テストの順番:
* 標準知能検査 第5版 (STANDARD INTELLIGENCE SCALE, 5TH ED、SIS5)
* 一般知能テスト区分6 (TEST OF GENERAL KNOWLEDGE SEGMENT 6、TOGK6)
* 精神年齢 対 生活年齢比率 (MENTAL AGE TO CHRONOLOGICAL AGE RATIO、MA/CA)
結果:
* SIS5 結果 54パーセンタイル
* TOGK6 結果 78パーセンタイル
* MA/CA 結果 965
備考 160を超えるMA/CA結果は信頼性に欠けると見なされる
[インタビュー転写開始。]
██████博士: こんにちは、ロニー。私は██████博士というんだ。もしよければ、少しだけ話がしたい。
█████████: いいぞ、先生。
██████博士: 学校であった出来事が少し気になってね。そのことについて話してもらえないかな?
█████████: まぁあれだ、きっと先生だってみんなに言ってたろうよ。俺を見ろって!
██████博士: どういう意味だ?
█████████: 子供に戻ったんだよ! 耳が聞こえる! 目も見える! じっとしちゃいられんほど元気が有り余ってる! ああそうさ、「これは胸の内にしまっとけ、エドウィン」ってな、初めはそうするつもりだった。けどな…… 抑えきれんこともあるだろうて。
██████博士: エドウィンとは誰かな? ロニー。
█████████: 俺さ! いや、もう既に俺とは言えないのかもしれんが、それでもかつての俺のことさ。
██████博士: 転生したということか? 今の言葉の意味は分かるかな?
█████████: 子供扱いすんなよ、先生。いいや、俺は転生してない。確か — あー、願い事をしたんだったかな。
██████博士: なるほど。続きを。
█████████: リジーにマルカス、そしてその2人の息子たちがな、サプライズパーティーを開いてくれたのよ。1階丸ごと飾り付けてな、まるで子供のパーティーみたいだった。風船に飾りのリボン、アイスクリームにケーキ。数字の形をしたろうそくを知ってるか? リジーがケーキの上に置いたのさ。6と0の形したやつ。「願い事をして」って彼女は言った。そんで俺は確かそうした。
██████博士: どういう願いだった?
█████████: 誕生日の願い事は口にしちゃならんだろ、先生。口にしたら叶わなくなる。
██████博士: しかし、願い事は既に叶ったと思っているのだろう?
█████████: ああ、それもそうだな。願いってのはろうそくのことだよ、いいか? さっきも言ったが6と0のがあった、60を表すためな、そんで俺は6の方を見ていた。そしてこう思ったのさ、「そうなったら素敵だな。6歳になって全てをやり直せるなんて素敵じゃないか」って。
██████博士: それからは?
█████████: それからは何も。ろうそくを吹き消して、ケーキを食った。プレゼントを開けた。靴下をもらったんだ、ウール素材の分厚い靴下さ。その夜はそれ履いて寝た。気持ちよかったよ。けど次の朝に起きたら…… [対象が自分を指さす。]
██████博士: 起きたら?
█████████: 俺を見ろよ!
██████博士: そして前世の記憶があると?
█████████: そうだとも。色々覚えてる。1492年にコロンブスは青い海を渡った。アメリカは1776年に設立した。右で締まって左で緩む。6掛ける12は72。全部覚えてる。ただ……
██████博士: ただ?
█████████: あー、リジーには2人の息子がいたんだ。双子でな。可愛い子だった。ダルトンと、あと…… あともう一人の名前が思い出せん。先生、俺は孫の名前が思い出せないんだ。
[インタビュー転写終了。]
供述の真偽のほどは現状では推測できませんが、対象は認知的にも心理的にも明らかに異常です。 SAMSARA計画とは関係ありませんが、さらに評価を実施するために、分類と安全居住区への移送を提言します。
加えて、対象の供述にあったバースデーキャンドルについても回収を試み、分類するよう提言します。
— ██████博士
分類申請を承認。対象をSCP-3175とし、暫定オブジェクトクラスをSafeとする。移送申請を承認。回収申請を承認。
— サイト-██管理官、██████博士
2016/██/██にバースデーキャンドルを██████████最終処理場から回収しました。一部燃え尽きた "6" と "0" のろうそくと、無傷の "1" から "5"、"7" から "9" のろうそくです。これらの人工物を広範にわたって実験した結果、いずれも異常性は無いと判明しました。
— サイト-██、████████研究員