アイテム番号: SCP-3151
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団の管理下にある全てのSCP-3151実例はサイト-22の大容量倉庫に保管されます。SCP-3151関連のあらゆる実験は最低1名のレベル3職員から承認を受ける必要があります。
オペレーション・イーバートの一環として、機動部隊ベータ-29 (“ノーとだけ言えばいい”) は現地のUIU部隊と協力し、スリー・ポートランド地域のSCP-3151実例を発見・収容します。SCP-3151を商品として扱う人物は、SCP-3151の流通に関する情報を得るために尋問します。SCP-3151中毒者や、過剰な使用による精神的な被害を受けた人々を支援するための医療プログラムが、スリー・ポートランドに確立されます。
説明: SCP-3151は現時点で総数不明の液体の総称であり、経口摂取した人物に、人気のある映画の内容を圧縮した没入感のある幻覚を体験させる作用があります。SCP-3151の各容器は、“瓶詰め映画 - ウェストヘッド・メディアがお送りするエンターテインメント・ヴィジョンの次なるステージ”という文言と、内容物が幻覚として見せる映画のタイトルを記したラベルが貼られた状態で発見されました。これまでのところ、SCP-3151はGoI-1783 (“ウェストヘッド・メディア”) から仲介手数料を支払われた異常物質販売業者によって、主にニュー・ポートランドの街の全域に配布されています。
SCP-3151を摂取した人物は、それによって生じる幻覚を、“場面ごとに登場人物たちの間で切り替わる視点を通して人気映画の物語を体験する”のに近いものだと述べます。この幻覚の体感時間は映画本来の上映時間と同じ長さだと説明されますが、現実には3~4分程度しか持続しません。この間、利用者は全く身動きせず、如何なる刺激にも反応しません。
この体験は、視覚と音声だけで映画を鑑賞するのに比べて、あらゆる感覚刺激が得られるため、概して本来の映画よりも深く没入できるとされています。また幻覚直後の映画に対する感情的反応も高まっているようです — これがより没入的な影響者の視点によるものか、特別にSCP-3151に組み込まれた効果なのかは現在不明です。
SCP-3151は極めて中毒性が高く、得られた証拠はこれが意図的な作用であることを示唆します。また、スリー・ポートランド各所におけるSCP-3151使用の観察結果は、SCP-3151の長期的かつ頻繁な摂取が、利用者の精神状態に非常な悪影響を及ぼすことを示しています。
SCP-3151を摂取して幻覚を体験するごとに、利用者は次第に現実世界と幻覚内で示される物語世界を区別する能力を失います。利用者がSCP-3151を摂取し続けるとこの容体は悪化し、やがては自分自身と映画内の1人以上の登場人物を区別できなくなるに至ります。何ら処置を受けずに放置すると、これは完全な認知機能の崩壊に繋がる可能性があります。記憶処理治療はSCP-3151から得られる幻覚の記憶を消去し、被害をある程度修復できると確認されています。
本稿執筆現在、53種類のSCP-3151亜種が実験を通して発見・特定されています。既知の全てのSCP-3151亜種は、ウェストヘッド・メディアが財政面またはその他の手段で一定の影響を及ぼした映画の幻覚を引き起こします。既知のSCP-3151亜種には以下が含まれます。
- 1982年の映画“ブレードランナー”(アメリカ上映版)の幻覚を引き起こす、かすかに発光する鮮やかな青色の液体。コカ・コーラに似た味と表現される。
- 1939年の映画“オズの魔法使”の幻覚を引き起こす薄緑色の液体。砂に似た質感があると表現される。
- 歯車仕掛正教の創世神話を翻案した1998年の映画“神の裂離”の幻覚を引き起こす暗褐色の液体。金属のような味と表現される。
- 1974年の映画“悪魔のいけにえ”の幻覚を引き起こす赤色の液体。オレンジジュースに似た味と表現される。
- 黒色の液体。ラベルには“オープニング・オブ・ナイト、公開日未定”と記されている。被験者は幻覚を見ている際のそれと一致する挙動を示したが、体験の記憶が無いと報告した。無味と表現される。
補遺 3151-1 (歴史): SCP-3151の関与が確認された最初の事件は2018/02/10、数人の著名な異常映画評論家が人気映画の台詞を引用しつつ、あらゆる刺激に反応しない状態で街路を徘徊しているのを発見され、スリー・ポートランド・マーシー病院に搬送された時に発生しました。これらの初期被害者たちの住居をUIU捜査官が調査したところ、半ばまで飲んだ形跡があるSCP-3151の容器が数本見つかりました。
SCP-3151の初期収容はUIUが単独で行っていました。しかしながら、スリー・ポートランド全域でのSCP-3151利用の拡散が明確になり始めたため、財団とUIUは双方の利益のために共同作戦(“オペレーション・イーバート”)を行うことで合意しました。この合意に続いて、MTF ベータ-29がスリー・ポートランド各所の様々な異常物質販売業者の住居を襲撃し、多数のSCP-3151実例が収容されました。オペレーション・イーバートの続行に伴って回収実例数は増加しており、スリー・ポートランドに流通しているSCP-3151実例は2019年末までの根絶が見込まれています。
SCP-3151についてウェストヘッド・メディアに問い合わせる試みは、同社が全米異常企業協会から追放された後のあらゆる意思疎通試行と同様に、返答を得られていません。