回答者: SCP-3161-1
質問者: ルーエル博士
序: SCP-3161-1は対話に同意したものの、立ち位置を離れることは依然として拒否している。インタビューを容易にするために、折り畳みテーブル、折り畳み椅子2脚、ランプ数個、音声記録装置が設置されている。ルーエル博士とSCP-3161-1は着席している。
<記録開始>
ルーエル博士: こんにちは、SCP-3161-1、私との会話に応じてくれて感謝する。
SCP-3161-1: 喜ばしいのはこちらだ! 遂に何者かと話し合えるというのは、お主が想像できる以上に我が心を暖める。しかし、お主が私に与えたその称号は - 私には理解できん。不穏だ。
ルーエル博士: そうか、ではどのような呼び名が-
SCP-3161-1: 我が名は聖グレゴール・テューダー卿、王の忠実なる僕、ボズワースの覇者、幸運の発見者、そして神の真なる場を守る最後の歩哨である。
ルーエル博士: グレゴール卿でも構わないかな?
SCP-3161-1: うむ、受け入れよう。私はお主をどう呼べば良いだろうか? お主らは皆、学識者のようだ。定めしお主自身の称号を持っているであろう。無礼な真似を見せたくはない。
ルーエル博士: 今は“博士”と呼んでくれればいい。これ以上君を混乱させたくはないから、率直な質問をしたいと思っている。
SCP-3161-1: 良かろう。私にとってもその方が好ましい、博士! 非常に長く、私はこの場所で待ち続けている。互いに腹を割って語り合おう。
ルーエル博士: グレゴール卿、どうして君は死後も動き、話すことができる?
SCP-3161-1: [笑う] 私は死んでいるか、博士? 私はお主に話しかけてはいないか? 私がこうして持ち場に立っているのが見えないか? 死者にこのような任務がこなせると思うかね?
ルーエル博士: …君は現在の物理状態、つまり自分が鎧をまとった骸骨だというのに気付いているかい?
SCP-3161-1: その通りだ、我が肉体は既に朽ち果てた。しかし、我が魂は未だ生き続けている!
ルーエル博士: では、質問を繰り返す。どうしてだ?
SCP-3161-1: 我が王に立てた誓約による。王は私がこの場所に留まり、その守護者となるように、全能なる神からの祝福を私に授けたもうた。このトンネルの奥深くでは、我らに勝利のための強さを与える力が見出されるであろう!
ルーエル博士: 成程。つまり私の理解が正確なら、グレゴール卿、君はこの洞窟で何かを見つけたのだね-
SCP-3161-1: 主なる神ご自身からの賜り物だ! 我らはその受取人として選ばれた!
ルーエル博士: -そうか、で、その賜り物が君を生かし続けているのか?
SCP-3161-1: 私は知っている、私だけがその在り処を知っている。私が真の死を迎えるまで、私をこの役目から解放するに相応しい者が現れるまで保たれる秘密だ。私はその者を賜り物へと導き、そして誓約を守ったことを知りながら死ぬだろう。
ルーエル博士: 成程。では、その“相応しき者”がやって来た時、どのようにそれと見抜く?
SCP-3161-1: ハハハ。お主と明瞭に会話できるようになってこうも興奮しているのは、まさにそれこそが理由である、博士! 私は一つの謎かけを行う。聞いた者は全て答えねばならぬ。正しき答えを返すならば、私はお主に秘密を明かそう。誤答であれば、我が剣の切っ先以外にくれてやる物は無い。
SCP-3161-1は立ち上がり、ゆっくりと鞘から幅広剣を抜く。
ルーエル博士: 謎かけ? 私は別に-
SCP-3161-1: [叫ぶ] 全ての機知を以て備えよ。父なる神の目でお主が裁かれる時がやって来たのだ。相応しき者であることを証明せよ、さすれば永遠の命もまたお主の物となる! さぁ、我が友よ、挑戦を受けるか?
ルーエル博士: [警備員に介入しないよう合図する] いいだろう。挑戦を受けて立つ。
SCP-3161-1: ならば我が問いを聞け、そして己の運命を決めるがよい! 獲物を求めて森を彷徨う狐あり。狐は兎を目に留め、それを追って…
沈黙。
SCP-3161-1: …あれは狼であったか? そうだ、私の間違いであった。獲物を求めて森を彷徨う狼あり。狼は兎を目に留め… 違う、何かおかしい。狼は兎を嗅ぎ出し… それともやはり狐か?
ルーエル博士: どうかしたのか、グレゴール卿?
SCP-3161-1: 相済まぬ、博士。非常に長い時が流れたが、挑戦を受けたのはお主が最初だ。何分遥か昔の記憶なので、少々思い出す時間が必要だった。では — 獲物を求めて森を彷徨う狐あり。狐は兎を嗅ぎ出してそれを追う。そして… そして…
沈黙。
SCP-3161-1: 狐は兎を追って… 木で終わるのは分かっている。狐は兎を追って木に… いや、まず川だ。それとも川が最後か?
ルーエル博士: グレゴール卿、君はどうも謎かけを思い出すのに苦労しているように思える。
SCP-3161-1: そうだ… ああ… [叫ぶ] 私がこの問いを与えられてから、常人の生涯を数倍上回る時が流れた! 私がまだ血肉を備えていた時代だ! ここで私は何者かが、どんな者でもいいから、現れるのを待ち続けていた! 私を義務から解放してくれる、或いは栄光ある闘いの中で斬り捨ててくれる者を! しかしそのような輩は現れたか? 否! 誰も来なかった! お主が最初だ。英雄的な騎士ではなく、私には理解できない奇妙な訛りの英語を話す奇妙な錬金術師! 頼む、博士、もう少し時間をくれ! 必ずや我が記憶は蘇るであろう!
ルーエル博士は沈黙している。
SCP-3161: さて、何処まで話したか… そうだ、川だ… いや、あれは湖か?
<記録終了>
結: このインタビュー以降、SCP-3161-1は職員に対して徐々に挑戦的な振る舞いを見せるようになり、上記の謎かけのうち数種類を暗唱してから攻撃を加える様子が観察されている。これにも拘らず、SCP-3161-1によって深刻な負傷を被った/妨害を受けた職員はいない。現時点では、他の異常なオブジェクトや実体はSCP-3161内部で発見されていない。