SCP-316-JP
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アイテム番号: SCP-316-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-316-JPおよびSCP-316-JP候補オブジェクトはサイト-81██の低脅威度物品収容庫で、鍵つきの鎖を巻き付けて開き戸を開けることができない状態にして保管されます。SCP-316-JPおよびSCP-316-JP候補オブジェクトの内部に人間を入れる行為は禁止されます。

SCP-316-JP-Aはサイト-81██で、標準機能性ベッドに四肢と胴体、顔面を拘束した状態にして収容します。これはSCP-316-JP-A-Mの破損を防ぐための措置です。SCP-316-JP-Aには食事として標準流動食が提供されます。SCP-316-JP-A-Mの性能を確認する場合にのみ、SCP-316-JP-Aの拘束を解除することが許可されます。その際は、SCP-316-JP-A-Mを破損する行為を防止するために、2名以上の職員がSCP-316-JP-Aを監督する必要があります。特にSCP-316-JP-A-M-ARMは破損しやすいため、特段の配慮が必要です。万が一、SCP-316-JP-A-Mが破損した場合は、世界各国の行方不明者の状況から被害を確認してください。

説明: SCP-316-JPは新潟県████市████████に存在した廃墟で発見された鋼鉄製の直方体の物体であり、外見はロッカーに似ています。SCP-316-JPの寸法は幅0.934m、奥行き0.813m、高さ2.14mです。SCP-316-JPの内部は空洞になっており、正面の開き戸から内部に入ることが可能です。SCP-316-JPの内部に人間が入るとSCP-316-JPの異常性が発現されると考えられています。なお、SCP-316-JPが発見された廃墟では、SCP-316-JPと同形の物体が37台発見されています。この物体がSCP-316-JPと同じ異常性を有しているかは不明です。これらの物体はSCP-316-JP候補オブジェクトと指定され、SCP-316-JPと同様の方法で収容されています。

19██年██月██日、太田████氏(当時17歳)は友人の少年█名とともに前述の廃墟に侵入しました。彼らは廃墟を探索中、ある一室でSCP-316-JPを発見しました。太田氏は「ちょっとしたおふざけのつもり」でSCP-316-JPに入り込みました。太田氏がこうしてSCP-316-JPに入って開き戸を閉めて以降、太田氏は友人の呼びかけに応答しなくなりました。SCP-316-JPの開き戸は固く閉ざされ、少年たちはSCP-316-JPの開き戸を開けることができませんでした。結局、太田氏がSCP-316-JPから出てきたのはそれから約30分経過した後のことです。その時点で太田氏は異常な様態に変化していました。太田氏はSCP-316-JPに閉じ込められていた最中に何が起こったのかを覚えていませんでした。太田氏は現在はSCP-316-JP-Aと指定され、財団の収容下にあります。

SCP-316-JP-Aは肉体の一部が機械に置換されています。この機械は総じてSCP-316-JP-A-Mと指定されています。SCP-316-JP-AはSCP-316-JP-A-Mの機能により、言語技能指標4程度の英語とフランス語の技能を獲得しています。1SCP-316-JP-A-Mの一覧は次のとおりです。

SCP-316-JP-A-M 置換された部位 機能・特徴
M-EAR 両耳 耳の穴が金属製の網状の物体で塞がっているような外見をしている。通常の人間の耳と同程度の機能のほか、英語とフランス語の会話表現を理解させる機能がある。右のM-EARが英語に、左のM-EARがフランス語に対応する。
M-EYE 両目 セラミックの球と金属の円筒を組み合わせたような外見の装置。通常の人間の目と同程度の機能のほか、英語とフランス語の文章表現を理解させる機能がある。右のM-EYEが英語に、左のM-EYEがフランス語に対応する。アメリカやフランスで使われるジェスチャーを理解させる機能もある。
M-MOUTH プラスチック製のマスク。口を塞ぐように取り付けられている。左右の側面に半径2cmほどの円形の穴が2箇所、中央に半径1cmほどの穴が縦に2箇所開けられている。左右の穴は金属製の網状の物体で塞がれている。この装置により英語とフランス語による自由な会話表現が可能になる。右の穴が英語、左の穴がフランス語に対応する。中央の穴はそれぞれ呼吸用、食事用に開けられている。食事用の穴は流動食のみ受け付ける。
M-ARM 右腕 金属のワイヤーで構成された腕のような外見の装置。右肩に2本取り付けられており、末端には3本の指のような装置がそれぞれ取り付けられている。この指に筆記用具を握らせることで、英語とフランス語により自由な筆記表現が可能になる。上部のM-ARMは英語、下部のM-ARMはフランス語に対応する。現在、後述の事件により切除されたM-ARMの解析が進められている。

実験の結果、SCP-316-JP-A自身には英語やフランス語の知識はなく、SCP-316-JP-A-Mの機能で英語とフランス語の熟達した技能を獲得していることが確認されています。たとえば、右のSCP-316-JP-A-M-EYEを塞ぐと、SCP-316-JP-Aは英語の文章を読解することも、アメリカで使われるジェスチャーを理解することもできなくなります。このことから、SCP-316-JP-A-Mには、SCP-316-JP-Aの思考を英語またはフランス語の表現に変換する機能、および、英語またはフランス語の情報をSCP-316-JP-Aの理解できる形式に変換する機能があると考えられています。

太田氏がSCP-316-JPに入ったのと同時期に下記の4名の人物が消息を絶っています。SCP-316-JP-A-Mの機能との関連性から、これらの人物はSCP-316-JPの異常性の影響を受けた可能性があります。
行方不明者 行方不明者の詳細 SCP-316-JPとの関連性
I████ A█████ アメリカ人男性。医師。テキサス州在住。 SCP-316-JP-Aが英語の会話をするときに発する声の声紋は彼の声紋と一致していた。また、SCP-316-JP-Aはテキサス州の方言による会話表現を理解する能力が高かった。会話の際に使用する語句にもその方言の話者と同じ傾向が見られた2。それ以外にも、SCP-316-JP-Aは英語による医療用語を理解することができた3。ただし、理解できたのは英語による会話の場合のみで、筆記された医療用語を理解することができなかった。
F████████ S████ フランス人男性。エンジニア。電子工学専攻。エソンヌ県在住。 SCP-316-JP-Aはフランス語による電子工学の用語を理解することができた。ただし、理解できたのはフランス語による会話の場合のみで、筆記された用語を理解することができなかった。なお、彼の声の記録が存在しないため、SCP-316-JP-Aの声と比較することができていない。ただ、SCP-316-JP-Aは英語を話すときとフランス語を話すときとで、発する声の声紋が異なる。
L███ D████ アメリカ人女性。学生。マサチューセッツ州在住。 SCP-316-JP-Aの英語の文章の筆跡は彼女の筆跡と一致していた。
M█████ F███████ フランス人男性。不動産業。イヴリーヌ県在住。 SCP-316-JP-Aのフランス語の文章の筆跡は彼の筆跡と一致していた。また、SCP-316-JP-Aはフランス語による不動産業の業界用語を理解することができた。ただし、理解できたのはフランス語の文章に記された場合のみで、会話の場合では用語を理解することができなかった。

19██年██月██日、SCP-316-JP-Aは実験中、誤って英語に対応するSCP-316-JP-A-M-ARMを破損しました。その際、その破損したSCP-316-JP-A-M-ARMは脱落し、10分かけて新しいSCP-316-JP-A-M-ARMが自動的に生成されました。新しいSCP-316-JP-A-M-ARMの筆跡は以前のものとは異なるものでした。この筆跡は、実験が行われたのと同時期に失踪したR█████ Z████████のものと一致していました。R█████はカリフォルニア州在住の弁護士でしたが、SCP-316-JP-Aは法律用語を新たに理解できるようになったということはなく、確認されている限り変化があったのは英語の文章の筆跡のみです。この事件以降、SCP-316-JP-A-Mの破損を防ぐため、特別収容プロトコルが改訂されました。

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