SCP-3196
評価: +9+x
blank.png

ファイルにアクセスしています
現在の日付: 2009年9月24日

アイテム番号: SCP-3196

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 予想されるPUBイベントの1ヶ月前に、機動部隊ロー-4 (“本の虫”) は、ペンギン・ランダムハウスから“レックス・デンジャリー”シリーズの最新作を入荷する全書店の名前が載った出荷目録を取得します。このリストは作戦に関与する全ての財団機動部隊に転送されます。PUBイベントが始まり次第、財団機動部隊が全てのSCP-3196-A実例を押収します。全ての民間人目撃者にクラスB記憶処理が施されます。

全てのSCP-3196-A実例は、標準的な財団保安ロッカーに保管されます。

説明: SCP-3196は、作家のデヴォン・ブラッケンリッジ (POI-3196) によって執筆され、ペンギン・ランダムハウスから出版された、“レックス・デンジャリーの冒険”と総称されるシリーズ物の書籍に影響を及ぼす時間異常です。このシリーズは、主人公レックス・デンジャリーが様々な時代や地球外空間を訪れる様子を描写しています。シリーズ第2巻、第3巻、第4巻、第5巻のうち、執筆・出版に先立って流通した実例はそれぞれSCP-3196-A-1から-4に指定されます。全てのSCP-3196-A実例には“私の最高のファンへ捧ぐ、あなたはあなたが何者であるかを知っています”という献辞が添えられています。SCP-3196-A実例はいずれも2008年から2020年までの範囲で発行年月日が記載されています。

SCP-3196は、“レックス・デンジャリーの冒険”シリーズの最新作の正式な出版日に、それ以降のまだ執筆されていない続編が出現する現象、通称PUBイベントを引き起こします。最新作を入荷する書店は、販売する冊数に応じて、SCP-3196-A実例も受け取ります。SCP-3196-A実例は入荷分に混ざって、もしくは書店の棚や倉庫で、通常は“レックス・デンジャリー”シリーズの既刊本の付近に出現します。出現は瞬時に発生し、大抵の場合気付かれません。

SCP-3196は電子書籍取扱業者や古本屋には影響しません。

補遺3196-1 - シリーズの概要
SCP-3196-A実例 タイトル 現在の状況 出版日
無し 男と時計塔 出版済 2006年9月14日
SCP-3196-A-1 海王星の潮流 出版済 2008年10月1日
SCP-3196-A-2 ワームホールを抜けて 執筆中 2010年11月11日
SCP-3196-A-3 アレクサンドリアの眺望 構想段階 2014年3月24日
SCP-3196-A-4 時間の外から来た男 構想段階 2020年1月18日

発見 - PUBイベント-01
2006年9月14日、“レックス・デンジャリーの冒険”シリーズの第1巻を入荷した書店は、それに続く4作品を称する書籍を同時に受け取りました。困惑した書店から複数の電話連絡を受けた後、ペンギン・ランダムハウスに潜入していた機動部隊ロー-4のエージェントが財団にこれを通知しました。

POI-3196の故郷であるアリゾナ州フェニックスに駐在していた財団エージェントは、FBIの詐欺事件捜査官を装ってインタビューを手配できました。このインタビューと、ペンギン・ランダムハウスの担当編集者に対する別なインタビューで、その時点ではまだ“レックス・デンジャリー”シリーズの続編は全く執筆されていなかったことが確認されました。出版社の第1作出荷目録を利用して、機動部隊はSCP-3196-A実例を受け取った全ての書店を捜索しました。これらの実例はFBI資産を利用したカバーストーリーの下に押収され、“レックス・デンジャリー”の偽の続編を用いてPOI-3196、ペンギン・ランダムハウス、並びに様々な書店を狙った詐欺行為が行われたという架空のシナリオが流布されました。

SCP-3196-A実例を調べた財団の文芸解析者は、その語彙や作風がPOI-3196の過去作と一致しており、“レックス・デンジャリー”第1巻の大まかな内容にも沿っているのを確認しました。回収された実例は全て非異常と断定されました。

流通業者と書店従業員への追跡インタビューでは、SCP-3196-A実例を取得した経緯の回想記憶に広範な矛盾が認められました。その後の記憶処理薬の使用は、SCP-3196-A実例の捜査・押収における財団の関与を隠蔽するのに十分だと見做されました。

PUBイベント-02
2008年7月17日、POI-3196は“レックス・デンジャリー”シリーズ第2巻の原稿とカバーアート図案を提出しました。機動部隊ロー-4は、この本の内容とカバーアートがSCP-3196-A-1と同一であることを確認しました。2008年10月1日の発売が発表された際、第2のPUBイベントに備えた計画が立案されました。

海王星の潮流”は問題なく2008年10月1日に発売され、PUBイベントを引き起こしました。財団機動部隊は最初のPUBイベントと同様の戦略を駆使し、最小限の労力で全てのSCP-3196-A実例を収容できました。

第2のPUBイベントで収容されたSCP-3196-A実例群は、最初のイベントで収容された実例群と同一の内容でした。

補遺3196-2 - プロットに関する情報

タイトル: 男と時計塔

あらすじ: レックス・デンジャリーは時空の安全を守る組織、ユニバーサル・タイム団の一員である。1870年のロンドンでの定期任務中、レックスは君主制の転覆、英国議会の破壊、そしてソビエト的な権威主義国家の樹立を画策する陰謀に巻き込まれる。この陰謀を企てたレックスの上官 オルムス・プラエトルは、歴史改変のために時間そのものの不安定化を望んでいることが明らかになる。ビッグ・ベンでの最終対決で、レックスはオルムスに致命傷を負わせる。

注記: “男と時計塔”はシリーズ第1作であり、SCP-3196現象に関わっていない唯一の巻です。

タイトル: 海王星の潮流

あらすじ: 海王星の表面に異常な変化が観察され、レックスは調査に派遣される。軍の植民地を訪れたレックスは、謎のエイリアンによるテラフォーミング活動を目撃する。海王星では、企業による統治委員会と一般市民の間の緊張が高まり、内戦が勃発する。秩序を取り戻そうとするレックスによってエイリアンは打倒されるが、海王星の新たな気候はコロニーを破壊し、レックスは宇宙へと吸い出される。

注記: 留意すべき点として、POI-3196は海王星に関する知識を持っていません。

タイトル: ワームホールを抜けて

あらすじ: レックスは間一髪で移動商船に救助される。冥王星の向こう側でエイリアンの宇宙船がワームホールから出現し、ユニバーサル・タイム団の船もそれを撃退するために海王星付近に集結する。両者は交戦し始めるが、やがてエイリアンは別次元から来た人間の難民であったことが判明する。難民たちの指導者である別次元のオルムス・プラエトルは、正体不明の実体によって彼らの住む世界が消滅し始めた後、生存者たちをまとめあげていた。その後、巨大なワームホールが開き、全ての宇宙船を吸い込む。

注記: この巻の一部は、ユニバーサル・タイム団と協力関係にあり、異常なアーティファクトや人々の研究・収集を行う組織 “テラ・コレクティブ” に言及しています。財団との乖離は大きく、組織の秘匿性に対する脅威とは見做されていません。

タイトル: アレクサンドリアの眺望

あらすじ: 新たなワームホールに引き込まれた抗争の両陣営は、未来から来たレックスとオルムスに出迎えられる。2人は、現実破壊実体がレックスの世界に向かっており、そうなれば意識される現実そのものが滅ぼされると説明する。レックスとオルムスは共に古代エジプトへ時間遡行し、実体が完全に自分たちの世界に入り込む前に倒そうとする。実体が形成され始めた時、レックスは未来の自分から通信を受け、彼は既に失敗したと知らされる。その後、未来のレックスは存在しなくなる。

注記: ある章で、レックスは放浪の賢者に出会い、現在の争いに関する助言を受けます。特筆すべきは“いつの日か、衛兵たちが訪れ、彼らの未来を守るために君の歴史を鎖で縛るでしょう”という台詞です。POI-3196はこの台詞の裏にある意味や財団との潜在的な関連性を示せずにいます。

タイトル: 時間の外から来た男

あらすじ: 現実破壊実体が出現し、その正体はレックスであることが明らかになる。時空が破壊され、レックスは虚無に放り込まれる。レックスは徐々に現実改変能力を身に付け、砕け散った時間軸を修復しようとするが、異なる次元・歴史に由来するもう一人の自分が同じ行動を繰り返すのを阻止できず、現実は一貫して破壊される。窮余の一策として、レックスはかつての現実を修復した後、古代エジプトでもう一人の自分やオルムスに出会う前に、自分自身の存在を抹消する。この特異な次元で時空は再編成され、歴史は当初の停止点を超えて続くことが暗示される。エピローグでは、無名の人物が見知らぬ世界の浜辺で目を覚ます。

注記: [下記参照]

補遺-3196-3: SCP-3196-A-4は、“レックス・デンジャリーの冒険”シリーズの中で、序文を有する唯一の巻です。

これは、もうここには居ないあなたのための本です。残念です。

あなたはこの発想が芽吹いた種を私にくれました。私はそれを全て書き、言葉はまるで魔法のように流れだしました。時には、何かが正しいのを、何かが運命づけられているのを知ることができます。このシリーズのページは、レックスと同じように、今では時間を超越しています。

噓はつきません、私はそれを望んでしまうような、わがままな人間です。でも、私のちっぽけな望みを超えて、物事が定められている時もあるのです。

この物語が少しでも慰めになったのなら幸いです。もし死者が本を読めるなら、私は彼らのために書きたい。

- デヴォン・ブラッケンリッジ

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。