
図1. 現在稼働中または建設中の主要な重力波検出器
分類委員会による注記
オブジェクトクラス・Eparchが割り当てられた物体・現象は、それ自体異常ではありませんが、異常に関連しています。詳しくは特殊オブジェクトクラスの包括的リストを参照してください。
特別収容プロトコル: 稼働中及び建設中の全ての重力波観測研究施設には、財団に籍を有する研究員が配置され、重力波検出器のデータ及びそれらの解析を行う研究者は監視されます。研究者のうち、SCP-3125-JPの兆候に気づいた者が現れた場合は、直ちに記憶処理がなされるか、財団に雇用されます。
重力波異常監視機構に所属する職員は、クリアランスレベルに依らず、本報告書を閲覧することができます1。
図2. 重力波望遠鏡 (LIGO) の構成の簡易的な図2。
説明: SCP-3125-JPは、重力波望遠鏡が原理的に有している時間異常3や空間異常4の検知能力です。重力波による時空異常観測の原理については、補遺3125-JP-1を参照してください。
SCP-3125-JP自体および、SCP-3125-JPで検知される時空異常の痕跡は、「ヒューム値5の増減が起こらない」、「ヴェール内科学との無矛盾性」の意味で非異常性ですが、この性質により正常科学技術内で財団が保有するアノマリーを検知することが可能であり、間接的に収容違反に通ずることから、オブジェクトとして登録されています。
補遺3125-JP-1: 相対性理論と重力波の概要

図3. 2つのブラックホールの連星合体により生じる重力波のイメージ
一般相対性理論6は、重力現象を空間の歪みとして説明する理論7です。重力波は、一般相対性理論に基づいて予言された、空間の歪みが波として伝播する現象8です。正常科学内では、1916年に一般相対性理論に基づいて重力波の存在が予言されました。但し、重力波で観測される空間の歪みは極めて小さいため、観測可能な重力波は巨大な質量を持つ天体の運動由来のもの等に限られます9。要求される精度の技術的な困難さにより、重力波は 現在まで観測されていません 2000年に初めて観測されました。
特殊相対性理論は、時空と空間を統一的に取り扱う理論10です。この理論により、時間と空間の不可分性が示されます。財団内では1923年にアノマリー由来の時間異常や空間異常でも重力波が発生する可能性があるというレポートが発表され、これを根拠にSCP-3125-JPの特別収容プロトコルが作成されました。
補遺3125-JP-2: SCP-3125-JPの初観測
日本国内の重力波望遠鏡で、SCP-3125-JPが初めて確認されました。この案件を受けて、時空間に関わる異常の監視にSCP-3125-JPを用いることが篠原博士により提案されました。
事案3125-JP-1に関する報告
2000年8月21日から9月4日まで行われた日本の重力波望遠鏡「TAMA30011」の第四次観測 (DT4) によって、オブジェクト由来の時空異常を震源とした重力波が観測されました。
発覚経緯: 本事案は時間遡行能力を有するSCP-███-JPの収容に際して発覚しました。記録上のオブジェクトの時間遡行と同時刻にTAMA300で特徴的な波形が観測されていることが発見されました。重力波の振幅の試算から、天体現象由来の重力波よりも先にアノマリー由来の重力波が観測されるだろうことが予想されていたため、研究グループ内にフィールドエージェントが事前に配置されており、迅速に本事案の対応を開始することができました。
重力波の信号は非常に弱く、ノイズに埋もれるため、重力波望遠鏡のデータ解析にはマッチド・フィルター法が用いられています。この解析手法は、予めあり得る重力波の波形を計算してテンプレートとして用意しておき、検出器で得たデータとテンプレートの積を取って波形の一致率を見ることによってデータから信号を抽出する手法12です。TAMA300の実験グループは時間異常の波形に相当するテンプレートを持っていないため、本事案には気づいていません。
取得データの改竄は、当該研究グループに財団の存在を認知される危険性が高いことから、現在見送られています。
実験記録3125-JP-1: SCP-710-JP13を用いて、TAMA300におけるSCP-3125-JPの追確認が行われました。事案3125-1と同様に、財団が用意した波形テンプレートによって時間異常信号を取り出すことができました。同口径のハンドガンを用いた対照実験により、地面振動が観測された可能性は否定されています。
将来的な懸念: 重力波望遠鏡の実験グループが連星衝突の波形テンプレートによるマッチド・フィルター法のみを用いて解析している間は、望遠鏡がアノマリー由来の信号を拾っていたとしても、それが研究者に信号として認知される恐れはありません。しかし、研究者の間では、最低限の波形の仮定と他の重力波望遠鏡との時刻の一致性から信号を探索するという手法も提案されています。他の重力波観測施設が運用段階に至った場合、時間異常の信号も信号として検知されるようになると考えられます。
干渉計を用いた重力波観測プロジェクトは、日本以外でも、世界的に複数の研究グループで進行しており、財団の働きかけを以ってしても全ての実験を停止させるのは困難な規模となっています。今後も似たような事案が発生する可能性は高く、研究者がアノマリー由来の波形を取得可能になれば、頻繁に観測されるようになると考えられます。現状の観測台数・期間・感度であればデータの改竄と記憶処理による対応が可能ですが、検出器の感度は益々向上していく見込みであるため、エージェントによる監視と記憶処理による対応がいずれ追いつかなくなると予想されます。
SCP-3125-JPを利用した異常監視機構の提言
提言者: 時空部門時間異常課 篠原博士
提案: 時間または空間の跳躍能力を有するオブジェクトは、確保・収容難度が他のオブジェクトと比較して著しく高いことが知られています。重力波望遠鏡を使った監視システムの導入は、この困難に対する極めて有効な解決策になると考えられます。
SCP-3125-JPは近い将来に収容が困難になると予想されますが、別の側面から見れば、この検出器はアノマリーの兆候を捉えるのに極めて優れた能力を有していると言えます。異常監視システムに重力波望遠鏡を組み込むことにより、従来では捕捉が難しかった、空間跳躍や時間跳躍の痕跡を捉えられるようになります。
重力波望遠鏡の研究グループを情報隠蔽の対象とするのではなく、協力関係を結ぶことにより、一般社会へのSCP-3125-JP情報流出の抑制・制御とアノマリーの監視の両方を同時に達成するべきであると提言いたします。
時空部門日本グループ2000年度秋季会議 - 日付2000/11/8
渡辺座長: それでは質疑応答に移ります。
堤博士: 重力波望遠鏡を用いた異常監視機構というのは、技術的には大変面白く、魅力的な提案ではありますが、ヴェール内の研究者を巻き込むのは我々の理念に反します。財団内で完結できるならば賛成できるのですが。他の物理現象等と同じように、情報隠蔽と記憶処理で抑え込むことは本当に不可能なのでしょうか?
篠原博士: ほぼ不可能であると考えています。最終的に研究グループは、地球上で起こるアノマリー由来の時空間異常を全て取得できるようになると考えられます。財団が現在収容しているアノマリーの数、および将来収容する潜在的なアノマリーの数を試算すると、情報隠蔽を続けるのは現実的ではありません。
竹野研究員: 研究グループの概要を見る限り、複数の大学や国が重力波観測実験に携わっているようですね。学部4年や修士課程の学生も含まれているようです。教授等の研究者はともかくとして、学生は数年で研究から離れることが殆どの、流動的な人員でしょう。重力波観測研究に関わる人間全てへの開示には反対します。これほど大規模な一般人雇用は不確定要素が多すぎ、危険です。財団の規模を考えれば、それらの研究施設を停止、または研究員を総入換した上で財団に併合することも、困難ではあれど、可能なのではないでしょうか。
篠原博士: ご意見ありがとうございます。研究員の総入れ替えは、我々が彼らの研究の全てを把握しているわけではないため難しく、もし実行するならば主要な研究員を全て財団職員として雇用するという形になると思われます。それは本提言とあまり変わらない結果となるでしょう。情報開示の範囲についてはおっしゃる通りで、研究グループの中でも、こちらの情報を開示する相手は最小限に限定するべきだと考えています。まだ具体的なことは固められていませんが、例えば、学生か否かや、任期の有無などで線引きをし、2、3年しか関わらない研究員には財団の存在自体も知らせないように箝口令を敷く、などの対応を考えています。
小野寺博士: 少し補足を。財源の関係上、政府高官等は職員ではありませんが、財団の存在及び目的を知らされています。その他にも、警察や役所などの地方行政機関などには、フィールドエージェントと連携をとっている公務員がいます。……後者の場合は、「奇妙な事件があれば誰それに連絡せよ」という程度の情報しか知らされていませんが。ともかくも、非財団職員でありながら「異常な事象または物体の存在を知っている」という立場の市民の前例ならば、少なくはありません。今回の案件でも参考にできそうです。
篠原博士: 補足の情報、ありがとうございます。
堤博士: 監視システムとしては不完全ですよね。そもそもこの干渉計は常時動いているわけではないため、時間的な抜け漏れが生じてしまいます。この不完全性についてはどうお考えですか。
篠原博士: はい。なので、この提案による研究グループとの連携は、重力波望遠鏡の財団利用に向けての試用期間、という形になると考えています。将来的に、技術の向上による低予算化と土地確保の目処が立てば、財団主導で作る可能性も十分にあるでしょう。けれども、現状、新たな検出器を作るのは難しいこと、そもそも財団外の検出器で観測されてしまう問題は避けられないことから、研究グループとの継続した関係を構築・維持する必要があります。
西村研究員: 私はこの提言に賛成です。近い例を挙げるなら、少し前の、カミオカンデの時と同じようなものでしょうかね。
篠原博士: はい。手続きは概ね、あの時のものを踏襲する形になると考えています。まず最初に、研究員に財団の存在、及びアノマリー収容の手がかりとしての重力波信号の重要性を伝え、彼らに財団職員としての籍を用意します。セキュリティクリアランスは0になるでしょう。財団から彼らへの見返りとしては、計算機資源や資金の提供を想定しています。そのほかにも、一部の学生には時空部門への雇用口を提供しても良いかもしれません。
賛成4票、反対2票により、本提言は時空部門本部会議へ持ち上がりました。時空部門本部会議 (2000/12/14) 、O5評議会 (2001/1/21) での承認により、時空部門の下部組織としての重力波異常監視機構の設立が決定しました。
補遺3125-JP-3: 重力波異常監視機構設立
篠原博士を責任者として、重力波異常監視機構が2001年に設立しました。前身である時空部門-時空間異常理論研究グループは限られた種類の波形テンプレート14しか有していなかったため、多様な時空間異常に対応する網羅的なテンプレートの開発が行われました。この開発研究は、時空異常理論の専門家に加えて、計算科学に習熟した数値相対性理論の専門家15を財団職員として新たに雇用することによって進められました。
差出人: 前田博士 (TAMA300研究グループ所属)
宛先: 篠原博士
件名: 貴組織への協力について
先日はありがとうございました。
返事をお待たせしてしまって、申し訳ありません。
我々の間で検討を重ねた結果、ご提案を受け入れることにしました。
正直なところ、我々の常識とはあまりにも違うため、受け入れ難い点も多く、理解が及ばない話も多々ありましたが、そちらの活動の理念に関しては満場一致で賛同することができました。
我々の研究が人類の役に立つことを光栄に思います。
差出人: 篠原博士
宛先: 前田博士 (TAMA300研究グループ所属)
件名: Re:貴組織への協力について
申し出を受け入れてくださり、ありがとうございます。
前々からそちらの研究を興味深く拝見していたので、共に活動できて嬉しいです。
先日お話しした通り、解析用の計算機資源の提供や、追加の波形テンプレートの作成は我々で行い、そちらにご負担をかけないことを約束します。
ご提供いただくデータも、普段我々が取り扱う他の情報と同等のセキュリティ対象とし、限られた研究員のみで解析を行います。
よろしくお願いします。
円滑な連携と情報交換を行うため、TAMA300に参加している研究員12名に対して、財団職員としての籍が用意されました。職位は研究員、セキュリティクリアランスは0です。詳しい情報は重力波異常監視機構職員名簿を参照してください。財団へのデータ提供への見返りとして、財団からは資金の援助と計算機資源の提供を行うことが承認されました。
LIGO、Virgo等の各国の重力波観測研究グループとも交渉を進めています 協力関係を結びました。
観測記録3125-JP-1: TAMA300/DT6
2001/8/1~2001/9/20にTAMA300で行われた第6次観測 (DT6) のデータが財団に提供されました。観測時間は過去最長の1038時間です。観測は24時間3交代制、1シフト2名の体制で行われ、重力波異常監視機構のメンバーも参加しました16。
差出人: 篠原博士
宛先: 前田博士 (TAMA300研究グループ所属)
件名: DT6完了お疲れ様です。
DT6完了、お疲れ様です。
台風17の関係で一時はどうなることかと不安でしたが、無事に観測を完遂できて何よりです。
今回の前人未到の長時間観測は、重力波探索研究において一つの大きなマイルストーンであるかと思いますが、それに関われたことを嬉しく思っています。
もし解析研究で何かありましたら、喜んで助力いたしますので、気兼ねなくご連絡ください。
差出人: 前田博士 (TAMA300研究グループ所属)
宛先: 篠原博士
件名: Re:DT6完了お疲れ様です。
お疲れ様でした。
そちらも忙しい中、観測を手伝っていただきまして、ありがとうございました。
観測の全データはサーバーにアップロードしておりますので、そちらの研究チームでもご自由にお使いください。
重力波異常監視機構の解析により、本データの中に時間跳躍1件、空間跳躍2件の痕跡を確認することができました。いずれも財団が把握していたオブジェクトに由来するものであり、この解析結果によって重力波検出器の感度と監視可能な範囲の相関が概算されました。
観測記録3125-JP-2: TAMA300とLIGOの共同観測

図4. LIGO-リビングストン観測所18
2002年8月から、アメリカの重力波観測施設LIGOが重力波の探索観測を開始しました。重力波監視機構によるオンライン解析システムも安定稼働し始め、これに伴い、各地の検出器と連携した本格的なリアルタイム監視が開始しました。波源探知のために地球上の複数箇所で観測を行う必要があること19 から、LIGOの科学観測期間S120 とS221はTAMA300のDT722、DT823と同時期に行われました。
観測記録3125-JP-2-1 - 日付2002/9/1
分析: 収容中のSCP-███による時間異常が検知されました。この時間異常現象は予測されていたものであり、収容違反はありませんでした。重力波信号から再構成された時刻情報・位置情報から、オンライン解析システムが問題なく作動していることが確認されました。
観測記録3125-JP-2-14 - 日付2003/2/18
分析: 信号から再構成された情報が未知のアノマリーによる時間跳躍現象を示していたため、該当地域のフィールドエージェント・機動部隊を動員して調査が行われました。その結果として、SCP-███の収容に成功しました。財団側に損耗はありませんでした。
観測記録3125-JP-3: Virgoが参加

図5. Virgoサイトの空撮。イタリア、ピサ近郊のカーシナサイト。
2007年から、イタリアの重力波望遠鏡Virgoが重力波異常監視機構へ参加しました。加えて、正常科学内でも、LIGOとVirgoの間で連携し、共同観測・解析を行う同意がなされました。
重力波異常監視機構の設立から2010年までの間に、同機構は31件の空間跳躍能力を有する異常物体の収容、23件の時間跳躍能力を有する異常物体の収容、7件の時空ポータルの発見に貢献しました。重力波異常監視機構によって発見された時空ポータル及び並行世界は、それぞれSCP-3125-JP-A、SCP-3125-JP-Bに分類されました。
財団の超常技術を利用した同期システムを提供することにより、重力波の到達時間差からの波源位置推定計算を極めて高い精度で行うことに成功しました。加えて、情報の蓄積により、時間異常の観測精度がシステム運用開始時よりも大きく上昇しました。
差出人: ダンカン博士 (LIGO所属)
宛先: 篠原博士
件名: ご相談
お世話になっています。
LIGO研究グループのダンカンです。
そちらの活動の調子はどうですか? 我々のデータは役に立っているでしょうか?
今月観測できたのは時間跳躍型が2件、空間跳躍型が1件のようですね。天文現象由来のデータは0件です。
人類の役に立てているのならば光栄なことですが、残念なことに、我々の研究の本命たる連星衝突事象は未だに観測できていません。
財団を知る共同研究者たちの間から、あなた方財団への不満、あるいは疑いの声を頻繁に聞くようになりました。
失礼ながら、私自身も初めて聞いた時は、下手な陰謀論の方がまだ信じられると思ったほどなので、彼らに近い心持ちでいます。
せめて、あなた方が収容しているというアノマリーの具体的な情報を提供していただくことはできないでしょうか。
もしサイトを見学することができるならば、多くの研究員たちが立候補するでしょう。
あなた方への情報提供の意義を、我々は真の意味で理解できていません。
今の我々には具体的な情報と納得が必要なのです。
差出人: 篠原博士
宛先: ダンカン博士 (LIGO所属)
件名: Re:ご相談
いつもお世話になっています。
ご連絡ありがとうございます。
あなた方から貸していただいているデータは、我々財団の活動に非常に役に立っています。
守秘義務の関係で詳しいことは申し上げられませんが、重力波データのおかげで何件もの異常物体の回収に成功しています。
感謝してもしきれません。
我々のサイトの見学についてですが、申し訳ありませんが、規則の問題でサイト管理者から許可を得ることができません。
セキュリティクリアランスレベル0の方には、我々が収容している異常物体・異常存在に関する情報を開示することができないためです。
異常物体の中には、それについて知るだけで危険に晒されてしまうものも存在しています。それ以外のものであっても、アノマリーは本質的に現代科学では解明できないものであり、我々にとっても未知である現状、完全な安全を約束することはできません。
情報の秘匿はあなた方の安全を守るためのものでもあります。ご理解ください。
代わりに、物資や財源関係で融通できる面がないか、上層部に掛け合ってみます。
差出人: ダンカン博士 (LIGO所属)
宛先: 篠原博士
件名: Re:Re:ご相談
公で説明できない資金や物品の提供は、こちらとしても取り扱いに困ることがありますので、現在いただいているものだけで十分です。
せめて、あなた方の解析で使われている手法と、その基礎となる理論についてだけでも教えていただくことはできないでしょうか。
差出人: 篠原博士
宛先: ダンカン博士 (LIGO所属)
件名: Re:Re:Re:ご相談
返信が遅れてしまい、申し訳ありません。
私の方でも、時空異常理論について皆様と共有したいのですが、各種手続きに手間取ってしまっています。
正常科学のアカデミア界隈に異常物品由来の理論を提供することを危険視し、難色を示す学者や管理者が多いのです。
どうにか掛け合ってみますので、もうしばらく時間をください。
時空部門本部臨時会談 - 2010/8/21
重力波観測研究グループからの直訴により、臨時会談が開かれました。本会談には、時空部門の研究者と、重力波観測グループ内で財団に籍を有する研究者が出席しました。
財団代表: ホフマン博士、トルホヴァ博士、篠原博士ら計6名
重力波観測研究グループ代表: ダンカン博士(LIGO所属)、リー博士(Virgo所属)、前田博士(TAMA300所属)ら計6名
ダンカン博士: 本日はこのような場を設けていただき、ありがとうございます。
ホフマン博士: こちらこそ、あなた方と直接話す機会ができたことを嬉しく思っています。本日はご足労いただきまして、ありがとうございました。……さて、情報の共有と整理のために、改めて、そちらのご要望を話していただけますか。
ダンカン博士: 了解しました。端的に言いますと、我々重力波観測研究グループは、現在の財団との関係に不満を持っています。我々は財団に貴重な情報を提供しているのに対し、その見返りとして財団からは情報公開の規制を強いられているためです。これは研究者としての我々の本分が抑圧されていると言えます。
ホフマン博士: 我々が情報を隠蔽する理由についてはご存知ですか?
ダンカン博士: 財団の理念は承知しています。財団組織の規模の大きさから、その脅威の程度も類推しています。けれども、あなた方の職務が暗闇の中で人類を守護することであるのならば、我々の職務は人類の知の地平線を照らすことです。科学が切り拓く未来への希望を託されて、我々は巨額の研究資金や研究施設を任されています。異常性のみを秘匿するならばまだしも、あなた方の言う「ヴェール」の内側で得られた技術や知識までも秘匿してしまうのは、我々に託されたもの全てへの裏切りにあたるのです。
[重力波観測研究グループ側に座る数名が頷く]
ダンカン博士: 我々が何らかの信号を検知したことを公表させてください。異常物体そのものについて明かすつもりはありません。ただ、我々の研究成果として、重力波検出器が信号を検知できるほどに正しく運用できていることを世間に公表させてください。
トルホヴァ博士: あなた方の言い分は理解できますが、それは財団と人類にとって高いリスクを伴うものであるため、賛成できません。
リー博士: 我々には開示されていませんが、一般相対性理論を超える時空理論をお持ちなのですよね? あなた方は時間跳躍由来の重力波のデータを解析・解釈できているのですから。理論になっているならば、それは人類の理解の範疇であり、正常と呼べるのではないのでしょうか。科学とはより多くの現象を包括できるように理論を一般化していく営みであり、未知の現象は新たな科学の芽です。あなた方は必要以上に人類の目を塞ぎ、その発展を停滞させているように思われます。
前田博士: 聞いたところによれば、カミオカンデ24実験の陽子崩壊観測を握り潰したのもあなた方財団だと言うではありませんか。
トルホヴァ博士: あなた方はセキュリティクリアランス0のはずですが。まさか守秘義務を破った者がいるのですか? 誰から聞いたのです? 事と次第によれば、あなたもその者も、処分は免れませんよ。
前田博士: クリアランス0でも、同地区の人事リストは閲覧できましたので。その中に、同じ大学所属の教授の名前があったため、本人に似たような身の上かと尋ねてみたのですよ。彼はあなた方の情報隠蔽について話してくれました。もちろん、守秘義務を破らない範囲で、ですが。
トルホヴァ博士: ……詳細は改めて、追って確認しましょう。
前田博士: 彼らの研究を握り潰した正当性は本当にあるのですか? 陽子崩壊の発見がどうして人類の危機に繋がるのですか? 陽子崩壊現象の発見は彼らの悲願でした。
トルホヴァ博士: 詳しくは伝えられませんが、あれはヒュームと呼ばれる異常な場の揺らぎによる偶発的な現実改変……俗に言う魔法や超能力のような異常現象が原因でした。あなた方のいるヴェール内の科学で予言されていた現象とは根本的に機構が異なります。それを観測したところで、あなた方が組んでいる物理モデルへの寄与はありません。むしろ、あの実験における陽子崩壊観測は物理定数の値の推定を誤る原因になり得ました。
前田博士: では、財団のみが知っている正しい物理モデルというものを公表してください。
トルホヴァ博士: それはできません。
前田博士: 何故ですか。
トルホヴァ博士: 危険だからです。モデル自体に異常性はありませんが、モデルを構築するための前提に異常の存在が関わります。第0世代のクォークは現実改変現象でしか生成されません。
ホフマン博士: もう、この話はいいでしょう。脇道に逸れすぎています。
トルホヴァ博士: 事の重要性を共有させてください。あなた方はおそらく、我々の収容している「異常」を軽視しすぎています。我々は敢えて、人類の役に立つ可能性があるものすらも秘匿しています。財団にも倫理委員会がありますが、そこでも、隠蔽は常に人類より優先されます。一見してそれは、非倫理的に見えることもあるかもしれません。けれども、財団が収容している物体や存在の中には、文字通り、人類や宇宙の存続に関わるものすらもあるのです。異常物体は理解できぬからこそ異常物体なのであり、理解しきれていないものを安易に公表することは重大な事態を引き起こす可能性があります。ゆえに、異常物体や異常存在に関わるものに対しては、細心の注意と隠匿が必要とされるのです。
重力波観測研究チームの要求は全て却下されました。
補遺3125-JP-4: 観測器アップデート期間
LIGO及びVirgoの研究グループは、現在の観測器感度では天体由来の重力波を観測することが困難であると判断し、運転を中断してアップグレード期間へと移行しました。LIGOは2010年から、Virgoは2011年からアップグレードを開始しました25。この間は重力波データの取得ができないため、重力波異常監視機能は休止期間となりました。
補遺3125-JP-5: 天体由来の重力波の初観測

図6. LIGOのハンフォード観測所とリビングストン観測所の重力波検出器で得られた、ブラックホールの連星合体による重力波の観測データ26。
アップグレード後のAdvanced LIGO、Advanced Virgoの観測可能な範囲は200 Mpc27まで広がりました。これらの重力波観測器により、重力波観測研究グループは2015年9月14日に初めて連星合体観測に成功しました。財団は重力波観測研究グループが受信した信号が異常由来でないことを確認するために、世間への公表前に情報の精査期間を要請しました。
差出人: 篠原博士
宛先: 時空部門部長
件名: 重力波データの精査期間について
お忙しいところ、申し訳ありません。
時空部門の皆様に他の重大な議題があることも重々承知の上ですが、この発見は彼ら研究グループの悲願です。
彼らは今年中の発表を切に望んでいます。
どうか迅速な公表承認をお願いします。
重力波観測研究グループからは苦情及び嘆願のメールが計21件、財団籍を有する研究員全62人の署名が送られましたが、慎重を期すために却下されました。
LIGO・Virgoから世間への重力波発見報告は、観測の翌年の2016年2月11日に行われました28。この一件を以て、財団と研究グループの関係は悪化し、財団への重力波データ提供は停止されました。
差出人: LIGO研究グループ代表
宛先: 篠原博士
件名: 今までありがとうございました
篠原さん、私たちのために努力してくれていたあなたには悪いけれど、我々はもう限界です。
財団には大義と使命があるのでしょう。けれども、私たちは財団の活動のためにいるのではなく、科学研究の最先端を切り拓くという別の使命があるのです。それを尊重していただけないのならば、我々はもう、財団と組むことはできません。このような一方的な関係は、ただの搾取ですから。
補遺3125-JP-6: 重力波異常監視機構の凍結
重力波観測研究グループからのデータ提供が停止されたため、重力波異常監視機構の活動は凍結しました。これまでの実績により、重力波検出器を用いた監視機構の性能は評価されていました29が、財団主体での監視用重力波検出器の建設は予算の都合で見送られました。機構に所属していた職員は、時空部門の他の課・研究グループへ再配属されました。
2017年に重力波観測研究グループとの関係修復及び重力波異常監視機構の再稼働を求める署名が復数の回収部隊・機動部隊から時空部門へ提出されました30。これを受けて時空部門から重力波観測研究グループへの接触が図られましたが、関係改善には至りませんでした。
事案3125-JP-2: 2019年6月22日の深夜から2019年6月23日の早朝にかけて、オハイオ州・ペンシルベニア州にて異常の関与が疑われる事案の報告が相次ぎました。以下は本事案発覚から経緯です。
時系列記録抜粋 - 2019/6/23時刻 | 概要 | |
---|---|---|
00:13 | █████農場の警備員が産卵鶏の異常な死体を発見。30匹程度の鶏が内側からの破裂により死亡31。本案件を受けて、暫定的な事案分類ナンバー「19-6-23-E1」を割り振り、情報収集が開始された。 | |
01:07 | ██████州立公園での樹木枯死事案32及び、周辺地域で発生した小規模な竜巻3件を事案19-6-23-E1の関連情報として分類。 | |
01:28 | ████化学工場における複数のタンクの破損事故33を事案19-6-23-E1関連情報として登録。 | |
02:02 | 事案19-6-23-E1及び関連情報の現場がほぼ直線に並んでいることが確認された。また、各地点での事案発生時刻の比較により、オハイオ州側からペンシルベニア州側にかけて順に起こっていることが判明した。進路の直線上にニューヨークがあることから、本事案の緊急レベルがⅢに引き上げられた。 | |
02:14 | 国道███号線で、道路中心の大規模な陥没34による渋滞が発生。事案19-6-23-E1関連情報として登録。 | |
02:18 | 財団所有の複数の観測所の記録から、ヒューム値の僅かな変動を確認。現象の種類が多岐にわたることから、敵対的な現実改変能力者 (以下、対象) による大都市への襲撃と判断され、対象の進路への機動部隊の派遣および、衛星・監視カメラ等を用いた緊急捜査、道路規制が開始された。 | |
04:15 | 道路規制以降、異常事案の発生が停止。捜索範囲の広大さ、対象の移動速度35から、捜査が難航。緊急レベルがⅣに引き上げられた。ニューヨーク到達前に対象を制圧できなかったシナリオに備え、ニューヨークの各所へ機動部隊を派遣。同時に、周辺のサイトから中規模出力のスクラントン現実錨36の移送が開始された。 |
2019年6月23日 4:52(EST) に、音信不通となっていた重力波観測研究グループから元重力波異常監視機構総責任者の篠原博士へ緊急連絡がありました。
音声記録3125-JP-1 - 2019/6/23
篠原博士: 篠原です。お名前とご用件をお願いします。
ダンカン博士: LIGO研究グループ所属のダンカン研究員だ。重力波信号を検知した。君たちの残したあの計算機内のシステムが警告を発している。ペンシルベニア州で連続的な空間跳躍を確認。最終位置は北緯41.46、西経79.35。タイプB、現実改変型空間跳躍、だそうだ。30分ごとに60kmの跳躍で、東へ向かっている。進路の直線上にはニューヨークがある。
篠原博士: わかりました。ありがとうございます。至急報告します。接続切らないでください!
ダンカン博士: 勿論だ。君たちのアクセス権限も復旧中だ。念の為、最新の位置情報を手動でメール送信もしている。
篠原博士: ありがとうございます!
[緊急情報センターへ音声通信接続]
篠原博士: こちら時空部門、篠原博士。レベルIII事案。重力波異常監視機構より警告。ペンシルベニア州からニューヨークの方向へ、不明なアノマリーが現実改変を用いて移動中です。
オペレータ: 了解しました。
[サイト-322及びサイト-58のコントロールセンターへ音声通信接続]
オペレータ: サイト-322およびサイト-58へ通達。事案19-6-23-E1、ペンシルベニア州のアノマリー事案への関連情報を取得。対象は現実改変を用いて空間跳躍を行っている。篠原博士、位置情報の詳細は得られますか?
篠原博士: ダンカン教授、最新の位置情報をお願いします。
ダンカン博士: 5分前の位置情報は北緯41.46、西経79.35。跳躍は約30分に1度で、平均して120 km/hで移動しています。
オペレータ: 北緯41.46、西経79.35。
オペレータ (サイト-322): こちらサイト-322。機動部隊の派遣準備完了。ルートを転送します。
機動部隊による制圧後に、主犯者がPoI-███37であったことが発覚しました。PoI-███が所持していた異常物体38は回収され、Anomalousアイテムとして収容されました。一般市民及び財団への人的被害はありませんでした。
差出人: 篠原博士
宛先: 財団に籍を持つ重力波観測研究グループ全員
件名: 先日はありがとうございました
重力波観測研究グループの皆様
昨日の迅速な重力波検知の報告に心からの感謝を申し上げます。
クリアランスレベルの関係で詳細を伝えることはできませんが、あなた方からの位置情報の提供がなかったら、大規模災害になっていたのは間違いありません。少なくない人命が失われていたはずです。危険な異常物体がニューヨークへ至る前に対応できたのはあなた方のおかげです。
私たちはあなた方から観測結果を受け取るばかりで、碌な情報開示もすることができませんでした。財団が対峙している脅威について、具体的なことは何も知らなかったことでしょう。
財団の手続きのせいで初観測の公表が遅れたことに、あなた方が怒りを抱いていることも、承知しています。
それにも関わらず、あなた方が危険性を独自に判断し、我々に情報を提供してくれたことに、感謝してもしきれません。
本当にありがとうございました。
差出人: ダンカン博士
宛先: 篠原博士
件名: Re:先日はありがとうございました
窓口が貴方だったからです、篠原さん。
貴方は我々の研究とその意義に敬意を払ってくれていました。貴方が財団の頑迷さに頭を悩ませてくれていることを、我々は知っていました。
だから我々は、貴方を信じることにしたのです。
天文由来の重力波観測の公表時期をめぐり、我々は確かに対立していました。
けれども、私たちは敵ではありません。人類の未来のために戦う同志です。
そして、観測することしかできない我々が、直接対峙しているあなた方への敬意を忘れるはずがないでしょう。
我々の研究グループの中には、NYから遠隔で研究に参加している者がいます。親族がNYに住んでいる者も。
あの都市に生きる多くの人々を救ってくれて、ありがとう。
我々の研究の意義を増やしてくれてありがとう。
我々は財団への恩を忘れません。
補遺3125-JP-7: 時空部門臨時会議
重力波観測研究グループに対する、財団で構築された時空間異常理論の知見の公開が再検討されました。篠原博士からは、以下の参考資料が提出されました。
レポート1: 一般科学による時空干渉技術の安全性について
近年発達した時空ポータルの探索・観測技術により、十分な数の多元宇宙の情報が収集されました。それらの宇宙の統計的な解析の結果、CKクラスシナリオ39発生率とヴェール内での時間操作技術の発展の間に相関がないことが証明されました。詳しくは解析結果3125-JP-1を参照してください。
レポート2: 財団による科学抑圧が極めて低い並行宇宙の記録
2007年に重力波異常監視機構によって、SCP-3125-JP-B-3に分類される平行宇宙へのポータルが発見されました。SCP-3125-JP-B-3は我々の住む宇宙 (本文書中では"ベース・ライン"と呼称) と酷似した歴史を有する平行宇宙です。ベース・ラインとの近似性と、時間が██年先行している特異性から、未来予測の手段の一つとして利用可能であると考えられます。以下はSCP-3125-JP-B-3から得られた、正常科学界でのヒューム研究に関する情報の抜粋です。
黎明新聞より抜粋 - 2031/10/4(SCP-3125-JP-B-3暦表記)
██大学院理学研究科の今田いまだ博士ひろし准教授が、新たな物理場を発見した功績で2031年のノーベル物理学賞を受賞しました。発見されたイマダ場 (SCP-3125-JP-B-3におけるヒューム場の正常科学界正式名称) は従来の物理学理論では全く予言されていなかったものであり、当時の物理学界へ大きなインパクトをもたらしました。(後略)
注: ベース・ラインでは、今田氏が博士後期課程で開発していた物性測定手法が小規模なヒューム値の測定に応用可能であったため、財団の興味を惹き、後に研究員として雇用されました。なお、この時彼が執筆していた博士論文は財団の機密情報を含んでいたため廃棄されました。
██大学ホームページの外部向けニュースページより抜粋 - 2038/2/18(SCP-3125-JP-B-3暦表記)
理学研究科の林研究室により、イマダ場の勾配中におけるクォークの新たなフレーバー変化事象が観測されました。今まではクォークは第1世代から第3世代までしか観測されておらず、第1世代であるアップクォークとダウンクォークが最も安定な状態であると考えられていました。本研究では第1世代のクォークよりも軽い粒子へと崩壊したため、暫定的に「第0世代クォーク」と呼称しています。(後略)
注: ベース・ラインのカミオカンデやIceCube実験で観測された陽子崩壊は、このクォークの崩壊事象と同一のものです。ベース・ラインでは異常の隠蔽のために、関係者の記憶処理または財団への雇用、および観測データの改竄を行いました。
科学雑誌「月刊サイエンス」より抜粋 - 2052/9/21(SCP-3125-JP-B-3暦表記)
(前略) ██大学及び██研究所の共同研究により、クォークのフレーバー変化による質量欠損を利用した発電機構が開発されています。イマダ場中におけるクォークフレーバー変化を促進するギースベルト法が2049年に確立されるまで、第0世代クォークの生成は偶発的な現象を観測することしかできていませんでした。研究グループはギースベルト法を応用した技術を用いることにより、フレーバー変化事象数を制御し、安定したエネルギー収集の実現を目指しています。本発電機構が実現されたならば、従来の原子力発電に代わる安全でクリーンな次世代のエネルギー源として普及する見込みです。(後略)
注: この発電機構のエネルギー源は、現実改変現象で使用されるエネルギー源と同一のものです。
黎明新聞より抜粋 - 2074/8/24(SCP-3125-JP-B-3暦表記)
アメリカ合衆国██州でクォークのフレーバー変化による質量欠損を利用した降世代発電所の建設が開始されました。 この発電所は2076年から本格稼働する見込みです。環境に優しい次世代の発電機として、各国からの注目を浴びています。(後略)
科学技術系ニュースサイト「エウレカ」より抜粋 - 2091/3/9(SCP-3125-JP-B-3暦表記)
NASA (アメリカ航空宇宙局) が降世代発電を利用した恒星間ロケットを開発しました。6日に行われた記者会見によれば、今年の10月に発射予定とのことです。将来的には太陽系外有人探査を目標にしているとの声明もあり、(後略)
SCP-3125-JP-B-3は異常現象である現実改変と同じエネルギー源を手にしましたが、人類の科学はより良い方向へ発展しています。この事例から、財団から一般科学への抑圧は最低限にするべきであると主張します。
会議の結果、財団に籍を有する研究員にのみ、試験的に理論を公開することが承認されました。財団外への公表は検討中です。
この決定を受けて、重力波観測研究グループとの関係が修復され、重力波異常監視機構の活動が再開しました。
補遺3125-JP-8: 天体由来の時空異常重力波の初観測
LIGO-Virgo-KAGRA40コラボレーションによる2023年開始の第4期共同観測運転 (Observing Run 4; O4) で、地球外が波源の時間跳躍型重力波が観測されました。観測された信号は異常時空理論によって予言される天体現象由来の重力波と酷似しており、財団の調査においても、アノマリー由来である可能性は極めて低いと判断されました。今年度中に一般社会全域に公表される予定です。