SCP-315
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SCP-315の内の2枚のディスクであり、レーベル面とデータ面を見せている。記号および模様は意図的に不明瞭にしている。

アイテム番号: SCP-315

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: オブジェクトは一切の特別な保管装置を必要としません。しかしながら、オブジェクト内のデータの自然劣化の進行を遅らせることが出来るという仮定のもと、現在は不透明な段ボール箱に収められ、強い光や熱源から遠ざけられています。

説明: オブジェクトは95枚のDVD形式ディスクからなり、プラスチック製の心棒に積み重ねられています。各ディスクのレーベル面を検査した結果、製造者の名前は発見されませんでした。つや消しレーベルのそれぞれに『PoC 1/1』という印字がされています。その真下に、各ディスクには一意なシンボルや記号が付いています。いかなる2枚組のディスクも同じシンボルを持っていません。

ディスクのデータ面を検査した結果、各ディスクは既に記録できる上限までデータが書き込まれていることが判りました。ディスクをコンピュータやDVDプレイヤーに挿入すると、標準なエンコーディングがされたビデオディスクであることが判ります。再生すると、一度鑑賞したディスクであるか否かによって2通りの効果のどちらか一方が発生します。

未鑑賞のディスクがDVDプレイヤーで再生されると、映像が始まります。再生される場面は、家具が整えられ中心に椅子の置いてある居間のものです。椅子には、およそ40代と見られる白人男性(SCP-315-1)が座っています。SCP-315-1は映像を見ている全ての人間に対して反応し会話する能力を見せます。SCP-315-1は自身に向けられた質問に応答し、画面の外の環境を視認することができると見られ、また「視聴者」との話し合いや議論を楽しんでいると見られます。

鑑賞済みのディスクがDVDプレイヤーでふたたび再生されると、ディスクは単に初回で観られた映像を繰り返します。SCP-315-1は前回の視聴時のように視聴者の行動や議論に反応しません。ディスクは、一度再生されると、誰が閲覧しているかによらず、常に同じ映像を含みます。SCP-315-1との意思の疎通を行う唯一の方法は、未鑑賞のディスクを挿入するということのみです。ディスクが95存在すること、そして各ディスクは3時間の映像を含むことを考慮すると、SCP-315-1は既に閲覧された映像を除いて285時間(11.8日)の有効な寿命を持つことになります。SCP-315が完全に揃っていないという点を留意すべきです。残り5枚が存在することが判明しています。発見されていないディスクは全て完全に閲覧されたことが知られています。

SCP-315-1は彼自身の存在の性質について認識しています。質問を受けると、彼は自身がテレビ画面やモニタに表示されていることに気がついており、表示に使用されている装置の種類やサイズや色などを確実に特定することができます。彼の固有の性質について直接尋ねたところ、SCP-315-1は率直に返答しようとせず、視聴者を話し合いや議論に引きこもうとしました。SCP-315-1が自身の起源に関する情報を与えようとしないのか、または自身に確信がないのかは判明していません。彼は後者であることを主張しており、我々に全てを証言することは『ゲームを台無しにすることになる』と証言しています。彼は自身の状況や自身の短命さについて不遇であることを示しも認めもしません。

SCP-315-1はディスク間で記憶を持ち越します。視聴者が一方の未鑑賞のディスクでやりとりをした後、もう一つのディスクに切り替えると、SCP-315-1は視聴者を認識し直前の会話に言及します。SCP-315-1は長い時間会話した研究者に対して、感情的な親密さや友情関係を育む兆候さえ示しています。


添付: 文書315-a - SCP-315-1に対するインタビューについての抜粋集です。対象への熟知を促すために読むことが推奨されます。


補遺 315-01:
通常のビデオ再生機能に対してどのような反応を示すかを確かめるための実験が行われました。

一時停止: SCP-315-1を含む全ての場面が静止しました。復帰すると、SCP-315-1は自身が静止したことを伝えることが出来ました。SCP-315-1は、静止している間にされた質問に対して復帰後に回答することで、その能力を示しました。
巻き戻し: SCP-315-1を含む全ての場面が巻き戻されました。復帰すると、DVDはSCP-315-1の直前の会話を再生しました。SCP-315-1は巻き戻す前に映像が到達していた点まで質問に応答しませんでした。そして彼は再び通常の会話を再開し、二度と巻き戻しを行わないことを要求しました。
早送り: SCP-315-1を含む全ての場面が早送りされました。SCP-315-1は早送りの中で座ったままでした。SCP-315-1はその後直ちに会話を始め、二度と早送りを行わないことを要求しました。
スロー再生: SCP-315-1はスロー再生中に会話に反応することができましたが、彼自身はゆっくりとしていました。通常の再生に復帰すると、彼は自身がスローモーションになっていたことに気付いておりましたが、感覚的な違いが彼にはもたらされなかったということが分かりました。

補遺 315-02:
未鑑賞のDVDを複製する試みが行われました。失敗に終わりました -ディスクにはある種のコピープロテクションが含まれており、これは誰にも解読できないとみられています。SCP-315-1は次回の会話にてこの試みに対して気付いていることを示し、「イカサマ」に関する言及を行いました。

補遺 315-03:
SCP-315-1はディスクが事前に録画されたものである可能性があることについて言及しました。反証を試みるべく、『順序を外した』再生、具体的には、重ねられたディスクの一番上からではなく中間から取り出しものを選んだ再生が行われました。明白な効果は現れませんでした - SCP-315-1は現在の状況、実世界の時間を伝えることが出来、通常通り会話を行うことが出来、そして研究者の陰険さを称賛しました。

補遺 315-04:
事前録画説を証明あるいは反証するための更なる試みが行われました。疑似乱数生成器が使用されました。テレビ画面に数が表示されました。SCP-315-1は数を読み上げることが出来ました。仮に映像が事前録画であるならば、イベント予測に使用されているアルゴリズムは極端に正確であることとなります。効果はディスクそのもの中の超常現象によるものであるという見方がより有力であると思われますが、仮説の検証の試みについての更なる提案が奨励されています。

Dr. █████ ███████のメモ:
この結論は全くもって気に入らない。ディスクを複製する能力がないので、どちらの仮説も証明する方法が思いつかない。財団には他にも懸念すべき重要な事がもっとあるが、この件は後ろ髪を引いてきて私の頭から離れない。

補遺 315-05:
2つのDVDプレイヤーが離れた場所に設置されました。無作為に選ばれた未鑑賞のDVDが1枚ずつプレイヤーに配置されました。各ディスクは同時に2人の別々の研究者に再生されました。各SCP-315-1はそれぞれの研究者と独立した会話を行いました。両方の個体は他方の会話に気が付いており、一方の研究者からのメッセージを他方へ伝達することが出来ました。

補遺 315-06:
2つのDVDプレイヤーが同じ部屋に設置され、並んで座っている2人の研究者によって再生されました。2体のSCP-315-1は研究者たちとも他方の個体ともやりとりすることができ、4人参加の会話を成立させました。彼らは2つの独立した存在であるのか又は1つの存在が2つの個体を操っているのか質問された際、SCP-315-1達は回答不能または回答拒否と思われる姿勢を見せました。

Dr. █████ ███████のメモ:
実にイライラする。私は少しの間このプロジェクトから離れようと思う。精神鑑定は必要ない、ただこのディスクがどういう仕組みになっているのか理解しようとするのに参ってきてしまっただけだ。

補遺 315-07:
SCP会話記録に基づき、ディスクが未来で製造されたものであるという仮説を反証するための実験が開始されました。未鑑賞のディスクがプレイヤーに配置され、Dr. █████ ███████によって視聴され、█████ ██████████研究員によって記録されました。研究員は会話を定期的に不正確に記録するよう指示され、Dr. █████ ███████とSCP-315-1の両者について捏造された質問と回答を記録しました。ディスクそのものを含む会話の正確な記録は後に削除され、実験参加者はどの記録が捏造されたものであるのかということに関して忘れるよう仕向けられました。不正確な報告が通常通り記入されました。結果:SCP-315-1は被験者と通常通りの会話を続け、実際の会話にそぐわないようないかなる捏造された回答も証言もしませんでした。

Dr. █████ ███████のメモ:
離れられはしなかったが、戻ってくるのにふさわしい理由ができた。これによって、ディスクは私達の記録から生成された台本付きの会話ではないということが示された。大したブレイクスルーではないが、それでも、ようやく何かを反証できたことが嬉しい。

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