SCP-3103-JP
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特別収容プロトコル: SCP-3103-JPによる追記が発生した報告書を発見することを目的に、財団運営Bot(I/O-LECTOR)が財団SCiP-NET上を検査します。それらのファイルからは当該部分が削除され、追記された文面は研究目的でデータベース上にアーカイブされます。

説明: SCP-3103-JPは、財団SCiP-NET上に保存されている報告書中に不明な手段による文章の追加が発生する現象です。現在までに追記の発生した報告書数は████件に上ります。発生のメカニズムは解明されていません。

SCP-3103-JPにより追記された文章は、通常の編集手順により問題なく削除が可能です。追記される文章の特徴として、以下が挙げられます。

  • 追記は報告書の最下部から始まる。
  • 追記部分は必ず補遺: という文字列から開始する。既に補遺が記載されている報告書や補遺をそのような形式で記述しないフォーマットを用いた報告書に関しても例外は確認されていない。
  • 最初の1パラグラフは抽象的かつ比喩的な内容である。
  • 用いられる語彙はクリニカルなものではない。
  • 報告書における音声記録形式での記述を含む。音声記録の内容は、言及される人物の私的な会話が大部分を占める。
  • 言及される人物には過去に財団に雇用されていた記録が残っている。

音声記録の内容が現実に起こったことの転写であるかどうかの検証は、以下の2点の理由から困難なものとなっています。

  • 言及される人物の全てが死亡済または記憶処理をした上で退職済である
  • 財団は研究上重要な情報を含む記録のみを保存するため、職員の私的な会話は記録に残っていない。

SCP-3103-JPによる追記内容の起源に関して、現在も研究が進行中です。

補遺: 何かを語るということは、語らない何かを選ぶことでもある。特異な物語しか存在しないのは、語られたことがすべてだから。

記録。


日付: LECTOR完成の夜

注記: 特になし。いたって一般的な冬の夜。


[慰労会中。]

ジェイド: しかし大変だったな。

アレックス: まあ、もう終わった話なんていい、もっと飲もうぜ!

ジェイド: ああ。

アレックス: とっておきのウイスキーがあるんだ、こんな日のために取っておいたやつ。

ジェイド: ありがたい。

アレックス: ジェイド、どうかしたか?さっきからやけに口数が少ないじゃないか。

ジェイド: なんでもないさ、少し考えていただけだ。

アレックス: 何をだよ?

ジェイド: 俺らは苦労してあのプログラムを書いただろ?妙な会話記録の追記だけを狙い撃ちするやつを。

アレックス: また仕事の話かよ。あの修羅場は終わったんだ、さっさと忘れようぜ。

ジェイド: いいから聞けよ。あれの名前もつけたよな。LECTOR。読者。

アレックス: それがどうした?

ジェイド: 俺たちのあの頑張りはどこにも残らないんだなあ、と思うとなんだか寂しいと言うか。俺の天才的なひらめきも、お前がラテン語の辞書片手に無駄に唸っていたこともなくなって、報告書にはザイダンウンエイボットのレクターとしか書かれないんだろ。

アレックス: そういうもんだろ、この仕事って。ましてや俺たちゃ技術部門だぜ?現実改変者をぶっ殺して回るような人間なら別だが、一介の技術屋の名が残るわけがない。

ジェイド: それでもだよ。表じゃ俺たちは存在しない人間で、財団でさえ死んだら忘れ去られて、生きていた事実すら残らないっていうのは──

アレックス: じゃあこうしよう。俺がお前より長生きして、お前のことを覚えててやるよ。うじうじ考えてんなよ、美味い酒があるって言っただろ?めでたい夜のために取っておいたんだ。いま開けてやる。

[慰労会は終わらない。]

君たちを忘れない。




I/O-LECTORからの自動通知


当ドキュメント上にSCP-3103-JPによる追記が確認されました。
追記された箇所は、ドキュメントの閲覧終了後にI/O-LECTORによって自動削除が行われます。

即時削除を実行したい場合は、"削除する"をクリックしてください。





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