9、10、11と数えたら目の前には荒れた大地が広がっていた。
建物はおろか自然さえも見当たらない。
草の一つも生えていないがまったく比喩ではないことがあるんだなと思う。
そして人もいない。ぱっと見える範囲には確実に自分だけしかいない。
俺は確実に自分の部屋にいたはずだが、何かのドッキリだろうか。
ドッキリにしては手が込みすぎている。というか笑えないし笑う人間がいない。
足に違和感を覚えたために見てみると、足首に箱が鎖で繋がれている。
箱に触ると中からカチャっと音がして、そのまま自動で蓋が開いた。
中にはスマホのような端末がしまわれている。
電源と思しき横のボタンを押すと、画面に何かの報告書が表示された。
SCP-3113-JP
アイテム番号: SCP-3113-JP
収容クラス: Keter
特別収容手順: 財団のウェブクローラー、回線の傍受、各コミュニティに派遣されたエージェントによりSCP-3113-JPを発見し次第、関連者に対する記憶処理が施されます。時間遅延が長期に渡るSCP-3113-JP-Aはカバーストーリーを適用した上で移送し、標準人型収容室に収容されます。
説明: SCP-3113-JPは任意の事象に対して11秒カウントした場合に発生する異常現象です。SCP-3113-JPはカウントを行う人物(以下SCP-3113-JP-A)が任意の時間を要する事象に対し、目を瞑りながら意識内で11秒をカウントすることで発生します。SCP-3113-JP-Aが11秒カウントするまでの時間が、対象となった事象が終了するまでの時間と一致します。これによりSCP-3113-JP-A視点では当該事象が11秒で終了したことになります。カウント中のSCP-3113-JP-Aは外部からのあらゆる衝撃への耐久性を有するため、カウントの妨害の試みはすべて失敗しています。
SCP-3113-JPは1960年に日本国神奈川県で語られていた「嫌なことも11秒数えればすぐ終わる」という噂を巷説部門が調査したことにより発見されました。同部門の調査によりSCP-3113-JPは████小学校に通う生徒によって偶然発見され、テストや説教の際に有用であるとして徐々に広まったことが判明しました。最初の事案の収容後も世界規模で民間人による発見が確認されていますが、発生条件の厳しさからその件数はごく少数に限られるため、事後対応による収容に主軸が置かれました。
この文書を読んでいるあなたへ
まずは11秒ぶりの起床、おはようございます。
今あなたは周囲の状況にとても驚いていることでしょう。そうなるのは当然であり、ますが一旦落ち着いていただければ幸いです。
あなた自身が11秒を数えたことで、上に書いてある報告書は真実であると信じていただけているでしょう。それを前提にして話を進めます。
財団がSCP-3113-JPの収容を続けていく中で、ごく稀に時間遅延が極端に遅いSCP-3113-JP-Aが発見されます。いったい何をカウントをしたのかは分かりませんが、その一人があなたです。
脳の処理速度の計測結果から、最低でも数千年、もしかしたら何億年後までカウントを終えないかもしれないあなた方を我々は一般社会から隔離しました。
話は変わりますが、この世界は異常なものに満ち溢れています。そしてそれがいつ人類に対して致命的なダメージをもたらすかは分かりません。財団はあらゆる困難を対処し続けていますが、いつそれが失敗するかは分かりません。
そこで財団はあなた方を遠い未来へのメッセンジャーとすることに決定しました。財団が崩壊し人類が壊滅した後に目覚めた方に、この世界の救済をお願いしたいのです。この端末内に保存された通りの場所に向かい、そしてそこにある装置を起動して文明を再起動してください。
突然こんなお願いをされて困惑されていると思います。しかしそれでも、もはやあなた以外に人類を救える方はいません。困難な道になるかとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
……マジかよ、としか思えなかった。
たしかに俺はパラウォッチWikiで目にした話を試したが、それがまさか本当だとは思わないだろ。
もし本当なら「世界滅亡まで数えてみるか」なんてやるわけないじゃないか。
他のデータも見てみたらイエローストーンがどうとか書いてある。
え、これ本当にやるのか?









