SCP-3123-JP
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アイテム番号: SCP-3123-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 2025年9月現在、SCP-3123-JP-A及びBの完全な収容は実質的に不可能であると判断されています。巷説部門1主導の下、関連情報の収集が継続されています。

回収済みのSCP-3123-JP-Cは、サイト-81AMの低危険物収容ロッカーにて収容されます。
 
説明: SCP-3123-JPは、司書を名乗る人型実体(以下、SCP-3123-JP-A)とフォルクスワーゲン社2製VW Transporter(以下、SCP-3123-JP-B)から構成される、「ほんのたびびと」と称される移動図書館です。SCP-3123-JP-Aの外見は50代~60代ほどの日本人男性のものであり、スーツの上から紺色のエプロンを着用しています。SCP-3123-JP-A及びBはSCP-3123-JP会員(以下、会員)にのみ知覚可能です。2025年9月時点において、SCP-3123-JP-Aの身元・出自に関する有意な情報は得られておらず、財団による接触の試みはすべて失敗しています。

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VW Transporter

SCP-3123-JPの利用にはSCP-3123-JPの会員資格が必要であることが、財団が接触に成功した会員へのインタビューにより判明しています。そのほぼ全員がSCP-3123-JP加入の契機について、「SNSで本の紹介投稿を偶然見つけた」旨を証言しています。これを受けて財団による各種SNSの調査が行われましたが、SCP-3123-JPに関連するアカウントや投稿は発見されませんでした。以上の事実により、会員はSCP-3123-JP-Aによって、あらかじめ何らかの基準に従って事前に選別されている可能性が指摘されています。インタビュー結果から、会員の行動には以下のような傾向が確認されています。

  • 日常的な読書習慣を有し、月数冊以上の書籍を読了している
  • 読書記録アプリやレビューサイトの更新頻度が高い

これらの習慣が直接的な選別基準であるとは断定できないものの、非会員と比較して有意な偏りが存在すると指摘されています。

会員の証言によると、発見した投稿に記載されたURL3から入会手続を行うことで、会員登録が完了するとされています。手続完了から約2日後、会員が所持する財布や鞄等の内部に会員カード(以下、SCP-3123-JP-C)が出現します。SCP-3123-JP-Cは、縦54×横86mm4のプラスチック製カードです。表面には「ほんのたびびと」の名称と簡易なロゴが印字されています。裏面には署名欄と、以下の文言を含む利用上の注意事項が記載されています。

以下の行為は禁止されています。


  • 飲食(蓋の着いた飲み物のみ許可)
  • 書籍を雑に取り扱うこと
  • 私語、携帯電話を使用しての通話
  • 会員カードの他人への貸与 
  • その他、図書館内で行うべきでない行為

上記の行為を発見次第、お声がけさせていただきます。
禁止行為を繰り返された場合、会員資格の取り消しをさせていただく場合がございます。


 
SCP-3123-JP-Aは、会員が「読書をしたい」という意思を抱いた場合、会員の可視範囲内に突発的に出現します5。その後、会員をSCP-3123-JP-Bが存在する地点に誘導します。なお、SCP-3123-JP-BはSCP-3123-JP-Aの誘導に先行し、適切な位置に出現しているものと推測されています。会員はSCP-3123-JP-B内に格納された本棚から任意の冊数の書籍を持ち出すことができます。本棚に収納された書籍の種類は、会員が抱いた意思の具体性に応じて変化します。
会員が想起した内容 SCP-3123-JP-B内の蔵書の種類・内容
「特定の書籍を読みたい」と考えた場合 該当書籍と、その関連書籍が収められた状態で出現。関連書籍は、該当書籍の著者、ジャンル、参考資料等を基準に選定されていると推察されている。
「特定のテーマ・分野・ジャンルに関する本を読みたい」と考えた場合 想起したテーマ・分野・ジャンルに関連する書籍が収められた状態で出現。
特定のイメージを想起せず、「読書がしたい」と考えた場合 その会員が直近で読んだ書籍に関連する、または興味があるテーマ・分野・ジャンルの書籍が収められた状態で出現。

会員からの証言によって、SCP-3123-JPによって提供される書籍は実際に出版された記録が確認できる書籍に限定されることが判明しています。その中には同人誌や絶版となった書籍も含まれます。提供される書籍はSCP-3123-JP-A及びBと異なり、会員以外でも知覚、利用が可能です。この時持ち出した書籍は、会員によって読み終えられた、もしくは持ち出しから3週間が経過した後に消失します。
 
また、SCP-3123-JP-C裏面に記載された禁止事項に抵触する行動をとった場合、会員の付近にSCP-3123-JP-Aが単独で出現します。SCP-3123-JP-Aは禁止事項への抵触行為について注意を行い、累積時には会員情報の取り消し処置があり得る旨を告げた後、即座に消失します。2025年9月時点で、注意以上の処分を受けた会員との接触は成功していません追記を参照してください。
 

補遺: 2025年8月27日、神奈川県横浜市にある財団のフロント医療施設「康誠堂総合病院」に、河邑かわむら 尚文なおふみ氏が栄養失調により入院しました。各種検査の結果、身体的な疾患や嚥下機能の異常は確認できなかったものの、氏が摂食、発声等特定の行動を一貫して拒否する態度を示していることから、なんらかの心理的要因による影響の可能性が疑われました。

同院心療内科による筆談でのカウンセリングの過程で、河邑氏は「『司書』が来る」「あらゆる行動を監視されている」旨を繰り返し訴えました。これらの発言に、当時巷説部門が調査していた「どこにでも現れる移動図書館」の噂と一致する点が認められたため、河邑氏は財団の調査対象に指定されました。

以下は、河邑氏に対し行われたインタビューログです。

- インタビューログSCP-3123-JP-20250829 を閉じる

対象: 河邑 尚文氏(48)

インタビュアー: Agt.苗代なわしろ

付記: Agt.苗代は康誠堂総合病院所属のカウンセラーとして河邑氏に接触。本インタビューもカウンセリングと同様に筆談にて実施された。


<記録開始>

[河邑氏、Agt.苗代が互いに自己紹介し、その後SCP-3123-JPについてインタビューを行う。重要度の低い部分、また上記の説明と重複する部分は省略。]

Agt.苗代: しかし、サービスとしてはかなり便利ですよね。読みたい時に読みたい本を用意してくれるんですから。

河邑氏: 私も最初はそう思っていました。国会図書館6でなんとか読めるくらいのレアな本でさえ、好きな時に手に取って読めるんです。こんなに嬉しいことはありません。

Agt.苗代: でも、最近はあまり読書自体されていないようですね。アプリの更新も1ヵ月前で止まってる。やはりこう、メンタルの不調が原因で?

河邑氏: いや、そうじゃないんです。何と話したらよいのか分かりませんが、とにかく司書による監視が全て原因なんです。気が塞いでいるのもそのせいなんです。彼は私の一挙手一投足を監視しているんですよ。それが怖くてたまらなくて、こうなってしまったんです。

Agt.苗代: そうでしたか。もう既に何度か話されてるかもしれませんが、改めてどんなことがあったか教えていただけます?

河邑氏: もう何度も話したことではありますが、何をしてても視界の中に彼が現れるんです。ぼんやりとでも本のことを考えてしまえばもうおしまいなんです。ふと顔を上げると、少し離れたところで彼がこちらを見て立っている。時間も場所も関係なく出てくるので、とにかく本のことを考えないように意識していました。今もそうです。

Agt.苗代: それは確かに恐ろしいですね。ゾッとします。「一挙手一投足を監視されてる」と書かれてますね。読書以外のことを考えてるのに、司書が来る時があるんですね?

河邑氏: そうなんです。読書を我慢するだけならまだマシでした。彼はどこにいても「図書館にいる時の適切な振る舞い」を要求してくるんですよ。ご飯を食べてても、仕事でスマホやパソコンをいじってても、「それは注意事項に抵触するぞ」と言って現れるんです。お陰でご飯の時はトイレで食べてます。プロテインバーみたいな簡単なものであれば指摘されないみたいなので。スマホも使えないですし、夜寝てる時に少しでもいびきをかこうものならすぐさま起こされ注意されます。仕事どころか生活に支障をきたしてしまって、このざまです。今のとこ注意されてないので、点滴はセーフみたいですね。

Agt.苗代: 本当に災難ですね。確か入浴も拒否されてるようでしたけど、まさかお風呂にまで注意を?

河邑氏: ええ、脱衣所で止められます。「図書館で裸になる方はいらっしゃいません」ということらしく。それならトイレはどうなんだと思ってしまいますが。

Agt.苗代: 多分ですけど、どんな図書館でも基本トイレは設置されてるから、とかそういう理由なのでは。

河邑氏: それなら飲食も許してほしいところです。カフェが併設されてる図書館だって、今どき珍しくありませんよ。

Agt.苗代: ごもっともです。それにしても、そんな大変なのに退会しようとは思わなかったんですか?便利なだけなら良いですけど、ストレスの方が大きくなっちゃってますよね。

河邑氏: もちろん何度も辞めようとしたんです。したんですが、なんというか暖簾に腕押しな感じで、のらりくらりかわされて終わってしまうんです。

Agt.苗代: そうなんですね。なんでしょう、実はお金取られてたりとか?

河邑氏: そうだったらまだマシですよ。お金は一銭も取られていない。私はサービスを受けていますが、逆に彼に何か施したりしたような覚えは何一つとしてないんです。なのに退会させてもらえなくて。何がしたいのか全然分からないんです。

Agt.苗代: 失礼しました。それはより怖くなっちゃいますよね。

河邑氏: こちらこそ失礼しました。苗代さんに文句言ってもしょうがないですよね。とにかく彼は、どこでも図書館での振る舞いを強制してくるんです。移動図書館の体裁をとっていますが、実際のところこの世界全部が図書館なんだ、とか思ってるんじゃないかとさえ思います。彼は多分どこにでも現れるし、隔てる壁もあったものじゃない。図書館とそうじゃないところの境界線を認識できてないんじゃないかな、とか思ったりします。

Agt.苗代: なかなか興味深い考察ですね。結構的を得ているかもしれませんよ。

河邑氏: 分かりません。お伝えしたことは全部私が体験したことではあるんですが、言葉にしてみると全然現実味がありません。おかしくなっていると診断された方が気が楽です。実際おかしくなっているんでしょうが。

Agt.苗代: その辺も含め、また改めて検査していきましょう。解決の糸口があるかもしれませんし。

河邑氏: ありがとうございます。苗代さんは優しいですね。こんな荒唐無稽な話でも否定しないで聞いてくれるんですから。ついでにもう少しだけ話を聞いていただけませんか。

Agt.苗代: なんでも聞きますよ。

河邑氏: ありがとう。彼は私を注意する時、「注意が累積すると会員資格の取り消しになる場合もありますよ」と付け加えるんです。普通の図書館であれば字面のまま受け入れられます。でも、相手はこの世界のどこでも図書館だと思ってるかもしれない、しかも異常な能力を持ってる奴です。会員資格の取り消しというのは、なにかの比喩なんじゃないかと思うんです。

Agt.苗代: 比喩というと、例えば「お前は死んでしまうぞ」とか、そういったことの?

河邑氏: はっきり言ってしまえばそうです。恐らくただ殺すだけじゃない。「資格の取り消し」ですから、この世界から、私に関する記録からなにからさっぱり消されてしまうんじゃないか、と。

Agt.苗代: それはちょっと、さすがに心配しすぎじゃないですか。たかが注意の累積でそれは。

河邑氏: 正直私もそう思う節はあります。でも否定するための材料もないんです。むしろ、私が見た彼の行動や、予想した彼の認識を合わせて考えると、そういうことが起きても不思議ではないんじゃないかと思うんです。

河邑氏: 実は私、あの移動図書館の会員になった後、SNSでちょっとだけ移動図書館のこと調べてみたんです。そしたら、数人のつぶやきがヒットしました。そもそもの母数がかなり少ないですが、ほとんどポジティブな内容なんです。私はこんなに辛い思いをしてるのに。それで考えたんですよ。あの司書が、ネガティブな意見を消して回ってるんじゃないかって。もっと言えば、ネガティブな意見を流布していた人たちが利用停止になり、つぶやいた痕跡や記憶すら消されてしまっているんじゃないかって、そう思うんです。もしかしたらSNSで調べたあの時、私はネガティブな意見も見ていたかもしれない。でも、利用停止によりその記憶も消されてしまった。その可能性もありますよね。

河邑氏: 先ほども書きましたが、私の話は突飛なことかもしれません。でも否定もできない。もし私の予想が正しかったとして、私が存在した記録が全部消えてしまうのは嫌です。もしかしたら、退会すらも同じような結果をもたらすんじゃないかとさえ思っています。だから苦しくても、我慢するしかない。そうする以外に、なにも浮かばないんです。

[重要度の低い部分のため省略。]

<記録終了>


終了報告書: 本インタビュー後も、河邑氏は発声や接触等の行動を拒否し続けた。ただし個室トイレの中であればある程度拒否反応が緩和されることが判明。以降は河邑氏の病室がある3階の個室トイレを使用し、河邑氏への軽食の提供や身体の清拭を実施することとした。


インタビュー後に河邑氏が所持していたスマートフォンを調査したところ、同じく会員のものと思われるSNSアカウントを5件発見しました。アカウント利用者に接触したところ、その内3人が河邑氏と同様に栄養失調等を理由に入院していることが判明しました。またその後の調査により、会員と思われる入院患者を全国で15名確認しました。上記3名と併せて、適宜最寄りの財団フロント医療施設への転院を実行しました。インタビュー等を通し情報収集を試みていますが、河邑氏から得られた以上の情報は未だ得られていません。
 
 
追記: 2025年9月12日早朝、篠村 公昭氏7の病室に設置された監視カメラが、同氏の不審な行動を記録しました。病院内の財団職員が当該映像を確認して病室へ向かったところ、氏は意識を喪失した状態で発見されました。約10分後に覚醒しましたが、その後に行われたインタビューでSCP-3123-JPに関連する記憶の消失が確認されました。
 
以下は、篠村氏の病室に設置された監視カメラが撮影された映像記録の書き起こしです。
- 映像記録SCP-3123-JP-20250912 を閉じる

日時: 2025/09/12 06:22

記録場所: 宮城県 仙台市 悠仁会病院 208号室

記録媒体: 監視カメラ

付記: 篠村氏について、自身の読書する以外にも息子である良規氏への貸与を目的としてSCP-3123-JPを頻繁に利用していたことが、インタビュー記録から確認されている。また、SCP-3123-JP-Aから複数回にわたり利用規約違反に関する注意を受けていたが、篠村氏はこれらの指摘に対して明確な改善を示していなかった。


<記録開始>
SCP-3123-JP-A: 篠村様、篠村様。起きていただけますか?
〈06:22:03〉 [病室内で寝ていた篠村氏が突如として起床。ベッド右脇を見つめ、驚いたような素振りを見せる。]
SCP-3123-JP-A: おはようございます、篠村様。本日は大事なお話があって参りました。
〈06:22:09〉 篠村氏: なんだよ朝っぱらから!ただ寝てただけで何もしてないだろうが!
SCP-3123-JP-A: 確認させていただきたいのですが、「ほんのたびびと」会員証は今、お手元にございますか?
〈06:22:19〉 篠村氏: あ? 会員証?[枕元に置いてある財布を引き寄せ、中を確認する。]今持ってないけど。
SCP-3123-JP-A: ご子息の良規様に、お貸しになられたのではありませんか?
〈06:22:22〉 篠村氏: [篠村氏、目を泳がせながら2秒間沈黙。]ああ、そうだった。昨日見舞いに来てくれて、その時渡した。本読みたい時にこれ持っとけばなんでも持ってきてくれる、ってな。[篠村氏、ベッド右脇を見つめたまま24秒間沈黙。]
SCP-3123-JP-A: 昨日、良規様によって行われた、篠村様名義のカードを用いた4度の使用希望を確認いたしました。これは会員証裏面に記載された禁止事項「会員カードの他人への貸与」に該当します。こちらは重大なルール違反であり、これをもって篠村様の会員資格の取り消しを決定いたしました。
〈06:22:46〉 篠村氏: と、取り消しって。良規がお前のとこの本読んでたって何も言わなかったじゃねえか!なんで急に。
SCP-3123-JP-A: 本を又貸しされていても、私の方で本の回収はできますので。しかし、会員証そのものの貸与は、会員になることで初めて利用可能なこの図書館の前提を揺るがす行為に他なりません。これ以上のご利用はお受けできかねます。
〈06:23:06〉 篠村氏: そんなん納得いかねえよ!そんな重大なら、もっと早くから言っといてくれよ!
SCP-3123-JP-A: なので会員証の裏面に禁止事項として記載しておりました。守っていただけず残念です。それでは、会員資格の取消処理に移らせていただきます。
〈06:23:16〉 篠村氏: お、おいなんだよ!こっち来るなよ!うわっ[篠村氏、意識を失いベッドに倒れこむ。]
SCP-3123-JP-A: 処理が完了しました。それでは、これにて失礼させていただきます。
〈06:23:24〉 [財団職員が208号室に入室。失神した篠村氏を発見する。]

<記録終了>

追記: 常駐していた財団職員は、06:22:40頃に篠村氏が声を荒げる姿を確認し、状況確認のため208号室への移動を開始していた。また当日中に見舞いに訪れた良規氏の所持品に、篠村氏の名前が記載されたSCP-3123-JP-Cが発見された。インタビューを行ったところ、「何度か篠村氏の言う通りにしてみたが、何も起きなかった」旨の証言を得られた。


動画内における篠村氏の発言内容、またその後の様子から、SCP-3123-JP-Cの登録者本人以外への貸与と登録者以外の使用が会員資格停止の要件の1つであり、資格停止後は会員からSCP-3123-JPに関連する記憶の消失が起きるのみであるとの見解が立てられました。

上記の仮説を検証するため、財団は既にインタビューを完了している5名の会員を対象として、SCP-3123-JP-Cを一時的に回収した上で職員が使用意思を想起する実験的措置を実施しました。対象者には「調査目的で一時的にカードを預かる」旨を説明した上で実施しました。その結果、対象となった全会員は実施後数時間以内に意識を喪失し、覚醒後にはSCP-3123-JPに関連する記憶を完全に喪失していることが確認されました。この結果を踏まえ、当該措置は今後新たに確認された会員へ適用するための暫定プロトコルとすることが決定されました。

2025年9月15日、同様の措置を実施するため河邑氏にSCP-3123-JP-Cの提出を要請しましたが、「存在が消えるかもしれないのにそんなことはできない」として、協力を拒否されました。職員による複数回の説得も効果を示さなかったため、氏の就寝中にSCP-3123-JP-Cを回収し、措置を実施しました。

以下は、翌日に行われた河邑氏に対するカウンセリング記録です。
- 映像記録SCP-3123-JP-20250916の書き起こし を閉じる

対象: 河邑 尚文氏

インタビュアー: Agt.苗代

付記: 筆談で行われた部分のみ青色で記載。


<記録開始>

Agt.苗代: おはようございます。河邑さん。本日分のカウンセリングを始めましょうか。

河邑氏: [Agt.苗代を睨みつけたまま4秒沈黙。]

Agt.苗代: あの、何かご気分が優れないご様子で?

河邑氏: [床頭台の上にある紙に文書を書き、Agt.苗代に示す。] 私の会員証をどうしました?

Agt.苗代: え、会員証?いや、どうもしていませんよ。いつも財布にしまわれてなかったでしたっけ。

河邑氏: 今朝、司書が来てこれを渡しに来ましたよ。 [床頭台からSCP-3123-JP-Cを取り出す。]

河邑氏: 「あなたのカードが不正に利用された。そのためこれまで使用されていたカードは失効したものとし、新しいカードをお渡しする」だそうです。財布を確認したら確かに会員証は無くなっていました。

河邑氏: 盗んだのあなた達ですよね。私は基本ずっとここにいましたし、他の患者さんに図書館のことは話していません。あなた達しか知らないし、できないはずなんですよ。

Agt.苗代: いや、それは[河邑氏が手で制す。]

河邑氏: 私の話は荒唐無稽で誰も信じてくれません。なので通報はしないであげます。ただ、あなた達のことはもう信用できない。これ以上何かを話すつもりもありません。私を別の病院に移す手配をしてください。その話以外には応じません。分かったら出て行ってください。

[重要度の低い部分のため省略。]

<記録終了>


終了報告書: カウンセリング後も河邑氏は、食事や清拭など職員によるいかなる接触でも拒否し続けている。協議の結果、氏を財団の別フロント医療施設へと転院させ、監視下で経過観察を継続する方針が採択された。


これまでに実施された、河邑氏の事例を含む一連の措置の結果から、SCP-3123-JP-Cの貸与行為が資格停止を誘発するためには「会員本人が、自らのSCP-3123-JP-Cを他者が使用する可能性を認識している」ことが要件である可能性が示唆されました。河邑氏の場合、氏は貸与行為そのものを認識していなかったため、「盗難による再発行」という判定が下されたものと推測されています。

現在、代替措置の策定が進められています。

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