SCP-3133-JP
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SCP-3133-JP。

アイテム番号: SCP-3133-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 既知のSCP-3133-JP実例は専用に構築された書類収容ロッカーへと収容されます。収容ロッカーは常時施錠・監視され、SCP-3133-JPが再度変容を起こした場合を予期し、内部には5mm2を超えない大きさの通気口を設けてください。

説明: SCP-3133-JPはカモメ科(Laridae)の鳥類を模した、遠隔地への郵便輸送に関する異常な一形態です。SCP-3133-JPの各個体は多くの場合カモメ(Larus canus)、ウミネコ(Larus crassirostris)、アジサシ(Sterna hirundo)等の外見をとりますが、それらの本来の習性とは無関係に、時期にかかわらず海洋を横断する長距離かつ高速の連続飛行を行います。

その過程で陸地、もしくは船舶などの海上人工物に留まったSCP-3133-JP個体は、任意の小型魚類を与えられることをトリガーとして封蝋が施された封筒へと姿を変容させます。既知の実例は全て回収時に海水、または鳥類の糞や消化液に似た粘液にまみれていたものの、封筒の紙は乾性油脂によって耐水加工されており大部分に損傷は確認されませんでした。

封筒内部には必ず1枚以上の書簡が存在します。その内容には主に海洋における超自然的な事象への言及・描写が含まれており、書簡はそれらについての連絡や報告を目的として記述されたと推測できるものです。しかしながら、記載された内容には財団が把握している海洋での異常な現象・生物の報告に合致しない記述が含まれていることから、これらが描写する事物の実在に関する信憑性には疑問が持たれています。

発見経緯: SCP-3133-JPは、財団のI5サイト群が位置する太平洋上において大型のタイフーンが発生した際に初めて捕捉されました。タイフーン通過後に施設設備の点検を行った職員が、恐らくは暴風の影響によって施設の外壁に叩きつけられ行動不能になっていたSCP-3133-JP個体を発見し、独断で給餌と治療を行ったところ、突如としてその個体が封筒に変容したことで異常性が発覚し収容に至っています。

その後「季節外れの渡り鳥」に関する報告の調査において同様の実体が複数発見されたものの、SCP-3133-JPの作成者に関する調査は進展していません。また、財団は現在まで封筒となったSCP-3133-JPを再び鳥類の姿に変容させる方法を把握していないため、返信・返送によってその差出人とのコミュニケーションを行うことも困難であると考えられています。

書簡に記載された宛名と差出人は実例が回収されるごとに異なっており、用いられている言語についても実例ごとにそれぞれ異なる文化圏で使用されているものです。これはSCP-3133-JPが不特定多数の人物・団体間での世界規模に及ぶ郵便通信ネットワークとして利用されていることを示唆していると考えられていますが、同名の個人や組織、特に頻繁に言及される「連盟」もしくは「Fluxio1」に関する情報は現時点で不足しています。

補遺1: 以下は、SCP-3133-JPに封入されていた書簡の内容を転写・抜粋・翻訳したものです。完全な内容の照会・及び原版の閲覧にはレベル3以上のセキュリティ資格を提示してください。

ニクシー・ニンフ・マーフォーク・その他の水と海に関する悪霊祓い師-アスマ・ベリス様、

初めて"連盟"のタヨリドリ2を使うもんで、ちゃんとこの手紙が届いているかどうか分からない。とにかく今、俺の目の前で起こっているおかしな出来事への対処法を熟知している人間に渡りがつくと聞いて、祈るような気持ちでこれを書いている。

俺は今シーズンのベーリング海に数年かけて万全の準備を整えてきた。しかも禁漁明け直後、波の下には丸々肥えたカニが蠢いている。問題は、ウチが知ってる穴場を荒らしてる船がいたことだ。船長は新参者で、欲に目が眩みカニ漁でのマナーってやつを鼻で笑い飛ばす髭面のバカ。何よりアイツは船員の集め方がマズかった。港でバカは右腕に「天」という漢字の入れ墨をしたアジア系の男と話してた。噂じゃ奴は中国マフィアで、自分の組織に金を返せなくなった債務者を船員として無理やり斡旋しているという話だった。あいつは勿論安く労働力が買い叩けて喜んだだろうさ。だが、荒れ狂う極寒のベーリングでは甲板に立ってるだけでも命懸けだ、嫌々やらせていて続くもんじゃねえ。だから暴動が起きた。

俺には、暴動についての無線を受けたあの夜に何が起きたのか見当もつかない。そこでどんなアジアの呪法が使用されたのかも。今、俺の船の後ろには、変わり果てたバカの船がぴったりと張り付いてきている。血まみれのメインデッキに陣取っているのは巨大なカニだ。暴動の勝者は船長でも船員でもなく、彼らの肉塊がぐちゃぐちゃに混ざり合ってカニの形を成した化け物だった。そしてこいつは、どういうわけか次は俺の船をつけ狙っている。

どうか頼む、この化け物を追い払ってくれ。無理ならこいつに効く聖句かスートラだけでも教えてほしい。

-ラッキーウィリー号船長 ラッセル・ヒルスタンド

親愛なるロジャーへ、

なあ兄弟、フィンランドは存在しないって知ってたか? 実はそこに陸地も国も無くて、手つかずの海だけが広がっているって話だ。俺ぁてっきり都市伝説だと思ってたぜ、ロシアがそこで獲った魚をノキアの電子機器に紛れて日本に輸出しているなんて笑い話をよ。

だが、神様か北大西洋海流のお導きか、俺は今まさにそのフィンランド海域に辿り着いちまったらしい!GPSでは船は森林地帯に居ることになってるが、見渡す限り海ばかりだ。どうやら伝説は真実だな。確かにおかしい名前だと思ってたぜ、ヒレ(Fin)の国なんてよ!

周りは日本の漁船だらけだ。だが奴ら、どうも魚の捕まえ方ってもんが分かってねえらしいな。網を掛けただけでしばらく待てばイワシもサケもどっさりだ。兄弟、お前らも来てみろよ!日本語かロシア語が出来れば獲り放題の食い放題だぜ!

-マリガランテの復讐号 嗅ぎ煙草のアルバート

傾注!


現在当方は、"フィンランド海域"に関する偽情報が逓信鳥網内で出回っていることを確認している。極めて愚かしい虚言だ。陸地があるべき場所に船が乗り上げるとするなら、その船の羅針盤は真西を指し続けているに違いない。

当方はFluxioの栄誉ある加盟団体として"フィンランド共和国"の実在を支持する立場にある。そのため「フィンランドは日本とロシアの共謀によって作り上げられた架空の国家であり」「そこには海しか存在しない」という言説または告発はあらゆる者にとって一分の真実を含んだものとしても扱われるべきではないと重く進言する。

また、そこで魚を獲ったと述べる者に触れてはならない。各々注意されたし。

-"深淵に射し掛ける光の運び手Light bringer into the deep sea"

海の荒くれ者各位、

ヨーホホー、今号はキャプテン・クリストフが文字通りホットなニュースをお届けするぜ。今年はエルニーニョ3が熱い!ファントム諸島の蛸魔女は観測史上最大にもなりうる大変動と予知してる。異常気象は得手に帆を揚げて待ったなし、"連盟"の皆もゆめゆめご用心忘れるな!

いいニュースとしては、今回も神の子エル・ニーニョに合わせてあいつがやってくる。そう!イクトゥスの御回遊だ。知っての通りジーザス・フィッシュの具現体は期間限定で第一級聖遺物相当の縁起物。聖餐に良し捧げものに良し黒魔術に良しのゴキゲンな万能食材だ!人間を取る前は魚を取る漁師だった聖ペテロに誓って逃す手はねえ、俺も豊漁を祈願しておくぜ。

それじゃあ次回も楽しみにしててくれよ。ヨウソロ! <º ))ΙΧΘΥΣ)><〜

-カリブ自由海賊同盟ニュース

だれでもいい、助けてくれ

状況はかなり悪い。俺はフィンランド海で魚を獲っていたはずなんだ。だが、朝起きたら俺の船は針葉樹の上にあった。俺は泡を食ったが、森林警備隊のような奴らがやって来て、俺を救助してくれた。

奴らは俺を取り調べた後、異常な現象に関与したことを鑑みて特別な方法で故郷へ送り返すと言ってくれた。そして俺は、軍用の船に乗せられて送還されることになった。やはりフィンランドは実在したのだと、兄弟分の口車に乗せられてやってきた自分に恥じ入るような気持だった。

でもこの船、おかしいんだ。乗ってる奴らはロシア語を喋っているし、フィンランドの海軍には見えない。フィンランドが実在するなら、俺を救助してくれるのはフィンランド政府のはずだよな?俺は一体、どこへ送られるんだ?アル、お前は一体[以降、筆跡が乱れ判別不能]

この便りを受け取ったやつが居るなら、どうか返送して鳥の行方を追ってくれ。そこに俺がいる。便箋はもうない、見張りにも気付かれた。これが最後のチャンスだ。信じている。

-ロジャ[判別不能]

Vetlandaへ、

協議の結果、俺たちはそちらからの提案を受け入れることにした。間違いなく俺たちは船団護衛を必要としている。海魔に怪魚、それを喰らう化け物ザメと、そのサメに拳を一発お見舞いしてやりたい狂人ども。もはや避けては通れないほどに漁の邪魔をする連中はこの海に溢れている。そして、だからこそ手を組み連携して生き延びる必要がある。

連盟協議会は互助の精神を尊ぶ。FPFAは諸手を挙げて、シプヒア4からの亡命者を受け入れるさ。組合へようこそ、戦艦Vetlanda。

-フルトン超常漁業組合(FPFA) 代表 ノーマン・ガイ・エリントン


補遺2: SCP-3133-JP実例と思しき異常な渡り鳥に対する継続的な追跡調査の結果、研究班はその移動ルートが世界各地の主要な漁港や海運業・水産業拠点を結ぶように形成されていることを発見しました。財団はそれらの地点にSCP-3133-JPの作成者・利用者の拠点があると判断し、各地にエージェントを派遣して調査を行いました。

その過程で、調査に当たっていたエージェント・汐見が作戦行動中行方不明(MIA)となったことが報告されました。財団サイト-81AM所属職員であるAgt.汐見は確認された地点の1つである日本国東京都の豊洲市場に派遣され、バディであったAgt.羽田野と散開して聞き込みを行っていた短時間で行方不明となったと見られています。財団はAgt.汐見がSCP-3133-JPの作成者・利用者と不用意に接触し身柄を拘束された可能性を考慮して捜索を行いましたが、その消息につながる有益な痕跡は発見されませんでした。


補遺3: 20██/██/██、サイト-81AMの保安システムは、Agt.汐見のアクセス権限を用いたサイトAウィング内への入館を記録しました。MIA判定を受けた職員権限の行使という不自然な状況は即座に施設保安部門へと通知され、4名の不明な人物による侵入としてAウィングの封鎖と警報の発令が実行されました。

警報発令時点で襲撃者4名はSCP-3133-JP実例が保管された収容区域へのセキュリティ侵害を試みており、監視カメラ映像には、現場へ到着した保安部門職員が一団の先導者であると見られる一人を拘束している間、残りの3名が所持していた小ビンの中の液体を用いた、現時点では不明の手段を介して逃亡する様子が記録されていました。

拘束に成功した1名への身体検査は、その人物がAgt.汐見であることを特定しています。Agt.汐見の肌はMIA直前と比べ僅かに日焼けしていたものの、拷問の痕跡など目立った外傷は確認されず、映像内での行動などからエージェント自身が自発的に襲撃者を手引きしたことが疑われました。以下は、Agt.汐見に対するインタビュー記録の一部です。

インタビュー記録3133-JP

Record 20██/██/██

回答者: Agt.汐見

質問者: Agt.羽田野

序: 本インタビューは事情聴取へのAgt.汐見の頑なな態度に対し、予定されていた薬剤投与などの累進的な尋問技術使用の段階に先立って行われた。Agt.羽田野はAgt.汐見の元バディであり、"良い警官・悪い警官"メソッドの一環としてAgt.汐見の協力的反応を引き出すために投入されている。


[記録開始]

[Agt.羽田野が入室する。机を挟む形で、インタビュー室内ではAgt.汐見が拘束されたまま座っている]

Agt.羽田野: よう汐見、久しぶり。

Agt.汐見: おや、今度は先輩ですか。[笑う] ちょっと痩せたんじゃないですか。

Agt.羽田野: お前こそ、さっきは随分絞られてたろ。痛むところは無いか?

Agt.汐見: そうですね……実をいうと頬の内側が少し切れてまして。ずっと口の中が血の味まみれなので、コップに水を一杯頂けると嬉しいですね。

Agt.羽田野: OK、用意する。

[別室で待機していた職員が、紙コップに水を注いでAgt.羽田野に手渡す。Agt.羽田野はそれを机の上に置く]

Agt.汐見: あの、先輩? 僕いま縛られてて腕が動かせないんですよ。

Agt.羽田野: 飲ませてやるからさ、その前に1つ聞かせてくれよ。今までどこに居たんだ? 俺はずっと心配してたんだぞ。

Agt.汐見: どこ? まあ、強いて言うなら海ですよ。海の上です。

Agt.羽田野: ……あのな。上の奴らはお前があまりに何も喋らないもんだから、今すぐ尋問にかけるべきだと言ってるんだ。俺は、仮にもバディだった後輩が、自白剤で口をポカンと開けて小便を垂れ流しにする姿なんか見たく無いんだよ。どうか頼む、俺にだけは本当のことを話してくれ。

Agt.汐見: ハハ、先輩には敵わないな。でも適当な嘘ではないんですよ。父のことを知るには、海に行くしかなかった。

Agt.羽田野: 父だと? お前の親父さん……確か漁師だったか? お前がまだ子供のころ大時化おおしけで行方不明になったという。

Agt.汐見: ええ。豪快で、逞しい海の男でした。行方知れずにさえならなければ、きっと僕も父の跡を継いでいたと思います。住み慣れた海沿いの町を出て進学して、運命の成り行きで財団エージェントの道へ進むことも無かったでしょう。

けど、ヴェールのこちら側に足を踏み入れたおかげで、僕には1つの疑問が湧き出てきました。「何で父は単なる嵐なんかで死んだんだろう」って。いくつもの銃火を越えた無敵のエージェントでも、偶然出会ったアノマリーによってあっさり殉職してしまうように、あれほど屈強な漁師であった父を殺したあの日の海には、よほど恐ろしい何かが潜んでいたんじゃないかって。

Agt.羽田野: それについては一緒に記録を調査したこともあっただろう。当時の気象状況や海洋環境に既知のオブジェクトが関与した痕跡は無かった。

Agt.汐見: 分かっています。そういうことになっている、ですよね。たとえ真実でないとしても、それで納得するつもりでいました。でも、ほんの最近、ある人々に出会ったことでついに理解できたんです。大多数の人々が揺るがない陸地で暮らす間、父は舟板一枚を隔てた地獄に立ち向かっていたということを。

Agt.羽田野: ……お前、やっぱり接触したんだな。SCP-3133-JPの作成者に。

Agt.汐見: 別に自分から探しちゃいませんよ、彼らの方からアプローチしてきたんです。もしも初めから接触する気があったなら、僕はあの調査任務をそもそも任されなかったでしょう。財団の管理部門は優秀ゆえに何もかもお見通しですしね? でも、そんな彼らにだって知らないことはある。

Agt.羽田野: へえ、奴らは何をお前に教えてくれたんだ?

Agt.汐見: 「教える」と言うよりは、「見せる」といった方が適当かも知れませんね。僕は彼らに連れ出され、世界の隠された脅威を目の当たりにしました。先輩は知っていますか? 海上プラントで発見された、原初の生命を陸上へと追い立てたと言われる"何か"を。ソナーなど必要もないほどに海底からこちらを覗き返す無数の巨大な目を。生きとし生ける者への憎悪を喚き散らしながら吹き荒れる嵐を。第三帝国の終末秘奥兵器を抱えて永遠を彷徨う呪われしUボートを。迷い込んだ者の顔を奪う海域を。

同時に、それらに人知れず抗う者の存在を見たんです。この世の裂け目から這い出そうとする大海魔を錨で鎮める潜水士。邪悪な存在を罠に掛けて海から引きずり出す釣り師。七つの海で最も巨きな怪物に勝ち目のない持久戦を続ける戦艦と兵士。海の底で果たされざる重荷を背負い忍ぶことを選んだ英雄たち。そして全ての最前線で連携しながら戦っている、海に生きる全ての人々のことを。

だから僕は彼らの戦列に加わることを選びました。恐らく、かつて父がそうしたように。

Agt.羽田野: 随分と興味深い景色を見せてもらったらしいな。それが偽物だとは思わなかったのか? お前をだまし、裏切らせるための罠だと。

Agt.汐見: ああ、そういえば財団の見解としては「SCP-3133-JPに記述されている内容の信憑性には疑問が持たれている」んでしたっけ? [笑う] 傲慢すぎやしませんか。あれを書いた人に逆に聞いてみたいですよ。財団が世界の大部分から異常なものを隠しているように、世界にも未だ財団から隠されている領域があるとは思わなかったのかって。

Agt.羽田野: 分かった、じゃあ根本的なことを教えてくれ。奴らは何者だ?何を目的としている?

Agt.汐見: 彼らは自分たちの領域に生き、そこですべきことをしているだけの人々です。その点で言えば財団と変わりありませんよ。大きく異なる点があるとするなら、過酷な環境に立ち向かう同士として、彼らには強い互助の精神があるという点です。……ほら、迎えが来ました。

[インタビュー室全体が微弱に振動し始め、机に置かれたコップの中の水が震えている。室内での音声・映像には揺れと共に巨大な機械の駆動音に似た轟音が記録されるが、別室で待機している職員を含めインタビュー室外でそのような音の発生は報告されていない]

Agt.羽田野: なんだ?

Agt.汐見: ねえ先輩、大いなる海の流れをビンの中に閉じ込めることができないのと同じように、誰にも海の男をおかに縛り付けることなんてできやしないんですよ。どうか受け入れてください。

[揺れと轟音は更に大きくなり、Agt.羽田野は手で耳を塞ぐ。この時点で映像を監視していた職員が異変に気付き、インタビュー室内に突入しようとする]

Agt.汐見: さあ、船出の時です。

[突如としてコップから水が大量に溢れ出し、Agt.羽田野と突入しようとしていた職員を室外へ押し流す。溢れ出た水と共に、フジツボのようなものに覆われた巨大な船舶と思しき実体がコップの底部から拡大しつつ出現し、汽笛を吹鳴させる]

[映像機器の破損・記録断絶]

[記録終了]


インタビュー室内からの浸水警報を受け保安部門職員が到着した時点で、船舶型実体とAgt.汐見は室内から消失していました。また特筆すべき事項として、当時コップの中に注がれていたのは標準的なミネラルウォーターであったにもかかわらず、現場に残されていた液体は全てサイト-81AM近海の水質と一致する海水であったことが判明しています。

当記録での言動から、Agt.汐見は現在C種特定職員5に認定され、捜索と確保の試みが継続されています。


当インシデントの2日後、サイト-81AMの玄関口に一体のSCP-3133-JP個体が留まっていることが確認されました。以下は、その個体が変容した文書の内容です。

超自然事物の収容保護に関する財団The Foundation for Supernatural Contain and Protect6様に宛てて。

まず第一に、先日当連盟が行った貴財団の施設への強襲について、貴財団の組織あるいはその活動能力を害する意図が無かったことをお伝えしておきます。我々が目的としていたのは不当に奪取された当連盟が所有する物品の奪還であり、先日の事件は双方の組織が互いを正しく認識していなかったが故に発生した不運な事故であったと捉えています。

総意として、当連盟は貴財団やその活動に大きく干渉するつもりはありません。我々の望みは、互いに敬意を持った両者の紳士的な不可侵協定です。今までの長きに渡ってそうしてきたように、在り方は違えど、双方は異なる領域で共存し続けることができると信じています。この点については後日、改めて協議のための使節をお送りするつもりです。

第二に、貴財団が当連盟及びその加盟団体に対して行っているいくつかの妨害行為   複数回に渡る逓送飛行中のタヨリドリの略取を含む   については即時の停止を要請致します。

貴財団がここ数世紀の間異常な存在に立ち向かい、それらを封じ込めてきたことを我々は関知しています。万人の尊敬に値する功績と武勇です。しかし、その大半は陸地での出来事に過ぎません。あなた方のルールを我々の領域に持ち込むというのなら、当連盟には常に、断固として、その専横に対抗する用意が出来ています。

どうか覚えておいてください。あなた方が陸の上で暮らす間、我々は、この惑星の残り70パーセントと戦っているのです。

-海洋異聞に関する連絡協議会連盟(FLUXIO)Federation Liaison conference for Unknown EXperIence of Ocean

当文書内で示唆された詳細不明の組織からのコンタクトは未だ確認されていません。現在、財団渉外部門を中心とした対応の協議が進行中です。


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