SCP-3144-JP
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新品の靴に通され活性化したSCP-3144-JP

アイテム番号: SCP-3144-JP

オブジェクトクラス: Thaumiel

特別収容プロトコル: 運用上の理由から、SCP-3144-JPは財団本部および様々な支部の指定されたサイトにおいて機密収容ロッカーに保存されます。SCP-3144-JPの持ち出しには書類提出による審査が必要です。

説明: SCP-3144-JPは蛍光緑色の靴紐です。同一の規格で製造されており、ポリエステル製で、質量12.5g、全長1.40m、幅0.008m、厚さ0.003mです。現在計124,667束が収容されています。

SCP-3144-JPは靴に通され、靴を履いた人物(以下、着用者と呼称)に蝶結びの状態に結ばれることでのみ活性化します(以下、結ばれた際のSCP-3144-JPの中点の位置を出発点と呼称)。活性化中のSCP-3144-JPは完全な破壊耐性を有し、また後述の位相幾何学的変化が発生するまで、人為的でない要因で綻ぶことはありません。

着用者が移動を始め、SCP-3144-JPの中点と出発点の間のユークリッド距離が丁度144.018m(157.5ヤード)になった瞬間、SCP-3144-JPに位相幾何学的変化が発生し、綻んだ状態になります。この直後、着用者はSCP-3144-JPの綻びを意識し、結び直すか無視するかを即座に選択します。前者を選択した場合、結び直している間のSCP-3144-JPの中点の移動は、出発点を中心とする半径144.018mの球面上のみに制限されます。この状態は結び直すのを諦めるか靴を脱ぐことで解除できます。

SCP-3144-JPは1970年代に米国で「すぐに解けてしまう靴紐」として新聞で取り上げられたことが財団の目に止まり、発見されました。その後、製造元に残っていた在庫や既に購入されていたものが回収されました。SCP-3144-JPの製造元自体には異常性は確認されませんでした。

収容後に行われた諸実験により、SCP-3144-JPの位相幾何学的変化の発生条件は着用者の存在する座標系や力学系に完全に適合1しうることが判明しました。このことは、財団の持つ様々な技術とともに運用することにより、SCP-3144-JPの起こす一連のプロセス自体が多種多様な異空間に対して"完全なメートル原器"として機能することを示唆していました。

この発見以前は、財団の興味の対象である異世界の多くは基底世界と同一でない座標系や力学系を持つため、一般的な方法では測定に誤差が生じ2、そのような異空間での精密測定には大量の補正機能を備えた大規模で複雑な設備を使用しなければなりませんでした。しかし、SCP-3144-JPによる異空間測定は従来の方法よりも携帯や実行が容易であったことから、人員への負担軽減や運用コストの削減をもたらしました。

補遺: SCP-3144-JPは有用性が確認されて以降、一般的な方法での測定が困難な様々な異空間の測定に用いられてきました。特に、異空間研究を主導していた米国の財団本部の下で主に使用された歴史を持ちます。

運用の初期、SCP-3144-JPによって測定される単位距離の換算がメートルよりもヤードの方が比較的容易であること、当時米国においてヤードが慣用的に使われていたことから、本部による実地運用において、SCP-3144-JPはヤード原器としての側面を強く持つようになりました。

そのため、異空間用装置の多くはヤード法の下で設計、製造されてきました。この技術の一部がフロント企業などを通じて一般社会にも公開されたことを考慮し、SCP-3144-JPを、現在に至るまで米国でヤード法が部分的に存続していることの遠因とする指摘がなされています。

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