特別収容プロトコル: 財団外部におけるSCP-3177-JPの抹消は完了しました。新たにSCP-3177-JPに関連する情報および資料は財団によって回収・隠蔽されます。SCP-3177-JP-Aによる被害はカバーストーリー「ガス爆発」あるいは「酔っ払いによる迷惑行為」を流布したうえで隠蔽されます。
説明: SCP-3177-JPは儀式論的側面における"契約"を発生させる特定の文言です。SCP-3177-JPは以下のフレーズを構成要素に含んでいます。SCP-3177-JPの全容については別紙 (添付資料.1) を参照してください。
私達を起こすため 彼らは今日も扉を叩く

SCP-3177-JP-A (実験時撮影)
SCP-3177-JPを任意の住宅の壁面に記述することにより、当該オブジェクトの異常性が発生します。この異常性はSCP-3177-JPが記述された住宅 (以下、対象住宅) に対して発生することが確認されています。SCP-3177-JPを記述した翌日のAM7:00に、SCP-3177-JP-Aに指定されるヒト型実体が対象住宅の玄関前に出現します。SCP-3177-JP-Aの外見は"老年男性のようである"と形容可能である点を除いて、実体ごとに異なっています。
出現後のSCP-3177-JP-Aは対象住宅の玄関扉や窓などをノックするといった行動を取ります。これは対象住宅の住人を目覚めさせることにより、儀式論における"契約"を履行して報酬を獲得するためだと推測されています。
SCP-3177-JP-Aの行動は時間経過に伴って暴力的かつ破壊的なものへと変化します。これは先述した"契約"を早期に履行することを目的とした一種の催促的行動であると判断されています。既知の事例より、SCP-3177-JP-Aの破壊的行動による対象住宅の損壊被害が確認されています1。これらの行動は対象住宅の住民が目覚めて3ポンド相当の金銭を渡すことによって終了します。行動終了後、SCP-3177-JP-Aは即座に消失します。
補遺3177-JP.1: 起源に関する考察
SCP-3177-JPの明確な起源は判明していないものの、1830年代時点のイギリスには既に同様の効果を有する儀式的行為が存在していたことが回収された文献の内容から明らかになっています。文献によると、その儀式的行為において用いられる文言は一種のマザーグース2のようなものであったとされています。また、その他の文献には"ノッカー・アップ3を呼び出す呪文"として同様の儀式的行為が掲載されていたことから、SCP-3177-JPは民間人にとって馴染みのある異常だったと推測されています。
記録によると、SCP-3177-JPは1930年代に突入すると同時に使用数が減少しているとされています。これは技術の発展により、高精度な目覚まし時計が入手しやすくなったため、ノッカー・アップなどの睡眠から起こす役割を持つ職業や存在の必要性が薄くなったためだと考えられています。この結果、SCP-3177-JPは使用意義を失い、最終的には人々の記憶から忘却されたものとされています。この推測についての裏取り調査が現在進行中です。
補遺3177-JP.2: 実験記録
1997/06/15に実施されたSCP-3177-JPを用いた実験の際に、SCP-3177-JP-Aが通常とは異なる挙動を示しました。以下の記録は実験時のログの一部を転写したものです。ログの全容は別紙 (添付資料.2) を参照してください。
実験ログ 3177-JP#016
Record 1997/06/15
被験者: D-31771
実験目的: SCP-3177-JP-Aの行動がどれだけ暴力的かつ破壊的になるのかの把握。
実施方法: D-31771に麻酔薬を投与したうえで対象住宅 (隔離済み) 内に放置する。
結果: 下記のタイムテーブルを参照。
«記録開始»
AM7:00 SCP-3177-JPがD-31771の存在する対象住宅前に出現する。
AM7:01 SCP-3177-JP-Aが対象住宅の玄関扉や窓を所持している棍棒状の道具で叩き始める。この行動はAM7:30まで継続される。
AM7:32 SCP-3177-JP-Aが対象住宅の玄関扉や窓に体当たりするなどの行動を繰り返す。結果、対象住宅の玄関扉と窓が破壊される。D-31771は目覚める兆しを見せない。
AM7:42 SCP-3177-JP-AがクラスII相当の小型ポータルを展開する。SCP-3177-JP-Aは小型ポータルからスレッジハンマーと推測される道具を取り出し、それを用いて対象住宅の壁面を叩き始める。
AM7:53 SCP-3177-JP-Aの行動によって、対象住宅の一部壁面が破壊される。D-31771は目覚める兆しを見せていない。
AM8:01 SCP-3177-JP-AがクラスII相当の小型ポータルを展開する。直後、該当ポータルから巨大な丸太状の物体が射出される。この結果として、対象住宅の大部分が破壊される。D-31771に被害は確認されておらず、また目覚める兆しを見せていない。
AM8:03 SCP-3177-JP-A が懐から何らかの物体を取り出し、D-31771の枕元に置く。直後、SCP-3177-JP-Aが消失する。
«記録終了»

該当物体。回収後に撮影。
終了報告書: 回収および調査の結果、上記記録の最後にSCP-3177-JP-Aが懐から取り出した物体が目覚まし時計であることが明らかになりました。該当物体にはイギリス英語で"二度と呼び出すな"という旨のメッセージが書かれたメモ用紙が添えられていたことが確認されています。
本実験以降、財団によってSCP-3177-JP-Aを呼び出す試みは全て失敗に終わっています。