機器と接続するという異常な変質は明らかに非異常の雷撃による影響とは考えられません。また、2019年3月22日は熱帯低気圧「ベロニカ」の接近により天候が悪化していたのは事実であるものの、西オーストラリア州████での当日中の雷撃の報告は当事例のみでありオーストラリア気象局も一切の落雷を観測していませんでした。こうした落雷は一発雷と呼称され寒冷地で観測されることが多く、西オーストラリア州の気象条件でも生じる可能性は否定できないものの、通常の熱帯低気圧から一発雷が生じた点は不可解です。

また、鮫による襲撃を受ける確率は統計的に1/3,700,000程度の確率であり、雷撃を受ける確率は1/770,000程度の確率とされています。現実にこれらの事象が同時に発生する確率は、単純に1/2,849,000,000,000程度の確率です。発生を否定することは出来ないものの、自然発生的にこの事象が生じたとは考えにくいという意見も研究チーム内から寄せられています。

現在、SCP-3073-JPが異常性を獲得した原因と考えられる雷撃自体が何らかの異常現象に起因する物であるとする仮説が提唱されており、西オーストラリア州████周辺の気象観測と研究が進められています。

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