SCP-3084-JP
アイテム番号: SCP-3084-JP
オブジェクトクラス: Ticonderoga
特別収容プロトコル: SCP-3084-JPはその外見的特徴から、観葉植物として一般家庭や公共施設等に一定数存在していると考えられます。しかし、以下の2点の理由により、全個体の収容は非効率的かつ非現実的であると判断されており、実施されません。
・一般人がSCP-3084-JPの持つ異常性に暴露する可能性が極めて低い点
・"SCP-3084-JP"と"通常種のディフェンバキア"との判別が困難である点
サンプルとして、最低1個体をサイト-81██内の標準的植物用生育ユニットにて収容・管理してください。生育環境については、通常のディフェンバキア属植物と同様の方法を用いてください。
SCP-3084-JPによる被害と推測される事案を確認した場合、被害者には適切な記憶処理を施した後、カバーストーリー「喉頭全摘手術」などを適用し、一般社会へと復帰させてください。
説明: SCP-3084-JPは異常性を有するディフェンバキア属(Dieffenbachia)の植物種です。形態学的・生理学的特徴において、通常種との差異は確認されていません。
SCP-3084-JPの異常性は、ヒトがその葉部を摂食した場合にのみ発現します。摂食したヒト(以下「対象」と表記)は、摂食直後に原因不明のわずかな甘みを感じます。結果として、対象はSCP-3084-JPの葉部を摂食することに対して好意的な印象を抱く傾向にあります。しかしながら、摂食後概ね3分以内に対象は突如として、一切の発声及び発音が不可能な状態に陥ります。現時点において、この症状の具体的な発生メカニズムは明らかになっていませんが、対象の発声器官に物理的・構造的変化が確認されないことから、精神的影響による作用であると推測されています。この状態に陥った対象を回復させる方法は現在のところ発見されていません。
特筆すべき点として、通常種のディフェンバキアにおいても摂食後に発声が困難な状態となる場合があります。しかし、これは植物体に含まれるシュウ酸カルシウムによる一時的な口腔内炎症に由来するものであり、鎮痛剤や抗ヒスタミン剤での治療が可能です。また、通常種のディフェンバキアが上記の毒性を有していることは、一般人におけるSCP-3084-JPへの暴露率低下の一因となっていると考えられます。
補遺1: 発見経緯及びインタビュー記録
SCP-3084-JPは2018年1月、Youtuberである熊谷 健二氏が自身のYouTubeチャンネル上で行った生配信「有毒生物 実食レポ配信」1にて、SCP-3084-JPの異常性に暴露したことで発見に至りました。その後の処理として、財団情報処理部門により配信視聴者13名全員の特定及び記憶処理が実施されました。また、該当チャンネル及び配信アーカイブの削除が行われました。
同年1月██日、Agt. 平沼が当該配信の配信元とされる「アパート████」への調査を実施し、配信の内容と合致する発声が不可能な状態である34歳の日本人男性・熊谷 健二氏を発見、保護しました。当時の詳細な状況を把握するためインタビューが実施されました。
対象: 熊谷 健二氏
インタビュアー: 藻川研究員
前文: 本インタビューは対象が発話不能な状態にあるため、全編を通して筆談形式にて実施されました。
[記録開始]
インタビュアー: それでは、インタビューを始めます。まず、“例の植物”ディフェンバキアをどのようにして入手されたか、お聞かせください。
対象: 近所のホームセンターで購入したものです。見た目は普通のディフェンバキアで、違和感は特になかったと思います。
インタビュアー: その店舗の名称や所在地についても分かる範囲でお願いします。
対象: ホームセンター███████です。自宅近くにあるやつです。
インタビュアー: ありがとうございます。では次に、あの配信を行った経緯についてお聞かせください。配信の内容から、ディフェンバキアに毒性があるということはご存じだったようですが。
対象: ある程度は知っていました。配信は単なる興味と記録の意味合いで始めたものです。もちろん、ただ毒のあるものを食べたかったわけではなくて、例えばベニテングタケのように、「毒があるけど美味しい」みたいな特徴のあるものに惹かれるというか。
インタビュアー: 今回のディフェンバキアもその一環だったということですね。
対象: はい。食べたら声が出なくなるという毒性に興味を持って。でも、こんなことになるなんて思ってもいませんでした。もう一週間近く経ちますし。
インタビュアー: 他に摂食時、何か感じた違和感はありますか?
対象: そういえば、少し甘みを感じたんですよ。なんというか、ツバキの蜜を舐めたみたいな感じの。ディフェンバキアにそんな特徴ありましたっけ?
[重要性が低いため省略]
[記録終了]
付記: インタビュー終了後、対象にはAクラス記憶処理を施した後、カバーストーリー「喉頭全摘手術」の適用を行い、解放されています。
また、対象が購入先として挙げたホームセンター「███████」に対して調査が行われましたが、SCP-3084-JPに該当する個体は発見されませんでした。しかし、同店舗の取引先である「███樹園」に対して行われた調査では、SCP-3084-JPに該当する個体が2個体確認されました。なお、これは当該樹園に存在するディフェンバキアのうち、約0.7%と極めて少数であること、該当する個体間に共通点は確認されないことなどから、現存するディフェンバキアのうち、一定数のものがSCP-3084-JPとして混在しているという仮説が有力視されています。
補遺2: 2025年2月、SCP-3084-JPが原因と推測される2件目の事例が確認されました。特筆すべき点として、本対象は生後11か月の乳児であり、SCP-3084-JPの摂食は意図的なものではなく、観葉植物として設置されていたSCP-3084-JPを誤って摂食したことにより、異常性に暴露したと考えられています。
本件に相当する乳児による誤飲の事例において、カバーストーリーの適用による一般社会への復帰が非常に困難である点、今後も発生する可能性は否定できない点が指摘されました。これらの問題点を考慮し、オブジェクトクラスをKeterへと再分類する案が提出されましたが、全個体の収容は依然として非現実的である点、財団が本オブジェクトを認知して以降約8年間で確認された事例は2件のみである点から、当該案は現在のところ見送られています。
補遺3: 継続的な調査の過程において、██県██市に存在する空き家に設置された郵便ポストから、以下の内容が記載されたポストカード(SCP-3084-JP-1に指定)が発見されました。当該文面からSCP-3084-JPとの関連が強く疑われています。
製品番号:GH-81-007
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紙質の劣化状況から、SCP-3084-JP-1は少なくとも2005年以前に出現したものであると推定されています。本件に関する調査は継続中ですが、これまでに本件以外でSCP-3084-JP-1の存在は確認されていません。現在、SCP-3084-JP及びSCP-3084-JP-1の配布に関与したと推測されるシュトルヒ運輸2を含め、本件に対する総合的な調査が進められています。









