特別収容プロトコル: SCP-3199-JPが発生した場合、対象となった不動産はプロジェクト・サーベラスによる監視下に置かれます。所定の手続きの終了後、担当職員は書類の改ざん、及び現地の法制度と行政手続きを考慮した標準的な所有者のロンダリングなどを通して影響を受けた物件についての評価を修正し、SCP-3199-JPによる長期的な悪影響を最小限となるように留めるようにしてください。
説明: SCP-3199-JPは死霊術ネクロマンシーの行使に伴って発生する、大規模な官僚災害です。残留思念や死肉・骨を媒介として死者の蘇生や使役を行うための秘教技術として定義される死霊術は、多くの場合"ゾンビ"や"アンデッド"と呼称される、意識のレベルにかかわらず活動的な死体を生成します。
その結果単純な汚損に加え、活動的な死体が法的な解釈においては「常に死に続けている」ために、それらが侵入した建造物や通過した地点の付近に位置する物件は、告知すべき心理的瑕疵の存在する"事故物件Stigmatized property"として認定され得る条件を満たします。
SCP-3199-JPはこの際に活性化する異常な法的プロセスであり、対象となる物件は関連する人物の意思が介在する余地なく即座に、"呪われし/不浄なる土地であるが故に"[原文ママ]事故物件として書類上で扱われます。多くの文化圏において伝統的に死や死者の霊が忌避されるものであるために、これらは副次的影響として居住者の該当物件からの退出や、付近一帯の不動産としての評価の大幅な下落を招く傾向にあります。
最古の記録を紀元前1600年頃までに遡る長い死霊術史の中で、SCP-3199-JPの存在が知られるようになったのはごく最近のことであり、ヨーロッパ諸国やアメリカ合衆国をはじめとした各国で事故物件、あるいはそれに類する概念が適用されるようになった20世紀初頭からの出来事です1。
そのため、近代的法律への理解及び遵法精神のない超高齢の死霊術師による術の乱用や、反対に死霊術師がSCP-3199-JPの異常性を理解したうえで不動産価格の不当な操作のため死霊術を行使した複数の事例2は、常にSCP-3199-JPの対象となった物件を正常な評価へ修正するため法的に正当な手続きを行わなければならないことから、長年財団の隠蔽工作に要するコスト上の大きな懸念とされてきました。
しかしながら現在では、SCP-3199-JPの異常性は世界的な死霊術行使の監視システムを構築する基礎理論として有用なものと見なされています。この監視システムはWATCHDOG解析プログラムの活用によって、不動産評価の下落から逆算して死霊術の行使及び実行地点を速やかに察知・特定することが可能となっており、特に今まで遠隔では発見することが困難であった、室内のみに限定されるような小規模な死霊術の行使を監視することに長けています。
プロジェクト・サーベラス3と呼称されたこの監視システム運用計画は、現在までに73箇所の要注意団体拠点の特定、127名の要注意人物の確保、34件の財団職員及びその親族・友人に対する許可無き蘇生の摘発に貢献しています。