SCP-3104-JP
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アイテム番号: SCP-3104-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル SCP-3104-JP及びSCP-3104-JP-αは標準的な生物死体保存プロトコルに従い、低危険度物品冷凍保管室に収容し、1週間に1度、目視による観察を行ってください。SCP-3104-JP-βの周囲はレンガで円形に囲み、内側に園芸用土を敷き詰めて草花を植え、花壇に偽装します。1週間に1度、花壇の手入れを装いSCP-3104-JP-βの目視観察を行ってください。用いられる草花は季節等を考慮して違和感が無く、かつ背の高い種類を選び、一般人の視線からSCP-3104-JP-βを遮蔽できるよう配置してください。植え替え時や冬季には必要に応じて、一時的に柵や花壇装飾品等を用いて構いません。██県営住宅のSCP-3104-JP-βに面する居室には、担当研究者を含む財団職員を居住させます。

説明: SCP-3104-JPは20██/██/██に自殺した真桑友梨佳氏の死体です。死因は██県営住宅4階の自室ベランダからの墜落死です。死亡当時、氏には家族や親しい友人はおらず、現場検証の結果により他殺及び事故の可能性は否定されています。氏は生前児童文学作家であり、1980年代に“たびびとビオラ”シリーズ1を刊行して人気を博したものの、“たびびとビオラ”シリーズを含む数点の作品が海外児童書の盗作であることが発覚して非難を受け、1990年代以降は事実上断筆状態となりました。

SCP-3104-JPの口内からはSCP-3104-JP-αに指定される一輪のパンジー(Viola × wittrockiana)が生えており、解析の結果、遺伝子情報は真桑氏と一致しています。SCP-3104-JP-αは温度や時間経過の影響を受けず常に開花状態にあり、かつ一般的な植物と比較して強力な再生能力を有し、根元から切除した場合も数日をかけて元の状態に戻りますが、同時にSCP-3104-JPからは切除された部分と同質量が失われます。切除されたSCP-3104-JP-αは再生力を失い、非異常の植物と同様に乾燥/腐敗します。特筆するべき点として、SCP-3104-JP-αの外見的特徴は、真桑氏の著作である“たびびとビオラ”シリーズの“ビオラ”と一致しています。

SCP-3104-JP-βは、真桑氏の死亡現場である██県営住宅の中庭で幻視される鉢植えパンジーです。対象が幻視される場所は真桑氏の死体頭部が存在した位置に固定されていますが、観察者により幻視する時間は変化し、通常は数秒~15秒程度継続します。各種の測定により、SCP-3104-JP-βは実体を持たないことが確認され、認識災害の一種であると考えられます。観察者が対象を幻視するメカニズムは判明していませんが、遮蔽物を置くことで幻視を阻止することが可能です。特筆すべき点として、複数の観察者の証言により、その外見的特徴が“たびびとビオラ”シリーズの“ビオラ”と一致し、かつSCP-3104-JP-αが破損している場合は再生が完了するまでの期間、SCP-3104-JP-βも同じ個所が破損して観察されます。

SCP-3104-JP-βは██県営住宅の敷地内で発生し、敷地外からも目視できる位置にあるため、周囲土地の封鎖や記憶処理による収容措置には多大なコストを要するものの、その異常性はごく小規模であり、ヴェールを崩壊させるには至らず、隠蔽は容易であると判断されたため、現在の収容プロトコルが制定されました。

補遺1: 真桑氏は死亡時に、氏の著作である“たびびとビオラ 海をわたる”2を胸に抱えており、表紙には油性ペンにより以下の一文が記されていました。筆跡は真桑氏のものと一致しています。

この本はわたし、真桑友梨佳が書きました。

補遺2: 20██/██/██、幻視中のSCP-3104-JP-βが成長していることが判明しました。SCP-3104-JP-αにはこのような現象は見られず、異常性の変化のメカニズムは不明です。将来的に一般的な草花ではSCP-3104-JP-βの遮蔽が困難になると判断されたため、周辺の花壇は撤去され、物置に偽装した小型収容セルが設置されました。

補遺3: 20██/██/██、██県営住宅は売却入札を経て財団に購入され、4階建てビルに偽装された大型収容セルがSCP-3104-JP-βを中心部において建設されました。更なる高層建造物の建築を可能とするべく、██県議会に対して建築基準条例改正のロビー活動が進行中です。

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