SCP-3120-JP

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アイテム番号: 3120-JP
レベル3
収容クラス:
keter
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
vlam
リスククラス:
caution

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D-64387に撮影されたSCP-3120-JP。


特別収容プロトコル: SCP-3120-JPの出現は事前に契約者となる人物の特定が困難であり、その契約を履行する瞬間に立ち会うことが不可能なため予測できません。SCP-3120-JPの性質上、財団職員が契約の対象となる可能性を鑑みて、過去に殺人罪を犯した経歴を持つ全てのDクラス職員に網膜カメラ型記録装置の装着を義務付けます。

SCP-3120-JPの契約終了後に想定される大衆への暴露とその後の混乱は、通常の収容違反対応プロトコルに則って処理されます。

説明: SCP-3120-JPは特定状況下での出現が確認されているTartareanクラス悪魔実体です。SCP-3120-JPは赤褐色の肌と洞角を持ちますが、それ以外に人間との外見的な差異はありません。目撃者の証言によると、SCP-3120-JPは常にスーツ姿で出現し、非常に紳士的な態度で周囲の人物に立ち振舞うことが確認されています。また、当該実体の出現ポイントには微弱ながらヒューム値の減少と妖魔共振エネルギーの残滓、そして中程度の現実改変能力を行使した痕跡が認められます。

SCP-3120-JPの行動原理は財団の知る限り、その他多くの悪魔実体と殆ど変わりません。即ち、SCP-3120-JPは人間 (以下、契約者と呼称)との間に交わされた契約を遂行し、あらかじめ対象に掲示していた対価を得ることに執心します。多くの場合、SCP-3120-JPが要求する対価は契約者の“殺害された家族や友人、或いは恋人に関する記憶の譲渡”だと判明しています。しかしながら、それらの記憶がどのように扱われ、どういった目的で運用されるのかは分かっていません。

これまでに記録されたSCP-3120-JPの出現事例と対象の傾向から、当該実体は過去に契約者の家族/友人/恋人に対して殺人や強姦などの重犯罪を犯した人間(以下、対象)の、英雄的行動を阻止する目的で行動していることが確実視されています。特筆すべき点として、SCP-3120-JPは契約を完遂する過程で対象に直接危害を加えることはありません。この理由は不明です。

補遺1: 出現記録

以下は、SCP-3120-JPの特別収容プロトコルが施行されてから初めて撮影された出現記録です。撮影者であるD-64387は3件の強姦殺人と7件の強盗致死傷で有罪判決を受けていました。当時、D-64387が雇用されていたサイト-81██ではSCP-███-JPの不用意なクロステストに端を発する大規模収容違反が発生しており、同サイトに収容されていたSCP-████-JPの異常性によって収束するまで財団職員23名が死亡、他98名が負傷するという結果に終わっています。

出現記録: SCP-3120-JP#1


2007/02/16

映像内の人物: D-64387シャーザー博士


[記録開始]

SCP-████-JP収容セルの前で、シャーザー博士は腹部から血を流して倒れている。D-64387はそれを見下ろし、小さく息を吐き続ける。

シャーザー博士: どうやら私は、ここまでらしい。後はお前が1人で行け。

D-64387: おい、何言ってんだよ! 俺には無理だって……1人でやれる訳がない!

シャーザー博士: そうか? だがな、お前がやれないのなら……私とお前は2人で仲良く地獄の底に落ちるだけだぞ。

シャーザー博士は震える手で自身のIDカードをD-64387に差し出す。

D-64387: 今のアンタは正気じゃない。

シャーザー博士: いいや……誰もが、だ。そうだろう、ジョン。

[沈黙]

D-64387: [掠れた笑い声] ミシガンの刑務所を連れ出された時から、お前らはそうだったな。

D-64387はIDカードを受け取る。

D-64387: ドクター。もし俺が失敗して何もかもダメになったとしても、文句は言うなよ。

シャーザー博士: そうだな……努力しよう。

D-64387: ああ、お互いにな。

D-64387はIDカードを使ってSCP-████-JP収容セルに備え付けられた電子ロックを解除する。警告音が鳴り響く中、ドアが開いていく。

D-64387: うお!?

SCP-3120-JP: やあ! 初めましてかな、ジョン・D・ウィンストン!

D-64387: 誰だ、お前は!

開き切ったドアの向こう側に、笑顔のSCP-3120-JPが佇んでいる。

D-64387: 畜生、また別の化け物って訳か!

SCP-3120-JP: いや、いやいや。私は端的に言えば、貴方のファンのようなもの! 大惨劇の渦中に飛び込んで、貴方達の冒険を見守っていた! 特に第4収容棟でのバトルは見事だった──まさか、自らの脇腹をナイフで抉る程の度胸を持ち合わせているなんてね!

[沈黙]

D-64387: 悪いが、テメェの無駄話に付き合っている時間はねぇんだ。そこをどけ!

SCP-3120-JP: それは出来ませんね! 実際、全く以てその必要はないんですよ。ジョン。

D-64387: ああ?

SCP-3120-JPはおもむろに右手を掲げて、パチリと指を鳴らす。

D-64387: お前、まさか!

SCP-3120-JPの輪郭が歪曲し、延伸し、圧縮する。背後の収容セルの最奥に安置されていたSCP-████-JPが小刻みに振動を始める。

SCP-3120-JP: 貴方も知っての通り、このアーティファクトの起動には非常に間延びしたプロセスを必要とします。まあ、貴方のような凡人なら……どんなに急いで実行したとしても10分は掛かるでしょうね。私なら、ほら。10秒。

[沈黙]

D-64387: ……お前の目的はなんだ?

SCP-3120-JP: 目的? 私の目的は、私達のような悪魔に対する世間の偏見を跳ね返して、誰にも好かれるような善き隣人になることですよ!

D-64387: は、善き隣人だと?

SCP-3120-JP: けれど、これは貴方の求めていた答えとは少々異なりますね。……私は崇高な目的の為に人間と契約し、その対価の為に貴方と見えた。そろそろはっきりさせておきましょうか、ジョン。

SCP-3120-JPは、無表情のまま人差し指をD-64387に突き付ける。

SCP-3120-JP: 貴方は決して救われるべき人間ではない、ということですよ!

D-64387: 何が……。

SCP-3120-JP: 言うまでもないでしょう? 私という存在を前にして、貴方は確信した筈です。“悪魔が確かに居るのなら地獄も実在するのだろう”と。そうでなくとも、財団のDクラス職員である貴方は、これまでにも数多くの非現実を目の当たりにして来たのでは?

D-64387: やめろ……。

SCP-3120-JP: そして、貴方という男の人生もまた然りだった。実に数奇で、多くの耳目を集めた。私はその内の1人に過ぎず、貴方の処遇を左右する権利すら与えられていない。それに携わることができるのは、貴方に幸福を奪われた者達の魂であり、天に犇めく神々であり、神々に仕える天使であり、そして我らの主だけ。

D-64387: 俺は充分、頑張ったんだ! そうだろ!? お前も傍で見ていたんなら、分かってるだろうが!

SCP-3120-JP: ええ、ええ。そうですとも。私は記憶力にだけは自信があるのです。そこで貴方に1つ、1つだけ伺いましょうか。ずばり! シャーザー博士はここに辿り着いた時、貴方に何と仰っていましたか?

[沈黙]

D-64387: ……お前が1人で行け、か?

SCP-3120-JP: おや、惜しいですね! 正解は、「お前がやれないのなら、私とお前は2人で仲良く地獄の底に落ちるだけだぞ」……ですよ! 正しく、これからその通りになるのでしょうね!

D-64387: そんな、ドクター! ドクター! 答えてくれ、俺はどうしたら良いんだ! このままじゃ不味い! おい、何で黙ってるんだよ!

D-64387の呼び掛けに、しかしシャーザー博士は応答しない。

SCP-3120-JP: いやはや。雇用主をあまり待たせるものではありませんね、私も貴方も!

D-64387: 待ってくれ! チャンスをくれ! 俺は生まれ変わったんだ!ちゃんと 心を入れ替えたんだよ!

けたたましい機械音と共に、SCP-████-JPの活性プロセスは最終段階に移行する。D-64387は狼狽し、SCP-3120-JPは高らかに笑い声をあげる。

SCP-3120-JP: また会いましょう、ジョン。我らの主はきっと貴方を歓迎しますよ! これでまた、私は天国の扉に一歩近付いた!

D-64387: いやだ! 止めろ! 俺にそいつを使わせろ! ふざけるな、ドクターに頼まれたのは俺なんだぞ!

SCP-3120-JP: ははは、それでは!

D-64387: よせ、お願いだ! 何でだよ! 頼む! 俺に罪滅ぼしをさせてく───

直後、SCP-████-JPの異常性が発露し、その余波でD-64387の肉体は瞬く間に分解されていく。カメラの崩壊により映像が途絶するまで、SCP-3120-JPは笑顔で手を振り続けていた。


[記録終了]

補遺2: 財団の対応

SCP-3120-JPの出現状況は、財団の雇用するDクラス職員が直面しうる収容違反等の重大インシデントに条件が合致します。そこで監督評議会は、過去50年間に渡って財団で発生した“Dクラス職員の自己犠牲により終息したとされる収容違反”のレポートを再度精査するよう命じました。その結果、全27件にも上る収容違反インシデントが、実際にはDクラス職員の活躍などではなくSCP-3120-JPの助力で解決されていた事実が判明しました。

本件は対象がDクラス職員という特性上、契約者の特定は容易でした。ですが、SCP-3120-JPへの対価である“殺害された家族/友人/恋人に関する記憶の譲渡”は換言すれば、当該実体と契約を結ぶに至った動機の喪失にも繋がります。従って、SCP-3120-JPと接触した関連記憶も契約者から遡及的に失われていました。その後もあらゆるアプローチが試みられましたが、インタビューなどを通じてSCP-3120-JPの有益な情報を得ることは出来ませんでした。

これらの調査結果を受けて、SCP-3120-JPの関与するインシデントで死後に財団勲章を授与されていたDクラス職員に対しては、その名誉と褒章を剥奪することが決定しました。サイト-19の殉職者慰霊堂から、当事者の勲章や名簿は撤去される予定です。

最終的に、財団史上、Dクラス職員で叙勲された者は2人だけに留まっています。

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